「SEOで上位表示するには、ドメインパワーが必要です」「競合サイトはDRが高いので、勝つのは難しいです」「まずはDAを上げましょう」。
SEOについて調べていると、こうした説明を目にすることがあります。しかし、そもそもDRやDAとは何なのでしょうか。Googleがつけている点数なのでしょうか。30あれば十分なのでしょうか。それとも、80や90を目指さなければ検索上位には表示されないのでしょうか。
最初にお伝えしたいのは、DRやDAは便利な指標ですが、それ自体がGoogleの検索順位を決める点数ではないということです。ここを理解せずに数値だけを追いかけると、サイトの売上や問い合わせが増えないまま、「ドメインパワーを上げるためのSEO」に時間とお金を使ってしまうことがあります。(出典:Ahrefs ヘルプセンター)
この記事では、情報量が多く、指標の計算方法から活用方法まで説明されているAhrefsの英語記事「Domain Rating: What It Is & What It’s Good For」と、長文ガイド「Link Building for SEO: The Beginner’s Guide」を軸に解説します。DAについては開発元のMoz、検索順位やスパム対策についてはGoogleの公式資料を参照しています。英語記事をそのまま全文翻訳するのではなく、複数の一次資料を日本語で要約し、初心者向けの具体例と実務手順を加えて再構成しています。(出典:Ahrefs)
なお、本文中の「仮例」は説明のための架空の数字です。調査データとは区別して記載します。ツールの案内は2026年9月に確認した公式情報に基づきます。
1.ドメインパワーとは?まずは「サイトの強さ」という言葉を分解しよう
ドメインパワーは、ひとつの正式な指標名ではない
ドメインパワーとは、SEOの文脈で使われる「Webサイト全体の強さ」を表す言葉です。ただし、Googleが「このサイトのドメインパワーは62点です」と公表しているわけではありません。
英語圏では「website authority」や、一般的な概念としての「domain authority」という表現が使われます。一方、Mozの製品指標である「Domain Authority」と、一般的な「サイトの権威性」という概念は区別する必要があります。Ahrefsも、この混同に注意を促しています。(出典:Ahrefs)
初心者向けに整理すると、「ドメインパワー」は大まかな概念であり、DRやDAは、その一部を各社が独自の方法で数値化したものだと考えると分かりやすいでしょう。
「ドメインパワーを調べました」と言われたときは、何のツールの、どの指標を見たのか確認してください。AhrefsのDRなのか、MozのDAなのかが分からなければ、数字の意味も比較方法も定まりません。
DRは、Ahrefsが算出する「被リンク構造の強さ」
DRは「Domain Rating」の略です。SEOツールを提供するAhrefsが開発した指標で、Webサイトの被リンクプロフィールの強さを、同社のデータベース内のほかのサイトと比較して示します。スコアは0から100です。(出典:Ahrefs ヘルプセンター)
「被リンクプロフィール」という言葉が難しく感じられるかもしれませんが、要するに「どんなサイトから、どのようにリンクされているか」という全体像です。
例えば、業界メディア、取引先、専門家のブログ、研究資料などから紹介されているサイトと、ほかのサイトからほとんど紹介されていないサイトでは、外部とのリンクのつながり方が異なります。DRは、その違いを把握するための指標です。
ただし、DRを「記事の正確さ」「会社の信用力」「商品やサービスの良さ」の採点表として読むのは間違いです。リンクの面から見た指標と、サイトや事業の総合的な価値は、同じものではありません。
DAは、Mozが算出する「検索結果で競争する力の予測指標」
DAは「Domain Authority」の略です。Mozが開発した、1から100のスコアです。Mozは、リンクに関するデータを使った機械学習モデルによって、競合と比較した検索結果でのランキング可能性を予測する指標だと説明しています。(出典:Moz)
DRが被リンクプロフィールの強さを示す指標であるのに対して、DAは検索結果との関連を学習した予測指標として設計されています。ただし、どちらも外部のSEOツールが算出した数値です。
学校にたとえるなら、Googleが実際に採点している試験の点数ではなく、外部の模擬試験会社が作った参考指標に近いものです。模擬試験の結果は勉強方針を考える材料になりますが、その数字が本番の合否を直接決めるわけではありません。
2.DRを理解する前に、「被リンク」と「参照ドメイン」を知っておこう
被リンクとは、ほかのサイトから自分のサイトに向けられたリンク
被リンクとは、別のWebサイトのページから、自分のWebサイトのページに向けて設置されたリンクのことです。GoogleのSearch Consoleの説明でも、他サイトのページから自サイトのページに向かうリンクとして定義されています。(出典:Google ヘルプ)
例えば、地域の情報サイトが飲食店を紹介し、その記事から飲食店の公式サイトにリンクしているとします。この場合、飲食店の公式サイトは、地域の情報サイトから被リンクを獲得しています。
また、専門家が記事の中で、ある企業の調査結果を紹介し、調査の掲載ページにリンクすることも被リンクです。
ここで大切なのは、リンクの本数だけでなく、「誰が、どのページで、何のために紹介しているのか」を見ることです。数字だけを見るよりも、実際の紹介文を読むほうが、リンクの意味を理解できる場合があります。
被リンク数と参照ドメイン数は違う
被リンク数は、リンクの数です。一方、参照ドメイン数は、リンク元となっている異なるドメインの数です。Mozの説明でも、同じWebサイトから複数のリンクがあっても、リンク元のルートドメインとしてはひとつと数えるとされています。(出典:Moz)
説明のための仮例を考えてみましょう。
あるサイトAの100ページから紹介されている場合、リンクが100本あっても、リンク元のサイトはAだけです。一方、異なる20サイトから1本ずつ紹介されている場合、リンク数は20本でも、紹介しているサイトは20あります。
つまり、「被リンクが100本ある」という情報だけでは、100の異なるサイトから紹介されているのか、ひとつのサイトから繰り返し紹介されているのかが分かりません。
DRを見るときに参照ドメイン数が重要になるのは、この違いがあるからです。ただし、「異なるサイトからのリンクなら、どんなリンクでも同じ価値がある」という意味ではありません。
3.GoogleはDRやDAを見て検索順位を決めているのか?
Googleの内部データと、SEOツールの推定値は別物
Googleは、サードパーティーのSEOツールに関する公式ガイドで、次のように説明しています。
“Third-party tools don't have access to our internal ranking data.”
