「1ページにキーワードを詰め込みすぎると、SEOを完全に破壊してしまう」「異なるキーワードで1位を取りたいなら、それぞれに専用ページを作るべきだ」。SEOに取り組んでいると、このようなアドバイスを見かけることがあります。

この考え方には、参考になる部分があります。検索する人が求めている商品や情報が違うのに、すべてを一つのページに押し込んでしまうと、それぞれの人にとって使いにくいページになる可能性があるからです。しかし、そこから「1ページで複数のキーワードを狙うこと自体が悪い」「キーワードごとにページを分ければ順位が上がる」と結論づけるのは、話を単純化しすぎています。

Googleは公式のSEOスターターガイドで、検索者によって使う言葉が異なることを考慮するよう勧めています。また、ページに検索語句をすべて完全一致で書かなくても、Googleの言語マッチングシステムは、そのページとさまざまな検索との関連性を理解できると説明しています。つまり、一つのページが複数の検索キーワードに対応することは、それ自体が問題なのではありません。

重要なのは、キーワードの数ではなく、ページが果たす役割です。同じ内容で複数の検索ニーズを自然に満たせるなら、まとめる意味があります。反対に、必要な商品、比較条件、説明、購入までの導線が異なるなら、ページを分ける意味があります。

この記事では、移動用スクーターのECサイトを例に、Googleの公式ドキュメントを参照しながら、ページを分けるべきケース、まとめるべきケース、実装上の注意点、売上効果の考え方まで解説します。

なお、事例に登場する検索順位、月間検索数、平均注文額、増収見込みは、事例の紹介に含まれていた数値です。対象サイトのURLや実測データは確認できていないため、検証済みの成功事例ではなく、ページ設計を考えるためのケーススタディとして扱います。

「複数キーワードを狙うこと」と「キーワードの詰め込み」は別の問題

Googleが問題にしているのは、不自然なキーワードの乱用

まず区別したいのが、「複数のキーワードに対応すること」と「キーワードを不自然に詰め込むこと」です。

Googleのスパムポリシーでは、検索順位を操作する目的で、ページにキーワードや数字を詰め込む行為を「キーワードの乱用」としています。文脈に合わない語句の羅列や、同じ言葉を不自然なほど繰り返すことなどが該当します。問題の中心は、対応するキーワードが二つあることではなく、検索順位を操作するための不自然な表現です。

例えば、「屋根付きスクーターを比較するページ」の中で、商品の特徴、価格、サイズ、屋根の取り外し可否などを説明するのは自然です。その結果、「屋根付きスクーター」「スクーター キャノピー」「屋根付きスクーター 価格」といった複数の検索に対応する内容になっていても、それだけでキーワードの乱用とはいえません。

一方で、次のような文章は、読者に新しい情報をほとんど提供していません。

「屋根付きスクーターをお探しなら、屋根付きスクーター専門店へ。おすすめの屋根付きスクーター、人気の屋根付きスクーター、格安の屋根付きスクーターを販売しています。」

この文章の問題は、同じ言葉が何回あるかという計算以前に、何を選べるのか、どの商品が誰に向いているのか、どこを比較すべきなのかが分からないことです。キーワードの反復が、商品選びに必要な説明の代わりになってしまっています。

キーワード最適化とは、検索者が使う言葉で内容を分かりやすく伝えることです。キーワードの詰め込みとは、伝える内容が増えていないのに、検索語句だけを増やすことです。

一つのページが複数の検索に応えることは、Googleの仕組みと矛盾しない

Googleのランキングシステムには、単語と概念の関係を理解するRankBrainや、ページ内の個々のセクションを理解するパッセージランキングシステムがあります。これらの説明からも、Googleがページを「一つの完全一致キーワードだけに対応する箱」として扱っているわけではないことが分かります。

例えば、「屋根付きスクーターの選び方」というページで、価格、サイズ、収納性、キャノピーの仕様をまとめて説明することを考えてみてください。これらは別々の語句で検索される可能性がありますが、一つの商品を選ぶための連続した検討事項でもあります。

それぞれを独立したページに分けなければならない、と考える必要はありません。むしろ、価格を見るたびに別ページへ、サイズを確認するたびに別ページへ移動しなければならない構造は、購入者に余計な手間をかけるかもしれません。

したがって、「1ページ1キーワード」という言葉を使うなら、制作時にページの主題を見失わないための管理上の目安として捉えるのが適切です。Googleが定めた「一つのページは一つの検索語句でしか評価されない」というルールではありません。

