商品数が多いECの広告はMetaカタログ広告とGoogleショッピング広告から始めるべき理由品ぞろえを売上に変える商品データ・採算・計測の考え方

ECサイトの広告を始めるとき、あるいは、すでに運用している広告を立て直すとき、「まず何をやればいいのか」という問題があります。検索広告を出すべきなのか、Instagramで動画広告を流すべきなのか、インフルエンサーに紹介してもらうべきなのか。選択肢を広げればいくらでも施策は出てきますが、予算も制作できるクリエイティブの数も、担当者が使える時間も無限ではありません。大切なのは、考えられる施策をすべて並べることではなく、自社の商売の構造に対して、最初に検証する合理性が高いものから取り組むことです。

その意味で、私は、商品数の多いECショップであれば、まずMetaのカタログ広告か、Googleのショッピング広告を検討するのが合理的だと考えています。特定の商品を一つだけ販売するビジネスではなく、アパレル、アクセサリー、インテリア、生活雑貨など、複数の商品からお客さんに選んでもらうビジネスでは、特にこの考え方が重要になります。

理由は、単に「AIが優秀だから」でも、「いま流行している広告だから」でもありません。商品データを使って広告を組み立て、検索内容や興味・行動との関連性に応じて商品を届ける仕組みが、品ぞろえのあるECと噛み合っているからです。Googleはショッピング広告について、Merchant Centerの商品データに基づいて関連する商品を表示する仕組みを説明しており、Metaもカタログ広告について、利用者の興味、意図、行動に基づいて関連性の高い商品を表示する仕組みを案内しています。

ただし、最初に一つだけ線を引いておきます。この記事の「成果が出る確率が高い」は、すべてのECで、あらゆる広告メニューに必ず勝つことが統計的に証明されている、という意味ではありません。限られた予算と人員で、商品と顧客の組み合わせを検証するうえで、最初に取り組む合理性が高いという意味です。公式ドキュメントが説明している広告の仕組みと、そこから導ける実務上の判断を分けながら、なぜこの二つを優先したいのかを掘り下げていきます。

この記事の結論

  • 商品数が多いECは、まずMetaのカタログ広告かGoogleのショッピング広告から検証するのが合理的
  • 理由は、商品データを使って商品ごとの多様な買う理由と接点を持て、商品が増えても制作・更新の負担が積み上がりにくいから
  • 条件で探される商品はGoogle、見た目で欲しくなる商品はMetaを先に
  • 成果を左右するのは広告設定より、商品データの質・採算の計算・購入計測の正しさ

01商品数が多いECの難しさは、「誰に売るか」だけではなく「何を見せるか」にある

ショップ全体の魅力と、個々の商品を買う理由は違う

ECの広告を考えるとき、つい「このショップはどのようなブランドなのか」「どのような世界観を伝えるべきか」という話から始めたくなります。もちろん、それは大切です。ただ、初めてそのショップを知る人にとって、購入のきっかけになるのは、必ずしもショップ全体への共感ではありません。「この形のバッグを探していた」「この色なら手持ちの服に合う」「この寸法なら部屋に置ける」といった、具体的な商品との出会いから購入が始まる、という仮説も持つべきです。

たとえば、同じアパレルショップでも、仕事用の服を探している人と、休日に着る服を探している人では、反応する商品が違います。同じアクセサリーショップでも、小ぶりなピアスを日常使いしたい人と、存在感のあるネックレスを探している人では、見せるべきものが違います。ブランドが想定する中心顧客像が一つだったとしても、その人がいま買いたい商品まで一つになるわけではありません。

ここでショップ全体を紹介する一枚のバナーだけを配信すると、広告の入り口が非常に狭くなります。扱っている商品が数百点あっても、広告では数点しか見せていないのであれば、残りの商品に興味を持つ可能性がある人との接点はつくれていません。ショップには選択肢があるのに、広告ではその選択肢を十分に使えていない状態です。

商品数が多いECに必要なのは、「代表商品の広告を頑張ること」だけではなく、「さまざまな商品が、それぞれの買う理由を持つ人に出会える状態」をつくることです。

この問題に対して、商品データを軸にする広告は、取り組みやすい構造を持っています。

手作業の広告制作だけで品ぞろえをカバーしようとすると、組み合わせが増えすぎる

仮に300商品があり、それぞれについて三つの訴求を考え、二つのデザインを用意すると、それだけで1,800通りの組み合わせになります。もちろん、実際にはすべてを別々に制作する必要はありませんが、商品数に加えて、用途、価格帯、ターゲット、季節、キャンペーンが増えるほど、管理しなければならない組み合わせも増えていきます。

しかも、ECでは広告を一度つくれば終わりではありません。価格を変更したら表示を直し、在庫がなくなったら配信対象を見直し、新商品が入ったら広告に追加し、販売終了になったら外す必要があります。手作業中心の運用では、「もっと商品を見せたい」という販売上の要請と、「これ以上は制作・更新できない」という運用上の限界が衝突します。

ここで重要なのは、担当者の努力不足を疑うことではありません。商品数が増えたときに、作業量まで同じ割合で増える設計になっていることが問題なのです。商品データから広告を展開できる仕組みを使う意味は、作業をゼロにすることではなく、商品が増えるたびに、広告制作と更新の負担がそのまま積み上がる構造を変えることにあります。

なお、「商品数が多い」という言葉にも注意が必要です。一つのシャツに10色と10サイズがあれば、在庫管理上は100SKUになるかもしれませんが、まったく異なる100種類の購買動機を持つ商品があるとは限りません。広告で活かせる品ぞろえの広さを考えるときは、SKUの数だけではなく、デザイン、用途、価格帯、購入シーンがどの程度異なっているかを見る必要があります。

02カタログ広告とショッピング広告の共通点は、「商品そのものを広告の材料にすること」

カタログやフィードは、単なる商品一覧ではない

ここでいうカタログや商品フィードは、お客さんが読むPDFのカタログではありません。商品ID、商品名、説明文、画像、価格、在庫状況、商品ページのURLなどを、広告システムが扱える形式に整理した商品データです。GoogleではMerchant Centerの商品データとして、Metaではカタログの商品情報として管理します。具体的な項目や必須条件は媒体や商品カテゴリによって異なりますが、商品属性を構造化して渡すという考え方は共通しています。

これを実務の言葉に置き換えると、「この商品は何で、いくらで、どのような見た目で、どこから購入できるのか」を、広告側に正しく理解させるための土台です。人間がお店で接客するときに、商品名も価格も在庫も分からなければ提案できないのと同じように、商品データを使う広告でも、入力する情報が曖昧なままでは適切な提案を期待しにくくなります。

そのため、カタログ広告やショッピング広告は、「広告管理画面の設定がすべて」という広告ではありません。むしろ、商品情報をどのように整え、どの商品を広告に使える状態にし、価格や在庫をどう維持するかという、EC運営そのものに近い領域が重要になります。

広告の改善対象が、設定だけではなく商品情報に広がる

通常の広告を考えると、「ターゲティングを変える」「コピーを変える」「画像を変える」といった改善が中心になりがちです。それに対して商品データを活用する広告では、商品名の具体性、画像の見やすさ、属性の正確さ、広告と商品ページの一致なども、広告運用上の改善対象になります。

たとえば、「ルナ」という商品名だけでは、初めて見る人には何の商品なのか分かりません。これが実際の商品仕様に沿って「シルバー925 フープピアス 小ぶり 直径12mm」と説明されていれば、何を比較しているのかが明確になります。広告のキャッチコピーを劇的に変えなくても、商品を理解するための情報が増えることで、見せる相手と購入する人の双方にとって判断材料が整うわけです。