日本語では、「第三者のツールは、Googleの内部のランキングデータにはアクセスできない」という意味です。Googleは、外部ツールの予測がGoogle自身のデータであるかのように受け取られないよう、注意を促しています。(出典:Google for Developers)
この説明から分かるのは、DRやDAを確認しても、Googleが内部で使っている評価をそのまま読み取れるわけではないということです。
「DRが40だからGoogleから40点をもらっている」「DAが70だからGoogleの信頼度が70%ある」という理解はしないでください。どちらも、外部ツールが独自のデータと計算方法で作った数字です。
ただし、Googleがリンクを使っていないわけではない
ここで反対方向に誤解して、「DRやDAがGoogleの指標ではないなら、被リンクも関係ない」と考えるのも正しくありません。
Googleは、リンク分析システムとPageRankをランキングシステムの一部として説明しています。また、ランキングの仕組みはページ単位を中心に動く一方、サイト全体に関するシグナルも利用するとしています。(出典:Google for Developers)
整理すると、Googleがリンクなどを評価に利用することと、GoogleがAhrefsのDRやMozのDAを利用することは、別の話です。
外部からの適切な紹介や参照が重要であっても、その結果を表す第三者のスコアを上げることが、そのまま検索順位の上昇につながるとは限りません。
実際の調査では、DRと検索順位にどの程度の関係があるのか
Ahrefsが2025年1月に公開した調査では、米国の検索ボリュームが大きい100万キーワードについて、上位20件の検索結果と各指標の関係を分析しています。同調査で報告された相関係数は、DRが0.131、参照ドメイン数が0.255でした。著者自身も、相関は因果関係を意味せず、これらは弱い、または非常に弱い相関だと注意しています。(出典:Ahrefs)
この数字を「DRが高ければ13.1%の確率で上位表示できる」と読んではいけません。相関係数は、上位表示の確率を表す数字ではありません。
ここから実務上読み取れるのは、DRだけで順位を予測するのは難しいということです。また、米国の特定のキーワード群を対象にした調査結果を、そのまま日本の地域ビジネスや、個別の検索語句に当てはめることもできません。
「一定の関連が見られる参考指標」と、「その数字を操作すれば順位が変わる原因」を区別しておくことが大切です。
4.DRはどうやって計算される?初心者が理解したい仕組み
基本は、リンク元の数・強さ・リンク先の広がり
Ahrefsが説明するDRの主な計算要素は、リンク元となるドメイン、そのドメインのDR、そしてリンク元がほかにどれだけ多くのドメインへリンクしているかです。正確な計算式のすべてが公開されているわけではありませんが、この3つが仕組みを理解する手がかりになります。(出典:Ahrefs)
重要なのは、「リンクを1本獲得したら、一律でDRが1上がる」といった仕組みではないことです。
同じ1本のリンクでも、どのサイトから紹介されたのか、そのサイトがどのようなリンク構造を持っているのかによって、DRへの影響は異なります。
例えば、紹介元のサイトが非常に多くの別サイトへリンクしている場合と、限られたサイトへリンクしている場合では、DRの計算上、同じようには扱われません。だからといって、外部リンクの多い有名メディアからの紹介が事業上無価値になるわけではありません。DRへの影響と、紹介によって得られる認知や訪問者は分けて考えるべきです。
同じサイトからリンクを増やしても、DRが比例して上がるわけではない
Ahrefsは、DRの計算において、少なくとも1本のfollowedリンクを持つ異なる参照ドメインを考慮し、同じドメインからの追加リンクはDRをさらに増やす要素にはならないと説明しています。(出典:Ahrefs)
そのため、「同じブログサービス内の同じサイトに、自社サイトへのリンクを100本増やす」といった行動を、単純なDR増加策として考えるのは適切ではありません。
ただし、同じサイトから2本目のリンクを獲得しても、すべての意味がなくなるわけではありません。例えば、以前は会社紹介ページへのリンクだったものが、今回は自社の調査ページへの紹介になるなら、読者に提供する情報も、アクセス先も変わります。
DRに追加反映されないことと、読者にとって意味がないことを混同しないでください。
DRは「対数スケール」。同じ10ポイントでも難しさが違う
DRは対数スケールで表されます。Ahrefsは、スコアが高くなるほど、さらに数ポイント上げることが難しくなると説明しています。(出典:Ahrefs)
初心者向けに言い換えるなら、DRの数字は等間隔の階段ではありません。
例えば、DR10から20への変化と、DR70から80への変化は、どちらも見た目は10ポイントですが、同じ量の取り組みで実現できるとは考えないほうがよいでしょう。
同様に、DR40のサイトを「DR20のサイトのちょうど2倍強い」と読むこともできません。数字の比率を、そのまま検索順位や売上の比率に置き換えることはできないのです。
この性質があるため、「毎月DRを5ずつ上げる」「半年で必ず30ポイント上げる」といった目標は、根拠を確認する必要があります。
nofollowリンクは、DRの計算ではどう扱われるのか
リンクには、通常のリンクのほかに、nofollow、sponsored、ugcといった属性が付く場合があります。Googleは、広告などの有料掲載にはsponsored、ユーザー投稿にはugcなどを使い、リンクの性質を示すよう案内しています。(出典:Google for Developers)
Ahrefsは、DRの計算ではfollowedリンクを対象とし、nofollow・ugc・sponsored属性のリンクはDRを改善しないと説明しています。したがって、外部サイトに掲載されたという事実だけで、DRが上がるとは判断できません。(出典:Ahrefs)
ただし、ここでも「DRに反映されない」と「SEOや集客で一切意味がない」は別です。
Googleは、これらのリンク属性を検索で考慮するためのヒントとして扱うと説明しています。Ahrefsの指標上の扱いを、そのままGoogleの評価ルールに置き換えないようにしましょう。(出典:Google for Developers)
また、仮に検索順位への直接的な効果を確認できなくても、そこから見込み客が訪問して問い合わせにつながるなら、その掲載には事業上の意味があります。
5.DRとDAは何が違う?数字をそのまま比較してはいけない
同じ100点満点のように見えても、ものさしが違う
