SEOで新しい記事を書くとき、多くの人は最初に「キーワードを探す」ところから始めます。Googleキーワードプランナーを開いたり、AhrefsやSemrushを使ったり、競合サイトの記事を調べたりして、「SEOツール おすすめ」「SEO対策 方法」「SEO会社 比較」といった候補を大量に集めていきます。
この方法は間違っていません。ただ、すでにある程度Google検索に表示されているサイトなら、その前に必ず見ておきたい場所があります。Google Search Console(GSC)です。
特に注目したいのは、次のようなクエリです。
Google検索でインプレッションが発生しているのに、その検索意図にきちんと答える専用ページがまだ存在しないクエリ
そのキーワード専用の記事は作っていない。タイトルにも入れていない。そのテーマだけを詳しく解説したページもない。それなのにGSCを見ると、その検索語句で自分のサイトが検索結果に表示されている。これは、Googleがあなたのサイトとそのテーマの間に、何らかの関連性をすでに見つけている可能性があるということです。
ここを見逃したまま、まったく新しいキーワードばかり探しているサイトは少なくありません。この記事では、GSCとAIを使って「すでに少し順位が付いているのに、受け皿になるページがないキーワード」を発掘する方法を、SEO初心者でも実践できるように順を追って解説します。
なお、すでに表示されているページの「足りない答え」を既存記事に追記していく方法は、GSCで「表示されているページの足りない答え」を埋めるSEOキーワード最適化で詳しく書いています。この記事は、その一歩先にある「専用ページそのものが無いクエリ」を見つけて、新しいページを作るかどうかを判断する話です。
まず結論。GSCには「あと一歩」のキーワードが眠っている
今回やることを短くまとめると、次の4つだけです。
- GSCで、自分のサイトがすでに表示されている検索クエリを調べる
- そのクエリに対して、検索意図を満たすページが本当に存在しているか確認する
- 存在していなければ、そのクエリのための専用ページを作る(既存ページで足りるならリライトする)
- すでに評価されている関連ページから、新しいページへ内部リンクを送る
新しいキーワードをゼロから探すというより、Googleがすでに少し反応しているテーマの中から、サイト側の取りこぼしを探すという考え方です。
Google自身も、Search Consoleの検索パフォーマンスレポートを「サイトがどの検索クエリで表示されやすいかを把握する」「トラフィックを集めているクエリを把握して改善に使う」ためのものとして説明しています。GSCは単なるアクセス解析ツールではなく、次に何を改善するかを考えるためのデータベースでもあります。
Google Search Consoleとは?何を見るツールなのか
「GSCは入れているけれど、何を見ればいいのかよく分かっていない」という人も多いと思うので、最初に整理しておきます。
Google Search Consoleは、自分のWebサイトがGoogle検索上でどのように表示されているかを確認できるGoogle公式の無料ツールです。「検索パフォーマンス」のレポートでは、次のようなデータを確認できます。
- クリック数・インプレッション数・CTR・平均掲載順位
- 検索クエリ(ユーザーが実際に入力した検索語句)
- 表示されたページ(URL)
- デバイス・国・日付
今回いちばん使うのは検索クエリです。たとえば広告代理店のサイトなら、「Google広告 運用代行」「リスティング広告 費用」「P-MAX 改善方法」「Meta広告 CPA 高い」「広告代理店 選び方」といった検索語句で、自社サイトが表示されているかもしれません。
ポイントは、自分が狙った覚えのないキーワードでも表示されていることです。この「狙っていないのに出ている言葉」が、今回の施策の材料になります。
「狙ったキーワード」より「Googleが反応しているキーワード」
一般的なSEOでは、人間側から「このキーワードを狙おう」と決めます。「SEO対策 費用」を狙うなら、「SEO対策の費用相場はいくら?料金体系と選び方を解説」という記事を書く。これが普通のやり方です。
