Google広告のアカウント停止はなぜ起きるのか広告の不承認との違い、多い停止理由、LPが原因になるケース、停止時の初動と異議申し立ての進め方
Google広告には、掲載できる内容についてのポリシーがあります。これに反していると判断されると、広告が配信されなくなります。このとき起きる状態には段階があり、広告単位で止まる「不承認」と、アカウント全体が止まる「アカウント停止」は別物です。この違いを取り違えると、対応を誤ります。
アカウント停止が怖いのは、金額の問題ではなく事業が止まることです。問い合わせの大半を広告から得ている事業では、停止された翌日から新規の流入がゼロになります。そして、いつ再開できるかは自分では決められません。
この記事では、不承認とアカウント停止の違いから始めて、実務でよく見る停止理由、LP側が原因になるケース、停止されたときにまず何をすべきか、異議申し立ての進め方、そして日頃の予防までを順番に整理します。停止されてから調べるのでは遅い内容なので、今のうちに確認しておくための材料としてまとめました。
- 1. 「不承認」と「アカウント停止」は別物
- 2. 配信が止まる状態には段階がある
- 3. 広告ポリシーは何を見ているのか
- 4. よく見る理由1:事業内容が確認できない
- 5. よく見る理由2:制限のある業種・表現
- 6. よく見る理由3:支払い・請求まわり
- 7. LP側が原因になるケース
- 8. アカウント開設直後に起きやすいこと
- 9. 停止されたときの初動
- 10. やってはいけない対応
- 11. 異議申し立ての進め方
- 12. 停止中に事業を止めないための準備
- 13. 予防:月次で確認する項目
- 14. サイト側で整えておくこと
- 15. アカウントの所有権と権限管理
- 16. 代理店に任せている場合の確認事項
- 17. よくある誤解
- 18. 復旧までのタイムラインと、その間の動き方
- 19. Yahoo!広告・Meta広告でも同種のリスクはある
- 20. 社内に「広告表現ルール」を1枚作っておく
- 21. まとめ
- 22. 関連記事
- FAQ. よくある質問
01「不承認」と「アカウント停止」は別物
まず状態を正確に把握することが最初の一歩です。管理画面に赤い表示が出ていても、それが何を指しているかで対応が変わります。
| 不承認 | アカウント停止 | |
|---|---|---|
| 止まる範囲 | 該当する広告・キーワードなど個別の単位 | アカウント全体 |
| 他の広告 | 問題がなければ配信は継続 | すべて停止 |
| 対応 | 該当箇所を修正して再審査 | 原因の特定と異議申し立て |
| 復旧の目安 | 修正後、数時間〜1営業日程度 | 数日〜2週間、場合により復旧しない |
| 事業への影響 | 限定的 | 広告経由の流入が全て止まる |
不承認は日常的に発生します。表記が引っかかった、審査が自動で厳しめに判定した、といった理由で、修正すれば戻ります。慌てる必要はありません。問題は、不承認を放置し続けた結果としてアカウント全体の評価に影響するケースと、最初からアカウント単位で止まるケースです。
02配信が止まる状態には段階がある
実務で遭遇する状態を、影響範囲の小さい順に並べると次のようになります。
| 状態 | 内容 | 対応の起点 |
|---|---|---|
| 審査中 | 広告を作成・編集した直後 | 待つ(通常1営業日以内) |
| 制限付きで承認 | 一部の地域・条件でのみ配信 | 制限理由を確認。必要なら証明書類を提出 |
| 不承認 | 該当の広告・キーワードが配信停止 | ポリシーを確認して修正、再審査 |
| キャンペーン・広告グループの停止 | まとまった単位で停止 | 共通する原因を探す |
| アカウント停止 | アカウント全体が停止 | 通知内容を確認し、異議申し立て |
「制限付きで承認」は見落とされやすい状態です。配信自体は続いているため気づきにくいのですが、特定の地域や条件に限定されているため、想定より配信量が伸びません。管理画面のポリシーマネージャーで、制限が付いている広告がないかを定期的に確認してください。
03広告ポリシーは何を見ているのか
Google広告のポリシーは、大きく4つの領域に分かれています。細かい条文を全部覚える必要はありませんが、どの領域で見られているかを把握しておくと、審査の判断が理解しやすくなります。
| 領域 | 見ているもの | 実務での注意点 |
|---|---|---|
