「被リンクを増やしたいけれど、何をすればいいのかわからない」「記事は書いているのに、他社のサイトからなかなか紹介されない」「競合ばかり比較記事に載っていて、自社の名前が出てこない」。
こうした悩みがあるB2B企業に、取り組み方の一つとして知っておいてほしいのが、比較サイトや比較記事を運営している会社に、自社の掲載を提案する方法です。
例えば、自社が広告代理店なら、Googleで「広告代理店 おすすめ」「リスティング広告 代理店 比較」「BtoB 広告代理店 おすすめ」などと検索します。そこで見つかった比較記事を読み、自社が紹介対象として適している記事を洗い出し、運営会社や編集担当者にメール・電話で連絡するわけです。
提案内容は、難しいものである必要はありません。
「御社の記事で紹介されているサービス領域に、弊社も対応しています。読者の比較検討に役立つ情報をお渡しできますので、掲載候補としてご検討いただけませんか。掲載いただいた際には、弊社のニュースでも掲載事実と記事をご紹介したいと考えています」。
このように、相手の記事に自社を紹介してもらい、自社のニュースからも掲載された記事を紹介する形があります。
ただし、最初に大切な前提があります。比較記事への掲載提案と、検索順位を操作するためのリンク交換は、同じものではありません。 Googleは、順位操作を主目的とするリンクの作成や、過剰な相互リンク、相互リンクだけを目的としたページなどをリンクスパムとして挙げています。「相互リンクなら何でも安全」「お金を払わなければ問題ない」とは考えないでください。(出典:Google 検索セントラル「スパムに関するポリシー」)
この記事で扱うのは、相手の読者に役立つ企業情報を提供し、掲載を検討してもらい、実際に掲載された事実を自社でも伝えるという進め方です。広告や相互紹介の取引になる場合は、その関係も隠さず扱います。
被リンクだけを取りにいくのではなく、自社が比較検討の対象に入る場所を、営業によって増やしていく。 この視点で考えると、やるべきことが具体的になります。
そもそも、何をする施策なのか
この施策を一言でいうなら、「比較記事への掲載営業」です。
自社のサービスを必要としている企業が読みそうな記事を探し、その記事の運営者に、掲載候補として自社の情報を届けます。相手が掲載に値すると判断すれば、会社名、サービス内容、料金、実績、特徴などが記事に追加され、必要に応じて自社サイトへのリンクも設置されます。
その後、自社のニュース欄で「〇〇の比較記事に当社サービスが掲載されました」と紹介し、掲載された記事へリンクを設けることもできます。
リンクの方向を整理すると、次のようになります。
相手の比較記事 → 自社の会社紹介ページやサービスページ
こちらが、自社にとっての被リンクです。
自社の掲載ニュース → 相手の比較記事
こちらは、自社から相手に向けた外部リンクです。
両方が存在すると、結果として相互にリンクしている状態になります。ただし、自社のニュースから相手にリンクを張っただけで、自社への被リンクが増えるわけではありません。どのページから、どのページへリンクされているのかを分けて把握しましょう。
また、最初から「こちらがリンクを張るので、そちらも必ず検索評価を渡すリンクを張ってください」という交換条件にする必要はありません。掲載は相手の編集判断、自社での告知は自社の広報判断として、それぞれに読者への説明責任を持たせます。
この施策を設計するときの基本は、リンクを二本つくることではなく、二つの情報を成立させることです。
相手の記事では、「この会社が、どのような発注者に向いているのか」を説明する。自社のニュースでは、「どの媒体の、どの記事で、何が紹介されたのか」を説明する。その内容を確かめるために、読者がリンクを使える状態にします。
なぜB2Bでは、比較記事への掲載を考える価値があるのか
自社サイトに来る前の比較検討に参加できる
例えば、広告運用の外注先を探している企業の担当者を想像してください。
すでに依頼先の会社名を知っていれば、その会社名で検索するかもしれません。しかし、まだ依頼先が決まっていなければ、「広告代理店 おすすめ」「Google広告 運用代行 比較」「中小企業 広告代理店」といった言葉で候補を探すことも考えられます。
そこで開いた比較記事に自社が載っていなければ、その記事を読んでいる人にとって、自社は比較候補に入っていません。どれほど良いサービスを提供していても、記事の中には存在していない状態です。
もちろん、比較記事に載ったからといって、必ず問い合わせが来るわけではありません。それでも、掲載を開拓することで、「自社サイトに直接来てもらう」以外の接点をつくれます。
ここでの狙いは、他社の記事を借りて自社を大きく見せることではありません。自社に合う顧客が候補を探している場所に、正確な選択肢として参加することです。
検索順位だけに依存せず、紹介経由の接点をつくれる
自社のサービスページを検索上位に表示させる取り組みと、すでに公開されている比較記事に自社を載せてもらう取り組みは、別々に進められます。
前者は、自社ページが検索結果で見つかることを目指す施策です。後者は、他社の記事を読んだ人に、自社という選択肢を知ってもらう施策です。
ここを混同すると、「掲載されたのに自社の順位が変わらないから失敗」と判断してしまいます。しかし、比較記事からサービスページを見に来た人が問い合わせをしているなら、検索順位の変化とは別に、集客上の成果が出ています。
逆に、被リンクの本数が増えても、自社に合わない読者しか来ない、何を提供している会社か伝わらない、問い合わせにつながらないという状態なら、掲載内容や掲載先を見直す必要があります。
評価の中心を「リンクが増えたか」だけに置かず、「必要としている企業と出会えたか」に置きましょう。
リンクはSEOでも使われるが、効果は本数だけでは決まらない
Googleは、リンクをページの関連性の判断や、新しいページの発見に使うと説明しています。また、リンク分析システムとPageRankは、現在のランキングシステムの一部として説明されています。被リンクをSEOの検討対象にすること自体には、根拠があります。(出典:Google 検索セントラル「SEO リンクに関するベスト プラクティス」)
ただし、そこから「比較記事に一本掲載されれば順位が上がる」「相互リンクを十件増やせばドメイン全体が強くなる」とまではいえません。