DRとDAは、どちらも上限が100であるため、同じものに見えやすい指標です。しかし、開発元も計算方法も異なります。DRはAhrefs、DAはMozが算出しています。(出典:Ahrefs)
例えば、あるサイトのDRが45で、DAが28だったとしても、それだけでどちらかのツールが間違っているとは言えません。
異なるものさしで測っているため、違う数字が出ること自体は不思議ではないからです。
同じ理由で、「競合のDRは50、自社のDAは40だから、10ポイント負けている」という比較もできません。比較するときは、DR同士、DA同士にそろえましょう。
DRとDAを足して2で割り、「平均ドメインパワー」を作ることもおすすめしません。計算方法の違う指標を平均しても、何を表す数字なのかが曖昧になってしまいます。
DAは、機械学習による予測モデルとして設計されている
Mozは、DAをリンクデータ中心の機械学習モデルで算出すると説明しています。また、2019年の「Domain Authority 2.0」の公式資料では、Spam Scoreやリンクの品質パターンなどをモデルに組み込むと説明していました。これは当時のモデル改良に関する説明であり、現在の個々の要素の重みがすべて公開されているという意味ではありません。(出典:Moz)
初心者が覚えておきたいのは、DRとDAを細かく換算しようとすることよりも、「それぞれのツールが、別の方法でサイトを比較している」と理解することです。
実務では、普段使う指標をひとつ決めて継続的に見るほうが、毎回ツールを変えて違う数字に一喜一憂するより、変化を把握しやすくなります。
URやPAとの違いも知っておこう
DRやDAがサイト全体を見る指標であるのに対し、ページ単位を見る指標もあります。AhrefsのURは「URL Rating」で、個別ページのリンクプロフィールの強さを示します。URには内部リンクと外部リンクが関係します。(出典:Ahrefs)
MozのPAは「Page Authority」で、個別ページのランキング可能性を予測する指標です。(出典:Moz)
この違いは、競合分析で重要です。競合サイト全体のDRが高くても、実際に競争するページがどのような内容で、どこから紹介されているかは別途確認する必要があります。
会社全体の知名度と、ひとつの商品説明書の分かりやすさが別問題であるように、サイト全体の指標と、個別ページの競争力も分けて見ましょう。
6.DR・DAの目安は?「何点なら合格」と考えないほうがよい理由
DR30が良いかどうかは、競合によって変わる
Ahrefsは、DRに普遍的な合格点はなく、競合や業界、狙う検索キーワードとの比較が重要だと説明しています。Mozも、DAを学校の試験のような採点表として見ず、直接の競合と比較するよう案内しています。(出典:Ahrefs)
つまり、「DR30以上ならSEOに強い」「DA50未満は弱い」といった一律の基準は、実務ではあまり役立ちません。
初心者には、次のような比較の仕方をおすすめします。以下はすべて説明のための仮例であり、実際の業界平均ではありません。
仮例①:競合のDRが8・12・16・22・34の場合
この5サイトと競争していて、自社のDRが18だったとします。競合の中央値は16なので、自社のDRはその比較対象の中で極端に低いわけではありません。
この状況で、「DRが50になるまで記事を公開しない」「被リンク施策だけに予算を使う」という判断は、少なくとも数字から自動的には導けません。
むしろ、競合記事の内容、ユーザーの疑問への回答、サービスの説明、事例、問い合わせまでの分かりやすさを比較したほうが、次に改善すべきことを見つけられるかもしれません。
DRの比較は、「外部リンク面で大きな差がありそうか」を考える材料です。施策のすべてを決める判定機ではありません。
仮例②:自社のDRが40、競合が70〜90の場合
今度は、自社のDRが40で、競合サイトの多くが70〜90だったとします。
この場合は、外部からの参照の蓄積に差がある可能性を考えます。ただし、「だから絶対に勝てない」と断定するのではなく、どこで競争するかを見直す材料にします。
例えば、非常に広いテーマで総合メディアと競争するのではなく、自社の実務経験が生きる課題、特定の業種、地域、用途などに絞って調べる方法があります。
そのうえで、狙う検索語句ごとに、実際の上位ページを確認します。サイト全体のDRの高さだけで、すべてのテーマの競争が同じように決まると考えないことが大切です。
仮例③:DA20でも、比較対象によって意味は変わる
DAでも考え方は同じです。
自社のDAが20で、比較している競合が12・18・23であれば、少なくともその範囲では大きく離されている数字ではありません。一方、競合が60・70・80なら、リンクを中心とする指標上の差は大きくなります。
このように、数字だけを見て「20は低い」と決めるのではなく、何と比べているかをセットで考えてください。
目安とは、全サイト共通の点数表ではなく、自社が競争する市場の中での位置です。
参考になる実測データ:SaaS企業600社の例
Ahrefsが2026年6月に公開した記事では、同社が抽出したSaaS企業600社について、DRの中央値が62、下位25%の境界が38、上位25%の境界が77と報告しています。(出典:Ahrefs)
ただし、これはその記事が対象とした企業群の結果です。日本の全SaaS企業、すべての中小企業、地域の店舗などを代表する平均値ではありません。
このデータから学ぶべきなのは、「DR62を目指そう」という結論ではなく、比較対象を決めれば、自社に合う目安を作れるという方法です。
最初は同じ顧客を取り合う3〜5社から始めても構いません。比較対象が増えたら、中央値や分布も見ていきましょう。
7.DR・DAの調べ方。無料で確認するところから始めよう
DRを調べる:AhrefsのWebsite Authority Checker
DRを手軽に確認するには、Ahrefsの「Website Authority Checker」を利用できます。公式ページにドメインを入力して確認する無料ツールです。(出典:Ahrefs)
まず、自社のドメインを確認します。例えば、サイトのURLがhttps://example.com/service/であれば、サイト全体を確認する入口としてexample.comを使います。
次に、自社と比較したい競合サイトも確認します。自社だけを見て終わらず、同じ時点で競合の数字も記録しておくと、比較に使えます。
ここでのおすすめは、数字と一緒に調査日も残すことです。「DRが以前より下がった気がする」という印象ではなく、いつ、どのツールで、どの対象を確認したかを残しておきましょう。
自社の被リンクを詳しく見る:Ahrefs Free