| 禁止されているコンテンツ | そもそも広告掲載できないもの | 取り扱い商材が該当しないかを事前に確認 |
| 禁止されている行為 | 審査や仕組みに対する不適切な行為 | 広告とLPで見せる内容を変えるといった運用をしない |
| 制限付きのコンテンツ | 条件を満たせば掲載できるもの | 医療、金融、アルコールなど。認定や証明が必要な場合がある |
| 編集基準と技術要件 | 表記や遷移先の技術的な要件 | 過度な記号、リンク切れ、遷移できないURLなど |
ポリシーの原文は Google 広告ヘルプで公開されています。停止や不承認の通知には、該当するポリシー名が記載されているので、まずその項目の原文を読むところから始めてください。推測で修正すると、的外れな変更を繰り返すことになります。
04よく見る理由1:事業内容が確認できない
実務で最も多く遭遇するのが、事業の実態や取引条件が広告・サイトから確認できないと判断されるケースです。通知には「不実表示」に関するポリシー名が記載されることがあります。
この判断は、意図的に虚偽を書いた場合だけでなく、必要な情報が単に足りない場合にも起こります。悪意がなくても該当しうる、というのがこの領域の難しいところです。
確認される情報の例
- 事業者情報:会社名、所在地、連絡先がサイト上で確認できるか
- 提供内容:何を提供しているのかが明確に書かれているか
- 料金と条件:費用、支払い方法、解約や返金の条件が分かるか
- 広告とページの一致:広告で書いた内容が、遷移先に実際に書かれているか
- 法定表記:特定商取引法に基づく表記など、業態に応じて必要な記載があるか
「サイトを作ったばかりで会社概要ページがない」という状態は、それだけでリスクになります。LP1枚だけで広告を始める場合でも、運営者情報、連絡先、料金、プライバシーポリシー、必要に応じて特定商取引法に基づく表記へのリンクを用意してください。これらは審査のためだけでなく、問い合わせる側の信頼にも直結します。
05よく見る理由2:制限のある業種・表現
業種によっては、掲載自体に条件が付きます。該当する場合、認定の取得や証明書類の提出が必要になることがあります。
| 領域 | 注意される点 |
|---|---|
| 医療・健康関連 | 効果や効能の表現、比較や体験談の扱い。薬機法との関係も併せて確認が必要 |
| 金融・投資 | 登録・認定の要件、リターンに関する表現、リスクの表示 |
| 人材・求人 | 労働条件の表示、対象者の限定に関する表現 |
| 不動産 | 物件情報の正確性、おとり表示の回避 |
| 美容・ダイエット | ビフォーアフター表現、体型に関する表現 |
| アルコール・ギャンブル等 | 地域・年齢に関する制限、認定の要否 |
これらの領域では、広告ポリシーだけでなく国内の法規制も併せて確認する必要があります。景品表示法、薬機法、特定商取引法など、広告表現に関わる法律は複数あります。表現の可否について判断が難しい場合は、社内の法務や専門家に確認したうえで進めてください。
制限のある業種で運用する場合、審査に通った表現を社内で記録しておくと運用が安定します。「この見出しは不承認になった」「この言い回しは通った」を蓄積しておけば、担当者が変わっても同じ失敗を繰り返しません。入稿前のチェック手順はExcelで広告入稿確認を効率化する方法にまとめています。
06よく見る理由3:支払い・請求まわり
ポリシー違反ではなく、支払い関連で配信が止まることもあります。こちらは比較的復旧しやすい部類ですが、気づくのが遅れると数日分の機会を失います。
- クレジットカードの有効期限切れ
- 利用限度額の超過による決済失敗
- 登録情報と実際の請求先の不一致
- お支払い基準額に達した際の決済エラー
- 請求先住所や事業者情報の確認要求への未対応
特に多いのがカードの有効期限切れです。年に一度は必ず来る話なので、更新月をカレンダーに入れておくだけで防げます。また、支払い方法を1つしか登録していないと、その1つが失敗した時点で止まります。予備の支払い方法を登録しておくと安全です。
請求額と管理画面の数字が合わないという別種の問題もあります。こちらはGoogle広告の費用が合わない時の対処法で扱っています。
07LP側が原因になるケース
審査は広告文だけでなく、遷移先のページも対象になります。広告を一切変えていないのに突然不承認になった場合、サイト側で何かが変わっている可能性があります。
| サイト側で起きたこと | 審査への影響 |