掲載先がどのような記事なのか、どのような関係でリンクが設置されたのか、自社のリンク先ページが検索意図に応えているのか。そうした点を無視して、本数だけを成果にしないことが重要です。
この記事では、SEO上の可能性と、紹介流入・比較候補への参加という事業上の価値を、分けて扱います。
最初に見分けたい、掲載先の四つのタイプ
同じ「おすすめ記事」でも、運営目的や掲載方法は異なります。ここを確認せずに一斉に連絡すると、的外れな提案になってしまいます。
比較サイト・受発注プラットフォーム
まずは、企業やサービスの情報を掲載し、比較や発注先探しを支援しているサイトです。
こうしたサービスでは、会社情報の登録、掲載相談、案件紹介サービスへの参加など、あらかじめ窓口や手続きが用意されていることがあります。例えば、Web幹事には制作会社向けの掲載相談フォームがあり、PRONIアイミツもパートナー向けサービスの窓口と掲載内容の修正窓口を案内しています。(出典:Web幹事「制作会社の登録申請」)
このタイプでは、いきなり「相互リンクをお願いします」と送るよりも、正式な掲載方法や利用条件を確認するのが先です。
会社情報を登録すれば必ず比較記事に載るのか。企業紹介ページとランキング記事は別なのか。掲載料がかかるのか。問い合わせや案件紹介に費用が発生するのか。外部の公式サイトへリンクされるのか。
これらを分けて確認しましょう。「掲載できます」という返答だけでは、何に掲載されるのかまではわかりません。
なお、ここで挙げたサービスが、相互リンクの提案を受け付けているという意味ではありません。実在する掲載・相談窓口の例です。
業界メディアが編集している比較記事
次に、業界メディアや専門メディアが、編集記事として企業・サービスを紹介しているケースです。
この場合は、記事の読者像と選定基準を読み取ります。「中小企業向け」「製造業向け」「少額から依頼できる」「特定の機能に強い」など、記事が何を比較しているかが重要です。
提案では、「自社も同じサービスを提供しています」だけで終わらせず、「この比較軸に対して、こういう情報を追加できます」と伝えます。
例えば、記事が料金や契約条件を比較しているなら、確認可能な料金情報を提供する。導入支援の手厚さを比較しているなら、実際の支援範囲や担当体制を説明する。読者が知りたい点に沿って情報を出すことが基本です。
同業・周辺業種の会社が運営している比較記事
見落としたくないのが、広告代理店、SEO会社、制作会社、コンサルティング会社などが、自社のオウンドメディアで比較記事を公開しているケースです。
実際に、株式会社PLAN-Bのサイトでも、リスティング広告運用代行の代理店を比較する記事が公開されています。比較記事は、比較専業のメディアだけが作っているわけではありません。(出典:株式会社PLAN-B「リスティング広告運用代行ができる代理店10選比較」)
ただし、同業他社の記事に掲載してもらえるかどうかは、相手の運営方針次第です。掲載を依頼すれば受け付けてもらえる、と決めつけないでください。
ここでは、競合関係だけでなく、得意領域の違いを考えると提案を組み立てやすくなります。例えば、大規模案件を中心に扱う会社に対して、小規模案件に対応できる会社が情報提供する。制作に強い会社に対して、制作後の広告運用を専門にする会社が紹介候補になる。そうした補完関係を検討するわけです。
相手の問い合わせを奪う提案ではなく、相手の記事の選択肢を適切に補える提案になっているかを考えます。
広告掲載・タイアップ・成果報酬型の掲載枠
最後は、広告として掲載されるケースです。
掲載料を支払う記事広告、スポンサー枠、資料請求や問い合わせに応じて費用が発生する契約などは、無料の編集掲載とは分けて考えます。
有料だから検討対象外にする必要はありません。自社に合う見込み客に届き、費用に見合う商談が生まれるなら、広告媒体として検討できます。ただし、「検索順位を上げるためのリンク購入」として扱わないでください。
Googleは、広告や有料掲載のリンクに対してrel="sponsored"を推奨しており、nofollowも認めています。費用を払う場合は、掲載内容だけでなく、広告としての扱いやリンク属性も確認しましょう。(出典:Google 検索セントラル「外部リンクの rel 属性」)
掲載候補は「広告代理店 おすすめ」だけで探さない
サービス名を軸に、検索語を広げる
広告代理店であれば、最初の入口は「広告代理店 おすすめ」で構いません。ただし、そこで見つけた記事だけを営業先にすると、対象が広すぎる可能性があります。
自社が実際に対応しているサービスに合わせて、「リスティング広告 代理店 おすすめ」「Google広告 運用代行 比較」「Meta広告 代理店 おすすめ」「SNS広告 運用代行 比較」「BtoB 広告代理店 おすすめ」と検索語を分けてみてください。
記事のテーマが自社のサービスに近くなるほど、「なぜこの記事に掲載する意味があるのか」を説明しやすくなります。
例えば、広告運用を専門にしている会社が、テレビCMや交通広告を中心に紹介している総合広告代理店の記事に掲載を依頼しても、記事の主旨とずれているかもしれません。一方、「少額の検索広告を依頼できる代理店」という記事なら、自社の条件によっては具体的な提案ができます。
大切なのは、掲載できそうな記事を探す前に、自社が何の比較対象になれる会社なのかを明確にすることです。
顧客属性・地域・予算を掛け合わせる
サービス名の次は、発注者の条件を掛け合わせます。
顧客属性なら、「中小企業 広告代理店 おすすめ」「BtoB リスティング広告 代理店」「製造業 Webマーケティング 会社」。地域なら、「横浜 広告代理店 おすすめ」「神奈川 Web広告 運用代行」。予算や支援内容なら、「少額 リスティング広告 代理店」「広告運用 LP制作 一括依頼」などです。
これらは、あくまで候補を探すための検索語の例です。検索結果に自社が合う記事があるかどうかは、実際に読んで判断します。
ここで注意したいのは、掲載されたいからといって、自社の対応範囲を広げて説明しないことです。地域特化の記事に載るために、実際には訪問できない地域を得意地域とする。業界特化の記事に載るために、ほとんど経験のない業界を専門領域とする。こうした提案は避けましょう。
掲載後に発注者の期待とずれるのであれば、入口を増やす意味がありません。
競合の「掲載されました」から、媒体を逆引きする