私はここに、商品数の多いECでこの広告を優先したい理由があると考えています。改善の単位が、「たまたま当たる一枚の広告」だけではなく、「商品を正しく伝える仕組み」になるからです。もちろん、優れたクリエイティブをつくる力は重要ですが、その前に、すでに存在している商品情報を販売に活かしきる余地がないかを確認したほうが、順序として合理的です。

03なぜ最初に検証する価値が高いのか。広告の構造から考える

理由1:Googleでは、すでに表れている購買意図と商品をつなぎやすい

Googleのショッピング広告について、公式ヘルプには次のような説明があります。

「キーワードは使われません」

これは、検索広告のように登録した配信キーワードを中心として商品を表示するのではなく、Merchant Centerに登録した商品情報とユーザーの検索語句との関連性を使って、表示する商品を決めるという説明です。検索に関係なく配信されるという意味でも、検索内容を管理する手段が一切ないという意味でもありません。

この仕組みから導ける利点は、ショップが持っている個々の商品の特徴を、具体的な検索需要と結びつける余地があることです。たとえば、「収納家具」のような大きな括りだけではなく、幅、素材、用途、色などの条件を持つ人に対して、その条件に合う商品を提示できる可能性があります。人がすべての検索語句を先回りして考え、商品ごとに広告文をつくる方法だけに頼らず、商品情報そのものを使って接点を広げられるわけです。

ただし、検索される需要がないものを、ショッピング広告だけで大量に発生させられるとは考えるべきではありません。検索型の強みを活かすなら、実際にどのような条件で商品が探されているのか、その条件に対して自社商品がどのような価値を持つのかを考える必要があります。「商品を登録したから売れる」ではなく、「存在する需要と、自社の商品情報がつながる状態をつくる」という理解が適切です。

理由2:Metaでは、本人が検索語句にしていない好みとも接点を持てる

Metaの公式ヘルプは、カタログ広告について次のように説明しています。

“Meta Advantage+ catalog ads automatically show people your most relevant products based on their interests, intent and actions.”

興味、意図、行動に基づいて、関連性の高い商品を自動的に表示する、という説明です。ここで重要なのは、「過去に見た商品をもう一度見せる」という用途だけに限定されていないことです。Metaは、幅広いオーディエンスへのカタログ広告配信を、新しい顧客を見つけるための方法としても案内しています。

検索広告では、利用者が自分の欲しいものを、ある程度言葉にしていることが入り口になります。一方で、商品の魅力は必ずしも言葉から始まるとは限りません。写真を見て初めて「こういう形が欲しかった」と感じることも、使用シーンを見て初めて「自分の生活にも合いそうだ」と考えることもあるでしょう。こうした、視覚的な発見から始まる購買を検証できる点に、Metaを使う意味があります。

商品数が多いショップであれば、すべてのお客さんに同じ商品を見せるのではなく、異なる好みに対応できる選択肢を持っています。そこにカタログの仕組みを組み合わせると、「この店には何かありそうだ」と漠然と宣伝するだけではなく、「この商品が自分に合いそうだ」という具体的な関心を起点にできる可能性があります。ただし、関連性はシステムによる推定であり、本当に欲しい商品を必ず当てられるという意味ではありません。

理由3:クリックする前に、商品の見た目や価格を判断してもらえる

Googleのショッピング広告は、商品の写真、タイトル、価格、ショップ名などを表示する形式です。Google自身も、クリック前に商品について詳しく知ってもらえることを、見込み度の高いアクセスにつながる利点として説明しています。

ここから実務上考えたいのは、広告の役割を「できるだけ多くの人にクリックしてもらうこと」だけにしないことです。価格を見て対象外だと判断する人がいるとしても、その人が購入する可能性が低いなら、クリック前に判断してもらうことには意味があります。逆に、写真と価格を見たうえで興味を持つ人であれば、商品ページに入る前から一定の条件が合っている可能性があります。

広告運用では、CPCが安いと安心したくなりますが、クリックが安いことと、購入が安く取れることは別です。仮の例として、クリック単価50円で購入率が1%なら、購入1件当たりの広告費は5,000円です。一方、クリック単価100円でも購入率が4%なら、購入1件当たりの広告費は2,500円になります。この例では、クリックが高いほうが、購入は安く取れています。

ケースクリック単価購入率購入1件当たりの広告費
A50円1%5,000円
B100円4%2,500円

EC広告で欲しいのは、安いアクセスではなく、採算の合う購入につながるアクセスです。

商品情報を広告段階から見せることには、その観点で検証する価値があります。

理由4:広告で気になった商品と、購入する商品をつなげやすい

仮に、広告には黒いバッグが写っていたのに、クリックした先が数百点の商品が並ぶトップページだったら、お客さんはもう一度そのバッグを探さなければなりません。広告で生まれた関心を、サイト内の探索に置き換えてしまっている状態です。探すこと自体を楽しんでもらえるケースもあるでしょうが、具体的な商品への関心が生まれているなら、その商品をすぐ確認できる導線を用意したほうが自然です。

商品データには商品ページのリンクを持たせられるため、広告で提示した商品と、その詳細情報・購入導線を結びつける設計ができます。ただし、GoogleのP-MAXでは最終ページURLの拡張など、リンク先に影響する設定もあるため、キャンペーン内のすべての広告が常に同じルールで商品詳細ページに着地すると決めつけないことが必要です。

この点を踏まえると、運用時には「広告に出ている商品と、到着するページが一致しているか」を実際に確認したいところです。色違い、サイズ違い、セット商品と単品などの違いも含めて、広告で興味を持った対象を、そのまま検討できる状態にする必要があります。商品数が多いほど、こうした小さな不一致が大量に発生しないよう、仕組みとして整える価値があります。

理由5:最初から、人間が「売れる商品」を一つに決めなくてよい

ショップ側が売りたい商品と、広告経由で買われやすい商品は、同じとは限りません。利益率が高い新商品を推したい、ブランドの世界観を最もよく表す商品を見せたい、仕入れ担当者が力を入れた商品を売りたい。こうした事情はありますが、それがそのまま新しいお客さんにとっての買う理由になるかは、別の問題です。

だからこそ、商品数の多いショップでは、最初から一つの商品に広告予算と制作工数を集中させる以外の検証方法を持つことに意味があります。複数の商品を広告に使える状態にしておけば、経営者や担当者が想定していなかった商品が、広告経由の入り口として機能するかもしれません。これは「機械の判断が必ず正しい」という話ではなく、人の予想だけで検証対象を狭めすぎないための考え方です。

一方で、カタログに登録すればすべての商品が均等に配信されるわけでも、全商品について十分な検証が完了するわけでもありません。特に予算が小さい場合、表示や購入が一部の商品に偏ることも前提にしておくべきです。「広告に出せる商品が多いこと」と、「すべての商品を評価できるだけの予算があること」は、まったく別です。

理由6:広告制作の負担を減らした分、購入に近い改善へ時間を使える

Googleの標準ショッピングでは商品フィードを基に広告が生成され、Metaでもカタログ情報を使った広告作成が可能です。そのため、商品ごとにゼロから広告を制作する方法と比べて、商品情報を広告へ展開する作業を仕組み化できます。

ただし、ここで「制作費が一切かからなくなる」と考えるのは早計です。商品撮影、商品情報の整理、連携設定、データの修正、配信対象の管理などは残ります。それでも、商品ごとの広告づくりに追われる時間を減らせるなら、浮いた時間を、サイズ説明、配送条件、商品ページの比較しやすさ、購入手続き、写真の品質といった改善に使えます。