|---|---|
| ページを削除・URLを変更した | リンク切れとして不承認 |
| SSL証明書が失効した | 安全でないサイトとして判定される可能性 |
| 料金や条件の記載を削除した | 情報不足として指摘の対象になりうる |
| サイトが一時的に落ちていた | 審査タイミングによっては不承認 |
| 会社概要ページを非公開にした | 事業者情報が確認できない状態になる |
| ポップアップや自動遷移を追加した | ユーザー体験に関するポリシーに触れる可能性 |
サイト改修は、必ず広告側と事前に共有してください。制作側はSEOや見た目を基準に判断するため、広告審査への影響を意識していないことがあります。URLの変更、ページの統廃合、会社情報の移動は、広告の遷移先に直接影響します。
08アカウント開設直後に起きやすいこと
新しく開設したアカウントは、実績が無いぶん審査が慎重になる傾向があります。開設直後の停止は、次のような状況で起きやすくなります。
- サイトが公開されたばかりで、会社情報や実績の記載が薄い
- LP1枚だけで、運営者情報や問い合わせ先が確認できない
- ドメインを取得したばかりで、サイトの内容がまだ整っていない
- 過去に停止された関連アカウントがある
- 登録した事業者情報とサイトの記載が一致していない
広告を始める前に、サイト側を整えておくほうが結果的に早く進みます。会社概要、料金、プライバシーポリシー、問い合わせ先。この4つが揃っているだけで、審査で確認される内容の大半はカバーできます。「まず広告を出して、サイトは後から」という順序は、この領域では不利に働きます。
09停止されたときの初動
停止の通知を受け取ったら、次の順序で進めます。焦って設定を触る前に、状況を正確に把握することが優先です。
最初の1時間でやること
- 通知の内容を全文保存する。管理画面の通知とメールの両方。記載されているポリシー名を控える
- 不承認かアカウント停止かを確認する。影響範囲が全く違うため、ここを正確に
- 該当するポリシーの原文を読む。推測で動かない
- 関係者へ共有する。営業、経営、制作。問い合わせが止まることを先に伝える
- 代替の集客手段を確認する。他媒体、既存リストへの連絡、電話営業など
- 直近の変更履歴を確認する。広告側とサイト側の両方。何がきっかけかの手がかりになる
特に4番は忘れられがちですが重要です。営業側が「今週は問い合わせが少ないな」と気づく前に、状況と見通しを共有しておくと、社内の混乱を防げます。
10やってはいけない対応
新しいアカウントを作って配信を再開しようとしないでください。停止されたアカウントに関連するアカウントも停止の対象になります。同じ事業者、同じサイト、同じ支払い情報でアカウントを作り直しても、状況を悪化させるだけです。異議申し立ての判断にも影響します。
- 関連アカウントの新規作成:上記の通り、事態を悪化させます
- 問題箇所を確認せずに大量の設定を変更する:何が原因だったか分からなくなり、申し立ての説明もできなくなります
- 広告とLPの内容を意図的に分ける運用:審査で見られる内容と実際の内容を変える行為は、それ自体がポリシー違反にあたります
- 同じ内容で異議申し立てを繰り返す:修正していない状態で再申請しても結果は変わりません
- 放置する:時間が経てば戻るものではありません
正しい方向は1つで、指摘されたポリシーに照らして実際に該当箇所を修正し、その内容を説明したうえで異議申し立てを行うことです。
11異議申し立ての進め方
異議申し立ては、管理画面のポリシーマネージャーやヘルプの申請フォームから行います。通る確率を上げるために重要なのは、感情ではなく事実を整理して伝えることです。
申し立て前に整えるもの
- 指摘されたポリシーの特定:通知に記載された項目名と、その原文
- 該当箇所の特定:広告文のどこか、サイトのどのページか
- 修正の実施:申し立ての前に、実際に直しておく
- 修正内容の記録:何をどう変えたか。変更前後が分かる形で
- 事業の実在を示す情報:会社概要ページ、登記情報、許認可、実績など
申し立て文に書くこと
- どのポリシーについての申し立てか
- 指摘された内容をどう理解したか
- 実際に何を修正したか(具体的に、ページのURLを添えて)
- 事業の実態が確認できる情報の所在
- 再発防止のために社内で何を変えたか
「なぜ停止されたのか分かりません」「他社も同じことをしています」といった内容は、審査の判断材料になりません。修正した事実を具体的に示すことが唯一の材料です。
