SEOというと、多くの人が最初に考えるのは「新しい記事を書こう」という施策です。

  • 記事数を100本に増やそう
  • 毎週3記事投稿しよう
  • 競合が書いているキーワードを全部記事化しよう

こうした施策が必要になる場面もあります。しかし、すでに50記事、100記事、500記事とコンテンツを持っているWebサイトなら、SEOを伸ばすために毎回新しい記事を作る必要があるとは限りません。むしろ、公開済みの記事同士がほとんどリンクされておらず、それぞれ孤立しているケースはかなりあります。

そこで一度考えてほしいのが、「新しい記事を書く前に、今ある記事同士をちゃんと内部リンクでつないだか?」という視点です。

内部リンクとは、自分のWebサイトのページから、同じサイト内の別ページへ設置するリンクのことです。たとえば「リスティング広告とは?」という記事から「Google広告の費用相場」の記事へリンクし、さらに「Google広告の費用相場」から「Google広告運用代行サービス」のページへリンクする。これだけで「SEO記事 → より詳しい記事 → サービスページ」というサイト内の流れができます。

内部リンクは、単なる「関連記事はこちら」というユーザー向けの導線ではありません。Googleは公式ドキュメントで、リンクをページの関連性を判断するシグナルとして使い、新しいページの発見にも利用していると説明しています。重要なページについては、サイト内の少なくとも1つ以上の別ページからリンクすることも推奨しています。SEOスターターガイドでも、新しいページの多くはリンクを通じて発見されると書かれています。

つまり内部リンクには、SEOの面で次の3つの役割があります。

  • Googleにページを見つけてもらう
  • Googleにページ同士の関係を理解してもらう
  • サイト内で重要なページを整理する

この記事では、SEO初心者でも実践できるように、次の流れを順番に説明していきます。

  1. Google Search ConsoleのデータをCSVで書き出す
  2. AIに読み込ませる
  3. 記事をトピックごとに整理する
  4. ピラーページを決める
  5. 売上につながるページを決める
  6. どの記事からどの記事へ内部リンクすべきか整理する
  7. 検索順位11〜20位の記事から改善する

そもそも内部リンクとは?

内部リンクとは、自分のWebサイト内にあるページ同士をつなぐリンクです。たとえば、広告代理店のWebサイトに次のページがあったとします。

  • Google広告とは
  • Google広告の費用
  • Google広告の始め方
  • Google広告のキーワード選定方法
  • Google広告運用代行サービス
  • 広告代理店の料金
  • お問い合わせ

これらがすべて独立して存在している状態を想像してください。各記事の出来は悪くなくても、記事同士がまったくリンクされていなければ、サイト構造としては非常にもったいない状態です。

「Google広告とは」の記事を読んでいるユーザーは、「Google広告はいくらくらい必要なんだろう?」と思うかもしれません。そこで「Google広告の費用については『Google広告の費用相場』で詳しく解説しています」とリンクしてあげる。さらに費用の記事で「自社運用が難しい場合はGoogle広告運用代行サービスもご覧ください」とサービスページへつなぐ。これが内部リンクです。

仕組みは非常にシンプルですが、このシンプルな施策ができていないWebサイトは珍しくありません。

内部リンクがSEOに効く3つの理由

1. Googleがページを発見しやすくなる

GoogleはWeb上のリンクをたどりながらページを発見します。XMLサイトマップからURLを見つけることもありますが、リンクはGoogleがページを発見する主要な手段です。

たとえば「トップページ → ブログ一覧 → SEO記事A」というリンクがあれば、GooglebotはリンクをたどってSEO記事Aへ到達できます。

一方で、URLは存在し、XMLサイトマップにも載っているのに、サイト内のどこからもリンクされていないページがあったとします。こうしたページは「孤立ページ(Orphan Page)」と呼ばれます。Googleに発見されないと断定はできませんが、ユーザーからもGoogleからもたどり着く経路が乏しい状態は望ましくありません。Googleも、重要なページには少なくとも1つ以上のサイト内リンクを設置するよう推奨しています。