検索結果から記事を探す方法に加えて、競合や周辺企業のニュース欄を見る方法もあります。
「広告代理店 比較記事 掲載されました」「リスティング広告 おすすめ 紹介されました」「営業代行 メディア掲載」などで探し、どのような媒体で企業が紹介されているのかを確認します。
このとき見るべきなのは、競合のニュース記事だけではありません。そこから実際の掲載記事に移動し、現在も公開されているか、どのような内容で紹介されているか、公式サイトへのリンクがあるか、広告表示があるかまで確認します。
競合が掲載されているという事実は、自社も同じ条件で掲載できる証拠にはなりません。有料掲載かもしれませんし、過去に行われた特集かもしれません。編集方針が変わっている可能性もあります。
それでも、「この分野の企業情報を扱ったことのある媒体」を見つける入口にはなります。そこで候補を増やし、現在の掲載方針を調べていきます。
営業先は「記事」「媒体」「運営会社」を分けて管理する
掲載候補を見つけたら、URLだけを並べるのではなく、三つの単位で整理することをおすすめします。
一つ目は、実際に自社を紹介してもらいたい「記事」です。記事名、URL、テーマ、想定読者、掲載企業、更新状況、自社を追加する理由などを記録します。
二つ目は、「媒体」です。そのサイトが何を扱っているか、掲載相談の窓口はどこか、編集方針があるか、広告メニューがあるかを整理します。
三つ目は、「運営会社」です。複数の媒体を同じ会社が運営している場合、別々の担当者が重複して営業しないようにします。
例えば、三十本の記事を見つけても、実際の運営会社は十社かもしれません。その状態で三十通のほぼ同じメールを送ると、同じ会社に何度も連絡することになります。
おすすめしたいのは、最初に記事単位で候補を集め、運営会社単位で重複を整理し、連絡するときは最も関連性の高い記事を中心に提案する進め方です。
管理項目も、最初から複雑にする必要はありません。記事情報、運営会社、連絡先、掲載を提案する理由、初回連絡日、返信内容、次の対応、掲載条件、公開後のURLが残っていれば、基本的な進行管理はできます。
特に重要なのは、「なぜ、この相手に、この自社を提案するのか」という欄です。
この欄が空白のままなら、まだ送信の準備ができていません。逆に、ここを具体的に書けるようになると、営業メールの中身も自然に変わってきます。
掲載先の優先順位は、DRだけで決めない
被リンクの営業先を探していると、DRやDAといった指標に目が向きがちです。
ただし、Ahrefs自身も、DRなどの指標を検索エンジンがランキング要因として使っている証拠はないと説明しています。DRは調査の補助にはなっても、Googleの評価そのものとして扱うべきではありません。(出典:Ahrefs ヘルプセンター)
そこで、この記事では、掲載先を選ぶときに次の三つを優先することを提案します。
第一に、自社の顧客が読む理由があるか。第二に、自社を追加することで記事の比較情報が充実するか。第三に、運営者や記事内容を確認し、安心して紹介できるかです。
例えば、数値上のDRが高くても、自社のサービスと無関係なテーマを扱っている媒体なら、読者との接点は薄いかもしれません。逆に、規模は大きくなくても、自社の顧客業界を丁寧に扱っている専門メディアなら、掲載を検討する理由があります。
これは、「専門メディアのほうが必ずSEO効果が高い」という意味ではありません。営業先を選ぶときに、数字よりも先に確認すべき事業上の適合性があるということです。
また、ドメイン全体の印象だけでなく、実際に掲載されるページを確認してください。どの企業も同じような文章で並んでいるだけなのか。それぞれの違いや選び方が説明されているのか。料金やサービス情報に確認日があるのか。読者が判断するための情報が載っているのか。
「このページを、自社の見込み客にも読んでもらいたいと思えるか」は、実務上の判断基準として使いやすい問いです。
掲載営業の前に、自社の情報を「比較できる形」にしておく
「強みがあります」ではなく、発注者が選べる情報を出す
掲載を依頼する前に、自社の情報を整理しましょう。
ここで必要なのは、立派な会社案内だけではありません。比較記事の中に入ったとき、他社との違いがわかる情報です。
例えば、「高品質な広告運用を提供しています」「成果にこだわっています」「柔軟な対応が強みです」という説明だけでは、比較する側が違いを判断できません。
それよりも、「対応媒体は何か」「どの程度の予算から相談できるか」「初期設定に何が含まれるか」「クリエイティブ制作まで対応するか」「LP改善は別料金か」「契約期間はどうなっているか」「どの業種の支援経験があるか」といった情報を整理します。
自社が向いている発注者だけでなく、向いていない条件も伝えられると、比較資料として使いやすくなります。
例えば、広告予算が極端に少ない案件は対応できない。特定の業種は受け付けていない。広告運用はできるが、撮影は別途手配が必要。こうした制約も、発注者にとって必要な情報です。
自社を魅力的に見せることと、正確に比較できることを両立させてください。
紹介文・根拠資料・素材をセットにする
掲載担当者に渡す情報は、短い紹介文と、確認用の資料を分けることをおすすめします。
紹介文は、例えば百五十〜三百字程度のたたき台を用意する。これは文字数の正解ではなく、最初の情報提供を簡潔にするための目安です。相手の指定があれば、その形式を優先します。
そのうえで、料金や対応範囲を確認できるページ、公開可能な導入事例、会社概要、利用を許可できるロゴなどをまとめます。
実績を提供する場合は、数字だけを切り出さないことも重要です。「問い合わせが二倍になった」だけでは、何と何を比較しているのかわかりません。期間、対象、施策内容、計測条件など、説明できる範囲を整理します。顧客名や管理画面の画像は、公開の許可を得たものだけを使います。
なお、紹介文のたたき台を渡すことと、そのまま掲載するよう求めることは別です。「事実確認用の情報です。表現や構成は編集方針に合わせてご調整ください」と伝え、相手の編集判断を尊重します。
リンク先を、読者の疑問に答えられるページにする
「とにかく自社ドメインにリンクしてもらえればいい」と考えると、リンク先の設計が雑になります。
広告運用の比較記事から来る人には、広告運用サービスの内容がわかるページを案内する。営業代行の比較記事から来る人には、対応工程や料金体系がわかるページを案内する。会社全体を紹介する記事なら、会社概要やトップページが適していることもあります。