結果が出るまで数日から2週間程度かかることがあります。この間に何度も申し立てを重ねるより、1回目をきちんと準備するほうが結果的に早く進みます。追加の情報提出を求められた場合は、速やかに対応してください。
12停止中に事業を止めないための準備
復旧までの期間は自分では決められません。だからこそ、広告以外の導線を平時から持っておくことが実質的なリスク管理になります。
| 備え | 平時にやっておくこと | 停止時の効果 |
|---|---|---|
| 他媒体の口座 | Yahoo!広告、Meta広告のアカウントを開設しておく | 切り替えが即日できる |
| 自然検索 | 主要サービスページのSEOを整えておく | 広告が止まっても流入がゼロにならない |
| Google ビジネス プロフィール | 店舗・地域サービスなら整備しておく | 無料で来店・電話が発生する |
| 既存顧客リスト | メール・LINEの連絡先を蓄積しておく | 直接連絡で受注を作れる |
| 問い合わせ導線 | 電話・LINEなど広告以外の入口を用意 | サイト流入を取りこぼさない |
広告1本に依存している状態は、成果が出ているときほど気づきにくいものです。広告のCPAが良いほど他の施策への投資が後回しになり、結果として停止時の打撃が大きくなります。停止リスクは「起きないようにする」だけでなく、「起きても事業が止まらないようにする」の両面で考えてください。
13予防:月次で確認する項目
毎月チェックする10項目
- ポリシーマネージャーに不承認・制限付きの広告が溜まっていないか
- クレジットカードの有効期限は切れていないか
- 予備の支払い方法が登録されているか
- 広告の遷移先URLがすべて正常に開くか
- SSL証明書の有効期限は問題ないか
- 会社概要・連絡先・料金のページが公開されているか
- 広告文の訴求が、LPに実際に書かれているか
- サイト改修の予定が広告側に共有されているか
- アカウントの管理者権限が退職者のアカウントになっていないか
- 登録されている事業者情報が最新か
この10項目は、いずれも5分程度で確認できます。月初のレポート作成時にまとめて見る運用にしておくと、習慣として定着しやすくなります。
14サイト側で整えておくこと
審査で確認されるのは広告だけではありません。サイト側に次の要素が揃っていると、多くの指摘を未然に防げます。
- 会社概要:正式名称、所在地、代表者名、設立年、事業内容
- 連絡先:電話番号かメールアドレス。問い合わせフォームだけでなく、直接の連絡手段があるとよい
- 料金:金額そのもの、または決まり方や範囲
- プライバシーポリシー:個人情報の取り扱い
- 特定商取引法に基づく表記:該当する事業形態の場合
- 解約・返金の条件:継続課金がある場合は特に重要
- 許認可の記載:免許・登録が必要な業種の場合、番号を記載
これらは審査対策として整えるものではなく、本来サイトにあるべき情報です。実際、これらが揃っているサイトのほうが問い合わせの質も高くなります。「審査に通すため」ではなく「事業として当然の情報開示」として整備するほうが、結果的に手戻りがありません。
15アカウントの所有権と権限管理
停止とは別の話ですが、アカウントに関するリスクとしてもう1つ重要なのが所有権です。トラブルが起きたときに自社で対応できるかどうかは、権限の持ち方で決まります。
| 状態 | リスク | あるべき形 |
|---|---|---|
| 代理店が開設したアカウントを使っている | 契約終了時にデータごと失う可能性 | 自社でアカウントを開設し、代理店に権限を付与する |
| 管理者権限が退職者のアドレスのみ | ログインできなくなる | 複数名に管理者権限を付与しておく |
| 個人のGmailで管理している | 引き継ぎ時に個人アカウントに依存する | 会社ドメインのアカウントで管理する |
| 支払い情報が担当者の個人カード | 退職・異動時に決済が止まる | 法人カードまたは請求書払いにする |
特に1つ目は、あとから変更するのが大変です。広告アカウントには過去の配信データと機械学習の蓄積があり、新しく作り直すとそれらを失います。これから始める場合は、最初から自社名義で開設してください。
16代理店に任せている場合の確認事項
運用を外部に委託している場合でも、停止のリスクは自社の事業に直接跳ね返ります。次の項目は、任せきりにせず確認しておいてください。
- アカウントの名義:自社名義か、代理店名義か