2. 「このページは何についてのページか」を理解する材料になる

内部リンクには通常、アンカーテキストがあります。アンカーテキストとは、クリックできる文字部分のことです。

「こちら」よりも「Google広告の費用相場」という文字列からリンクしたほうが、ユーザーにもGoogleにもリンク先の内容が伝わります。Googleも良いアンカーテキストの条件として、次の3つを挙げています。

  • 具体的であること
  • 適度に簡潔であること
  • リンク元とリンク先の両方に関連していること

「詳しくはこちら」を大量に使うより、「Google広告の費用について詳しく知りたい方はこちら」「SEO内部リンクの設計方法はこちら」「Search Consoleの使い方はこちら」のように、リンク先の内容が分かる文章にしたほうがよいということです。

3. サイト全体のトピック構造を整理できる

内部リンクの効果は、個別の記事だけにとどまりません。たとえばSEOについて100記事書いているサイトで、被リンク、内部リンク、Search Console、タイトルタグ、canonical、404、サイトマップ、クロール、インデックスの記事が全部バラバラに存在しているとします。これでは人間から見ても「このサイトのSEO情報はどう整理されているんだ?」となります。

そこで「SEO対策完全ガイド」という大きなページを中心に置き、そこからSEO内部対策、SEO外部対策、テクニカルSEO、Search Console、被リンク、コンテンツSEOへリンクします。各記事からも「SEO対策完全ガイド」へ戻します。すると「SEO対策完全ガイド → 内部対策 → 内部リンク → アンカーテキスト」という階層構造ができます。

このようにトピックごとに記事を整理する考え方は、トピッククラスター、ピラー・クラスター構造、ハブ&スポークなどと呼ばれます。名称を覚える必要はありません。押さえるべきなのは「似た記事を孤立させず、関連する記事同士をつなぐ」ことです。

新しい記事を書けばSEOが伸びる、とは限らない

SEO担当者が陥りやすい罠が、「SEO=記事数を増やすこと」という考え方です。

自社サイトに存在しない検索意図を狙うなら、新しい記事が必要です。たとえば「Google広告 自動入札」についてサイト内にページが一切なく、Search Consoleを見ても適切に答えているURLがない。この場合は新規記事を作ったほうがよいでしょう。

一方で、すでに関連ページがあり、Googleにも認識され、検索順位は15位前後、内容もそれなりに充実している。それなのに「順位が低いから別の記事を書こう」と判断するとどうなるでしょうか。「Google広告 費用」「Google広告 料金」「Google広告 予算」「Google広告 月額」のような似た記事が大量に生まれる可能性があります。

すると今度は、どのURLを「Google広告の費用ページ」として評価してほしいのかがGoogleに伝わりにくくなります。いわゆるキーワードカニバリゼーションです。新しいURLを増やすことが、必ずしもSEO改善になるとは限りません。

「新規記事」と「既存記事の改善」を分けて考える

判断基準を表にまとめます。

今の状態打つべき手
検索意図に答えるページが存在しない新規記事を作る
検索意図に答えるページはあるが内容が弱い既存記事をリライトする
記事は十分だが、関連ページからほとんどリンクされていない内部リンクを追加する
似た記事が複数存在する統合、canonical、リダイレクト、役割分担を検討する
1ページ目下位〜2ページ目付近まで来ているタイトル、検索意図、コンテンツ、内部リンク、CTRを確認する

この切り分けだけでも、「とりあえず新しい記事を書くSEO」からかなり脱却できます。

Search Consoleでページデータを書き出す

では、どのページに内部リンクを追加すればいいのかをどう判断するのか。ここで使うのがGoogle Search Consoleです。

Search Consoleの検索パフォーマンスレポートでは、クリック数、表示回数、CTR、平均掲載順位、検索クエリ、表示されているページを確認できます。つまり、Googleがすでにどのページを検索結果に出しているかが分かります。担当者が頭の中で「このページは重要そう」と考えるのではなく、Google自身の検索データを見ながら優先順位を付けられるのが大きな利点です。