ECにおいて、広告だけが売上を決めるわけではありません。広告から来た人が、商品を理解できるか、不安を解消できるか、納得して支払えるかまで含めて購入が成立します。したがって、広告の制作・更新を効率化する価値は、人件費を減らすことだけではなく、購入の障害を取り除く仕事に時間を回せることにもあります。

04Googleの「ショッピング広告」を、広告メニューごとに整理する

ショッピング広告と、標準ショッピングキャンペーンと、P-MAXは同じものではない

まず押さえたいのは、「ショッピング広告」は商品の画像や価格などを表示する広告形式であり、「標準ショッピングキャンペーン」や「P-MAX」は、その広告を配信するためのキャンペーンの種類だという点です。Googleの公式ヘルプでも、Merchant Centerの商品データを使って、ショッピングキャンペーンまたはP-MAXキャンペーンを運用する構造が説明されています。

この違いを曖昧にしたまま、「ショッピング広告をやったけれど売れなかった」と判断すると、何がうまくいかなかったのか分からなくなります。検索に近い商品広告の検証をしたのか、複数のGoogle配信面を使う自動化キャンペーンの検証をしたのかでは、見ているものが違うからです。

Merchant Centerも、広告キャンペーンそのものではありません。商品情報を管理し、Googleの各種掲載先で利用できるようにするための基盤です。商品データの登録・審査と、広告予算を使って配信するキャンペーンの設計は、関連していますが別の仕事として考えたほうが整理しやすくなります。

名称何か押さえたい点
Merchant Center商品データを管理する基盤広告キャンペーンそのものではない。登録・審査と配信設計は別の仕事
ショッピング広告商品の画像・タイトル・価格・ショップ名を表示する広告形式検索語句と商品情報の関連性で表示される
標準ショッピングキャンペーンショッピング広告を検索やショッピングタブに配信するキャンペーン商品群の分け方や入札に運用側の意図を反映しやすい。クリック課金
P-MAX検索・YouTube・ディスプレイ・Discover・Gmailなどを横断するキャンペーン商品フィードに加えてテキスト・画像・動画も使う。成果は検索の商品広告だけのものではない
デマンドジェネレーション画像・動画と商品フィードを組み合わせて発見を促すキャンペーンまだ探していない人に関心をつくる役割
無料リスティング商品データを使った無料の掲載枠有料広告の成果と混同しない

標準ショッピングキャンペーン:商品広告を中心に、運用の意図を持ちやすい

標準ショッピングキャンペーンは、商品フィードを使ったショッピング広告を、Google検索やショッピングタブなどの対応する配信面に掲載するキャンペーンです。公式の比較表では、入札方法として個別クリック単価のほか、目標広告費用対効果、クリック数の最大化、コンバージョン値の最大化が案内されています。利用できる設定や適用条件は、実際のアカウントで確認する必要があります。

このメニューを検討する意味は、単に「手動だから安心」ということではありません。商品群をどう分けるか、どの範囲を広告対象にするか、何を指標として入札するかについて、運用側が仮説を持ちやすいことにあります。たとえば、粗利構造が大きく違う商品を一律に扱いたくない場合や、特定の商品群の反応を整理して見たい場合には、その意図が反映される設計を考えやすくなります。

ただし、細かく分けられるからといって、商品ごとに広告グループを増やすことが正解とは限りません。管理単位を増やすほど、確認する項目も、判断に必要なデータも増えます。目的のない細分化は、分析しやすくするどころか、何を判断しているのか分からない状態をつくることがあります。

また、標準ショッピングはクリック課金の広告であり、売れたときだけ広告費が発生する成果報酬型ではありません。購入を目標に入札を最適化することと、購入が発生した場合だけ請求されることは別です。この違いを理解せずに始めると、売れるまでに必要な検証コストを見誤ります。

P-MAX:ショッピング広告を含む、複数の配信面を横断するキャンペーン

P-MAXは、Googleの複数の広告チャネルを横断して、設定した目標に向けて配信を最適化するキャンペーンです。商品フィードだけではなく、テキスト、画像、動画などのアセットも利用し、検索、YouTube、ディスプレイ、Discover、Gmailなどの配信面にアクセスします。したがって、P-MAXの成果を、そのまま「検索結果に出る商品広告だけの成果」と考えることはできません。

商品数が多いECにとっては、商品データと追加のクリエイティブを組み合わせて、複数の接点を一つのキャンペーンで扱える点が魅力になります。一方、配信面や広告形式が広い分、売上が出たときにも、どのような接点が機能したのかを確認する姿勢が必要です。商品フィードを入れたという理由だけで、素材の品質やリンク先の確認を省いてよいわけではありません。

「P-MAXは自動だから何も管理できない」という理解も適切ではありません。Googleは、検索テーマ、除外キーワード、ブランド除外、最終ページURLの拡張など、検索に関する制御方法を公式に案内しています。ただし、それぞれは役割が違うため、何を配信のヒントとして渡し、何を制限するのかを区別して使う必要があります。

なお、P-MAXも「購入が発生したときだけ費用がかかる広告」ではありません。課金の仕組みは配信面や形式によって異なります。コンバージョンや売上価値を目標にする広告だからこそ、計測が正しいことと、検証中の広告費を負担できることが前提になります。

同じ商品を標準ショッピングとP-MAXに入れれば、簡単に比較できるわけではない

標準ショッピングとP-MAXのどちらがよいかを知りたいとき、同じ商品を両方に入れて、管理画面のROASだけを比較したくなるかもしれません。しかし、それでは各キャンペーンがどのような機会を獲得したのかが揃わず、単純な優劣を判断しにくくなります。Googleは、条件が重なる場合の配信について広告ランクに基づく扱いを案内しており、比較には実験を利用する方法も示しています。

ここで注意したいのは、「自社キャンペーン同士が必ず競り合って、広告単価をつり上げる」と説明しないことです。問題の中心は、比較条件や予算配分が揃わず、検証の解釈が難しくなることにあります。異なるキャンペーンを併用するなら、何を目的に分けているのか、どの商品や地域を担当させるのか、どう評価するのかを先に決めたほうがよいでしょう。

デマンドジェネレーションの商品フィードと、無料リスティングも分けて理解する

Googleの商品フィードを使う施策は、標準ショッピングとP-MAXだけではありません。デマンドジェネレーションでも商品フィードを利用でき、画像や動画と商品情報を組み合わせて、YouTube、Discover、Gmailなどで商品の発見を促す広告を配信できます。これは、すでに具体的な商品を探している人への接触だけではなく、視覚的なコンテンツから関心をつくる施策として整理できます。

また、Merchant Centerの商品データは、商品の無料リスティングにも関係します。こちらは有料のショッピング広告とは別の仕組みであり、広告予算を使うキャンペーンの成果と混同してはいけません。商品データを整えることに、広告以外の掲載機会にもつながる価値はありますが、登録しただけで一定の露出や売上が保証されるわけではありません。

このように整理すると、「まずショッピング広告」という言葉の意味が見えてきます。何でもP-MAXに任せるという話ではなく、まず商品データを整え、商品を具体的に提示する広告を販売の土台として検証し、そのうえで配信面や訴求の広げ方を考える、という順序です。

05Metaの「カタログ広告」は、配信の目的と見せ方を分けて考える

カタログは、広告の形式というより、商品情報を活用する仕組み

Metaでは、商品情報を使う広告が「Advantage+カタログ広告」などの名称で案内されてきました。一方、公式の紹介ページでは、カタログを特定の広告形式だけに限定せず、売上キャンペーン全体で商品データとして活用する方向の説明もされています。そのため、名称や管理画面の一つのボタンを覚えるより、「売上を目的とする広告に商品データを組み合わせる仕組み」として理解したほうが、本質を捉えやすくなります。