Ahrefsは「Ahrefs Free」という無料アカウントを提供しており、所有権を確認したサイトについて、Site ExplorerやSite Auditなどの機能を制限付きで利用できます。公式案内では、以前のAhrefs Webmaster Toolsと同じ無料アカウントを拡張・改称したものと説明されています。(出典:Ahrefs)
DRだけではなく、どのサイトやページからリンクされているか、どのページにリンクが集まっているかも確認すると、数値の背景を理解しやすくなります。
例えば、会社のトップページに紹介が集中しているのか、特定の調査記事が引用されているのかでは、次に考える施策が異なります。
無料だからといって、競合分析を含むすべての機能が無制限に使えるわけではありません。利用できる範囲は、その時点の公式案内を確認してください。
DAを調べる:MozのLink Explorer
DAは、Mozの「Link Explorer」などで確認できます。Link Explorerでは、ルートドメイン、サブドメイン、個別ページといった分析範囲を選べます。概要画面では、DA、リンク元ドメイン、被リンクなどを確認できます。(出典:Moz)
Mozは、無料アカウントで利用できるツールや、DAを確認するための無料チェッカーも案内しています。(出典:Moz)
比較するときは、対象範囲をそろえることを意識してください。自社はサイト全体、競合は特定のページだけという状態で、表示された数値をまとめて比較すると誤解につながります。
なお、検索で見つかる「ドメインパワー無料チェック」が、すべてMozのDAやAhrefsのDRを使っているとは限りません。ツールの説明を読み、どのデータを表示しているのか確認しましょう。
Google Search Consoleでは、リンクと検索成果を確認する
Google Search Consoleは、DRやDAを調べるためではなく、Google側の検索データや、Googleが把握したリンクを確認するために使います。
「リンク」レポートでは、リンク元のサイトや、よくリンクされているページなどを確認できます。ただし、すべてのリンクを網羅する一覧ではなく、サンプルであること、nofollowの有無を表示しないこと、過去に確認したリンクが残る場合があることに注意してください。(出典:Google ヘルプ)
また、「検索パフォーマンス」では、クリック数、表示回数、クリック率、平均掲載順位を確認できます。ページ別や検索キーワード別にも見ることができます。(出典:Google ヘルプ)
DRやDAを見てサイトの外部参照の状況を考え、Search Consoleで実際の検索成果を確認する。このように役割を分けると、指標を使いやすくなります。
8.DR・DAを上げる前に、何を達成したいかを決める
「DRを上げたい」という相談を具体的な施策に変えるときは、その前に目的を確認したほうがよいでしょう。
検索から商品を購入してほしいのか。法人から問い合わせがほしいのか。資料をダウンロードしてほしいのか。採用応募を増やしたいのか。目的によって、強化すべきページも、必要な情報も変わります。
例えば、営業支援サービスの問い合わせを増やしたい企業が、サービスと無関係な雑学記事でリンクを集めたとします。数字としてのDRに変化があっても、その記事を読む人がサービスの見込み客でなければ、問い合わせまでの道筋は別途考えなければなりません。
一方で、営業担当者が使うヒアリングシートや、商談の課題を整理した調査資料であれば、読者とサービスの対象者を近づける設計ができます。
これは、「役立つ資料を作れば必ず成果が出る」という意味ではありません。少なくとも、記事の読者、紹介してくれる人、最終的な顧客がどのようにつながるのかを考えてから作る、ということです。
Ahrefs自身も、スコアを上げることを最終目的にせず、順位を上げたいページや、そのページへの有用なリンクに注目するよう勧めています。(出典:Ahrefs)
先に事業の目的を決め、そのためにDRやDAを参考にする。順番を逆にしないことが重要です。
9.DR・DAの上げ方①:他人が紹介したくなる「理由」を作る
自社にしかない調査や実務データを公開する
被リンクを獲得する方法を考えるとき、「リンクを貼ってもらう場所探し」だけに意識が向きがちです。しかし、先に考えたいのは「相手が紹介する理由」です。
Ahrefsは、リンクを集めるためのコンテンツ例として、調査、統計、ツール、テンプレートなどを紹介しています。Googleも、有用なコンテンツを評価する観点として、独自の情報、調査、分析、追加の価値を挙げています。(出典:Ahrefs)
例えば、採用支援会社なら「求人票で応募者からよく質問される項目」を、自社の対応記録に基づいて整理する方法が考えられます。Web制作会社なら、「問い合わせフォームで入力を迷わせる設計」を実例とともに分類する方法もあるでしょう。
ここで大切なのは、立派に見える数字を作ることではありません。
実際に調べた対象、調査期間、件数、分類方法を説明することです。30件しか調べていないなら、30件と書きます。特定の業界だけを対象にしているなら、その範囲を明示します。
「業界全体でこうなっています」と大きく見せるより、「この条件で調べた範囲では、この傾向が見られました」と説明したほうが、第三者が適切に引用できる資料になります。
無料ツールやテンプレートを作る
説明記事だけでなく、読者がそのまま使えるものを用意する方法もあります。Ahrefsも、実用的なツール、計算機、チェックリストなどを、リンクを集めるコンテンツの例として挙げています。(出典:Ahrefs)
例えば、次のような企画が考えられます。
営業支援なら、商談準備シートや案件の優先順位を整理するテンプレート。人事支援なら、面接評価シートや採用活動の振り返りシート。広告支援なら、広告費・粗利・成約率の関係を整理する計算シート。制作会社なら、公開前チェックリストや要件整理シートです。
これは企画例であり、公開すれば必ずリンクがつくという保証ではありません。
企画するときは、「便利そう」で止めず、誰が、どの作業で、何を短縮できるのかを明確にするとよいでしょう。使い方、記入例、前提条件、更新日も一緒に用意すると、紹介する側が内容を判断しやすくなります。
また、利用前に過度な入力や登録を要求する設計にするのか、すぐ使えるようにするのかは、リード獲得との兼ね合いを考えて決めます。問い合わせを得る目的と、広く参照される資料にする目的は、必ずしも同じ設計ではありません。
売り込みの記事と、参照される資料を分けて考える
サービス紹介ページには、価格、対応範囲、実績、進め方など、購入判断に必要な情報が求められます。一方、第三者が引用する資料には、調査結果、用語の定義、検証方法、具体的な手順などが求められることがあります。
そこで、コンテンツの役割を分けて設計する方法を提案します。
サービスを検討する人のためのページと、業界の人が参照するためのページを用意する。そのうえで、読者にとって自然な場面で両者をつなぎます。
