20〜40代の女性に向けたジュエリーブランドの公式通販です。掲載している事例のなかで最も予算規模が大きく、1年を通して月平均113万円の広告費を運用しています。

お預かりした時点では、贈り物の需要・自分で使う需要・リピーターに向けた配信が並び、予算が細かく分散していました。

直近1年(2025年10月〜2026年9月)の平均的な数字

集計期間直近1年(2025年10月〜2026年9月)の月平均
広告費(月平均)1,126,957円
広告経由の売上(月平均)4,412,253円
ROAS392%(広告費1円あたり3.9円の売上)
購入(月平均)243件
CPA(購入1件あたりの広告費)4,639円
客単価(広告経由)18,164円

数値は Google 広告・Meta 広告の管理画面で計測された値です(2026年9月までの集計)。売上は各媒体が広告経由として計測した購入金額で、各項目は直近1年のうち配信があった月の平均です。繁忙期と閑散期で金額は上下します。ブランド名・社名は守秘義務のため伏せています。

お預かりした時点の状態

キャンペーンが十数本あり、どれも少額ずつ配信されていました。繁忙期に予算を増やすとROASが落ち、落ちた原因がどのキャンペーンにあるのかを追えない状態でした。

贈り物の需要に向けた配信は件数は出るものの、売上に対する効率が低いままでした。

やったこと:広告の組み方を1枚の設計図にそろえた

やったことは大きく4つです。キャンペーンの階層をそろえ、広告グループを着用シーンで分け、媒体ごとの予算配分を決め、時期によってどこへ足すかを先に決めました。順番に説明します。

1|キャンペーンの階層を3段にそろえる

十数本あったキャンペーンを、まず「誰に向けた配信か」で並べ直しました。キャンペーン=ペルソナ、広告グループ=訴求、その中にバナーとカタログ広告をセットで入れる。この3段の形に全部をそろえています。

階層の例(ペルソナにネックレスを置いた場合)

  • ネックレス(ペルソナ=キャンペーン)
    • 仕事で付けていくジュエリーを買いたい(訴求=広告グループ)
      • ネックレスAバナー
      • ネックレスBバナー
      • カタログ「ネックレスランキング」
    • 遊びで付けていくジュエリーを買いたい
      • (同じようにバナー数種とカタログを入れる)
    • 自分へのご褒美でジュエリーを買いたい
      • (同じようにバナー数種とカタログを入れる)

いちばん上がペルソナで、これがキャンペーンの単位になります。その下に訴求を広告グループとして置き、いちばん下にバナーとカタログ広告を並べます。3段のどこを見ても「誰に・何を言って・何を見せているか」が1行で分かる状態にしました。

階層をそろえた目的は2つあります。ひとつは、ROASが動いたときに原因の置き場所を決めてしまうこと。お預かりした時点では、同じペルソナに向けた配信が複数のキャンペーンに散っていたため、数字が落ちても「どの配信のせいか」を言えませんでした。1つのペルソナに1本のキャンペーンを対応させておけば、落ちた週に見る場所が1か所に決まります。

もうひとつは、媒体の機械学習にまとまった量を渡すことです。配信を細かく分けると1本あたりの購入数が少なくなり、媒体が最適化の判断材料を持てません。少額のキャンペーンを統合して、1本に十分な件数が集まる状態にしました。

2|訴求は「どんな場面で着けるか」で分ける

広告グループは、ペルソナの下で訴求ごとに分けます。ネックレスなら、仕事で付けていくジュエリーを買いたい、遊びで付けていくジュエリーを買いたい、自分へのご褒美でジュエリーを買いたい、の3つです。

同じネックレスでも、場面が変わると選ばれる商品が変わります。仕事で着けるなら小ぶりで主張の少ないもの、遊びなら目を引くデザイン、自分へのご褒美なら価格帯が一段上のもの。見せる商品が変わるなら、バナーの言葉も商品の並べ方も変える必要があります。だから訴求ごとに広告グループを分け、その中に専用のバナーとカタログを入れています。