エクスポートの手順

  1. Search Consoleを開き、「検索パフォーマンス」(検索結果のパフォーマンスレポート)を開く
  2. 期間を選ぶ。過去3か月・6か月・12か月のいずれかでよいが、季節変動を考えるとまず過去12か月を見るのが分かりやすい
  3. クリック数、表示回数、CTR、平均掲載順位の4指標をすべて表示する
  4. 「ページ」タブを開く
  5. 右上のエクスポートから、Googleスプレッドシート・Excel・CSVのいずれかで書き出す(ここではCSVで構いません)

CSVの中身をどう読むか

たとえば、次のような3つのURLがあったとします。

URLクリック数表示回数CTR平均掲載順位
URL A1,20030,0004%7.8
URL B9018,0000.5%13.7
URL C154,0000.37%28.4

この中で注目したいのはURL Bです。18,000回も表示されているので、Googleはかなり頻繁に検索結果へ出しています。しかし平均順位は13.7位で、多くの場合は検索結果の2ページ目付近。クリック数はまだ90しかありません。

こういうページは、Googleから無視されているページではありません。ある程度評価されているが、あと少し届いていない可能性があります。こうしたページから優先的に改善するのは、非常に合理的な考え方です。

なぜ11〜20位のページから見るのか

この方法の軸になるのが、平均掲載順位11〜20位前後のページを見ることです。

最初に断っておくと、Googleが「11〜20位のページに優先的に内部リンクしなさい」と言っているわけではありません。これはSEO実務上の優先順位付けです。

検索順位80位の記事と13位の記事があったら、どちらから改善するか。一般的には13位の記事のほうが、検索意図・コンテンツ・ページ評価の面で、すでにGoogleからある程度評価されている可能性があります。13位から8位になれば検索結果の1ページ目に入りますが、80位から10位まで上げるにはかなり大きな改善が必要になるかもしれません。

つまりSEOでは、あと少しで成果につながりそうなURLを見つけることが近道になります。

平均掲載順位だけを信じすぎない

Search Consoleの平均掲載順位は、「常にその順位だった」という意味ではありません。掲載順位はクエリ、デバイス、地域、日時、検索結果の状態によって変わりますし、1ページが複数のクエリで表示されていれば、それらをまとめた平均値になります。Googleも、掲載順位だけでなくクリック数や表示回数と合わせて分析することをすすめています。

「平均掲載順位14位だから必ず改善対象」ではなく、表示回数も確認してください。狙い目は表示回数が多く、かつ平均掲載順位が11〜20位前後のページです。

AIにCSVを読ませてトピックを整理する

ここからAIを使います。ChatGPTなどにCSVをアップロードしますが、いきなり「SEOを改善して」とだけ頼むのではなく、まずページを整理させます。たとえば次のように依頼します。

AIへの依頼文(トピック整理)

以下はGoogle Search Consoleからエクスポートしたページ別の検索パフォーマンスデータです。URLをテーマごとに分類し、似た検索意図を持つURLをグループ化してください。

各グループについて、中心となるピラーページ候補、サポート記事候補、問い合わせや売上につながる収益ページ候補、内部リンク元候補、内部リンク先候補を整理してください。

特に平均掲載順位11〜20位で表示回数の多いURLを優先してください。ただし、URLだけから内容を断定できない場合は「要確認」としてください。

これだけでも、数百URLの一覧がかなり整理しやすくなります。

ピラーページとは

ピラーとは「柱」という意味で、そのテーマの中心になるページのことです。広告代理店のサイトなら「Google広告とは?初心者向け完全ガイド」がピラーページになるかもしれません。

その周辺に、Google広告の費用、始め方、キーワード選定、自動入札、コンバージョン設定、品質スコア、Yahoo!広告との違いといった記事があります。これらをバラバラに置くのではなく、中心のGoogle広告の記事へ内部リンクし、ピラーページからも各詳細記事へリンクする。そうすることで、「このサイトにはGoogle広告についてまとまったコンテンツ群がある」という構造を作れます。

収益ページも決める

SEO担当者が忘れがちなのがここです。SEOの目的は順位を上げることではなく、最終的にお問い合わせ、資料請求、購入、予約、応募、登録などにつなげることです。そのため、内部リンクを設計するときは収益ページも決めておきます。