スクーターの事例で、本当に考えるべきこと

今回の事例では、一つの商品カテゴリーページが、次の二つの検索キーワードを対象にしています。

「enclosed mobility scooter」と「mobility scooter with canopy」です。

ここでは、前者を周囲が囲われたキャビン型の移動用スクーター、後者を屋根やキャノピーが付いた移動用スクーターを探す検索として考えてみます。ただし、これは事例を検討するための仮説です。実際の市場で両者がどのように使い分けられているかは、検索結果、商品仕様、販売店の分類、顧客の問い合わせ内容などで確かめる必要があります。

二つの検索で「欲しい商品」が違うなら、ページ分割には理由がある

例えば、「enclosed mobility scooter」と検索する人は、屋根だけでなく、前面や側面まで覆われた構造を重視しているのかもしれません。そうであれば、確認したいのは、どこまで囲われているのか、乗り降りはしやすいか、車体の寸法はどの程度か、といった項目でしょう。

一方、「mobility scooter with canopy」と検索する人は、上部に屋根があればよく、側面が開いていることや、キャノピーを取り外せることを好むかもしれません。既に所有しているスクーターに後付けできる部品を探している人が含まれる可能性もあります。

このように考えると、確認すべきなのは「二つのキーワードを同じページに入れているか」ではありません。

二つの検索をした人に、同じ商品一覧と同じ説明を見せて、本当に両方の買い物を助けられるのか。

ここが判断の出発点です。

仮に、キャビン型を探す人に屋根だけのモデルを大量に表示していたり、後付けキャノピーを探す人に完成車しか見せていなかったりするなら、ページの役割と検索者の目的がずれています。その場合、カテゴリーページの分割や、アクセサリーページの独立を検討する理由があります。

反対に、同じ商品を別の言葉で探しているだけなら、分割は不要かもしれない

一方で、その市場では二つの表現がほぼ同じ商品群を指しており、購入者も厳密に使い分けていない可能性があります。掲載する商品、比較する項目、必要な説明が実質的に同じなら、ページを二つに増やしても、利用者に新しい価値を提供できないかもしれません。

例えば、既存ページを複製し、タイトルだけを「Enclosed Mobility Scooters」から「Mobility Scooters with Canopy」に変更したとします。商品一覧も説明も同じであれば、二つのページを公開する根拠は「違う検索語句を狙いたいから」だけになります。

Googleは、主要な内容が同じ、または非常によく似たページをまとめ、その中から代表となる正規URLを選ぶ仕組みを説明しています。URLを二つ作ったからといって、検索上も必ず二つの独立したページとして扱われるわけではありません。

ページ分割が有効かどうかは、単語の違いではなく、分割によって何が変わるのかで判断すべきです。

「それぞれの1位が専用ページだから、自社も分けるべき」と断定できない理由

この事例の紹介では、「各キーワードで1位のページは、それぞれのキーワードだけをターゲットにしている」とされています。この観察は、ページ分割を検討するきっかけにはなります。しかし、それだけで「Googleが別々のページを必要としている」と断定することはできません。

競合のページ構成と、競合が1位である理由は同じではない

仮に、競合Aが専用ページで1位だったとしても、その順位が専用ページ化だけによって生じたとは限りません。Googleは、多様な要素やシグナルを使ってランキングを判断すると説明しており、リンクの関係性を理解するシステムなども利用しています。ページが一つのキーワードに特化していることだけで、順位の原因を特定することはできません。

実務では、競合の品ぞろえ、説明の具体性、写真、比較のしやすさ、サイト内での位置づけなども確認したいところです。これらを調べず、「キーワードが一つだから1位なのだ」と判断するのは、結論を急ぎすぎています。

また、競合ページのタイトルに一つの語句しか書かれていなくても、そのページが実際には多数の関連キーワードで検索流入を得ている可能性があります。外から見えるタイトルだけでは、そのページが対応している検索語句の全体像までは分かりません。

「そのキーワード向けに作られたように見えるページ」と、「そのキーワードだけで評価されているページ」は別物なのです。

検索結果は、Googleからの設計指示書ではなく、仮説をつくるための材料

検索結果の違いは、検索者が求めているものの違いを推測する材料になります。ただし、検索結果を一度見ただけで、絶対的なルールを読み取ろうとしないでください。

Search Consoleの公式ヘルプでも、平均掲載順位と実際に自分で検索した際の順位が異なる理由として、場所や検索履歴などによる違いが説明されています。同じキーワードであっても、観察条件をそろえずに比較すると、判断を誤る可能性があります。