重要なのは、記事で興味を持った内容を、リンク先で引き続き確認できることです。
「少額から相談できる」と紹介されているのに、公式サイトでは最低予算が見つからない。「BtoBに強い」と紹介されているのに、事例が一切ない。「LP改善まで支援」と書かれているのに、どこまでが料金に含まれるのかわからない。こうした状態は、掲載前に直しておきたいところです。
まずリンク先を整え、そのページを根拠に掲載を提案する。この順番をおすすめします。
提案の中心は「被リンクが欲しい」ではなく「記事の読者に何を足せるか」
営業メールで最初に伝えるべきことは、自社のSEO上の都合ではありません。
「御社のサイトはDRが高いので、相互リンクをお願いしたいです」というメールを受け取った立場を想像してください。これでは、自社が相手の読者や記事の内容を見ていないことが伝わってしまいます。
提案の主語を変えましょう。
「この記事では、月額予算が大きい企業向けの代理店が中心に紹介されています。弊社は、条件に応じて小規模な広告運用にも対応しているため、少額から検討する読者向けの情報としてご確認いただけるのではないかと考えました」。
「記事内で、広告運用とLP改善をまとめて依頼できる会社の選び方が解説されていました。弊社の支援範囲と料金条件を、比較資料としてご提供できます」。
「製造業向けの集客支援を比較されている記事を拝見しました。公開許可のある導入事例と、対応可能な支援工程をお送りします」。
このように、記事の主旨と自社の情報がつながっている必要があります。
もちろん、文面を丁寧にしても、自社が記事に適していなければ掲載されません。営業の工夫で、適合しないものを無理に掲載させることを目指す必要はありません。
提案文をうまく書く前に、掲載する理由がある相手を選ぶ。 ここに時間を使ったほうが、施策全体を改善しやすくなります。
そのまま調整して使える、掲載依頼メールの例文
以下は、編集記事への掲載候補として情報提供する場合の文例です。会社名、対応領域、実績などは、実際に確認できる内容に置き換えてください。
初回の掲載相談メール
件名:「[記事名]」の掲載候補に関する情報提供|[会社名]
[媒体名]
編集ご担当者様
突然のご連絡失礼いたします。[会社名]の[氏名]と申します。弊社では、[対象となる企業]に向けて、[サービス内容]を提供しております。
貴社の「[記事名]」を拝見し、特に[実際に読んだ比較軸・説明内容]が、発注先を検討する企業にとって参考になる内容だと感じ、ご連絡いたしました。
弊社は[記事の主旨に合う具体的な特徴]に対応しており、貴記事の読者向けの比較情報として、ご確認いただけるのではないかと考えております。
掲載候補としてご検討いただける場合は、サービスの対応範囲、料金条件、公開可能な支援事例、会社情報などを、貴社の指定形式に合わせてお送りいたします。
参考となる公式情報:[サービスページのURL]
対象記事:[掲載を相談したい記事のURL]
掲載の可否や紹介内容、掲載位置、リンクの取り扱いについては、貴社の編集方針に従います。まずは、掲載候補の情報提供を受け付けていらっしゃるか、ご教示いただけますと幸いです。
なお、実際に掲載いただいた場合には、弊社のニュース欄でも掲載事実と貴記事をご紹介することを検討しております。こちらは掲載をお願いするための必須条件ではございません。
本件のご案内が不要な場合は、その旨をご返信ください。以後、本件に関するご連絡を控えます。
何卒よろしくお願いいたします。
[会社名]
[氏名・部署]
[所在地]
[電話番号]
[返信先メールアドレス]
この文例のポイントは、いきなり紹介文を長々と送らず、まず情報提供を受け付けているかを確認していることです。また、対象記事を具体的に示し、なぜ自社を提案したのかを説明しています。
自社ニュースでの紹介についても、相手にとっての追加の接点として伝えつつ、掲載の独立した判断を妨げない書き方にしています。
広告掲載の窓口に送る場合は、「編集記事として載せてください」という前提にせず、広告メニューや掲載条件を確認する文章へ変更してください。
前向きな返信をもらった後のメール
件名:Re:「[記事名]」の掲載候補に関する情報提供
[ご担当者名]様
ご返信いただき、ありがとうございます。掲載候補としてご確認いただくための情報をお送りします。
弊社の主な対象は[対象顧客]で、[対応領域]を支援しております。貴記事の比較軸に関連する特徴は、[具体的な特徴]です。
会社概要、サービス紹介文、料金条件、公開可能な事例、ロゴ素材を[共有方法]にまとめました。紹介文は事実確認用のたたき台ですので、表現や構成は貴社の編集方針に合わせてご調整ください。
料金や対応範囲など、事実関係について確認が必要な点がございましたら、弊社にて回答いたします。
また、掲載後に弊社ニュースで記事をご紹介する場合に備え、媒体名の正式表記と、ロゴ等を使用する際の条件がございましたらご教示ください。
引き続き、よろしくお願いいたします。
返信後は、相手が次の作業をしやすい状態にすることを意識します。情報を何度も小出しにするより、必要なものを整理して渡し、不明点に回答できる担当者を明確にしておきましょう。
電話は「掲載を迫る場」ではなく、担当窓口を確認する場にする
メールに加えて電話を使う場合も、最初から掲載の承諾を取りにいこうとしないほうが進めやすいでしょう。
代表電話に出た方が、比較記事の編集方針や掲載条件を把握しているとは限りません。まずは、どの窓口に相談すべきかを確認します。
例えば、次のような伝え方です。
「お世話になります。[会社名]の[氏名]と申します。御社が運営されている[媒体名]の『[記事名]』について、掲載候補となるサービス情報の提供をご相談したくお電話しました。編集部、または掲載相談の窓口を教えていただくことはできますでしょうか」。
メールを送る前なら、「資料をお送りできる窓口はありますか」と確認できます。すでにメールを送っている場合も、「届いているはずなので見てください」と迫るのではなく、正しい宛先であったかを確認する程度に留めます。
また、「以前からお付き合いがある」「担当者から連絡を求められた」といった事実のない説明で取り次いでもらうのは避けてください。掲載営業は、今後のメディアとの関係をつくる接点でもあります。