ここで混同したくないのが、カタログの活用と、キャンペーンの自動化です。商品データを何に使うかという話と、予算や配信などをどこまで自動化するかという話は、同じではありません。「Advantage+という名前が付いているから、すべて同じ広告」とまとめず、目的、商品データ、配信先、見せ方をそれぞれ確認する必要があります。

実務では、まず自社ECでの購入を目的とするのか、別の行動を目的とするのかを明確にし、その目的に合うキャンペーン設定と商品データの利用方法を選びます。この記事が想定しているのは、基本的に自社ECでの購入を増やすための広告です。単にサイトへのアクセスを増やすことと、購入を増やすことは、区別して設計します。

新規顧客向けの配信と、リターゲティングでは役割が違う

Metaのカタログ広告は、過去に自社サイトへ来た人だけを対象にするものではありません。公式ヘルプでは、幅広いオーディエンスを対象に新しい顧客を見つける使い方が紹介されています。したがって、「サイトへのアクセスが少ないから、カタログを使う意味がない」と一律に判断する必要はありません。

新規顧客向けの配信では、「まだ自社の商品を見たことがない人に、どの商品なら関心を持ってもらえるか」が主なテーマになります。このときに重要なのは、いきなりショップへの強い信頼がなくても、商品自体の魅力や条件を判断できる状態です。写真、価格、商品の分かりやすさが弱いままでは、新しい人に見せる対象としての説得力が不足します。

一方、リターゲティングは、すでにサイトやアプリで商品に興味を示した人に、再び商品を提示するための使い方です。Metaも、商品に関心を示したものの購入していない人への再接触を、カタログ広告の活用方法として案内しています。

この二つは役割が違います。新規顧客向けの配信は購入候補者との接点を増やす仕事であり、リターゲティングは一度生まれた関心を購入につなげる仕事です。後者の数字がよいからといって、前者をすべて止めればよいとは限りません。反対に、再訪問者への配信ばかりを増やしても、対象となる人の数が増えていなければ、売上を無制限に伸ばせるわけではありません。

ただし、この役割の違いを、必ずキャンペーンを細かく分けるべき理由にしてはいけません。予算や購入件数が少ない段階で分けすぎると、各単位について判断できる材料が乏しくなります。まず役割を理解し、そのうえで自社の規模で管理できる構造を選ぶことが大切です。

カルーセルとカタログは同じ意味ではない

Metaの公式ヘルプでは、カタログを利用した広告について、カルーセル、コレクション、単一の画像または動画といった形式が案内されています。つまり、「カタログ」は商品情報を活用する仕組みであり、「カルーセル」は複数のカードを見せる表示形式です。カルーセル広告をつくっただけで、商品データと連動する広告になっているとは限りません。

この違いは、制作を依頼するときにも重要です。「カタログ広告をお願いします」と言っているのに、実際には商品を手作業で並べた画像だけが納品されているのであれば、商品データによる更新や選択の仕組みを活用できていない可能性があります。逆に、商品データとつながっていても、表示形式が単一商品中心であれば、見た目だけではカタログ広告だと気づかないこともあるでしょう。

見せ方を選ぶときは、形式の名前ではなく、何を伝えたいかから考えるべきです。商品ごとの違いを比較してもらいたいのか、一つの商品の魅力を大きく見せたいのか、使用シーンと商品を合わせて提示したいのか。カタログを使うことと、クリエイティブの設計を考えることは、対立するものではありません。

06GoogleとMetaのどちらを先に使うべきか

「商品数が多いから両方」ではなく、購入の入り口から判断する

私は、商品数が多いという理由だけで、GoogleとMetaへ機械的に半分ずつ予算を配ることは勧めません。最初に考えたいのは、お客さんがどのように商品を探し、何を見れば買う理由を理解できるのかです。広告メニューの人気ではなく、購買の入り口に合わせて順番を決めます。

たとえば、型番、ブランド、サイズ、用途などを手掛かりに探される商品で、自社に価格、納期、在庫、品ぞろえなどの競争力があるなら、Googleのショッピング広告を先に検証する合理性があります。すでに条件を持って探している人に対して、その条件に合う商品を提示する、という仮説を立てられるからです。これは、Googleが説明する商品データと検索語句の関連付けを、自社の商材に当てはめた判断です。

一方、検索語句としてはまだ具体化されていなくても、見た目、雰囲気、使用シーンから欲しさを感じてもらえる商品であれば、Metaのカタログ活用を先に検証する考え方があります。たとえば、アクセサリーや服飾雑貨などで、「このデザインが好き」という反応を入り口にできると考えるなら、検索されるのを待つだけではない接点を持つ意味があります。これも、興味や行動に基づく商品の提示という仕組みから導いた運用上の仮説です。

ただし、写真を見ただけでは価値が伝わらない商品もあります。使い方を知らなければ必要性が分からない商品、価格が高い理由を説明しなければ比較に負ける商品、既存の商品カテゴリには収まらない商品では、画像や動画による説明を先に用意する必要があるかもしれません。商品数の多さよりも、購入に必要な理解の深さを優先する場面です。

比べる点Googleショッピング広告を先にMetaカタログ広告を先に
購入の入り口型番・ブランド・サイズ・用途で探される見た目・雰囲気・使用シーンで欲しくなる
自社の強み価格・納期・在庫・品ぞろえで比較に勝てる写真だけでデザインの違いが伝わる
向く商材の例定番品・消耗品・部品・家具など条件で選ぶものアクセサリー・服飾雑貨・インテリア小物など
注意点検索される需要がなければ広告だけでは生まれない関連性はシステムの推定で、欲しい商品を必ず当てるわけではない

予算が少ないときは、媒体の分散より検証の密度を優先する

月の広告予算が限られているのに、Google、Meta、動画広告、リターゲティングなどへ細かく配ると、各施策について十分な判断材料を得られないまま終わる可能性があります。予算を分けたこと自体が悪いのではなく、「何を確認するために、どの程度の購入機会を観測したいのか」という設計がないことが問題です。

仮に購入1件当たりの広告費を3,000円と見込んでいるなら、3万円の予算で観測できる購入は、単純計算では10件程度です。これは成果予測でも、媒体が定める学習条件でもなく、検証規模を考えるための仮置きです。この予算を五つに分ければ、一つの施策で見られる購入はさらに少なくなるでしょう。

その状態で、少数の購入が出た施策を「勝ち」、出なかった施策を「負け」と決めるのは危険です。まず一つの媒体や商品群に検証を集中させ、計測、商品情報、購入導線に問題がないかを確認したうえで、次の施策へ広げる方法もあります。最初から施策の数を増やすことが、機会損失を減らすとは限りません。

07成果を左右するのは、広告設定より先に「商品データの質」である

商品名は、おしゃれさだけではなく、何の商品かを伝える役割を持つ

商品名の付け方には、ブランドづくりの考え方があります。独自の商品名を付けたり、世界観に合う表現にしたりすること自体は悪くありません。ただ、広告で初めて商品を見る人には、その独自名称が何を意味するのか分からない場合があります。商品データでは、ブランドの表現と、商品の識別に必要な情報を両立させたいところです。

Googleの商品タイトルに関する公式ドキュメントでも、商品の特定に役立つ情報を用い、正確なタイトルを設定する考え方が示されています。宣伝文句を大量に詰め込むのではなく、実際の商品の特徴を伝えることが基本です。

たとえば、実際の商品仕様がそうであるなら、「ルナ」だけではなく、「ルナ シルバー925 フープピアス 小ぶり 直径12mm」とすることで、商品を理解するための情報が増えます。家具なら幅や素材、衣類なら種類や素材、部品なら適合する型式など、そのカテゴリで比較に必要な属性を考えます。ただし、検索されそうだからという理由で、実際には備えていない特徴を付け加えてはいけません。

