広告費は、その会社にとっての『防衛予算』みたいなモンEC広告を完全に止めるべきか、薄くても回し続けるべきか

零の坂井です。

今日のブログでは、ちょっと前にお客様から頂いた以下のような質問に対してのアンサーをメルマガにしたいと思いました!

『今月分の広告費は、いったん上限を決めて〇〇円で止めたいです。ただ最低限回し続けることにメリットがあるのであれば、その分は出したいと考えています。広告は完全に止めるべきか、それとも薄くでも回した方がよいのでしょうか?』

これは、EC事業者様からかなりよくいただく質問の一つ、ですので今日のブログでは、これに対しての情報発信をしようと思います!

01結論

私は広告費は完全に止めるよりも、通年を通して最低限でも薄く回し続けた方が良いと考えています。

もちろん、常に大きな広告費を使い続けるべき、という話ではありません。

繁忙期と閑散期で予算に強弱をつけるのは当然です。
売上が取りやすい時期に広告費を寄せるのも、非常に合理的です。

ただし、広告を完全に止めてしまうのは、かなりリスクがあります。

なぜなら、広告費は単なる「売上獲得のための費用」ではなく、会社にとっての防衛予算のようなものでもあるからです。

02広告費は会社にとっての「防衛予算」のようなもの

広告は、売上を獲得するためだけのものではありません。

ECにおいては、自社の商品やブランドを市場に出し続けるための防衛予算のような役割があります。

広告を完全に止めると、短期的には広告費を抑えられます。しかし、その間にも競合は広告を出し続けています。

たとえば、簡単な一例を出せば、自社のブランド名や商品名に近いキーワードで検索された時に、自分たちで指名KWに対して入札してなければ、必ずそこには競合の広告が表示されます。これだけで、本来であれば、自社の商品を買ってくれたかもしれないユーザーが、検索結果やSNS広告をきっかけに、競合商品へ流れてしまうリスクを孕んでいます。

ですので広告を止めるということは、単に広告費を削るということではありません。

  • 市場の中で、自社の露出を減らす。
  • 比較検討の候補から外れやすくなる。
  • ユーザーの記憶から少しずつ薄れていく。

そういうリスクを常に孕んでいます。だからこそ、特に小売・ECでは、通年を通して最低限の接点は残しておくべきだと考えています。

03ペルソナごとに予算を張り続けることで、市場の変化を資産として積み立てられる

EC広告の価値は、売上だけではありません。

広告を回し続けることで、市場の反応データを蓄積できます。

たとえば、

  • どの商品に反応しているか
  • どの商品に反応していないか
  • どのペルソナが購入しているか
  • 逆に、どのペルソナの反応が弱くなっているか
  • どの訴求が今も効いているか
  • どの訴求が反応しなくなってきているか
  • クリック単価やCVRがどう変化しているか
  • 季節要因によって、どの商品が伸び始めているか
  • 次の需要期に、どの商品やクリエイティブへ予算を寄せるべきか

こうした情報を継続的に把握できます。

これは、ビジネスの意思決定に大きな影響を与えます。

たとえば、次の繁忙期に向けて広告費を増やすとしても、何もデータがない状態でいきなり予算を増やすのと、事前に少額でも回しながら反応を見ておくのとでは、精度がまったく変わります。データなき広告費の投下は、集客の効率を物凄く悪くさせるリスクが急上昇します。

  • どの商品を前面に出すべきか。
  • どのペルソナに寄せるべきか。
  • どのクリエイティブを増やすべきか。
  • どの媒体に予算を寄せるべきか。

最近のデータを使って意思決定できるのであれば集客の効率を高められる打率が物凄く上がります。そそして、これらのデータは、いきなり集めることはできません。

だからこそ、ペルソナごとに少額でも予算を張り続け、市場の変化を資産として積み立てていくことが重要です。その意味で、広告代理店に求められる役割も、単に広告管理画面を操作することではありません。