相手が掲載依頼を受け付けていないと伝えた場合は、そこで終了します。電話で断られた後に別の部署へ連絡したり、担当者を変えて同じ提案を繰り返したりしない運用にしましょう。
なお、相手が専用フォームを案内している場合は、その窓口を優先します。「電話のほうが早い」という自社都合で、案内されている手続きを飛ばす必要はありません。
「自社ニュースでも紹介します」は、どう提案すればよいのか
ここが、今回の施策の中心です。
相手の比較記事に自社を紹介してもらい、自社のニュースでも相手の記事を紹介する。その提案自体は、双方の読者への告知として組み立てることができます。
例えば、自社の既存顧客や取引先に対して、「こうした比較記事で当社サービスが紹介されています。サービスの違いや選び方も整理されていますので、ご関心のある方はご覧ください」と案内する形です。
相手に伝えるなら、次のような文面が考えられます。
「掲載いただいた際には、弊社のお客様やサイトをご覧の方にも掲載内容をお知らせしたく、ニュース欄で貴記事をご紹介することを考えております。記事名と掲載内容を正確に記載し、元記事を確認できるリンクを設置する予定です」。
ここで大切なのは、「相手の記事を紹介すること」自体に理由があるかどうかです。
自社が実際に載っている。読者が掲載内容を確認できる。どのような比較の中で紹介されたかがわかる。こうした目的があれば、ニュースとしての説明をつくれます。
一方で、掲載される前から「紹介していただきました」と書いたり、実際には存在しない特集名を使ったりすることはできません。また、自社のニュースにアクセスがほとんどないのに、「大きな送客効果があります」と相手に約束するのも避けましょう。
提供できる価値は、実際に提供できる範囲で伝えます。自社サイトでの告知、許可を得たSNSでの紹介、既存顧客向けの案内など、実施するかどうかも含めて、具体的かつ正確に説明してください。
相互紹介と、SEO目的のリンク交換の境界を理解する
掲載後に記事を紹介するケース
例えば、媒体が自社の情報を確認し、編集判断で比較記事に掲載した。その後、自社が掲載事実をニュースで告知し、元記事にリンクした。
このケースでは、両者がリンクしているという外形だけで、直ちに問題だと決めつけることはできません。大切なのは、何のために掲載し、どのような条件でリンクを設けたかです。
実務では、相手の掲載判断、紹介内容、順位、リンク属性を、自社側が交換条件として支配しないことをおすすめします。
相互紹介そのものが取引条件になるケース
一方、「そちらが紹介する代わりに、こちらも紹介する」という約束が掲載条件になっているなら、単に「自主的なニュースです」と呼び替えるだけでは、関係は変わりません。
その場合は、両社の読者にとってどのような価値があるのか、広告・提携・相互紹介としてどう説明するのかを整理します。広告やスポンサーシップ、その他の対価を伴う取り決めで作成されたリンクについて、Googleはsponsored属性の用途を説明しています。金銭の有無だけで判断しないことが重要です。(出典:Google 検索セントラル ブログ「Evolving nofollow」)
双方のリンクを一律に同じ扱いにするのではなく、それぞれのリンクがどのような関係で設置されているかを確認してください。検索評価を渡すことを取引の目的や条件にしない運用にします。
ニュース欄という名前だけで安全になるわけではない
Googleが問題としているのは、ページの名前ではなく行為の実態です。過剰な相互リンクや、リンク・ランキングシグナルの操作を主目的とする価値の低いコンテンツは、スパムポリシーに含まれています。(出典:Google 検索セントラル「スパムに関するポリシー」)
したがって、「ニュース欄に書けば大丈夫」「相互リンクページではなく掲載実績ページにすれば大丈夫」という理解は避けてください。
関連性のない会社を片端から紹介し、どの記事も「掲載されました」の一文だけで、実際の掲載内容や読者への説明がない。それを大量に増やしても、この記事で提案している掲載営業とは別物です。
判断に迷ったときは、「検索評価が一切つかないとしても、この掲載と告知を行う意味はあるか」と考えてみてください。読者への情報提供や、見込み客との接点として意味があるかを確認するための問いです。
自社ニュースは「掲載事実を確認できる記事」にする
掲載が実現したら、自社ニュースでは、何が起きたのかを具体的に伝えます。
必要なのは、媒体名、掲載記事名、掲載されたサービス、紹介された内容、元記事を確認するためのリンクです。文字数を増やすために、自社の宣伝を延々と追加する必要はありません。
以下は、編集記事への掲載を告知する場合の文例です。架空の内容なので、実際の掲載事実に合わせて調整してください。
掲載ニュースの文例
[媒体名]の「[記事名]」に、当社の広告運用支援サービスが掲載されました
[掲載日]、[運営会社名]が運営する[媒体名]の「[記事名]」に、当社の広告運用支援サービスが掲載されました。
同記事では、広告運用の外注先を検討する企業に向けて、各社の対応媒体や支援範囲、料金条件などが紹介されています。当社については、[記事内で実際に紹介されている内容]をご紹介いただきました。
掲載内容および各社の比較情報は、以下の記事からご確認いただけます。
掲載記事:[記事名]
掲載媒体:[媒体名]
掲載記事のURL:[URLを設定]
当社サービスの最新の対応範囲やご相談条件については、[サービスページ名]をご確認ください。
この程度でも、掲載事実は十分に伝えられます。重要なのは、元記事で確認できる内容を正確に書くことです。
「おすすめ企業の一社として掲載された」ことと、「業界で最も優れた企業として認定された」ことは違います。「比較記事に載った」ことと、「第三者による厳格な品質審査を通過した」ことも同じではありません。
記事にない評価を、自社ニュースで上乗せしないでください。
また、広告としての掲載であれば、その事実を隠して独立した編集部の推薦のように見せないことをおすすめします。「[媒体名]に当社サービスのPR記事を掲載しました」など、実態に合う表現を選びます。
相互紹介の企画であれば、必要に応じてその関係も説明します。相手の記事での説明と、自社ニュースでの説明を矛盾させないようにします。
掲載が決まったら、公開前に何を確認するのか
掲載が決まっても、そこで終わりにしないでください。後から認識の違いがわかることを避けるために、確認事項を整理します。