  • 広告代理店:Google広告運用代行、Meta広告運用代行、SEOコンサルティング、お問い合わせ、資料請求
  • ECサイト:商品ページ、カテゴリページ
  • 求人サイト:求人一覧、求人詳細
  • SaaS:料金ページ、無料トライアルページ

SEO記事同士をリンクするだけでなく、SEO記事 → 収益ページの流れも考えます。

求人サイトは内部リンクの差が出やすい

ニッチな求人掲示板では、このステップが丸ごと抜けていることがよくあります。たとえばIT求人サイトに、エンジニア転職ガイド、Pythonエンジニアになる方法、Python求人一覧、Python求人詳細、エンジニア年収記事、IT業界転職ガイド、料金ページ、企業向け採用ページがあるとします。これらが全部独立していたらもったいない状態です。

「Pythonエンジニアになる方法 → Pythonエンジニアの平均年収 → Python求人一覧」という流れを作れますし、逆に求人一覧から「Pythonエンジニアへの転職方法はこちら」とガイド記事へ戻すこともできます。

求人、ブログ、ガイド、料金、カテゴリ、サービスを別々の部署が作っている会社では、意外なほど内部リンクがつながっていません。コンテンツマーケティング担当はブログだけ、プロダクト担当は求人ページだけ、営業担当は料金ページだけを見る。その結果、同じドメインなのにそれぞれが別サイトのようになってしまいます。

Pages.csvだけでなくQueries.csvもあると精度が上がる

本格的に分析するなら、ページデータだけでなくクエリデータも使います。Search Consoleでは、どんな検索語句で表示されているかをクエリごとに確認できます。

たとえば /seo/internal-link/ というURLが「内部リンク SEO」「内部リンク 効果」「内部リンク 貼り方」「内部リンク アンカーテキスト」「SEO 内部リンク 数」で表示されていれば、GoogleはこのURLを内部リンク関連のページとして理解していると分かります。

逆に「内部リンク SEO」という検索語に対して、SEOトップページや記事一覧ページ、会社概要ページが表示されている場合は、専用ページが弱いか、存在しない可能性があります。内部リンクの設計を考えるうえでも、Queries.csvはかなり役立ちます。

AIに内部リンクマップを作らせる

トピックの整理ができたら、次はもう一段具体的に依頼します。

AIへの依頼文(内部リンクマップ)

以下のURLをトピッククラスターに分類してください。そのうえで「URL A → URL B」の形式で内部リンク候補を整理してください。

それぞれについて、リンク元URL、リンク先URL、リンクする理由、推奨アンカーテキスト、ピラー記事へのリンクか、収益ページへのリンクか、SEO優先度を考えてください。

平均掲載順位11〜20位かつ表示回数の多いURLへの内部リンクを優先してください。ただし、意味的に関連しないリンクは提案しないでください。

大量の記事があるサイトでも、これで内部リンク候補をかなり早く洗い出せます。

AIの提案をそのまま採用してはいけない

AIは内部リンク候補を大量に出すのが得意ですが、意味のないリンクも普通に作ります。

たとえば「Google広告の費用」の記事から「Instagramのフォロワーを増やす方法」へリンクする。「Webマーケティング」という大分類では関連していても、読者からすると「なぜここでInstagram?」となります。

内部リンクは、SEOのために機械的につなぐものではありません。まずそのリンクをユーザーがクリックする理由があるかを考えます。Googleも、読者がページを理解するうえで役立つ別のリソースを考え、文脈に沿ってリンクするよう説明しています。「同じカテゴリだからリンク」ではなく、文脈がつながっているからリンクです。

悪い内部リンクと良い内部リンク

悪い例は、本文中に突然リンクが並ぶパターンです。

SEOには内部リンクが重要です。Google広告についてはこちら。Meta広告についてはこちら。採用代行についてはこちら。会社概要はこちら。お問い合わせはこちら。

リンクを置けば置くほどSEOが強くなるわけではありません。Googleも、1ページのリンク数に絶対的な理想値はないとしたうえで、「多すぎると感じるなら、実際に多い可能性がある」と説明しています。