例えば、調査記事の内容に関連して「この課題への対応方法はこちらで説明しています」と案内する形です。調査を読みたいだけの人に対して、途中から強い営業文を繰り返す必要はありません。
「売るための説明」と「紹介する価値のある情報」の両方を用意し、それぞれの役割を混ぜすぎないことが大切です。
10.DR・DAの上げ方②:適切な相手に知ってもらう
関係のある業界メディアや運営者に情報提供する
記事や資料を公開しても、存在を知られていなければ紹介してもらう機会は作れません。Ahrefsのリンク構築ガイドでも、関連するサイトへの情報提供や、事前の関係構築が説明されています。(出典:Ahrefs)
ただし、「DRが高いサイトを集めて、全員に同じ依頼文を送る」という考え方はおすすめしません。
まず、相手がどのような読者に向けて、どのような記事を作っているのかを確認します。そして、自社の資料が、その読者の理解をどう助けるかを考えます。
例えば、次のような文面です。
先日公開された「商談前のヒアリング項目」の記事を拝見しました。記事内で扱われている初回訪問での確認事項について、当社で調査した資料を公開しました。調査対象と集計方法も記載しています。今後の記事更新や関連テーマのご取材の際に、参考資料としてお役立ていただければ幸いです。
これは本記事の文面例です。重要なのは、相手の編集判断を尊重することです。紹介してもらうことやリンクを設置することを、当然の義務のように求めないようにしましょう。
競合がどこから紹介されているかを調べる
競合の被リンクを見ると、どのような場面で情報が紹介されているかを調べられます。
Ahrefsの「Link Intersect」は、競合にはリンクしているが、自社にはリンクしていないドメインやページを探すための機能です。(出典:Ahrefs ヘルプセンター)
例えば、競合が紹介されているページを確認した結果、業界団体の会員紹介、イベントの登壇者紹介、実務資料の参考リンク集などが見つかるかもしれません。
このとき、すべてを「自社もリンクを置く場所」として扱わないことが重要です。
業界団体への加盟実態がなければ、会員紹介には載れません。イベントに参加していなければ、登壇者紹介にも載れません。まず掲載の背景を読み、自社にとっても自然な活動なのかを判断します。
競合のリンクを分析する目的は、形式をまねることではなく、どのような活動や情報提供が、外部からの紹介につながっているかを理解することです。
実態のある会社紹介や公式プロフィールを整える
公式SNS、業界の事業者情報、取引関係に基づく紹介ページなど、自社の存在を正確に案内する場所を整備することも考えられます。
Ahrefsは、こうしたプロフィールや登録情報のリンクを基礎的なものとして紹介する一方、誰でも設置できるリンクだけでは競争上の優位性を作りにくく、無差別な登録に走らないよう説明しています。(出典:Ahrefs)
この種の整備は、「DRを急上昇させる裏技」としてではなく、会社を探している人が正しい情報へたどり着くための作業として進めるとよいでしょう。
会社名、サービス名、紹介内容、リンク先が現在の情報に合っているかを確認する。使っていないサービスの宣伝を残さない。古いURLを案内していないか確かめる。こうした基本的な管理から始めてください。
自社が紹介されているのに、リンクがないページを確認する
社名、サービス名、調査結果などが紹介されているものの、公式サイトへのリンクがない場合があります。Ahrefsは、これを「unlinked mentions」と呼び、適切な場合にリンク追加を依頼する方法を解説しています。(出典:Ahrefs)
例えば、自社の調査結果が紹介されているなら、「読者が調査条件も確認できるよう、元資料へのリンクをご検討いただけますか」と相談する方法があります。
ただし、社名が書かれているだけで、必ずリンクを追加すべきだと考える必要はありません。文章の目的や媒体の編集方針もあります。
リンクがあることで、読者が出典確認や詳細確認をしやすくなるか。そこを基準に判断してください。
11.DR・DAの上げ方③:すでに得ている紹介を失わない
古いURLへのリンクが、そのままになっていないか確認する
新しい被リンクを増やすことばかりに目が向きますが、すでに外部から紹介されているページが正常に開くかを確認することも重要です。
Ahrefsのリンク回復に関するガイドでは、リンクの削除、ページの削除、リダイレクトなど、リンクが失われたと報告される背景を分類しています。また、ツール上の「失われたリンク」が、必ずしも実際のリンク消失を意味しないケースも説明しています。(出典:Ahrefs)
例えば、他社の記事から自社の古いサービスページにリンクされているのに、サイト改修によってそのURLが404になっていたとします。
この場合、新しく別のメディアへの掲載を目指す前に、既存の紹介から訪れた人が、適切な情報にたどり着けるようにするべきではないでしょうか。
URLを変更したなら、内容に対応する移転先へ案内する
Googleは、URLを変更するサイト移転で、旧URLと新URLの対応付けやリダイレクトを案内しています。また、多くの旧URLを無関係なひとつのページへ転送することは避けるよう説明しています。(出典:Google for Developers)
例えば、ある調査記事のURLを変更したなら、旧URLから同じ調査記事の新URLへ恒久的なリダイレクトを設定します。
ここでやってはいけないのは、「リンクの評価を集めたいから」という理由だけで、関係のないページをすべてトップページへ転送することです。
読者が調査結果を見ようとしてクリックしたのに、突然会社のトップページに移動してしまえば、求めていた情報にたどり着けません。
なお、対応する代替ページがない削除済みURLについては、404などが適切な場合があります。すべての404をなくすこと自体が目的ではありません。(出典:Google ヘルプ)
リンク先だけでなく、リンク元も確認する
リンクが失われたと表示されたら、リンク元のページを実際に確認しましょう。
リンクが本当に削除されたのか。記事が移転しているのか。紹介内容が更新され、別の資料に差し替えられたのか。原因によって対応は変わります。(出典:Ahrefs)
例えば、記事が更新されて別の資料が採用されていたなら、「以前リンクしていたので戻してください」と求める前に、自社の資料が古くなっていないかを確認するべきです。
一方、単純なURLの誤りであれば、正しいリンク先を案内するだけで解決する場合も考えられます。
数字の増減だけを見るのではなく、Web上で何が起きたのかを確認する。この姿勢が、被リンク管理では重要になります。
12.内部リンクやテクニカルSEOは、DRを直接上げる施策なのか?