  • 「今、どのペルソナが動いているのか」
  • 「どの商品に反応が出ているのか」
  • 「次の需要期に、どこへ予算を寄せるべきか」

こうしたデータを継続的に納品し、事業判断に活かせる形で伴走することが重要だと考えています。

04デジタル媒体の最適化が止まると、再開時に無駄が出やすい

Google広告やMeta広告などのデジタル媒体は、配信を続ける中で学習していきます。

  • どのユーザーが購入しやすいのか。
  • どのクリエイティブが成果につながりやすいのか。
  • どの商品がクリックされやすいのか。
  • どの配信面でCVが発生しやすいのか。

こうした学習を積み重ねながら、広告配信は最適化されていきます。

もちろん、広告を止めたからといって、すべてのデータが完全にゼロになるわけではありません。
過去データが一定残る部分もあります。

ただし、配信状況、市場環境、競合状況、ユーザー行動は時間とともに変化します。

そのため、長期間広告を止めた後に再開しても、以前と同じ成果がすぐに出るとは限りません。

需要期に広告費を増やしたとしても、最初の数週間が再学習期間のようになってしまい、広告費の効率が悪くなる可能性があります。

これは、非常にもったいないです。

せっかく売上を取りにいきたい時期に、媒体側の学習が立ち上がっておらず、広告費の一部が再学習に使われてしまう。

だからこそ、売上獲得目的ではない時期でも、最低限の配信を継続し、媒体の学習と市場データを残しておくことに意味があります。

05広告費を止めると、将来的に売上やシェアが減るデータもある

広告を止めた影響は、すぐには見えにくいです。

広告を止めた直後は、既存顧客や過去の認知の蓄積によって、売上が大きく落ちないこともあります。

しかし、中長期で見ると、新規顧客との接点が減り、ブランド想起が弱まり、競合への乗り換えが進む可能性があります。

実際に、Ehrenberg-Bass Instituteの研究をもとにしたJournal of Advertising Research掲載論文「When Brands Go Dark」では、広告を停止したブランドは平均して、

  • ・1年後:売上 約16%減少
  • ・2年後:売上 約25%減少
  • ・3年後:売上 約36%減少

という傾向が示されています。

※出典:Ehrenberg-Bass Institute / Journal of Advertising Research
「When Brands Go Dark: Examining Sales Trends when Brands Stop Broad-Reach Advertising for Long Periods」

もちろん、すべてのブランドに同じように当てはまるわけではありません。

ブランドの規模、既存顧客数、指名検索の強さ、リピート率、商品力によって影響は変わります。

ただし、広告を止めることは、単に広告費を削減するだけではありません。

  • 将来の売上機会を減らす。
  • 市場での存在感を弱める。
  • 競合に顧客を奪われやすくする。
  • 再開時の立ち上がりを悪くする。

こうしたリスクも含んでいると考えた方がよいです。

特に中小規模のECブランドの場合、大手ブランドのように自然想起や指名検索だけで流入を維持することは簡単ではありません。

だからこそ、完全停止の影響は相対的に大きくなりやすいです。

06通年の予算感

では、通年でどれくらい広告費を残すべきなのか。

これは本来、ビジネス全体でどれくらいのお金が動いているのか、LTV、粗利率、リピート率、繁忙期と閑散期の売上差、既存顧客比率などを見ながら精緻に設計する必要があります。

ただ、私の肌感覚としては、中小規模のECや、実店舗をいくつか運用できるレベルの会社様であれば、最低限の広告予算として月20万円〜30万円程度、少なくとも月10万円は確保できる、すべきと思っています。

広告費を大きく使う時期と、薄く回す時期を分ける。
でも、完全には止めない。

この考え方が、EC広告では非常に大切です。

07まとめ

EC広告は、売上を取りにいくためだけのものではありません。

  • 競合から顧客を守るため。
  • 市場の変化を見続けるため。
  • 媒体の学習を止めないため。
  • 次の需要期に向けた判断材料を蓄積するため。
  • 将来の売上機会を失わないため。
広告費は、会社にとっての防衛予算です。

「完全に止める」の前に、まず相談してください。

運用型広告代理店「でもやるんだよ」は、繁忙期と閑散期で予算に強弱をつけながら、防衛予算としての最低限の配信・媒体学習・市場データを止めない通年設計を一緒に組み立てます。広告費を完全に止めるべきか、薄く回し続けるべきか——まずは無料相談から。

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