良い例は、本文の流れの中にあるリンクです。

内部リンクを改善する前に、そもそもGoogleにインデックスされているか確認しておきましょう。インデックス登録については『Google Search Consoleでインデックス状況を確認する方法』で詳しく説明しています。

読者は「インデックスも確認したほうがいいのか」と思ってクリックできます。SEOのためだけでなく、読者の理解を深めるリンクになっています。増やすべきなのは、この種類の内部リンクです。

アンカーテキストは「こちら」だけにしない

よくある内部リンクが「詳しくはこちら」です。絶対にダメというわけではありませんが、リンク先が何のページか分かるアンカーテキストのほうが、ユーザーにもGoogleにも伝わります。

悪い例良い例やりすぎの例
詳しくはこちら内部リンクのSEO効果について詳しくはこちら内部リンク SEO 内部リンク 効果 SEO 内部リンク 貼り方はこちら

アンカーテキストはキーワードを詰め込む場所ではありません。普通の日本語で書けば十分です。

「強いページ → 弱いページ」の一方向だけで考えない

「アクセスの多い記事から、順位を上げたい記事へリンクする」という方法はよく紹介されますし、分かりやすい考え方です。ただ、内部リンクは一方向だけで考えないほうがよいでしょう。

「SEO対策完全ガイド」というピラーページから内部リンク、被リンク、Search Console、テクニカルSEOの記事へリンクし、各詳細記事からもピラーページへ戻す。さらに「内部リンクの記事 → アンカーテキストの記事 → クローラビリティの記事」のように、詳細記事同士も自然につなぐ。このほうがサイト構造として分かりやすくなります。

AIには優先順位も付けさせる

単に「内部リンクを考えて」と頼むと、AIはとにかく大量にリンクを作ろうとします。優先順位の基準と、説明できないリンクは出さないという条件を必ず付けます。

AIへの依頼文(優先順位付き)

Google Search Consoleのデータをもとに内部リンク改善候補を作成してください。優先順位は次の基準で判断してください。

  • 最優先:平均掲載順位11〜20位で表示回数が多く、ページの内容と表示クエリがよく合っているページ
  • 次点:平均掲載順位4〜10位で表示回数が多く、CTR改善や内部リンク強化の余地があるページ
  • 次点:重要なサービスページ・カテゴリページ・ピラーページなのに、関連ページから内部リンクされていないページ
  • 優先度低:平均掲載順位50位以下かつ表示回数も少なく、コンテンツ自体の再設計が必要と思われるページ

すべての内部リンクについて「なぜユーザーにとってこのリンクが必要なのか」を説明してください。説明できないリンクは提案しないでください。

最後の一文を加えるだけでも、AIが作る無意味なリンクはかなり減ります。

11〜20位のページを具体的にどう改善するか

Search Consoleで、次のようなページが見つかったとします。

表示回数クリック数CTR平均掲載順位
25,0001700.68%14.2位

ここで「内部リンクを10本追加すればいい」と考えるのは早すぎます。先に確認することがあります。

1. どのクエリで表示されているか

パフォーマンスレポートでそのページをクリックしてフィルタし、その状態で「クエリ」タブを確認します。Googleのヘルプでも、特定のクエリやページで絞り込んで確認する方法が案内されています。狙っているキーワードと、実際に表示されているクエリが一致しているかを見ます。

2. 検索意図に合っているか

「Google広告 費用」で表示されているのに、記事の中身のほとんどが「Google広告とは?」「Google広告のメリット」「Google広告の始め方」になっている。これでは検索意図への答えが弱い可能性があります。この場合は内部リンクより先に、コンテンツそのものを直す必要があります。

3. タイトルが弱くないか

順位がそこそこ高いのにCTRが低い場合は、タイトル、スニペット、検索結果上の競合も確認します。Googleも、表示回数が多いのにCTRが低いクエリを見つけて、タイトルや内容の改善に使う方法を紹介しています。

4. 関連ページから内部リンクされているか

ここでようやく内部リンクを確認します。Google広告の始め方、キーワード選定、予算、CPA改善、Meta広告との違いといった記事がすでにあるのに、どれも「Google広告の費用」へリンクしていない。これが内部リンクの改善候補です。