まず、掲載場所です。比較記事の本文なのか、会社一覧ページなのか、個別の企業紹介ページなのか、広告枠なのか。相談した記事とは別のページに載る場合もあるため、実際の掲載先を確認します。
次に、掲載内容です。会社名、サービス名、料金、対象顧客、実績、所在地、対応地域など、事実関係に誤りがないかを確認します。特に料金は、媒体費と運用手数料の混同、税込・税別の違い、初期費用や最低契約期間の抜けがないように注意します。
さらに、リンク先です。トップページにリンクされるのか、サービスページにリンクされるのか。公式サイトへのリンクがあるのか、媒体内の問い合わせフォームに誘導されるのか。この違いは、被リンクの管理にも、成果測定にも関わります。
広告契約の場合は、掲載期間、更新費用、修正対応、解約条件、問い合わせの定義、重複問い合わせの扱いなども確認しましょう。広告の掲載契約と、編集記事で紹介されることを、同じ条件だと思い込まないことが必要です。
なお、事実確認と編集への介入は分けてください。料金の誤りを直してもらうことは必要ですが、「競合より上に載せてください」「弱みは一切書かないでください」といった要求まで、当然の権利だと考えないようにします。
リンクの技術面は、最低限ここを確認する
文字としてのURLと、クリックできるリンクは別
記事内に自社のドメインが文字として書かれていても、クリックできるリンクになっていない場合があります。
まずは、実際にクリックして、意図したページに移動できるかを確認してください。リンク先が間違っていないか、ページが正常に開くか、スマートフォンでも確認できるかを見ます。
HTMLを確認できる担当者がいるなら、href属性を持つ<a>要素として設置されているかも確認できます。Googleは、通常、この形式のリンクをクロールできると説明しています。(出典:Google 検索セントラル「SEO リンクに関するベスト プラクティス」)
例えば、通常のリンクは次のような形です。
<a href="https://example.com/service/">
株式会社サンプルの広告運用支援サービス
</a>
ここで大切なのは、技術的な形式を満たせばSEO効果が保証されるという意味ではないことです。これは、リンクとして機能するかを確認するための基本的なチェックです。
アンカーテキストは、会社名・サービス名を自然に使う
リンクになっている文字列を、アンカーテキストといいます。
「株式会社サンプル」「株式会社サンプルの広告運用支援」「〇〇サービスの公式サイト」など、読者がリンク先を理解できる表現を選びます。Googleも、具体的で簡潔、かつ掲載ページとリンク先の両方に関連するアンカーテキストを推奨しています。(出典:Google 検索セントラル「SEO リンクに関するベスト プラクティス」)
「広告代理店 おすすめ 格安 東京 BtoB 最強」のように、検索語を不自然に並べた文言を指定する必要はありません。また、すべての媒体に同じキーワードのリンクを強要するような進め方も避けましょう。
相手の編集表現を尊重しつつ、会社名やサービス名の誤記があれば直してもらう、という考え方で十分です。
nofollowだから無価値、とは決めつけない
被リンクの話では、「nofollowが付いていたら意味がない」と考える人もいます。しかし、リンクをクリックして訪問する読者にとって、リンク属性は通常の閲覧導線とは別の話です。
Googleは、nofollow、sponsored、ugcを、リンクをどう扱うかのヒントとして説明しています。だからといって、特定のリンクによる順位上昇を期待してよいわけではありません。(出典:Google 検索セントラル ブログ「Evolving nofollow」)
掲載先から自社の見込み客が来ているなら、その価値は別途評価できます。「nofollowなので掲載を断る」と機械的に決めるよりも、読者の適合性や掲載の目的を確認してください。
広告として設置するリンクであれば、例えば次のような形になります。
<a href="https://example.com/service/" rel="sponsored">
株式会社サンプルの広告運用支援サービス
</a>
なお、本文に「広告」「PR」と書くことと、HTMLにリンク属性を設定することは、別の作業です。読者への説明と、検索エンジンへの関係性の通知を混同しないようにしましょう。
掲載数だけでなく、流入・問い合わせ・商談まで測る
掲載営業の進み具合を測る
まずは、営業プロセスとしての数字を整理します。
候補記事を何本見つけたか。そのうち、実際に自社との関連性が高かったものはいくつか。何社に情報提供し、何社から返信があり、何件が掲載検討に進み、何件が公開されたかを記録します。
ここで、「返信が来た」と「掲載が決まった」と「リンク付きで公開された」は分けてください。
例えば、掲載相談を送った相手から広告資料が届いた場合、それは返信ではありますが、無料の編集掲載が決まったわけではありません。会社情報の登録だけが完了した場合も、狙っていた比較記事への掲載と同じ成果にしないようにします。
数字を分けることで、どこに改善点があるかを考えられます。返信が少ないなら対象や窓口を見直す。返信はあるが掲載に進まないなら、自社情報や記事との適合性を見直す。掲載されるがクリックされないなら、掲載位置や紹介内容、読者との関係を確認するという流れです。
公開されたリンクは、管理表と実際のページで確認する
掲載後は、掲載日、掲載URL、リンク先、紹介内容、広告・提携関係、確認したリンク属性などを記録します。
Google Search Consoleのリンクレポートも確認に使えますが、これは全リンクを網羅する一覧ではありません。Googleの説明では、リンクのサンプルが表示され、すでに削除されたリンクが含まれることもあり、nofollowかどうかも示されません。掲載の事実確認を、このレポートだけで済ませないでください。(出典:Search Console ヘルプ「リンクレポート」)
「Search Consoleに出ていないから掲載されていない」「表示されたから検索評価が確実に付いた」とは判断できません。
自社の管理表と公開ページを基本にし、Search Consoleは補助情報として使うと整理しやすくなります。
紹介流入はGA4などで確認する