ここで行うべきなのは、商品名へのキーワードの詰め込みではありません。その商品を探す人が判断に必要とする情報を、誤解のない形で補うことです。

商品情報が正確になることと、広告的に大げさになることは、まったく違います。

商品画像は「きれいかどうか」だけでなく、判断しやすいかを見る

商品画像を改善するとき、デザインとして美しいかどうかだけを見てしまうと、購入判断に必要な情報を落とすことがあります。アクセサリーであれば、形状や質感、サイズ感が分かるか。服であれば、シルエットや丈、色が把握できるか。家具であれば、形だけでなく、部屋に置いたときの大きさを想像できるか。カテゴリごとに、何を判断したい画像なのかを考えたいところです。

Googleの商品画像には、宣伝要素を含む画像を使用しないなどのガイドラインがあります。したがって、「送料無料」「今だけ半額」といった文言を大きく入れた一般的なバナーを、そのままショッピング用の主画像に流用する発想は適切ではありません。商品を正確に見せる画像と、媒体ごとに作成する広告表現は分けて管理したほうが安全です。

これは、Meta向けに工夫したクリエイティブを、すべてGoogleの商品画像へ転用できるわけではないということでもあります。共通の撮影素材や商品情報を持ちながら、媒体ごとの要件に合わせて使い方を変える設計が必要です。「同じ商品を売るのだから、画像もデータも全部同じでよい」と考えると、どちらかの要件に合わなくなることがあります。

価格・在庫・商品ページが一致しなければ、広告以前の問題になる

商品フィードで重要なのは、魅力的に見せることだけではありません。価格や在庫などの情報を正確に保ち、商品ページと整合させることも基本です。Googleの商品データ仕様では、価格や在庫状況など、商品に関する各属性の扱いが定められています。必要な項目や条件は商品によって異なるため、一律の簡易チェックだけで済ませないほうがよいでしょう。

広告では購入できそうに見えたのに、実際には主要サイズがすべて欠品している。表示された価格で買えると思ったのに、その価格は別の小さな商品だけだった。広告の写真はセットなのに、リンク先では単品販売だった。こうした状態では、クリックを増やしても購入しにくいままです。

特に商品数の多いショップでは、一つひとつの更新漏れを人の注意力だけで防ぐのは難しくなります。連携を使っているなら更新頻度やエラーの確認方法を決め、手動更新が残るなら担当者と更新のタイミングを明確にする必要があります。連携したから常に即時で正しい状態になる、と考えるのではなく、どこで更新が止まり得るかまで確認しておきます。

商品IDとバリエーションを、後から何となく変更しない

商品データを扱ううえでは、商品IDも重要です。Googleは、商品を識別するIDを安定して維持することを案内しています。Metaの商品データでも、商品を識別するIDが使われます。見た目には小さな項目でも、商品情報と計測・管理をつなぐ基礎になるため、独自のルールで頻繁に変えてよい項目ではありません。

ここでは、同一商品の色やサイズをどの単位で扱うのかも整理したいところです。商品ページ上の親商品、個別のバリエーション、在庫管理上のSKU、広告側の商品IDが、どのように対応しているのかを確認します。ECカートの連携機能を利用している場合も、実際に送信されるIDを見ずに「たぶん商品コードだろう」と判断しないほうがよいでしょう。

商品数が多いショップほど、一つのルールの誤りが大量の商品へ広がります。逆に、IDやバリエーションの設計を一度正しく整えておけば、日々の商品追加や広告改善を進めやすくなります。地味ですが、こうした基礎が崩れている状態で配信設定だけを調整しても、問題の中心には届きません。

08全商品を広告に出すかどうかは、品ぞろえではなく採算と在庫で決める

「商品数が多いほど有利」と「全商品を無条件に配信する」は違う

ここまでの話を聞くと、「商品数が多いなら、全部をカタログに入れて配信すればよい」と考えたくなるかもしれません。しかし、広告に出せる商品を増やすことと、広告費をかけて販売すべき商品を増やすことは別です。

たとえば、粗利が非常に小さい商品、送料の負担が大きい商品、返品対応の負担が重い商品、在庫が残りわずかで補充もできない商品では、売上が出ても事業にとって望ましいとは限りません。広告経由で売りやすい商品と、広告費を使って売る意味のある商品を分けて考える必要があります。

特に売上金額を基準に運用する場合、売上が大きい商品が、利益も大きいとは限りません。同じ1万円の売上でも、原価や配送費が違えば、使える広告費は違います。したがって、広告に使う商品を選ぶ段階で、少なくとも採算の大きく異なる商品群を把握しておきたいところです。

商品を分類するためのラベルを、運用上の判断に結びつける

Googleの商品データには、custom_label_0からcustom_label_4までのカスタムラベルが用意されています。商品を独自の基準で整理し、入札やレポート上のグループ分けに活用するための項目です。

たとえば、自社の管理上、「粗利に余裕がある商品」「補充しやすい定番商品」「今季中に売り切りたい商品」「新規顧客の入り口として検証したい商品」といった区分を持たせることが考えられます。大切なのは、分類すること自体ではなく、その分類によって何を判断するかです。

「高粗利」というラベルを付けたからといって、それだけで広告が利益最大化をするわけではありません。ラベルはあくまで商品を区別するための情報です。その区分を使って配信対象を選ぶのか、目標を変えるのか、予算を分けるのか、レポートで採算を確認するのか。具体的な運用に接続して初めて役に立ちます。

キャンペーンは、分ける理由があるときに分ける

商品数が多いと、ブランド別、カテゴリ別、価格帯別、性別、季節別と、いくらでもキャンペーンを分けられます。しかし、「商品を整理できる」ことと「広告予算を分ける必要がある」ことは同じではありません。まずはレポート上の区分で足りるのか、予算や目標を別に管理する必要があるのかを考えます。

GoogleもP-MAXの構成について、可能な範囲でキャンペーンを集約しつつ、異なる目標や設定、予算が必要な場合には分ける考え方を案内しています。何でも一つにまとめるのでも、何でも細分化するのでもなく、事業上の違いに応じて構造を決めることが重要です。

私なら、「この区分には別の予算判断をしたいのか」「この区分だけは異なる採算基準なのか」「この区分の結果を見て、具体的に何を変えるのか」と問いかけます。答えがないまま細分化するのであれば、その構造は運用を複雑にするだけかもしれません。

09計測が間違っていると、広告は「間違った成功」を追いかける

購入を増やしたいなら、購入が正しく記録される状態をつくる

自動化された広告を使うときほど、何を成功として渡しているかが重要になります。ECで購入を増やしたいのに、アクセス、商品閲覧、カート追加などの数字だけを見ていると、売上につながるかどうかを判断できません。購入件数だけでなく、購入金額や通貨も含めて、実際の注文と照合できる状態にしたいところです。

Googleは、コンバージョンに値を付け、購入や取引に関するシグナルを整えることを、ROASなどの最適化に向けた取り組みとして案内しています。また、拡張コンバージョンは、ハッシュ化したファーストパーティデータを活用して計測を補完する仕組みです。

ただし、計測機能を追加したことと、正確な計測ができていることは同じではありません。テスト注文を行い、何件の購入が記録されたか、金額が正しいか、キャンセルや重複とどう区別するかを確認します。商品データを整える作業と同じくらい、広告から戻ってくる結果のデータを整える作業が重要です。

Metaでは、イベントとカタログの商品が結びついているかも確認する

Metaは、カタログにMetaピクセルやアプリSDKを接続する方法を案内しています。また、イベントとカタログの商品がどの程度対応しているかを確認するために、カタログのマッチ率を確認する機能も提供しています。