- 自社の権限:管理画面を自分たちで見られる状態にあるか
- 不承認の報告:不承認が出た場合、報告される運用になっているか
- サイト改修時の連携:制作会社と代理店の間で情報が共有される流れがあるか
- 表現の確認フロー:広告文の内容を自社が確認する機会があるか
- 停止時の対応:停止された場合、誰がどう動くかが決まっているか
広告文の内容は、最終的に自社の責任になります。代理店が書いた表現であっても、それが法令や表示のルールに触れる場合、責任を問われるのは広告主です。特に制限のある業種では、入稿前に自社で内容を確認する体制を作ってください。キャンペーンの命名や管理を整理しておくと、確認作業そのものが楽になります(キャンペーン名の設計ガイド)。
17よくある誤解
誤解1:「広告費をたくさん使っていれば停止されない」
出稿額は判断に影響しません。長年運用している大手のアカウントでも停止は起こります。金額ではなく、内容が基準です。
誤解2:「他社も同じ表現を使っているから問題ない」
他社が掲載できている理由は分かりません。認定を取得している、証明書類を提出している、あるいは単にまだ指摘されていないだけ、という可能性もあります。自社の判断材料にはなりません。
誤解3:「一度承認された広告は安全」
承認後に再審査が入ることがあります。また、遷移先のページが変われば審査結果も変わります。承認は永続的な保証ではありません。
誤解4:「停止されたら終わり」
修正して異議申し立てが認められれば再開できます。ただし、修正せずに申し立てを繰り返しても結果は変わりません。原因の特定と修正が先です。
誤解5:「サポートに連絡すれば解決する」
サポートは状況の説明や手続きの案内はしてくれますが、ポリシー判断そのものを覆す権限はありません。窓口に相談しつつ、修正と申し立ては自分たちで進める必要があります。
18復旧までのタイムラインと、その間の動き方
停止から再開までは、実務上おおむね次のような流れになります。日数は状況によって変わりますが、社内で見通しを共有するときの目安として使えます。
| 時期 | やること | 並行して進めること |
|---|---|---|
| 当日 | 通知の保存、状態の確認、該当ポリシーの確認、関係者への共有 | 他媒体・既存リストでの代替手段の確認 |
| 1〜2日目 | 原因箇所の特定、サイト側の修正、広告文の見直し | 営業側で問い合わせ減少の影響を試算 |
| 2〜3日目 | 修正内容を記録して異議申し立てを提出 | 他媒体での配信を開始(口座がある場合) |
| 3〜10日目 | 回答待ち。追加情報を求められたら即対応 | 自然検索・GBP・既存顧客への接触を強化 |
| 再開後 | 配信再開、学習の立ち上がりを待つ | 再発防止のチェック項目を運用に組み込む |
再開直後は、以前と同じ成果にはすぐ戻りません。配信が止まっていた期間は学習データが途切れているため、自動入札を使っている場合は立ち上がりに1〜2週間かかります。この期間のCPA悪化を見て設定を触ると、さらに学習が長引きます。再開後2週間は原則として様子を見てください。
また、再開したからといって原因が解消したとは限りません。指摘された箇所以外にも同じ性質の問題が残っていれば、再び止まります。申し立てが通ったタイミングで、他の広告文やページも同じ基準で見直しておくと安全です。
19Yahoo!広告・Meta広告でも同種のリスクはある
審査とアカウント停止は、Google広告だけの話ではありません。各媒体にそれぞれポリシーがあり、基準も運用も異なります。
| 媒体 | 特に注意される領域 | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| Google広告 | 事業情報の確認可能性、制限業種、遷移先の技術要件 | サイト側の情報整備が効く |
| Yahoo!広告 | 表現基準がGoogleと異なる。最上級表現や体験談の扱い | Googleで通った広告文がそのままでは通らないことがある |
| Meta広告 | 画像内のテキスト、個人属性への言及、ビフォーアフター表現 | クリエイティブ単位での不承認が多い。アカウント単位の制限も起こる |
媒体を横断して共通するのは、「広告で言っていることが、遷移先で確認できるか」という点です。ここが一致していれば、多くの指摘は避けられます。逆に、広告で強い訴求をしてページに根拠が無い状態は、どの媒体でもリスクになります。