内部リンクは、サイト全体のDRと分けて考える
内部リンクとは、自分のサイト内のページ同士をつなぐリンクです。Googleは、重要なページには少なくともサイト内の別ページからリンクを設け、読者と検索エンジンが内容を理解・発見しやすくするよう案内しています。(出典:Google for Developers)
例えば、自社の調査記事から、その課題の解決方法を説明するページへ案内する。事例記事から、関連するサービスの詳細へ案内する。こうした内部リンクは、読者の理解をつなぐために設計できます。
ただし、内部リンクを10本追加したから、サイト全体のDRが10ポイント上がるという仕組みではありません。DRはドメイン間のリンクを基に計算される指標だからです。(出典:Ahrefs)
ここでも、「DRを上げる施策」と「サイトの検索成果や使いやすさを改善する施策」は、完全には一致しないことを覚えておきましょう。
リンクの文字は、移動先が分かるようにする
「こちら」「詳しく見る」だけのリンクでは、移動先の内容が分かりにくいことがあります。
Googleは、リンクの文字であるアンカーテキストについて、説明的で、適度に簡潔で、リンク元とリンク先の内容に関連していることを勧めています。また、不自然なキーワードの詰め込みを避けるよう案内しています。(出典:Google for Developers)
例えば、本記事の提案としては、「こちら」だけにするより、「採用活動の振り返りシートを見る」としたほうが、読者は次のページで何が得られるか判断できます。
一方で、「採用代行 おすすめ 格安 東京 比較」といった語句を無理に並べる必要はありません。自然な文章の中で、必要なページへ案内してください。
インデックスされない問題は、DRだけでは解決できない
重要なページが検索に出てこないとき、「ドメインパワーが低いから」と考える前に、ページの状態を確認しましょう。
GoogleのSearch Consoleでは、ページのインデックス状況を確認できます。Googleは、すべてのURLがインデックスされる必要はない一方、重要なページの状態を確認すること、個別ページの調査にはURL検査を使うことを案内しています。(出典:Google ヘルプ)
例えば、公開したはずのページに誤ってnoindexが付いているなら、DRの増加を待つ前に設定を確認する必要があります。重要なページへのリンクがなく、発見されにくい状態なら、サイト構造を確認します。
原因が違えば、必要な施策も違います。「順位が低い」「検索に出ない」という問題を、すべてドメインパワーにまとめないことが重要です。
13.やってはいけない上げ方。数字だけを作る施策に注意
「DRを上げる」と「検索に役立つリンクを得る」は同じではない
Ahrefsは、DRがリンクベースの指標であり、被リンクスパムをそのまま品質評価として織り込むものではないと説明しています。低品質なリンクによってDRが増える場合もあるため、DRだけをサイトの正当性や品質の判定に使うべきではありません。(出典:Ahrefs)
この性質を踏まえると、「DRが上がった」という報告だけで施策を評価するのは危険です。
どのページから紹介されたのか。紹介元にはどのような内容があるのか。自社との関連性はあるのか。読者が自然にクリックする理由はあるのか。
外注する場合でも、こうした内容を確認できる状態にしておきましょう。「数値だけ報告され、何をしたのか分からない」という状態は避けたいところです。
順位操作を目的としたリンク購入や大量生成は避ける
Googleは、検索順位を操作するためのリンク売買、過剰な相互リンク、自動化されたリンク作成、低品質な登録サイトのリンクなどを、リンクスパムの例として挙げています。(出典:Google for Developers)
したがって、「DRの高いサイトから大量にリンクを販売します」という提案に対しては、数字の高さだけで判断しないでください。
なお、広告掲載やスポンサー活動そのものが、すべて禁止されているわけではありません。Googleは、有料のリンクを適切な属性で明示することを案内しています。広告としての掲載と、検索評価を渡すことを目的にしたリンク購入を区別する必要があります。(出典:Google for Developers)
掲載費用を払うなら、「DRが何ポイント上がるか」ではなく、想定する読者に届くか、認知や問い合わせにつながる設計になっているかを考えるほうが、広告としての判断は明確になります。
中古ドメインは、DRの数字だけで選ばない
過去に使われていたドメインにDRが付いていても、それだけで新しい事業の成功を保証するものではありません。
特にGoogleは、期限切れドメインを取得し、主として検索順位を操作するために、利用者への価値が乏しい内容へ転用する行為を「expired domain abuse」として説明しています。(出典:Google for Developers)
ドメインを取得する目的が、ブランド、事業の継承、分かりやすい名称などである場合と、過去のリンクの数字だけを利用しようとする場合では、考え方が異なります。
初心者が「高DRの中古ドメインを買えば、記事を書かなくても勝てる」と理解するのは避けるべきです。
DRが低いサイトからのリンクを、機械的に否認しない
Ahrefsは、DRが低いことは、スパムサイトであることを意味しないと明確に説明しています。新しく作られた正当なサイトでも、リンクの蓄積が少なければDRは低くなり得ます。(出典:Ahrefs ヘルプセンター)
したがって、「DR10未満のリンクはすべて危険」「DR0のサイトからリンクされたので削除する」という一律の対応は適切ではありません。
Googleも、リンク否認ツールは多くのサイトには不要で、誤って利用すると検索パフォーマンスを損なう可能性があると注意しています。大量の不自然なリンクがあり、それによって手動による対策を受けた、または受ける可能性が高い場合などを条件として挙げています。(出典:Google ヘルプ)
不安をあおるスコアだけで操作を始めず、リンクの実態とGoogleの公式条件を確認してください。
14.DRが下がった、上がらない。そんなときは何を確認する?