ここでの問題は、「商品を見た」という行動が記録されていても、その商品がカタログ内のどれなのかを対応付けられなければ、商品単位の情報を十分に活用できないことです。商品IDの形式が、カタログ側とサイト側で揃っているかを確認する必要があります。

たとえば、カタログでは「shop_123_blue_M」というIDなのに、サイト側からは別の管理番号しか送られていないのであれば、どのように対応する設計なのかを調べるべきです。正しい対応の単位は連携方法や商品構造によって異なるため、見た目が似ているかではなく、実際の送信内容とカタログの内容を突き合わせます。

なお、商品との対応を見るカタログのマッチと、利用者との対応に関する計測品質を、同じものとして扱わないことも大切です。どの問題を直しているのかが分からないまま、「マッチ率を上げれば売れる」と考えるのではなく、商品情報と購入行動のどの接続が不十分なのかを特定します。

ピクセルとコンバージョンAPIを併用するときは、重複を確認する

Metaでは、MetaピクセルとコンバージョンAPIから同じイベントを送る場合の重複排除について、公式に説明されています。複数の経路でデータを送ることは、同じ購入を複数件として扱ってよいという意味ではありません。

これは、実装時だけの問題でもありません。ECカートのアプリ、タグ管理ツール、テーマ内のコード、外部の計測ツールなどがそれぞれイベントを送っていると、担当者が気づかないうちに重複する設計になっているかもしれません。ツールを導入した数より、同じ注文がどのように処理されるかを確認するほうが重要です。

また、計測の補完は、同意やデータの取り扱いに関する要件を無視してよいという意味ではありません。データを多く送ればよいと単純化せず、利用条件や必要な対応を確認したうえで、計測の精度と適切なデータ管理を両立させます。

10ROASが高いだけでは、EC広告は成功とはいえない

売上に対して、広告費をいくらまで使えるかを先に計算する

ROASは、広告費に対して広告に帰属する売上がどれだけあるかを見る指標です。しかし、売上のうちどれだけが利益として残るのかまでは、それだけでは分かりません。広告費以外の変動費を考えず、「ROASが300%だからよい」「500%なら十分」と一律に判断すると、採算を見誤る可能性があります。

ここで、あくまで説明のための架空の例を考えてみます。税抜き・値引き後の注文売上が1万円、商品原価が4,000円、配送・梱包・決済・返品対応などにかかる見込費用が合計1,500円だとします。この場合、広告費を使う前に残る金額は4,500円です。

この注文だけで考えるなら、購入1件に4,500円の広告費を使うと、広告費差し引き後の残りはゼロになります。したがって、この条件での限界的な採算ラインは、CPAが4,500円、ROASが約222%です。ただし、ここには固定費や最終的に確保したい利益を含めていないため、「222%あれば会社として黒字」という意味ではありません。

さらに、1注文当たり1,500円を固定費の回収や利益のために残したいなら、広告に使えるのは3,000円です。この場合、必要なROASは約333%になります。広告の採算基準は、他社がどの数字を目標にしているかではなく、このような自社の費用構造から決める必要があります。

項目損益分岐1,500円の利益を残す場合
注文売上(税抜・値引き後)10,000円10,000円
商品原価4,000円4,000円
配送・梱包・決済・返品対応1,500円1,500円
確保したい利益0円1,500円
許容CPA4,500円3,000円
必要なROAS約222%約333%

※説明のための架空の数値です。

許容CPA=注文売上-商品原価-広告以外の変動費-確保したい利益

この式は単純ですが、カタログ広告やショッピング広告では特に重要です。さまざまな商品が売れるからこそ、売れた商品の組み合わせによって、同じROASでも残る利益が変わるためです。

売上の大きい商品へ寄せることが、利益の大きい商品へ寄せることとは限らない

たとえば、売価が高いものの原価も高い商品と、売価は低いものの粗利に余裕のある商品が混在しているとします。広告上の売上を増やすという観点では前者が魅力的に見えても、事業上の利益では後者のほうがよいかもしれません。

そのため、運用上は、商品群ごとの粗利や配送費などを踏まえて、同じ目標で扱ってよい範囲を考えます。売上価値を使う自動入札で、利益も自動的に最大化されると期待するのではなく、何を価値として渡しているか、その値が自社の採算とどの程度一致しているかを確認します。

返品やキャンセルにも注意が必要です。受注時点の売上だけを見ていると、その後に取り消された注文や返金された金額を含めたまま判断してしまいます。広告の管理画面だけではなく、EC側の実売上や費用と合わせて見ることで、広告がつくった注文と、最終的に残った利益を区別できます。

LTVを理由に、赤字の広告を無制限に正当化しない

リピート購入がある事業では、初回の購入だけで広告費を回収しなくてもよいという考え方があります。それ自体は理解できますが、ここで使うLTVが、実績に基づいたものなのか、期待にすぎないのかは分ける必要があります。

「いつかもう一度買うはずだから」「ファンになれば何度も買ってくれるから」という説明だけで、初回の赤字を積み上げるのは危険です。広告経由で獲得した顧客が、実際にどの程度の期間で、どの程度の粗利を生むのかを確認します。売上のLTVだけではなく、追加の配送費、販促費、サポート費用などを考慮したうえで、回収までの期間も見たいところです。

カタログ広告やショッピング広告は、販売の仕組みとして検証する価値がありますが、事業の採算を自動的に保証する装置ではありません。広告の数字がよいかどうかと、商売として成立しているかどうかを、最後まで切り離さないことが重要です。

11「新規顧客が増えているか」と「管理画面の成果が増えているか」は分ける

既存顧客への販売が増えたのか、新しい需要を獲得したのか

既存顧客への販売が悪いわけではありません。むしろ、リピート購入が重要なECでは、既存顧客に新商品を紹介したり、再購入を促したりする広告にも価値があります。ただし、「新規顧客を増やしたい」という目的に対して、既存顧客の購入ばかりが増えているなら、目的と評価がずれています。

Googleでは、顧客ライフサイクルに関する目標として、新規顧客の獲得などを扱う機能が案内されています。こうした機能を使う場合も、認識に必要なデータや適用条件があるため、設定しただけで新規・既存を完全に判別できると考えないほうがよいでしょう。

実務では、広告側の分類だけでなく、ECの注文データで初回購入かどうかを確認します。全体ROAS、新規顧客の獲得数、初回購入者の売上、リピート購入の売上を分けて考えると、何のために広告費を使っているのかが見えやすくなります。

同じ購入が、複数の広告接点の評価対象になることを忘れない

広告の成果を見るときは、「その広告に成果が帰属していること」と、「その広告がなければ発生しなかった購入であること」を同じ意味にしないことが大切です。たとえば、一人のお客さんがMetaの広告に接触したあとにGoogleで商品を探して購入する、という経路を仮定すると、どの接点をどの条件で評価するかによって、成果の見え方が変わります。

したがって、媒体別の売上を無条件に足し合わせて、ECの実売上だと考えるべきではありません。まず注文データを基準に、実際に何件の購入があり、いくらの売上が残っているのかを確認します。そのうえで、媒体ごとの成果は、配信の改善に使うための指標として読みます。

より厳密に広告の増分を知りたいなら、条件を揃えた比較や、配信の有無を比較する検証を考える必要があります。ただし、小規模なショップでは、毎回大掛かりな検証を行うことが難しい場合もあるでしょう。その場合でも、媒体のROASだけでなく、新規注文数、EC全体の売上、粗利、広告費の変化を並べて見るだけで、判断の偏りを減らせます。