私なら、1位のページだけでなく、上位の複数ページを確認します。そのうえで、二つの検索結果に同じURLがどの程度登場するか、商品カテゴリーなのか商品詳細なのか、解説記事なのか、掲載されている商品に違いがあるかを整理します。

特に、「同じドメインが出ているか」と「同じURLが出ているか」は分けて見ます。同じECサイトでも、検索語句ごとに異なるカテゴリーページが表示されているなら、分類を分ける仮説を立てやすくなります。一方、複数の競合が同じURLで両方の検索に対応しているなら、統合したページが成立する可能性も考えられます。

これはあくまで実務上の分析方法であり、Googleが公開している判定基準ではありません。「上位10件中何件が違えば必ず分割する」といった機械的なルールにはせず、ページの内容と商品の違いまで確認する必要があります。

SEOでページを分けた方がよいのは、どのような場合か

ページ分割の判断では、「別のキーワードがあるか」よりも、「別のページを作るだけの役割があるか」を確認します。ここからは、その判断を具体化するための実務上の基準です。

探している商品群や、選ぶための条件が異なる場合

最も分かりやすいのは、検索者が求める商品群に違いがあるケースです。

例えば、キャビン型スクーターと屋根付きの開放型スクーターで、掲載すべき商品がある程度異なり、比較項目も変わるなら、それぞれに売り場を用意する意味があります。キャビン型のページでは囲われる範囲や乗降性を中心に比較し、キャノピー型のページでは屋根の仕様や着脱のしやすさを中心に比較する、といった違いを作れるからです。

ここで必要なのは、商品群が完全に重複しないことではありません。一部の商品が両方のカテゴリーに属することは考えられます。重要なのは、そのカテゴリーに掲載する理由や、選び方の基準を説明できることです。

「同じ商品が一つでも載っていたら重複」という判断ではなく、ページ全体として別の買い物を支援しているかを見ます。

求めている行動が異なる場合

同じ商材に関する検索でも、「商品を買いたい」「使い方を知りたい」「部品だけ買いたい」「修理方法を確認したい」では、必要なページが違います。

例えば、「mobility scooter with canopy」が完成車の購入を意味するのか、キャノピーだけの購入を意味するのかは、重要な違いです。後付けパーツを探している人に完成車のカテゴリーページを用意しても、その人の目的を満たせないかもしれません。

この場合の改善策は、単に似たカテゴリーを二つに分けることではなく、完成車カテゴリーとアクセサリーカテゴリーを分けることかもしれません。あるいは、取り付け可否を確認するガイドが必要なのかもしれません。

つまり、「検索語句が違うから別ページ」というより、検索した後に、その人が何をできる必要があるかによってページを設計するという考え方です。

独立したページとして、十分な判断材料を提供できる場合

専用ページを作るなら、タイトルと冒頭の数行だけではなく、そのページ固有の判断材料を用意したいところです。

対象商品の選定理由、比較に必要な仕様、購入前の注意点、向いている利用シーン、実際に確認した写真、よくある質問など、そのカテゴリーだからこそ必要になる内容があるかを確認します。

Googleの「ユーザーを第一に考えたコンテンツ」のガイドでは、読者が目的を達成するのに十分な情報を得られるか、満足できる体験になるか、といった観点が示されています。ページを独立させるかどうかを判断するときにも、この視点は参考になります。

説明を長くすること自体が目的ではありません。「この売り場を見れば、自分に合う商品を選べる」と思えるだけの情報があるかどうかが重要です。

検索以外から訪れた人にも、その分類が役立つ場合

判断に迷うなら、次のように考えてみると整理しやすくなります。

「Google検索から人が来なくても、サイト内メニューにこのカテゴリーを置きたいだろうか。」

例えば、商品一覧を見ている人が「キャビン型だけに絞りたい」「屋根付きの開放型だけを比較したい」と考えるなら、その分類には検索以外の価値もあります。逆に、検索エンジン向けの入口としてしか存在理由を説明できないなら、独立したカテゴリーとして本当に必要かを見直した方がよいでしょう。

これはGoogleの公式な判定式ではなく、私がページの必要性を考える際に使う実務上の問いです。検索順位のために無理に分類を増やすのではなく、購入者が商品を探すために必要な分類を作る。その順序を守ると、ページの役割が明確になります。

反対に、ページをまとめた方がよいケース

同義語や表記の違いにすぎない場合

「屋根付きスクーター」と「スクーター 屋根付き」のような語順の違いや、同じ商品を指す一般名と別名の違いだけで、ページを分ける必要はないでしょう。

例えば、「Web広告運用代行」と「ネット広告運用代行」について、提供サービスも料金も実績も相談内容も同じなら、二つのサービスページを用意する意味は薄いかもしれません。一つのページで、顧客が使う言葉を自然に取り入れながら説明する方が分かりやすい場合があります。