比較記事から自社に来た人を把握するには、参照元の情報を確認します。媒体側が対応できる場合は、外部から自社へ向かうリンクにUTMパラメータを付け、掲載施策を区別する方法もあります。Google Analyticsは、こうしたパラメータによるキャンペーンデータの収集を案内しています。(出典:アナリティクス ヘルプ「URL 生成ツール」)
例えば、編集掲載からの流入を識別するための設計例は、次のようになります。
https://example.com/service/?utm_source=media-example&utm_medium=referral&utm_campaign=media_coverage
これは命名例であり、広告掲載など異なる関係では、自社の計測ルールに合わせて設計します。
また、サイト側でパラメータ付きURLを制限している場合は、実際の掲載URLが正常に開くかを必ずテストしてください。計測用のURLを渡した結果、読者がエラーページに着地しては本末転倒です。
UTMを付けられない媒体もあります。その場合も、参照元の情報や問い合わせ時のヒアリングを組み合わせ、確認できる範囲で記録します。
最終的には「有効な商談」に近づけて評価する
アクセスが増えても、自社が対応できない相談ばかりなら、掲載内容にずれがあるかもしれません。
そこで、問い合わせ件数だけでなく、自社の対象顧客だったか、予算や依頼内容が合っていたか、商談に進んだか、受注したかまで見ていきます。
問い合わせフォームに任意で「当社を知ったきっかけ」を設ける、商談で比較した媒体を確認する、営業管理の中に掲載媒体の記録欄をつくる、といった方法が考えられます。
ただし、計測できた流入だけで接点のすべてを説明しようとしないでください。記事を読んだ後、後日会社名で検索して問い合わせる人も想定されます。アクセス解析で確認できた事実と、顧客本人から聞いた情報を分けて記録すると、過度な断定を避けられます。
掲載営業は「無料の被リンク」ではなく、工数のかかる施策
掲載料がかからなかったとしても、この施策のコストがゼロになるわけではありません。
候補記事を探す時間、内容を読む時間、運営会社を確認する時間、メールを書く時間、電話する時間、情報を整理する時間、公開後にニュースを作る時間が発生します。
例えば、以下は計算方法を説明するための架空の数字です。
候補調査と連絡に十五時間、資料準備と掲載後の対応に五時間かかったとします。合計二十時間で、社内の時間単価を三千円と置くなら、工数原価は六万円です。
その結果、四媒体に掲載されたなら、掲載一件あたりの工数原価は一万五千円です。ただし、その数字だけでは集客施策としての良し悪しはわかりません。どの媒体からどのような相談が生まれたかまで見て、評価する必要があります。
この例の時間単価、掲載件数、成果は実績値でも業界平均でもありません。自社で施策のコストを把握するための計算例です。
「広告費を払っていないから成功」と判断するのではなく、「この工数を使う価値があったか」を検討してください。相性の良い媒体が見えてきたら、その分野に調査や情報提供を寄せる。成果が出ない型を漫然と続けないことが重要です。
成果が出ないときは、送信数を増やす前に原因を分ける
返信がほとんどない場合
まず、正しい窓口に連絡しているかを確認します。記事の執筆者が外部ライターで、掲載の決定権を持っていないことも想定されます。記事の署名だけを見て連絡するのではなく、運営会社や掲載相談窓口を確認しましょう。
次に、提案理由が具体的かを見直します。「貴社の素晴らしい記事を拝見しました」という挨拶だけで、どの記事の何に合うのかが書かれていなければ、情報提供として判断しにくい文面になります。
さらに、自社サイトで情報を確認できるかも見ます。会社の実態、サービス内容、料金条件がわからない状態では、記事側も確認が進められません。
送信数を増やす前に、対象、窓口、提案内容、確認資料を見直してください。
返信はあるが、有料掲載の案内ばかりの場合
その場合は、調査している媒体の収益モデルが、自社の想定と異なるのかもしれません。
広告枠として販売している媒体に、無料の編集掲載を何度もお願いしても、交渉の前提が合いません。有料広告として検討するのか、別の編集媒体を探すのかを決めます。
広告資料が届いたことを失敗と考える必要はありません。媒体費、読者層、掲載場所、計測方法、契約期間などを確認したうえで、集客施策として合うかを判断します。
ただし、提供される価値がほぼ「検索評価を渡すリンクです」という説明だけなら、この記事で目指している媒体掲載とは切り分けてください。
掲載されたが、問い合わせにつながらない場合
この場合は、まず掲載記事を発注者の目線で読み直します。
会社の違いがわかるか。自社が誰に向いているのか伝わるか。リンク先が適切か。紹介文で期待した内容を、公式サイトで確認できるか。
例えば、比較記事では「少額案件に対応」と紹介されているのに、公式サイトに予算条件が書かれていなければ、読者が不安を感じるかもしれません。記事では「戦略から支援」と紹介されているのに、リンク先が媒体の設定代行だけを説明していれば、期待がつながりません。
掲載を増やす前に、一つの掲載から問い合わせまでの流れを見直すことをおすすめします。
メール・電話営業では、相手のルールを守る
掲載営業も、相手の業務時間や受信環境を使う連絡です。大量送信を前提にするのではなく、適切な窓口に、必要な情報を届ける運用にします。
日本の広告宣伝メールには、特定電子メール法による原則オプトイン、送信者情報などの表示、受信拒否後の送信禁止といったルールがあります。事業者が公表したメールアドレスなどには例外の説明がありますが、拒否表示の有無などの条件を確認する必要があり、「B2Bなら自由に送ってよい」とは扱えません。(出典:迷惑メール相談センター「特定電子メール法」)
掲載相談を募集している専用窓口があれば、まずそこを使います。「営業連絡はお断り」とある窓口に、件名だけを変えて営業メールを送るようなことは避けてください。個別の送信の適法性や運用判断に迷う場合は、法務担当者などに確認しましょう。
実務上は、連絡を断られた相手を管理表に記録し、担当者を変えて再送しない仕組みも必要です。
追客についても、毎日電話したり、返信がないことを理由に複数窓口へ同時に連絡したりしない運用をおすすめします。例えば、相手の案内に反しない範囲で、一度だけ補足情報を送って区切るなど、自社のルールを決めます。
