案件概要
年間最大の繁忙期である12月、ジュエリー市場は競合他社が資本を投じ、広告単価が極限まで高騰する「レッドオーシャン」と化した。
本プロジェクトでは、実店舗の信頼基盤を持つ国内ジュエリーブランドの自社ECを舞台に、コトラーが提唱する最新のマーケティング理論を実践。単なるマス・マーケティングの延長ではなく、デジタル時代の顧客体験を再定義することで、投資効率を維持しながら圧倒的な市場シェアを勝ち取ることを目標とした。
ご予算
12月の単月予算:総額 ¥3,906,503
- Google広告 ¥2,363,290
- Meta広告 ¥1,543,213
単に媒体を分けるのではなく、顧客の検討フェーズと連動させた予算設計を行った。クリスマス当日に向けた需要の加速に合わせ、日予算を段階的に引き上げるだけでなく、特定のターゲットの反応が良いタイミングに資金を瞬時に移動させる「リアルタイム・予算シフト」を断行し、1円の無駄も許さない資本効率の最大化を追求した。
作戦
1. セグメント・オブ・ワン(Segment of One)
本プロジェクトの核心は、コトラーの提唱する「セグメント・オブ・ワン」の実現にあった。現代の顧客は、属性ではなく「個別の文脈(コンテキスト)」で動いた。私たちは、単なる「30代女性」といった古いセグメントを捨て、個々の顧客のペルソナを、地理的・人口統計学的・行動・心理的の4軸でプロファイリングし、6つの緻密なペルソナを設定した。一人ひとりの内的欲求に寄り添うハイパー・パーソナライゼーションを広告配信に実装した。
プロファイリングの4軸(セグメント・オブ・ワンの顧客プロファイリング)
各ペルソナは、以下の4つの変数カテゴリに沿って定義した。
- 地理的: 居住地・関心のある場所・現在地
- 人口統計: 年齢・性別・職業・所得・結婚歴・家族
- 行動: 購買ジャーニー・消費メディア・利用シーン
- 心理的: 関心・情熱・モチベーション・価値観・態度
設定したペルソナ例
① 自分ご褒美・ジュエリーラバー
- 地理: 都市部~郊外、自宅でネット閲覧が多い
- 人口統計: 30代前半~40代女性、有職・可処分所得あり、独身またはDINKS
- 行動: Instagram・Pinterestでトレンドをチェック、年末の「自分へのご褒美」で検索・比較してから購入
- 心理: 頑張った自分へのご褒美欲、品質とデザインへのこだわり、少しの特別感を味わいたい
② 手早く選びたい・ギフト購入者(男性)
- 地理: 都市部中心、通勤・休日のスマホ利用が多い
- 人口統計: 30代~50代男性、会社員、パートナーへの贈答目的
- 行動: クリスマス直前の検索が多く、ブランド名・「彼女 プレゼント ジュエリー」等で流入、比較より決断重視
- 心理: 失敗したくない・喜んでほしい、選ぶ時間をかけたくない、信頼できるブランドで安心したい
③ トレンド敏感・ギフト+自分用
- 地理: 首都圏・関西、外出先でもECを利用
- 人口統計: 20代後半~30代女性、キャリア志向、自分用と贈答の両方で購入
- 行動: SNSで「今年のトレンド」「クリスマス ジュエリー」を消費、ストーリー・リールで共感→検索→購入のジャーニー
- 心理: トレンドに乗りたい、自分も相手も喜ぶ選択をしたい、体験や物語性を重視
上記のように、4軸でプロファイリングしたペルソナごとに、訴求メッセージ・クリエイティブ・配信チャネルを最適化し、広告を配信した。
2. 5Aジャーニーによる体験設計
さらに、顧客の行動を「5Aのジャーニー(Aware, Appeal, Ask, Act, Advocate)」に当てはめ、各段階で離脱させない一貫した体験を設計した。
Metaの視覚的フックで「欲しい」という感情を刺激した。
Google検索広告で疑問や比較を解決した。
ペルソナ専用のLPへ遷移させ、購入への障壁を徹底排除した。
購買体験の質を高め、SNS等での自発的な推奨を促した。
このように、ジャーニーの各接点でユーザーを誘導し続ける「顧客体験の自動化」を構築した。
媒体
5Aのジャーニーを加速させるため、GoogleとMetaを「機能」で使い分けた。
Google広告(P-Max / 検索広告)
主にジャーニーの「Act(行動)」を担う大動脈として活用。購買意欲が顕在化したユーザーを最短距離で成約へと導いた。また、検索広告においてはブランド指名を守りつつ、他社への流出を防ぐ「防衛拠点」としての役割も果たした。
Meta広告
「Aware(認知)」から「Appeal(訴求)」、そしてSNSでの比較・検討(Ask)を引き起こすトリガーとして運用。ルーレット企画やタイムセールといったエンゲージメント型施策により、ブランドへの「愛着」を育み、衝動的な購買意欲を確実な売上へと昇華させた。
結果
コトラー理論を実戦に落とし込んだ結果、当初の予測を大きく上回る成果を創出した。
予算を大幅に拡大させたにもかかわらず、高水準の効率を維持した。「セグメント・オブ・ワン」を意識した特定のペルソナ向け施策では、Google P-MaxでROAS 270%、Metaの企画施策ではROAS 259%を記録し、合計でROAS 266%(売上¥10,372,688÷広告費¥3,906,503)を達成した。
「5Aのジャーニー」に沿って顧客の背中を押し続けた結果、1,000万円という壁を突破。単なる「広告代理」を超えた、次世代のマーケティング運用の有用性を証明する結果となった。