ただし、言葉が似ているから必ず同じ意図だとも限りません。「レンタル」と「購入」、「完成品」と「部品」、「法人向け」と「個人向け」のように、少しの違いが大きな条件差になることもあります。語句の似ている度合いではなく、利用者の目的で判断することが大切です。

一つの検討行動の中で、まとめて確認したい情報の場合

「価格」「サイズ」「選び方」「注意点」は、異なるキーワードになり得ます。しかし、それらが一つの商品を購入するために続けて確認したい情報なら、同じページ内に整理することも合理的です。

例えば、カテゴリーページに商品一覧を置き、その下に選び方や比較項目をまとめる構成です。説明が非常に長くなる場合は、概要をカテゴリーページに残し、詳しいガイドへリンクする方法も考えられます。

ここで避けたいのは、「別のキーワードが見つかったので、既存ページからその説明をすべて切り出す」という機械的な作業です。ページ分割によって、購入者がその場で知りたい情報まで失われてしまうと、使い勝手を悪くするかもしれません。

新しいページの中身が、既存ページとほぼ同じになる場合

別ページを作ろうとしても、商品一覧も説明もほぼ同じになるなら、分割の必要性を再検討します。

Googleは、サイト内に重複コンテンツがあること自体は通常起こり得るもので、それだけでスパムポリシー違反ではないと説明しています。一方、重複・類似したページについては正規URLが選ばれるため、類似ページを増やしたことが、そのまま検索上の露出増加につながるとは限りません。

また、似た検索語句を狙うために、独立した価値の乏しい入口ページを作る行為は、設計や実態によっては誘導ページの不正使用に近づきます。Googleは、検索向けに作られた類似ページから、実際に役立つ別の場所へ誘導するような構造を問題にしています。正当なカテゴリー分けと、検索入口だけを増やす行為は区別しなければなりません。

ページを分ける前に、Search Consoleで調べること

今回のように、既存ページが既に二つのキーワードで検索結果の上位に出ているなら、まずは現在の役割を確認します。二つのキーワードだけを見て変更すると、それ以外の検索流入を見落とす可能性があるためです。

既存URLが、どのような検索を受け止めているかを見る

Search Consoleの検索パフォーマンスレポートでは、クリック数、表示回数、CTR、平均掲載順位を確認でき、ページやクエリなどの単位でデータを整理できます。まずは対象URLに絞り込み、そのページに対応している検索語句を確認します。

私なら、直近の数か月を出発点にし、必要に応じて期間を延ばしたり、前年の同時期と比較したりします。販売対象国や端末によって傾向が異なりそうなら、それらも分けて見ます。

確認したいのは、「enclosed」と「canopy」のどちらで流入が多いかだけではありません。商品名、比較、価格、アクセサリーなど、ほかにどのような検索を受け止めているかも整理します。

仮に、既存URLが「enclosed」の検索から大半の流入を得ているなら、その役割を維持したまま「canopy」向けのページを追加する案を考えやすくなります。一方、広い商品群を探す検索を多く受け止めているなら、既存ページを一方の狭いカテゴリーへ変更することには慎重であるべきです。

キーワード側から、どのURLが表示されているかを見る

次に、クエリ側から確認します。Googleの公式ヘルプでは、クエリを選択してフィルタをかけ、その後「ページ」タブを見ることで、その検索に表示されたURLを確認できると説明されています。

ここで、同じ検索語句に複数のURLが表示されているのか、既に別のページが役割を担っていないか、想定外のページに流入していないかを調べます。

例えば、新しく作ろうとしている「canopy」向けページに近い内容が、既にアクセサリーカテゴリーや商品ガイドとして存在しているかもしれません。その場合、さらにページを増やすより、既存の該当ページを改善した方が整理しやすい可能性があります。

分析の中心になるのは、「キーワードの一覧」と「ページの一覧」ではなく、どの検索語句に、どのURLが対応しているかという組み合わせです。

Pages.csvとQueries.csvを、対応関係があるデータだと思い込まない

ここは実務上、注意したい点です。

サイト全体のページ別集計とクエリ別集計を別々に書き出しても、その二つだけでは、どのクエリがどのページに対応したかを正確に復元できません。それぞれが独立した合計値だからです。

ページを指定した状態でクエリを見るか、クエリを指定した状態でページを見るなど、対応関係を保った形で確認する必要があります。AIに分析を依頼する場合も、この対応関係が失われたデータから、正確なキーワードとURLの割り当てを推測させてはいけません。