複数媒体を運用する場合、審査で通った表現・落ちた表現を媒体ごとに記録しておくと、担当者が変わっても判断を再現できます。表計算ソフトで「媒体/広告文/結果/指摘内容/修正後」の5列を持つだけでも十分機能します。
20社内に「広告表現ルール」を1枚作っておく
停止の予防で最も効くのは、担当者の記憶に頼らない仕組みです。社内に1枚のルール文書を作っておくと、人が変わっても品質が保てます。
1枚に書いておく項目
- 使ってよい表現・避ける表現:過去に不承認になった言い回しと、通った言い回し
- 数字を出すときのルール:実績件数の集計方法、時点の表記(「2026年8月時点」など)、根拠資料の保管場所
- 必ずページに載せる情報:会社概要、連絡先、料金、プライバシーポリシー、必要な法定表記
- 入稿前チェックの手順:誰が、何を、どの順で確認するか
- サイト改修時の連絡フロー:誰から誰へ、いつまでに伝えるか
- 不承認が出たときの対応者と手順
- アカウントの名義・権限保有者の一覧
この文書は最初から完璧である必要はありません。不承認が出るたびに1行ずつ追記していけば、半年もすれば実用的な水準になります。重要なのは、経験が個人の中だけに溜まらないようにすることです。
広告表現は法令にも関わる領域なので、制限のある業種では、社内の法務や外部の専門家に一度確認したうえでルール化してください。運用担当の判断だけで決めるべきではない部分が含まれます。
21要点整理
広告の不承認とアカウント停止は、影響範囲も対応も別物です。まず自分がどちらの状態にあるかを、通知の内容から正確に確認してください。不承認は日常的に起きるもので、修正すれば戻ります。
停止理由として実務でよく見るのは、事業内容や取引条件がサイトから確認できないケース、制限のある業種での表現、そして支払い関連です。このうち多くは、会社概要、連絡先、料金、法定表記といった基本的な情報を整えておくことで防げます。これらは審査のためというより、事業として当然の情報開示です。
停止されたときの正しい対応は1つで、指摘されたポリシーを確認し、該当箇所を実際に修正したうえで、その内容を説明して異議申し立てを行うことです。新しいアカウントを作る、内容を変えずに申し立てを繰り返すといった対応は、状況を悪化させます。
そして、復旧までの期間は自分では決められません。だからこそ、他媒体の口座、自然検索、Google ビジネス プロフィール、既存顧客リストといった広告以外の導線を平時から持っておくことが、実質的なリスク管理になります。広告が好調なときほど、この備えは後回しになりがちです。今のうちに、月次チェックの10項目だけでも運用に組み込んでおくことをおすすめします。
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FAQよくある質問
Q1. 広告の不承認とアカウント停止は何が違いますか?
不承認は広告や広告グループなど個別の単位で配信が止まる状態で、該当箇所を修正すれば再審査を受けられます。アカウント停止はアカウント全体の配信が止まる状態で、影響範囲も復旧の難易度も大きく異なります。まず管理画面の通知を見て、どちらの状態かを正確に確認してください。
Q2. アカウントが停止されたら、新しいアカウントを作れば配信できますか?
できません。停止されたアカウントに関連するアカウントも停止対象になるため、新規作成は状況を悪化させます。正しい対応は、通知に記載されたポリシーを確認し、該当箇所を修正したうえで異議申し立てを行うことです。
Q3. 停止の理由が「不実表示」と書かれていました。何を見ればよいですか?
広告文とLPの記載内容、事業者情報、料金や条件の表示を確認してください。会社情報や連絡先が見当たらない、広告の訴求とページの内容が一致していない、料金や解約条件が分かりにくい、といった点が指摘の対象になりやすい領域です。まずは事業の実態がページ上で確認できる状態にすることが先になります。
Q4. 異議申し立てはどのくらいで結果が出ますか?
内容と時期によりますが、数日から2週間程度かかることがあります。その間は配信が止まるため、他チャネルへの切り替えや、営業側での代替手段を並行して準備しておくほうが安全です。
Q5. 普段からできる予防策はありますか?
会社情報・連絡先・料金・特定商取引法に基づく表記をサイト上で確認できる状態に保つこと、広告文とLPの記載を一致させること、支払い情報を最新にしておくこと、管理画面のポリシーマネージャーを月1回確認することです。多くの停止は、日常的な確認で防げる範囲にあります。