5. リンク元の記事にもアクセスがあるか

できれば、すでに検索流入のある関連ページからリンクします。ただし「アクセスが多ければ何でもいい」わけではありません。SEO記事から人事の記事へリンクするより、同じSEOクラスター内の記事からリンクしたほうが自然です。基準はあくまで関連性です。

Search Consoleの「リンク」レポートも使う

Search Consoleには、内部リンクを確認できる「リンク」レポートもあります。Googleのヘルプでは、サイト内で多くリンクされているページを確認し、ユーザーが少ないクリック数でページ間を移動できるようサイト内の流れを整える用途が紹介されています。ここを見ると、次のような問題が見つかることがあります。

  • 重要なサービスページへの内部リンクが極端に少ない
  • 優先度の低いページに大量の内部リンクが集まっている
  • 重要な記事が孤立している

最重要ページなのに内部リンクが少ないときは要注意

会社として一番売りたいサービスが「Google広告運用代行」なのに、内部リンク数を見ると次のようになっていたとします。

ページ内部リンク数
Google広告運用代行7
会社概要350
ブログ一覧800
プライバシーポリシー600

ヘッダーやフッターの共通リンクの影響があるので単純比較はできません。それでも、最重要サービスページへの文脈上の内部リンクがほとんどないなら改善余地があります。関連するブログ記事から、自然にサービスページを紹介できないか考えます。

お金になるページへリンクする

SEOブログを大量に書いている会社にありがちなのが、「ブログ → ブログ → ブログ」で導線が終わっているケースです。PVは増えるのに問い合わせが増えない。その理由の一つが、サービスへ進む導線がないことです。

「リスティング広告 CPA 改善」で検索してきた人は、かなり具体的な悩みを持っています。記事の最後に「自社での改善が難しい場合は、リスティング広告運用代行についてご相談ください」というリンクがあっても不自然ではなく、ユーザーにとっても有益です。SEO記事はアクセスを集めるページ、サービスページは売上につなげるページ。その両者を内部リンクでつなぎます。

内部リンクでよくある5つの失敗

失敗1:とにかく大量にリンクする

内部リンクは多ければ多いほどよいわけではありません。読者にとって必要なリンクだけを置きます。

失敗2:全部同じアンカーテキストにする

100記事すべてから「SEO対策」という完全一致のアンカーで同じページへリンクする必要はありません。「SEO対策について」「SEOの基本」「SEO対策の詳しい方法」など、文章に合わせて自然に変えて構いません。

失敗3:関連性のない記事からリンクする

SEOだけを意識すると、アクセスの多い記事から重要ページへ片っ端からリンクしたくなります。しかし「住宅ローンの記事 → SEOコンサルティング」のようなリンクは意味がありません。読者の文脈を優先してください。

失敗4:フッターだけで済ませる

フッターに全サービスを並べたから内部リンク対策は終わり、ではありません。フッターはナビゲーションとして便利ですが、本文中で意味的に関連するページへリンクすることも欠かせません。

失敗5:古い記事を放置する

新しい記事を書くたびに「新記事 → 古い記事」のリンクだけを足して終わるサイトがあります。しかし古い記事にもアクセスがあります。新記事を公開したら、過去記事 → 新記事の内部リンクも追加できないか確認してください。これだけで新しい記事への経路が増えます。

新しい記事を公開したら「過去記事からのリンク」までをセットにする

これは運用ルールにしておくとよいでしょう。新しい記事を1本公開したら、次の作業までを「1記事公開」と考えます。

  1. 関連する過去記事を5〜10本探す
  2. その中から本当に自然にリンクできるページを選ぶ
  3. 過去記事から新記事へ内部リンクを追加する
  4. 新記事からも関連する既存記事へリンクする

「記事を書く担当」と「内部リンク担当」を分けない

ライターは記事を書く、SEO担当はキーワードを見る、エンジニアはサイトを作る、営業はサービスページを見る。このように担当が完全に分かれると、記事同士のつながりが失われます。