また、Search Consoleではプライバシー保護などの理由で表示されないクエリがあり、すべての検索語句が一覧に出るわけではありません。多くのパフォーマンスデータは正規URLに集約されるため、表示されたURLの数字だけで判断しにくい場合は、正規URLの状態も確認します。

このスクーターの事例を改善するなら、三つの設計案を比較する

ページ分割の方法は、「既存ページをAに変更し、新規ページをBとして作る」だけではありません。既存ページの役割によって、適切な設計は変わります。

設計案A:既存ページをキャビン型に整理し、キャノピー型を新設する

既存ページの商品構成や検索流入が、もともと「enclosed mobility scooter」に強く寄っているなら、この案は検討しやすいでしょう。

既存ページでは、キャビン型を探す人に必要な商品一覧と比較情報を中心に整理します。新しいページでは、屋根付き・キャノピー型を探す人に必要な商品一覧と説明を用意します。

ここで、「enclosed」に特化するために「canopy」という単語をすべて削除する必要はありません。両者の違いを説明したり、別カテゴリーへ案内したりする文脈なら、関連する言葉が出てくるのは自然です。

ページの役割を絞ることと、関連語を排除することは別です。

タイトルも、キーワードを大量に並べるのではなく、何を選べるページかが分かる形にします。例えば、内容が伴っていることを前提として、既存ページを「Enclosed Mobility Scooters|キャビン型モデルを比較」、新設ページを「Mobility Scooters with Canopy|屋根付きモデルを比較」といった方向で整理できます。

Googleはタイトルについて、内容を具体的かつ簡潔に説明し、不必要な反復やキーワードの詰め込みを避けるよう勧めています。タイトルだけを変えるのではなく、商品一覧、主見出し、説明との整合性も取ります。

設計案B:既存ページを総合カテゴリーとして残し、下位カテゴリーを作る

既存ページが幅広い商品を探す人の入口として機能しているなら、総合カテゴリーとして残す案もあります。その下に、キャビン型とキャノピー型のカテゴリーを設ける考え方です。

総合ページでは、両者の違いや選び方を説明し、まだ種類を決めていない人を適切な売り場へ案内します。下位カテゴリーでは、それぞれの商品を詳しく比較できるようにします。

ただし、ページが三つになること自体に価値があるわけではありません。総合ページが単に二つのリンクを置いただけで、独自の役割を持たないなら、構造を増やしすぎている可能性があります。

「どのタイプを選ぶか決めるページ」と「選んだタイプの中で商品を比較するページ」という違いを作れるかがポイントです。

GoogleのECサイト構造に関するガイドでは、カテゴリーから下位カテゴリー、下位カテゴリーから商品ページへとリンクする構造が紹介されています。ページを増やす場合も、サイト内の自然なナビゲーションの一部として設計します。

設計案C:ページは分けず、商品分類と説明を改善する

調査した結果、二つの検索が実質的に同じ商品群を求めているなら、ページを分けない判断もあります。

その場合は、既存ページの中でキャビン型とキャノピー型の違いを説明したり、商品一覧に分かりやすい分類を付けたり、比較項目を整理したりします。必要に応じて、ページ内の見出しや絞り込み機能で探しやすくする方法も考えられます。

「新しいページを作らないとSEO施策にならない」と考える必要はありません。今回の課題が、商品分類の分かりにくさや説明不足にあるなら、既存ページの改善で解決できる可能性があります。

三つの案のうち、どれが正解かは、事例で紹介された情報だけでは決められません。しかし、少なくとも「二つのキーワードだから二つのURL」という発想より、既存ページの役割と購入者の行動を踏まえた判断になります。

ページ分割で失敗しないための技術的な注意点

独立させたいページのcanonicalを、元ページへ向けない

新しくカテゴリーを作ったのに、そのページのcanonicalが元ページを指したままになっているケースには注意が必要です。

canonicalは、重複・類似ページの中で、どのURLを代表として扱ってほしいかを伝えるためのものです。Googleは、canonicalの指定を正規URL選択の強いシグナルと説明しています。ただし、指定が必ず採用されるわけではありません。

したがって、独立した検索入口として育てたいページBから、別のカテゴリーAへcanonicalを向ける設計は、目的と矛盾する可能性があります。

一方で、自己参照canonicalを設定すれば、内容がほぼ同じでも必ず独立して評価される、ということでもありません。技術設定だけでなく、実際に異なる役割を持つ内容になっている必要があります。