管理画面のROASを最大化することと、ショップの利益を最大化することは、同じ課題ではありません。

この違いを理解しておくと、数字がきれいに見える配信へ寄せ続けるだけの運用から抜け出しやすくなります。

12実際に始めるときは、広告の設定より先に検証の順序を決める

最初に行うのは、商品・採算・計測の確認

私なら、最初から広告管理画面を開いてキャンペーンを増やすのではなく、まず商品構成を見ます。どの商品群に需要がありそうか、どの商品なら価格や納期で競争できるか、どの商品なら広告費を負担できるか、どの商品を継続して販売できるかを整理します。

次に、商品データが広告に使える状態かを確認します。主力商品が登録されているか、画像や価格が正しいか、在庫情報が更新されるか、商品ページへ適切につながるかを見ます。同時に、購入計測が実際の注文と整合しているかを確認します。Googleのショッピングキャンペーンでも、Merchant Centerに広告掲載先用の商品を追加し、Google広告と適切にリンクすることが前提として案内されています。

この順序を飛ばすと、広告配信の検証をしているつもりで、実際には商品情報の不備や計測エラーの影響を見ていることになります。設定の上手下手を論じる前に、売る商品が正しく出て、購入が正しく記録されるという最低限の状態をつくることが必要です。

配信前に確認すること

  • 広告費を使って売る意味のある商品群(粗利・送料・在庫・補充のしやすさ)を把握している
  • 主力商品が商品データに登録され、承認されている
  • 商品名が「何の商品か」を伝え、画像が購入判断に必要な情報を見せている
  • 価格・在庫が商品ページと一致し、更新の仕組みと担当が決まっている
  • 商品IDとバリエーションの対応が、カタログ・サイト・計測で揃っている
  • テスト注文で、購入件数と金額が正しく1件ずつ記録される
  • 許容CPAと必要なROASを自社の費用構造から計算している
  • 検証の予算上限と、見直す条件を先に決めている

最初の仮説は、少なくてもよいから具体的にする

「ECの売上を増やす」だけでは、検証の仮説として広すぎます。たとえば、「型番で探される定番商品のうち、在庫と納期に競争力のある商品をGoogleで検証する」「写真だけでもデザインの違いが伝わる商品群をMetaで新規向けに検証する」といった形で、何を確かめたいのかを具体化します。

このとき、商品を絞ることは、必ずしも商品数を極端に減らすことではありません。採算や在庫などの条件を満たす範囲を決め、その中で多様な商品を見せるという方法もあります。重要なのは、対象商品を選んだ理由があり、その結果を見たときに、次の判断へつながることです。

広告の構造も、最初から完成形を目指す必要はありません。ただし、何を変更したのかが分からなくなるほど、予算、商品、素材、ターゲット、目標を同時に動かすことは避けたいところです。改善が起きても原因が分からず、悪化しても戻す場所が分からない状態では、検証したことになりにくくなります。

「学習中だから待つ」だけで終わらせない

自動化された広告では、短い期間や少ない購入だけで結論を出さないことが重要です。一方で、売れない状態を「まだ学習中だから」と説明し続ければよいわけでもありません。待っている間に何を確認するか、どの条件なら修正するかを先に決めます。

たとえば、配信そのものが十分に出ていないなら、学習を待つ前に掲載資格や設定を確認すべきです。商品ページへアクセスは来ているのに、買い物かごに入れる人がほとんどいないなら、商品情報や価格、リンク先との一致を調べる価値があります。購入手続きまで進んでいるのに完了しないなら、配送条件や決済、画面の不具合を確認したいところです。

予算の上限も、事前に決めておきます。使った費用が少なく結果も少ない段階では不確実性が高いと認めつつ、採算の仮説が崩れたときに、どこまで検証を続けるかを考えるのです。必要なのは、焦って毎日設定を変えることでも、理由なく待ち続けることでもなく、観測した事実に応じて次の行動を変えることです。

13成果が出ないときは、「媒体が悪い」で終わらせず、購入までのどこで止まっているかを見る

止まっている場所まず確認すること
広告が表示されない商品の不承認・画像要件・在庫の扱い・対象商品の選択、目標ROASが厳しすぎないか
表示されてもクリックされない画像の見やすさ、商品名の具体性、価格の競争力、見せている商品と需要のずれ
クリックされても売れないサイズ・納期・送料・返品条件の分かりやすさ、スマートフォンでの操作性、広告と商品ページの一致
売れているのに利益が増えない売れている商品の粗利・送料負担・返品率、既存顧客への販売の比率

そもそも広告が表示されないなら、掲載できる状態かを疑う

商品数が多いショップでは、カタログには大量の商品があるのに、実際には一部しか広告に使える状態になっていない、という可能性があります。商品データの不備、画像の問題、在庫の扱い、対象商品の選択などを確認しないまま、「この媒体では露出が取れない」と判断しないことが大切です。Googleは、商品データや画像の要件を満たさない場合に、不承認などの問題が起こり得ることを説明しています。

そのうえで、予算や入札の目標が、現在の状況に対して厳しすぎないかを確認します。利益を守りたいから高いROASを目標にしたとしても、その条件で獲得できる機会がほとんどなければ、広告が十分に動かないかもしれません。目標を高く設定することと、その目標を達成できる販売条件があることは別です。

表示されてもクリックされないなら、商品と条件が伝わっているかを見る

表示されているのに反応が弱い場合、まず疑いたいのは、商品を見た人が何を判断できる状態なのかです。画像で商品が小さすぎる、違いが分からない、商品名が曖昧、価格が比較対象に対して不利、見せている商品が想定する需要と合っていない。こうした仮説を整理します。

ここで、すぐに派手な装飾や強い煽り文句を足す必要はありません。購入につながる関心を増やしたいのであれば、商品そのものの魅力や条件が伝わるように改善するのが先です。クリック率だけを上げる表現で、商品ページに入ったあとの落差を大きくしてしまうと、購入の改善につながらない可能性があります。

クリックされても売れないなら、商品ページと購入条件を確認する

広告で関心を持ってもらえているのに売れない場合、広告側だけで原因を探すのは非効率です。サイズが分からない、納期が見つからない、送料が購入手続きの最後まで分からない、返品条件が読みにくい、スマートフォンで選択ボタンが操作しづらい。購入前の不安や作業負担がないかを確認します。

商品数の多いショップでは、すべての商品ページを同じ深さで改善するのは難しいかもしれません。その場合は、広告費を使っている商品、アクセスが集まっている商品、購入直前まで進む商品から優先順位を付けます。広告のデータを、入札の変更だけではなく、商品ページ改善の優先順位にも使うわけです。

なお、商品ページが必要な情報を持っていないからといって、すぐに別のLPを大量制作する必要があるとは限りません。まずは商品詳細ページの共通テンプレート、送料表示、サイズ説明、比較画像など、複数商品に効果が及ぶ部分を改善できないかを考えます。

売れているのに利益が増えないなら、配信対象と評価指標を見直す

購入が出ているのに利益が増えない場合は、広告の表面的な効率より、売れている商品の内訳を見るべきです。粗利の薄い商品へ偏っていないか、送料負担の大きい注文が増えていないか、返品が多くないか、既存顧客への販売を増やすために広告費を上乗せしていないかを確認します。

この段階では、画像やターゲティングを変えるより、商品選定、価格、同梱、最低購入金額、広告費の許容範囲などを見直すほうが重要かもしれません。広告の改善は、必ず広告管理画面の中だけで完結するものではありません。

14カタログ広告とショッピング広告だけでは、解決しないこともある

商品の価値を理解するために、説明が必要なケース

使い方が新しい商品、価格の理由が伝わりにくい商品、購入までに相談や比較が必要な商品では、商品画像と価格だけでは十分ではないことがあります。その場合、動画、比較コンテンツ、開発背景、使用方法、FAQなどを使って、購入に必要な理解をつくる必要があります。