  • ライター:この記事からどの記事へリンクするかまで考える
  • SEO担当:既存記事から新記事へのリンクを確認する
  • サービス担当:どの情報記事からサービスページへつなぐかを見る

内部リンクはサイト全体で設計したほうがうまくいきます。

記事数が多いサイトほどAIと相性がいい

10記事程度なら人間でも全部確認できますが、300記事、1,000記事、10,000ページとなると難しくなります。AIは、URL、タイトル、Search Consoleのデータ、検索クエリ、カテゴリ、ディレクトリから似たテーマをまとめる作業が得意です。

人間が担うのは最終判断です。AIが候補を100個出し、人間が本当に意味のある30個を選ぶ。この分担が現実的です。

Search ConsoleのCSVには行数の上限がある

通常のレポートからのエクスポートは、代表的な最大1,000行に切り捨てられる場合があるとGoogleは案内しています。数百ページ程度のサイトなら通常のCSVでも十分分析できますが、数万〜数十万ページの大規模EC・大規模求人サイトなどでは、通常のCSVだけで全体を分析できるとは限りません。

大規模サイトでは、Search Consoleの一括データエクスポート(BigQueryへの書き出し)など、より大きなデータを扱える方法を検討します。初心者の場合は、まず通常のCSVから始めれば十分です。

11〜20位だから内部リンクだけで上がるわけではない

誤解しないでほしいのですが、内部リンクは魔法ではありません。11位の記事へ内部リンクを10本貼れば翌日5位になる、という公式はありません。競合ページのほうが圧倒的に詳しいかもしれませんし、検索意図がズレている、被リンクの差が大きい、タイトルが弱い、サイト自体の評価に差がある、という可能性もあります。

「11〜20位=内部リンク」ではなく、「11〜20位=優先的に調査する改善候補」と考えてください。

内部リンクと記事内容を同じ順番で見る

13位の記事を見つけたら、次の順番で確認します。

  1. 検索されているクエリは何か
  2. 検索意図と記事内容は一致しているか
  3. 競合の上位ページと比べて不足している情報はないか
  4. タイトルは検索意図を表しているか
  5. H1や見出しは分かりやすいか
  6. 関連する既存記事はあるか
  7. それらから内部リンクされているか
  8. 記事からピラーページや収益ページへリンクしているか

内部リンクだけを切り離して見る必要はありません。

1週間で進めるならこの順番

やること
1日目Search Consoleから過去12か月のページデータをエクスポートする
2日目AIに読み込ませてトピックごとに分類する
3日目平均掲載順位11〜20位かつ表示回数の多いページを抽出する
4日目それぞれについて関連する既存記事を探す
5日目内部リンク候補をAIに作らせる
6日目人間が全部確認する
7日目自然なものだけ実装する

最初は10ページだけでいい

サイト全体を完璧にしようとすると終わりません。まずは表示回数の多い11〜20位の記事を10ページだけ選び、それぞれ関連ページから3〜5本程度のリンク候補を探します。必要なら記事内容も更新し、数週間〜数か月単位でSearch Consoleの変化を確認します。いきなり500記事全部に内部リンクを付ける必要はありません。

改善後はSearch Consoleで比較する

内部リンクを追加したら、日付と変更内容を記録しておきます。

2026年9月24日 内部リンク5本追加/タイトル変更なし/本文変更なし

そのうえで、Search Consoleの期間比較でクリック数、表示回数、平均掲載順位、CTRを見ます。SEOには多くの要因があるので、「順位が上がった=100%内部リンクのおかげ」とは断定できません。それでも記録を続けると、自社サイトではどんな改善が効きやすいのかが見えてきます。

記事数が増えたら「内部リンク台帳」を作る

記事数が増えてきたら、次の項目を一覧で管理すると便利です。

  • URL、記事テーマ、主要キーワード
  • ピラーページ、クラスター、収益ページ
  • リンク元、リンク先
  • Search Consoleの表示回数、クリック数、平均掲載順位
  • 最終更新日