新しいカテゴリーを、サイト内で孤立させない

新規ページを公開しただけで、メニューや関連ページからリンクされていなければ、利用者もそのページへたどり着きにくくなります。

Googleは、ECサイトの構造を理解する際、URLの文字列だけではなく、ページ間のリンク関係を分析すると説明しています。カテゴリーを独立させるなら、総合カテゴリー、関連ガイド、商品ページなどから、必要な文脈でリンクすることも設計に含めます。

例えば、「側面が開いた屋根付きモデルを比較したい方はこちら」といった案内なら、リンク先へ移動する理由が分かります。単に検索語句を並べたリンク集にするのではなく、買い物の途中で必要になる移動として設置します。

URLを変えることと、ページの役割を変えることを混同しない

内容を整理するために、必ずURLまで変更する必要があるとは限りません。私なら、既存URLがそのまま使える場合は、不要な変更を増やさず、内容と内部リンクの整理を優先します。

URLを変更する場合は、旧ページと新ページの対応を決め、適切なリダイレクトを設定します。Googleのサイト移転ガイドでも、URL変更時の対応関係やリダイレクト、変更後の監視が重視されています。

なお、一つの旧URLを二つの新URLへ、通常のリダイレクトで同時に引き継がせることはできません。旧ページを総合入口として残すのか、内容が最も近い後継ページへ移すのかを判断する必要があります。

「ページを二つに分けたので、元の評価も都合よく二つに分かれる」とは考えない方がよいでしょう。

絞り込み条件をすべて公開カテゴリーにしない

カテゴリーページを細分化し始めると、色、価格、サイズ、屋根の有無など、あらゆる条件の組み合わせにURLを作りたくなることがあります。

しかし、Googleは、ファセットナビゲーションによって大量のURLが生成されると、過剰なクロールや重要な新規ページの発見の遅れにつながり得ると説明しています。

そのため、検索入口として独立させるカテゴリーと、サイト内の買い物を補助するだけの絞り込み条件を分けて考えます。クロールの制御、インデックスの制御、重複の整理はそれぞれ目的が異なるため、すべてを一つの設定で済ませようとしないことも重要です。

「キーワードのカニバリゼーション」は、同じ言葉があるだけで判断しない

ページ分割の話では、「カニバリゼーション」という言葉がよく登場します。ここでは、複数のページの役割が重なり、意図した検索語句とURLの対応がうまく整理されていない状態を指す、実務上の診断用語として考えます。

ただし、同じキーワードが複数ページに書かれていることや、一つの検索で複数URLに表示実績があることだけで、問題が起きているとは断定できません。

例えば、商品カテゴリーページと詳しい選び方ガイドが、同じ商品名を含むのは自然です。両方が別の役割を果たしているなら、単語が共通していること自体を恐れる必要はありません。

私なら、次のような状況が実際に起きているかを確認します。購入用ページを用意したのに別のページばかりが表示されていないか、よく似たページを作った後に対象ページ群の合計クリックが減っていないか、ページごとの説明や商品構成に明確な違いがあるか、といった点です。

ここで重要なのは、URLが入れ替わったという現象と、事業上の損失が発生していることを区別することです。ページが入れ替わっていても、対象全体の流入や購入が改善しているなら、単純に失敗とはいえません。

逆に、本当に同じ内容を持つ重複ページなら、整理や統合を検討します。Googleは、重複・類似ページの正規化によって、リンクなどのシグナルを代表URLへ統合できると説明しています。ただし、これは重複を整理するための仕組みであり、異なる役割を持つページまで一律に統合する理由にはなりません。

「ページを分けるだけで月4万ドル増収」は、どのように考えるべきか

今回の事例では、関連キーワードの月間検索数が合計3,000件以上、平均注文額が5,000〜7,000ドルで、両方のキーワードで1位を取れば月間4万ドルの追加売上が期待できると説明されています。

高い平均注文額の商品では、少数の追加注文でも売上額が大きくなることは、計算上そのとおりです。しかし、「検索数」と「平均注文額」だけでは、追加売上を求めることはできません。

必要なのは、施策後の売上ではなく、施策前との差額

売上を考えるときは、まず次のように分解します。

自然検索売上=自然検索からの訪問数×購入率×平均注文額

そして、施策の効果として見たいのは、施策後の売上全体ではなく、施策前から増えた分です。

増分売上=施策後の自然検索売上−施策前の自然検索売上

この事例のページは、紹介された時点で既に両方のキーワードで1ページ目に表示されています。つまり、現状でも流入や注文がある可能性があります。1位になった後に得られる売上を、すべて新規の成果として数えてはいけません。