これは、カタログ広告やショッピング広告が使えないという意味ではありません。説明するコンテンツと、具体的な商品へつなぐ広告を組み合わせるということです。たとえば、使用シーンを伝える動画を見せ、その関心を商品選びへつなぐ方法も考えられます。Googleのデマンドジェネレーションでも、画像・動画と商品フィードを組み合わせる仕組みが用意されています。

大切なのは、「商品を見せれば理解できる価値」と、「説明しなければ理解できない価値」を分けることです。後者が大きい商品で、説明の役割まで商品フィードだけに背負わせると、期待と仕組みが合わなくなります。

商品自体に競争力がなければ、広告の仕組みだけでは補えない

同じ商品を他店でも購入でき、自社だけ価格が高く、送料も高く、納期も遅いとします。そのうえで、保証やサービスなどの違いも伝わらないのであれば、広告の配信精度だけで選ばれる理由をつくるのは難しいでしょう。

逆に、価格だけで勝てなくても、在庫、納期、品ぞろえ、セット内容、専門性、購入後のサポートなど、自社が選ばれる理由を持つことはできます。その理由を商品情報やページで確認できるようにすることが、広告の前提です。

「広告が悪いのか、商品が悪いのか」という二択ではなく、広告で出会った人が、比較したうえで自社を選ぶ理由があるのかを考えます。広告はその理由を届ける手段にはなりますが、存在しない優位性を生み出すことまでは期待できません。

小さな品ぞろえを、無理に大規模カタログの運用へ寄せる必要はない

商品が数点しかなく、それぞれの購入動機も近い場合は、一つの商品を丁寧に説明する広告やLPに集中したほうがよい可能性があります。商品数が多いEC向けの合理性を、そのまま単品通販へ当てはめる必要はありません。

一方、商品数が少なくても、検索需要があり、商品情報を使った広告が合うことはあります。重要なのは、カタログに何件登録できるかという形式的な話ではなく、商品を具体的に提示することが、その事業の購入にどのように役立つかです。

したがって、「何商品以上ならカタログ広告が正解」といった一律の線引きは避けたいところです。品ぞろえの多様性、購入のされ方、予算、採算、商品情報の整備状況を合わせて判断するほうが、実務では役に立ちます。

だからといって、クリエイティブやブランドづくりが不要になるわけではない

ここまで読むと、「商品データさえ整えれば、クリエイティブを考えなくてよい」と受け取られるかもしれませんが、そうではありません。むしろ、商品データから広告を展開するほど、元になる商品写真、商品名、説明、価格の見せ方が重要になります。制作する広告の数を減らせるとしても、商品の伝え方を考える仕事は残ります。

また、ある商品が広告の入り口として機能すると分かったなら、その商品の魅力をさらに深く伝えるコンテンツをつくる価値があります。使用シーン、着用例、サイズ比較、素材の説明、ほかの商品との組み合わせなど、購入を後押しする情報を増やしていくのです。最初から全商品に同じ制作コストをかけるのではなく、販売上の反応を見ながら投資する順序を考えられます。

ブランドづくりにも同じことがいえます。初回の購入が一つの商品との出会いから始まったとしても、次にまた選ばれる理由は、商品だけではないかもしれません。届いたときの体験、説明の分かりやすさ、品質、対応、ショップ全体への信頼が、次の購入の理由になるでしょう。

カタログ広告やショッピング広告を優先することは、ブランドを捨てることではありません。まず商品との具体的な出会いをつくり、その購入体験を通じてショップへの信頼を積み上げる、という順番を選ぶことです。

15まとめ:EC広告は、「店を宣伝する」だけでなく「商品が選ばれる機会」を増やす

商品数の多いECショップで、Metaのカタログ広告やGoogleのショッピング広告を優先したい理由は、品ぞろえを広告に活かしやすい構造があるからです。ショップ全体を一枚の広告で表現するだけでは、商品の持つ多様な買う理由を拾いきれません。商品データを使い、それぞれの商品を、検索内容や興味・行動との関連性に応じて提示する仕組みには、その問題を解くための合理性があります。

ただし、そこで重要になるのは、広告メニューを選ぶことだけではありません。商品が正しく登録されていること、価格と在庫が一致していること、購入したい商品へ迷わず進めること、購入が正しく計測されること、売れたあとに利益が残ることまで含めて、一つの販売の仕組みとして整える必要があります。

私は、EC広告の最初の仕事を、「すごい広告を一本つくること」だけにしたくありません。まずは、すでに持っている商品の中に、広告を通じて選ばれる可能性があるものを見つける。その商品が正しく伝わる状態をつくる。反応が見えてきたら、商品ページ、写真、クリエイティブ、予算の使い方へ投資していく。その順序のほうが、限られた人員と予算でも判断を積み重ねやすいと考えています。

もちろん、検索広告のテキスト訴求や、動画広告、SNSでの発信などを否定するつもりはありません。それらが必要になる場面はあります。ただ、商品数の多いショップが、商品データを活かした広告を十分に検証しないまま、毎回新しい広告施策や派手な制作物へ移っていくのであれば、その前に見直す余地があるはずです。

取り敢えずMetaのカタログ広告かショッピング広告。これは、考えるのをやめて自動化に任せるという話ではありません。ECの品ぞろえを活かしながら、「どの商品が、どのような人に、どの条件なら採算よく売れるのか」を検証する土台を、先につくろうという話です。

商品数が多いことを、管理の負担だけで終わらせない。その品ぞろえを、お客さんにとっての選択肢と、ショップにとっての販売機会に変えていく。カタログ広告とショッピング広告を最初に検討する意味は、そこにあります。

FAQよくある質問

Q1. 商品数が多いECは、なぜカタログ広告やショッピング広告から始めるのがよいのですか?

商品データを使って、検索内容や興味・行動に関連する商品を自動で提示できるためです。一枚のバナーでは拾えない、商品ごとの多様な買う理由と接点を持てるうえ、商品が増えても広告制作と更新の負担がそのまま積み上がりにくい構造になっています。

Q2. GoogleとMeta、どちらを先に始めるべきですか?

型番・サイズ・用途などの条件で探され、価格や納期で比較に勝てる商品ならGoogleのショッピング広告、見た目や使用シーンで欲しくなる商品ならMetaのカタログ広告が先に向いています。予算が少ないうちは両方に分散させず、一つに集中して検証する方法もあります。

Q3. ショッピング広告とP-MAXは同じものですか?

違います。ショッピング広告は商品の画像や価格を表示する広告形式で、標準ショッピングキャンペーンやP-MAXはそれを配信するキャンペーンの種類です。P-MAXは検索以外にYouTubeやディスプレイなども横断するため、成果の見方も変わります。

Q4. カタログ広告とカルーセル広告の違いは何ですか?

カタログは商品情報を広告に活用する仕組みで、カルーセルは複数のカードを見せる表示形式です。カルーセル広告をつくっただけで、商品データと連動しているとは限りません。

Q5. ROASは何%を目標にすればよいですか?

一律の正解はありません。注文売上から商品原価と広告以外の変動費、確保したい利益を引いた金額が許容CPAで、そこから必要なROASが決まります。売上1万円・原価4,000円・変動費1,500円なら、損益分岐のROASは約222%です。

Q6. 全商品を広告に出したほうがよいですか?

広告に出せる商品を増やすことと、広告費をかけて売るべき商品を増やすことは別です。粗利・送料・返品・在庫の補充しやすさを踏まえて対象を決め、カスタムラベルで区分して運用や採算の確認に使います。

Produced by おこじょデザインシステム株式会社