この台帳を定期的にAIに読み込ませれば、「新しく追加した記事へリンクできる過去記事を教えて」「11〜20位の記事のうち内部リンクが少ないものを出して」「Google広告クラスターだけ内部リンク構造を整理して」といった分析もすぐにできます。

内部リンクはCVにも効く

内部リンクのメリットは検索順位だけではありません。ユーザーが「知る → 詳しく調べる → 比較する → サービスを見る → 問い合わせる」という流れを作れます。

たとえば「テレアポ アポ率」で記事に来た人が、「テレアポのリスト作成方法」を読み、「テレアポ代行の料金」を見て、最後に「テレアポ代行サービス」へ進む。内部リンクは、サイト内の営業導線でもあります。SEO担当だけでなく、マーケティング担当、営業担当、UX担当も見るべき領域です。

SEO記事とサービスページを分離しすぎない

企業サイトでは、コラム、サービス、会社情報、事例、料金、FAQが完全に分かれていることがよくあります。しかしユーザーにとっては、全部同じ悩みの延長です。

たとえば「SEO 被リンク 増やし方」を読んでいる人には、被リンク支援サービス、被リンク支援の事例、SEOの料金、FAQが役立つことがあります。コンテンツの種類ではなく、ユーザーの検索意図を中心に内部リンクを作ると考えると分かりやすくなります。

新しい記事を作るべきケースもある

ここまで内部リンクを推してきましたが、「新しい記事を書くな」という話ではありません。次の条件がそろうなら、新しいページを作ったほうがよいでしょう。

  • 検索ニーズがある
  • 既存ページではその検索意図に答えられない
  • 既存URLを無理に改変すると、別の検索意図とぶつかる
  • 明確に独立したテーマである

やめるべきなのは、「順位が上がらない=とりあえず新しい記事」という反射的な判断です。既存記事で対応できないか、内部リンクが不足していないか、検索意図がズレていないか、既存記事同士がカニバっていないか。まずこれを確認し、それでも足りないなら新規記事を作ります。

100記事ある競合に勝つために200記事、200記事ある競合に勝つために500記事、と増やし続けると、似た記事が大量に生まれます。更新が追いつかず、内部リンクも整理できず、古い情報が残り、カニバリが起き、どれが重要ページなのか分からなくなる。SEOはURLの本数を競うゲームではなく、検索ユーザーの疑問に対して適切なページを用意し、そのページ同士を分かりやすくつなぐことです。

まとめ

この記事のポイント

  • 内部リンクは、Googleがページを発見し、ページ同士の関係を理解するための材料になる。重要なページはサイト内の別ページから必ずリンクする。
  • 「順位が上がらない=新しい記事」ではなく、新規作成・リライト・内部リンク追加・統合のどれが必要かを切り分ける。
  • Search Consoleのページデータから、表示回数が多く平均掲載順位11〜20位前後のページを優先的に調査する。
  • AIにはトピック整理と内部リンク候補の洗い出しを任せ、リンクを採用するかどうかは人間が文脈で判断する。
  • アンカーテキストはリンク先の内容が分かる普通の日本語にし、キーワードを詰め込まない。
  • SEO記事からピラーページ、収益ページへの流れも設計する。新記事を公開したら過去記事からのリンクまでをセットにする。
  • 内部リンクだけで順位が上がるわけではない。クエリ、検索意図、タイトル、記事内容と合わせて見直し、変更日を記録してSearch Consoleで比較する。

SEOはコンテンツを増やし続ける競争のように見えますが、一定量の記事が蓄積されたサイトでは、「何を書くか」と同じくらい「すでに書いたものをどう整理するか」が効いてきます。

記事、サービスページ、料金ページ、求人ページ、ガイド、事例、FAQをバラバラに置いて終わりにせず、関連するもの同士をつなぎ、重要なページへ自然に集約する。Search Consoleを使えば、どのページがすでにGoogleから評価され始めているのかも確認できます。

新しいURLをもう1本作る前に、すでにある10本の記事をつないだほうが早いケースもあります。今週SEO施策を一つだけやるなら、「新しい記事を1本書く」だけでなく、「公開済みの記事同士が適切につながっているか確認する」という選択肢も持ってみてください。

参考資料