月4万ドルという数字が成立する仮定を置いてみる

ここでは計算の仕組みを示すため、月間検索数を3,000回、改善前のクリック率を5%、改善後を20%と仮定します。さらに、簡略化のためクリック数と訪問数を同じとみなし、購入率を1.5%、平均注文額を6,000ドルとします。

この場合、追加クリック数は次のようになります。

3,000回×(20%−5%)=450クリック

追加注文数の期待値は、450訪問×1.5%で6.75件です。そこに平均注文額6,000ドルを掛けると、追加売上の期待値は40,500ドルになります。

つまり、一定の前提を置けば、月4万ドル程度の増収という計算は成立します。しかし、これは今回のサイトで確認された予測ではありません。クリック率、購入率、平均注文額が仮定どおりであることに加えて、ほかのページの流入や売上を奪っていないことなども前提になります。

また、この20%というクリック率は、「検索1位なら必ず20%になる」という意味ではありません。計算例のために置いた仮定です。

別の仮定として、クリック率が5%から12%へ改善し、購入率が0.5%、平均注文額が6,000ドルだった場合を考えてみます。追加訪問は210、追加注文の期待値は1.05件、追加売上は6,300ドルです。同じ月間検索数でも、前提を変えると結果は大きく変わります。

SEOの売上予測で重要なのは、魅力的な数字を出すことではなく、その数字がどの条件で成立するのかを説明できることです。

検索ボリュームの合算にも注意する

月間検索数3,000件という数字も、対象国、集計期間、データの取得元を確認したいところです。

Google広告のキーワードプランナーでは、月間平均検索ボリュームについて、指定した地域や期間などに基づく、キーワードと類似パターンの検索回数の平均と説明されています。そのため、類似語がどのように集計されているかを確認せず、表示された数値を単純合算すると、需要を重複して見積もるおそれがあります。

加えて、検索回数はユニークな購入者数ではありません。同じ人が比較のために複数回検索することも想定する必要があります。

事業上は、増分売上だけでなく、粗利と運用負荷も確認します。例えば、増分売上40,500ドルに対して粗利率を仮に20%と置くなら、粗利は8,100ドルです。そこから追加の制作・保守・対応費用などを考える必要があります。この20%も実例の数値ではなく、売上と利益を区別するための仮定です。

ページ分割の成果は、「順位が上がったか」だけで判断しない

まず、公開したページが正しく処理されているかを確認する

ページを分けた後は、いきなり順位だけを見ず、想定したURLがクロールされ、インデックスされているか、意図しない正規化や設定ミスがないかを確認します。

Googleは、再クロールには数日から数週間かかる場合があり、クロールをリクエストしても、即座の検索掲載や掲載そのものが保証されるわけではないと説明しています。公開直後の数日だけで、ページ分割の成否を判断するのは早すぎます。

ただし、この期間は再クロールに関する目安であり、「数週間で施策の最終成果が確定する」という意味ではありません。データ量や検索需要によって、比較に必要な観察期間は変わります。

新規ページだけではなく、対象ページ群の合計を見る

新規ページのクリックが増えても、その分だけ既存ページのクリックが減っていれば、サイト全体ではほとんど増えていない可能性があります。

したがって、旧ページ、新規ページ、関連する既存ページをまとめて、対象テーマの合計流入と成果を確認します。ページ単体の数字と、ページ群全体の数字を分けて評価するわけです。

順位についても、二つの代表キーワードだけではなく、関連する検索語句のまとまりを見ます。代表キーワードが少し上がっても、以前獲得できていた別の有望な検索が大きく減っているなら、改善とは言い切れません。

購入につながるかどうかは、アクセス解析や受注データで別途確認します。Search Consoleのクエリ別データと、ランディングページ別の購入実績は粒度が異なるため、特定の検索語句からの売上まで正確に分かったつもりにならないことも大切です。

改善しても、分割だけの効果と断定しない

ページ分割と同時に、商品一覧、説明、画像、タイトル、内部リンクを変えたとします。その後に成果が改善したとしても、ページ数を増やしたことだけが原因とは限りません。

GoogleのSearch Consoleヘルプでも、特定のページ変更がパフォーマンス改善の直接原因だったかを判断するのは難しく、競合の改善や外部の出来事など、別の要因が影響することがあると説明されています。

実務では、変更日と変更内容を記録し、可能なら似た条件で変更していないページ群も参考にします。これで完全な因果関係が証明できるわけではありませんが、単純な前月比だけで判断するより、検証の質を上げられます。