自分のサイトが何もしていなくても、DRは変わり得る
Ahrefsは、DRが下がる理由として、良質なfollowedリンクの消失、nofollowへの変更、リンク元サイトのDR低下、ほかのサイトのリンク獲得による相対的な変化などを挙げています。(出典:Ahrefs ヘルプセンター)
つまり、DRが下がったからといって、必ず自社サイトに問題が起きたとは限りません。
DRは相対的な指標です。自社の状況だけでなく、周囲のサイトやリンクの状態にも影響されます。
まずは「何ポイント下がったか」と「実際の検索成果に変化があったか」を分けて確認しましょう。
DRが下がっても、検索流入が増えている場合
説明のための仮例として、DRが28から26へ下がった一方、検索からの問い合わせが増えていたとします。
この場合、DRの2ポイント低下だけを理由に、「施策が失敗した」と判断する必要はありません。事業の目的が問い合わせ獲得なら、問い合わせがどのページや検索語句から増えたのかを先に分析するべきです。
もちろん、リンクの消失がないか確認することには意味があります。しかし、成果が出ている施策を、補助指標の変化だけで止めるのは早計です。
DRが上がっても、検索流入が増えていない場合
反対に、DRが20から35へ上がっても、検索からの問い合わせが変わらない場合を考えてみましょう。これも仮例です。
この場合は、どこにリンクが増えたのか、重要なページの情報が十分か、狙う検索語句とページ内容が合っているかを確認します。
例えば、会社のトップページが紹介される機会は増えていても、見込み客が必要としている料金や対応範囲の説明が不足していれば、サービス検討の問題は別に残っています。
「数値は改善したのだから、あとは待てばよい」と決めつけず、実際のユーザー行動につながる部分を見直しましょう。
リンクを獲得したのに、ツールに反映されない場合
Ahrefsは独自のクローラーでWebを巡回しており、ページによって巡回の優先度や更新頻度が異なると説明しています。まだ巡回していないページのリンクは、データに反映されていない可能性があります。(出典:Ahrefs ヘルプセンター)
したがって、昨日掲載されたリンクが今日の数値に出ていないからといって、すぐに異常だと判断する必要はありません。
リンクが実際に存在するか、リンク先が正しいか、リンク属性はどうなっているかを確認したうえで、計測側の更新も待ちます。
Googleによる認識と、AhrefsやMozのデータ更新は、同じ処理ではありません。それぞれの観測を同一視しないようにしましょう。
15.DR・DAだけでなく、一緒に見たい成果指標
検索から、必要な人に見つけてもらえているか
最初に確認したいのは、検索結果での表示とクリックです。
Search Consoleでは、表示回数、クリック数、クリック率、平均掲載順位を、検索語句やページなどの単位で確認できます。(出典:Google ヘルプ)
ただし、サイト全体の合計だけを見るより、「事業につながるページ」「顧客が使う検索語句」を分けて確認することを提案します。
例えば、会社名の検索が増えたのか、サービスの課題を調べる検索からの流入が増えたのかでは、成果の意味が異なります。どちらが重要かは、施策の目的に合わせて判断してください。
ツールの推定アクセス数と、実測データを混ぜない
Ahrefsなどに表示される検索トラフィックは、推定値です。Ahrefsは、把握している検索キーワード、検索ボリューム、掲載順位、推定クリック率などから算出しており、実際のアクセス数と一致するものではないと説明しています。(出典:Ahrefs)
競合の規模感を比較するには便利でも、「競合は月間10万人が訪問している」と実測値のように断定しないことが大切です。
自社については、Search Consoleやアクセス解析など、目的に合った実測データと照らし合わせましょう。
最終的に、何が事業に貢献したかを見る
ここからは、指標の使い方に関する本記事の提案です。
問い合わせを増やすためのサイトなら、問い合わせ数と、その後の商談・受注を確認します。ECなら購入、採用なら応募など、最終目的に近い指標を主役に置きます。
DRやDAは、それらの成果を説明する補助材料として扱います。
例えば、「DRが5上がりました」だけでは、事業に何が起きたか分かりません。一方、「自社調査が業界サイトで紹介され、調査ページへの訪問が増え、そのページからサービス詳細を読む人も増えた」という説明なら、施策と成果のつながりを検討できます。
数字が動いたことより、何をした結果、誰の行動がどう変わったのかを説明できる状態を目指しましょう。
16.初心者向け:最初の90日で取り組む実行プラン
ここまでを読んでも、「やることが多くて、どこから始めればよいか分からない」と感じるかもしれません。
そこで、最初の90日間の進め方を提案します。これは本記事の実行例であり、90日で特定のDRやDAに到達することを保証するものではありません。
最初の30日:現状と比較対象を決める
最初は、いきなりリンク獲得の依頼を始めず、現状を整理します。
自社のDRとDA、主要な参照ドメイン、紹介されているページを確認します。次に、検索で競争しているサイトを3〜5社選び、同じ指標を調べます。
このとき、競合の会社名だけでなく、「どの検索語句で、どのページと競争しているか」も記録してください。
併せて、外部からリンクされている重要なページが正常に開くか、サービスページに必要な情報がそろっているか、Search Consoleで重要なページの状態を確認します。
30日間の目標は、DRを何ポイント上げることではありません。「現状が分かり、次に作るべき情報が決まっている状態」にすることです。
31〜60日:紹介する理由のあるコンテンツをひとつ作る
次の30日では、量よりも企画に集中します。
自社の実務経験を整理した資料、独自の調査、使いやすいテンプレートなど、外部の人が紹介する理由のあるコンテンツをひとつ選びます。
企画の段階で、「誰に読んでほしいか」と「誰なら紹介する可能性があるか」を分けて考えてください。最終的な顧客と、記事の中で引用する人は、必ずしも同じではありません。
例えば、サービスの購入を検討する人は経営者でも、調査資料を引用するのは業界メディアの編集者かもしれません。両者が何を必要としているかを考えると、資料の構成も変わります。
完成したら、根拠、使い方、注意点、更新日などを確認します。公開後に関連ページから自然に案内できるよう、サイト内の導線も整えます。
61〜90日:情報提供し、反応を見て修正する
最後の30日では、作成した資料を必要としそうな相手へ情報提供します。
既存の取引関係、業界メディア、関連テーマの記事を書いている運営者などを確認し、相手の内容に合わせて伝えます。大量送信の件数を目標にするのではなく、適切な相手を選べているかを確認してください。
また、すでに自社が紹介されているページについて、リンク先の誤りや、元資料への案内が不足していないかも確認します。
90日後は、獲得したリンクの本数だけでなく、どの企画に反応があったか、何を質問されたか、どのページが読まれたかを振り返ります。
反応が少なかった場合も、すぐに「ドメインパワーが足りない」で終わらせないでください。企画の対象が広すぎたのか、資料に独自性が足りなかったのか、紹介先とテーマが合っていなかったのかを検討する余地があります。
17.DR・DA・ドメインパワーに関するよくある質問
DRが0なら、質の悪いサイトということですか?