掲載営業は、強引に承諾を取れば成功する仕事ではありません。掲載を断られたとしても、丁寧な情報提供として終えられる状態を目指しましょう。
最初の一か月は、小さく試して運用を整える
最初から「今月は百件の相互リンクを獲得する」といった目標を置く必要はありません。まずは、自社が紹介候補になりやすい記事や、情報提供に必要な準備を把握するところから始めます。
以下は、運用を組み立てるための一例です。掲載件数や返信率を保証するものではありません。
一週目は、自社の情報整理と検索語の設計に使います。 対応サービス、対象顧客、料金条件、公開可能な事例をまとめ、リンク先となるサービスページを確認します。そのうえで、自社が比較候補になれる検索語を複数用意します。
二週目は、候補記事を読み、優先順位を付けます。 最初は二十〜三十本程度を調べ、その中から関連性の高い記事を絞る方法が考えられます。運営会社の重複、掲載窓口、広告と編集記事の違いを確認し、各記事に自社を提案する理由を書きます。
三週目は、少数の相手に個別の提案を送ります。 一斉送信の前に、五〜十件程度の提案を丁寧に作り、どのような確認事項が返ってくるかを見ます。必要に応じて電話で窓口を確認し、返信内容から資料や文面を改善します。
四週目は、対応を進めながら運用を振り返ります。 掲載が実現したものは公開内容を確認し、自社ニュースで正確に告知します。掲載まで進まなかったものも、対象が違ったのか、情報が足りなかったのか、有料枠のみだったのかを整理します。
ここで身につけたいのは、大量送信の技術ではありません。「どの記事に、自社のどの情報を届けると検討してもらえるのか」を学ぶことです。
一件ごとの検討理由がわかるようになれば、担当者を増やす場合も、単にメールの送信作業を引き継ぐのではなく、判断基準ごと引き継げます。
一度掲載されたら、情報を更新できる関係をつくる
掲載が実現した後は、リンクが残っているかだけを見張るのではなく、掲載情報が正確な状態を保てるようにします。
料金を変更した。対応サービスを追加した。最低契約期間が変わった。会社名やサービス名を変更した。掲載先に影響する変更があったときは、根拠となる公式情報と一緒に、必要な修正を相談します。
その際も、「もっと上に載せてほしい」という要求を毎回付けるのではなく、読者の誤認を防ぐための更新情報として連絡します。
記事が削除されたり、掲載方針が変わったりする可能性もあるため、編集掲載を永久に維持される資産だとは考えないでおきます。広告契約であれば契約条件を確認し、編集掲載であれば相手の判断を尊重します。
さらに、継続的に提供できる独自情報があるなら、単なる企業紹介を超えた協力も検討できます。例えば、発注者がよく間違える料金の見方、公開可能な調査結果、サービス選びのチェックポイントなどです。
ただし、監修者として名前を載せてもらうなら、実際に内容を確認する。事例を提供するなら、公開の許可を確認する。肩書きや専門性だけを貸してリンクを増やすのではなく、関わった内容に責任を持ちます。
こうした対応を積み重ねることを、掲載営業の延長として考えてみてください。
やってはいけないのは、リンク本数だけを追いかけること
この施策は、取り組み方を間違えると、「掲載実績の数を増やす作業」になってしまいます。
関係のない媒体でも掲載できればよい。読者がいなくてもリンクがあればよい。紹介文は同じ内容を配ればよい。相互リンクの条件を受け入れればよい。そう考え始めると、発注者にとっての価値が抜け落ちます。
Googleは、不自然なリンクの影響を無効化する取り組みを説明しており、リンクが作られたという事実だけで、その評価が積み上がると考えることはできません。(出典:Google 検索セントラル ブログ「December 2022 link spam update」)
また、掲載後に自社の順位が上がったとしても、その変化を一本のリンクだけの効果だと断定しないでください。Googleのランキングは複数の要素を使い、基本的にはページ単位で判断されるため、サイト全体の指標や一つの施策だけで説明しきれるものではありません。(出典:Google 検索セントラル「Google 検索ランキング システムのご紹介」)
そこで、社内の評価では、リンク数に加えて、掲載先との適合性、紹介内容の正確さ、有効な流入、問い合わせ、商談などを並べて見ます。
「今月は十本リンクを増やしました」だけではなく、「対象顧客に合う三つの比較記事に掲載され、うち一つから具体的な相談がありました」と説明できる状態を目指します。数字は実際に確認したものだけを使い、確認できていない効果は盛りません。
まとめ:被リンクを待つだけでなく、掲載される理由を届けにいく
B2Bの被リンク施策というと、記事を大量に書くことや、何か特別なSEO技術を想像するかもしれません。しかし、今回紹介した方法は、もっと地道なものです。
自社のサービスに関係する言葉で検索する。比較サイトやおすすめ記事を読む。運営会社と窓口を調べる。自社が比較候補として適している理由を整理する。メールや電話で情報提供を申し出る。掲載されたら、その事実を自社のニュースでも正確に伝える。
この一連の作業は、技術的な裏技というより、B2Bの営業と広報を、比較記事への掲載開拓に応用する取り組みです。
相手の記事に自社サイトへのリンクを設けてもらい、自社のニュースからも掲載記事を紹介する形は考えられます。ただし、「リンクを返すからリンクをください」という条件だけを中心にせず、それぞれの記事を読む人に、どのような情報を届けるのかを先に考えます。
広告や相互紹介の取引であれば、その関係を隠さない。掲載していない事実をつくらない。独立した推薦ではないものを、第三者のお墨付きのように見せない。検索評価を渡すリンクを強要しない。そのうえで、掲載内容と紹介流入を丁寧に改善します。
最初の一歩は、小さくて構いません。「広告代理店 おすすめ」のような、自社の発注者が使いそうな言葉で検索し、見つかった記事を数本、実際に読んでみてください。
そこで考えるべきことは、「どこならリンクを張ってもらえるか」だけではありません。
「この比較記事に自社が加わったら、どのような発注者が、何を判断しやすくなるだろうか」。
その問いに具体的に答えられる記事が、掲載営業を始める候補です。
被リンクを待つだけでなく、自社が紹介される理由を、必要な相手に届けにいく。そこから、リンクの獲得だけでは終わらない、比較検討の場への参加を進めていきましょう。