「専用ページを作ったら順位が上がった」という説明より、「商品分類、比較情報、内部リンクを含めて役割を整理した結果、対象ページ群の流入と購入が改善した」という説明の方が、実態に近いケースもあるでしょう。

EC以外でも使える、「分ける・まとめる」の考え方

今回の話は、スクーターやECサイトだけに限りません。サービスサイトやBtoBのSEOでも、同じ考え方を応用できます。

例えば、「Google広告運用代行」と「Meta広告運用代行」を考えてみます。媒体ごとに相談内容、提供範囲、実績、制作物、運用体制が異なるなら、それぞれ専用ページを作る意味があります。総合的な広告運用サービスページを残しながら、媒体別ページで具体的な比較・検討材料を提供する設計も考えられます。

ただし、媒体名だけを置き換えて、料金、説明、実績がすべて同じなら、ページを分ける理由は弱くなります。別ページにするなら、その媒体の支援を依頼する人が知りたいことに答える必要があります。

一方、「広告運用会社」と「広告運用代理店」のような表現については、検索結果や顧客の使い方を確認したうえで、同じ提供内容を指しているなら一つにまとめる判断が考えられます。言い換えの数だけサービスページを作ることが目的ではありません。

SEO支援でも同様です。「SEOコンサルティング」と「SEO記事制作」で、依頼したい仕事や契約範囲が違うなら、別ページにする意味があります。一方、「SEO対策会社」と「SEO会社」が同じ外注先探しを指しているなら、分ける必要はないかもしれません。

これは個別キーワードの検索結果を調査した結論ではなく、ページ設計の考え方を示す例です。どの業種でも、まず「何と検索するか」を調べ、その次に「その人に何を提供すべきか」を考える。この順番が重要になります。

参考にした主なGoogle公式ドキュメント

キーワードの考え方と乱用の区別

「SEOスターターガイド」と「Googleウェブ検索のスパムに関するポリシー」。複数の検索表現への対応と、不自然なキーワードの反復を区別する根拠として参照しています。

検索語句・ページ内容・ランキングの関係

「Google検索ランキングシステムのご紹介」と「ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」。検索語句と内容の理解、ページの有用性を考えるための資料です。

カテゴリーページの構造と重複の整理

「Googleが理解しやすいeコマースサイトの構造」「URL正規化とは何か」「正規URLを指定する方法」。内部リンク、カテゴリー階層、canonicalの判断に関する資料です。

検証と売上試算に使うデータの理解

Search Consoleの「一般的なタスクとユースケース」「ディメンションとデータのグループ化」、Google広告の「キーワードプランナーの予測について」。検索語句とURLの対応確認、データの制約、検索ボリュームの読み方を確認するために参照しています。

まとめ:SEOで重要なのは「1ページ1キーワード」ではなく、検索者に合ったページの役割

「一つのカテゴリーページが二つのキーワードを狙っている。だからページを分ければ、それぞれで1位を取れる」。この説明は分かりやすいものの、そのまま一般化することはできません。

今回の事例から得られる有益な視点は、記事を増やすことだけがSEOではなく、既存カテゴリーページの役割を見直すことにも改善余地がある、という点です。特に、異なる商品ニーズを一つの売り場に混在させているなら、分類を整理することで、検索者に合ったページを用意できる可能性があります。

しかし、その判断はキーワードの数だけではできません。複数の検索語句に一つのページで応えられる場合もあれば、一つの広い検索語句の周辺に、複数の役割を持つページが必要な場合もあります。

Googleは、検索者が使う言葉をタイトルや主見出しなどの分かりやすい場所で使うことを推奨しています。これは、検索語句を無視してよいという話でも、不自然に反復すべきだという話でもありません。内容を適切な言葉で説明することが基本です。

実務上、私が重視したいのは、次の考え方です。

キーワードごとにページを作るのではなく、検索者が必要としている売り場や説明ごとにページを作る。言葉が違うだけならまとめ、選びたい商品や判断材料が違うなら分ける。

そして、分けた後は新規ページだけでなく、既存ページを含めた合計の流入、購入、利益を確認します。

SEOの成果を左右する細部とは、キーワードを何回書くかだけではありません。どの検索ニーズを、どのURLが受け止め、そのページで何を比較でき、どのように購入や問い合わせへ進めるのか。その対応関係を丁寧に設計することです。

「ページを分けるだけで売上が増える」と考えるのではなく、検索者に合ったページへ再設計した結果として、検索と事業の成果が改善するかを検証する。 この考え方の方が、ほかの商材やサイトにも応用できるSEOのノウハウになります。