いいえ。Ahrefsは、DRが低いことや0であることだけで、サイトの正当性やスパム性を判断できないと説明しています。新しいサイトも、外部リンクの蓄積が少ないため低い値になり得ます。(出典:Ahrefs ヘルプセンター)
DR0を「価値がない」という採点結果として受け取らないでください。まずは読者に必要な情報を公開し、存在を知ってもらうところから始めましょう。
記事を100本書けば、DRは上がりますか?
記事数だけで自動的に上がるものではありません。DRはリンクベースで計算される指標であり、記事の本数そのものを加点する仕組みではないからです。(出典:Ahrefs)
記事を作るなら、本数の達成だけでなく、誰のどの疑問を解決するか、ほかの人が参照する理由があるかを考えることをおすすめします。
ドメインを長く保有していれば、DRは自然に上がりますか?
保有年数だけを理由に上がる仕組みではありません。Ahrefsは、DRの計算にドメイン年齢を含めないと説明しています。(出典:Ahrefs)
長く運営する中で外部からの紹介が増えることは考えられますが、それは「年数への加点」とは別の話です。
SNSで投稿を増やせば、DRは上がりますか?
SNSへの投稿数を、そのままDRの加点として考えるべきではありません。DRの計算には、リンクの属性や参照ドメインなどの条件が関係します。(出典:Ahrefs)
SNSは、資料やサービスを知ってもらうための手段として設計するとよいでしょう。そこから第三者の紹介につながる可能性はありますが、「投稿10回でDRが何点増える」という仕組みではありません。
外部サイトへリンクすると、自社の力が流出してしまいますか?
必要な出典や参考資料へのリンクを、機械的に避ける必要はありません。Googleは、文脈に合った外部リンクや出典の提示を勧め、すべての外部リンクにnofollowを付けるような使い方は推奨していません。(出典:Google for Developers)
「外部へ出したくない」という理由で根拠を示さない記事にするより、読者が確認できる出典を適切に案内することを考えてください。
DAとE-E-A-Tは同じ意味ですか?
同じではありません。GoogleのE-E-A-Tは、経験、専門性、権威性、信頼性という観点に関する説明です。Googleは、E-E-A-T自体が単一のランキング要因ではないことも説明しています。(出典:Google for Developers)
DAの数字を見て、「このサイトの専門性は60点」「この筆者の信頼性は80点」と判断することはできません。根拠、著者の説明、実務経験、情報の正確さなどは、実際の内容を読んで確認する必要があります。
何ヶ月でDRやDAは上がりますか?
本記事で参照した資料から、すべてのサイトに共通する「何ヶ月で何点」という保証は出せません。参照ドメインの状況、リンク元の変化、ほかのサイトとの相対的な関係、ツールの更新などが関係するためです。(出典:Ahrefs ヘルプセンター)
期間の目標を作るなら、「今月は現状を調べる」「来月は調査資料を公開する」「次の月は適切な相手に情報提供する」といった、自社で管理できる行動を中心に置くことをおすすめします。
18.まとめ:DR・DAは、点数を集めるためではなく、判断するために使う
DRやDAについて理解すると、数字が高いことだけを目指すSEOから、数字の背景を考えるSEOに変えられます。
大切なのは、「なぜそのサイトは外部から紹介されているのか」「どのページが参考にされているのか」「自社には何が不足しているのか」を調べることです。
競合に調査データがあるなら、自社にも現場の情報を整理できる余地がないか考える。競合が専門家として紹介されているなら、自社がどのテーマで情報提供できるかを考える。過去に紹介された記事が古くなっているなら、更新して使える資料に戻す。
こうした具体的な判断のために、DRやDAを使いましょう。
目指したいのは、DRだけが高いサイトではありません。必要な情報があり、第三者が紹介する理由があり、訪れた人が次の行動を選べるサイトです。
そのサイトを育てる過程で、外部からの参照や検索成果がどう変わったかを確認する。DRやDAは、そのための補助指標として活用するのがよいでしょう。
主な参考資料・英語の一次情報
Ahrefs:DRの定義・計算方法・使い方
Domain Rating: What It Is & What It’s Good For
DRの仕組みや限界を説明する、本記事の中心的な参照元です。
Ahrefs:被リンク獲得の長文ガイド
Link Building for SEO: The Beginner’s Guide
リンク構築の考え方、紹介先の探し方、施策の違いを確認できます。
Ahrefs:DRを改善するための考え方
How to Increase Website Authority (Domain Rating)
数値そのものではなく、その背景にあるリンクとコンテンツに注目するための資料です。
Ahrefs:DRの目安と比較方法
What Is a Good Domain Rating? (With Real Data)
競合、業界、検索結果という異なる比較対象から、DRの目安を考えています。
Ahrefs:100万キーワードを対象にした調査
Google Says “Links Matter Less”—We Looked at 1,000,000 SERPs to See if It’s True
DRやリンク指標と検索順位の関連を調べた一次調査です。
Moz:DAの定義と使い方
Domain Authority: What is it and how is it calculated
DAの開発元による説明です。Googleの公式指標とは区別して読みましょう。
Moz:Domain Authority 2.0の公式資料
Guide to Domain Authority 2.0
2019年のモデル更新の説明と、DAを比較指標として使うための注意点を確認できます。
Google:外部SEOツールの情報をどう扱うか
Google Search’s guidance on using third-party SEO tools, services, and advice
ツールの予測と、Googleの内部データを混同しないための公式ガイドです。
Google:検索ランキングシステム
A guide to Google Search ranking systems
ページ単位・サイト全体のシグナルや、リンク分析システムについて説明しています。
Google:リンクの設置方法と内部リンク
Link best practices for Google
アンカーテキスト、内部リンク、外部リンクの基本を確認できます。
Google:リンクスパムなどの禁止事項
Spam policies for Google web search
順位操作を目的としたリンク施策と、正当な情報提供を区別するために参照してください。
Google:リンク否認を検討する条件
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低いスコアだけを理由にリンクを否認せず、必要性を判断するための公式資料です。