場面で分けておくと、どの需要が動いているかが数字で見えます。仕事用の広告グループだけ購入率が上がる月、ご褒美の広告グループだけ客単価が伸びる月があり、予算の足し先を広告グループ単位で決められます。ひとつのキャンペーンに全部を混ぜていた頃は、この差が平均の中に埋もれていました。

外したのは、価格帯の低い商品だけで組んだ自分用の広告グループです。クリック単価はほかと変わらないのに1件の売上が小さく、クリックの費用に売上が追いつきません。同じ商品群でも、価格帯が上の商品で組んだ広告グループのほうが、同じ広告費からの売上が大きくなりました。

贈り物の訴求は、需要が立ち上がる時期に広告グループとして足します。通年で置くと効率が落ちるため、置く時期を決めて扱っています。

3|媒体はP-MAXとカタログを厚く、検索は薄く

Google広告はP-MAX・検索・ショッピングでキャンペーンを分ける必要があるため、キャンペーン本数はペルソナの数より多くなります。そのうえで予算は、P-MAXとMeta広告のカタログを厚く、検索を薄く置いています。

ジュエリーは、商品名で探して買う商品ではありません。見た目を見て気に入ったものを選ぶため、商品画像が並ぶ配信のほうが購入につながります。検索広告に残しているのは、ブランド名で探しているお客様を取りこぼさないための指名キーワードが中心です。指名はYahoo!広告でもフレーズ一致で押さえ、こちらは成果を見ながら増減させています。

Meta広告はバナーとカタログで役割を分けました。バナーは新しいお客様にブランドの世界観を見せる役、カタログは一度見た商品をもう一度見せる役です。使う言葉はGoogle広告側の訴求とそろえてあるので、どの媒体から来ても同じ案内になります。

4|時期ごとに「どこへ足すか」を先に決める

年間の予算配分は、軸を動かさずに足し引きで調整します。自分で使うために買う層が通年の軸、贈り物は需要が立ち上がる時期に厚くする、という形です。

11月・12月は配分の中心を贈り物に移します。この時期は贈り物として買われるため、贈り物の訴求に寄せたときが最も伸びます。12月は配送期限まで贈り物を最大にし、期限を過ぎたら自分へのご褒美の訴求へ比重を戻します。

力を入れたい商品がある月は、キャンペーンを新しく立てずに、該当する広告グループへ専用のバナーを足す形で入れます。キャンペーンを増やすと予算が割れて学習が振り出しに戻るため、増やすのは広告だけにとどめています。

効いた配信と、効かなかった配信

最も売上を作ったのは、自分で使うための購入層に向けたP-MAXです。月平均で広告費223,073円に対して売上1,114,587円(ROAS 500%)を、12か月欠けずに計測しました。軸に置いた配信が、通年で最も効率の良い配信になっています。

Meta広告のバナーはROAS 415%、カタログはROAS 370%。Google広告のP-MAXと組み合わせることで、月の配信量を保ちながら効率を落とさずに済んでいます。

一方、贈り物を探す男性に向けた配信はROAS 239〜252%でした。件数は出るものの効率が低いため、需要が集まる時期に限って予算を足す扱いにしています。

年末は広告費を月390万円まで引き上げ、売上1,057万円(ROAS 271%)。効率は下がりますが、この時期に取れる件数は年間の売上に効くため、意図して踏んでいます。

まとめ

予算規模が大きいECでは、効率の良い配信だけに絞ると件数が足りなくなります。軸になるキャンペーンを決め、訴求を絞り、時期ごとにどこへ足すかを先に決める。この順番で組んだことが、1年間ROASを保ったまま月100万円前後を運用できた理由です。

広告の成果は、新しい配信先を増やすことよりも、いまあるキャンペーンの役割をはっきりさせることで動きます。役割が決まっていれば、数字が落ちた週に見る場所も、伸ばしたい月に足す場所も迷いません。

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