今回紹介する方法は、その逆から入ります。
例:「SEO対策 見積もり 見方」で300回表示されていた
GSCを開くと、「SEO対策 見積もり 見方」というクエリで自分のサイトが300回表示されていたとします。ところがサイト内を探しても、見積書の見方を解説したページはありません。あるのは「SEO対策の費用相場」という記事だけです。
この場合、Googleは費用相場の記事を「見積もりの見方」という検索に対して出している可能性があります。内容が完全に一致しているわけではないのに、検索結果に表示している。ここから、「SEO対策の見積書の見方」という専用記事を作れば、検索した人の疑問にもっと直接答えられるのではないか、という仮説が立ちます。
なぜ専用ページがないクエリを狙うのか
Google検索には世界中のWebページがあります。その中で自分のサイトが特定のクエリで表示されているということは、少なくともGoogleのシステムが、その検索とサイトの間に何らかの関連性を見つけているということです。
もちろん「インプレッションがある=高く評価されている」ではありません。10位のこともあれば、30位、50位、80位のこともあります。それでも、完全に無関係なテーマで新しい記事を作る場合より、サイト内にすでに関連コンテンツや文脈がある可能性が高いという点に意味があります。
たとえば広告代理店のサイトが「P-MAX シグナル」「P-MAX 検索テーマ」「P-MAX オーディエンスシグナル」で少しずつ表示されているなら、サイト内にはすでにGoogle広告やP-MAXの記事があるはずです。そこに「P-MAXのオーディエンスシグナルとは?設定方法と改善方法」という専用ページを足し、既存のP-MAX記事やGoogle広告のカテゴリーページからリンクする。こうしてサイト内の情報構造を整えていくのは、ゼロからSEOを始めるよりずっと合理的です。
「Googleが始めた仕事を、人間が仕上げる」と考える
この施策をひとことで言うなら、Googleがすでに少しだけ検索結果に出しているテーマについて、もっと適切なURLを用意してあげる作業です。
たとえば「法人向け テレアポ 料金相場」で検索されているのに、自社サイトには料金相場の記事がなく、代わりに「テレアポ代行サービス」のサービスページが表示されているとします。Googleは「このサイトはテレアポに詳しそうだ」とは判断しているものの、「料金相場」を知りたい人にぴったり合うページが存在しません。
そこで「テレアポ代行の料金相場はいくら?課金方式・費用・選び方を解説」というページを作り、既存のサービスページから「テレアポ代行の料金について詳しく知りたい方はこちら」とリンクします。ユーザーは情報を探しやすくなり、Googleもページ同士の関係を理解しやすくなります。Googleは公式ドキュメントで、リンクをページの発見や関連性の判断に使うと説明し、重要なページには少なくともサイト内の別ページからリンクするよう勧めています。新規記事を書いたら内部リンクまでセットで考える、というのはこのためです。
実際の手順。GSCからクエリとページを取り出す
手順1:検索パフォーマンスを開き、期間を「過去12か月」にする
Search Consoleを開き、「検索パフォーマンス」(現在のUIでは「検索結果」のパフォーマンスレポート)を開きます。初期表示は過去3か月ですが、期間は変更できます。
キーワード発掘では、過去12か月を見るのがおすすめです。直近28日だけだと、季節性のあるクエリや、検索回数の少ないロングテールのクエリを見落としやすいからです。何年も前まで遡る必要はありません。まずは12か月で十分です。
手順2:「クエリ」タブでインプレッションを見る
レポートの下にある「クエリ」を開くと、自分のサイトが表示された検索語句が並びます。ここで見るのはクリック数だけではありません。今回の主役はインプレッションです。
たとえば「クリック0回・インプレッション350回・平均掲載順位21位」というクエリは、一見すると成果が出ていないように見えます。しかし今回の分析では、むしろこういうクエリが面白い。専用ページを作っていないのに、350回も検索結果に表示されている可能性があるからです。
インプレッションとは
インプレッションは、自分のサイトがGoogle検索結果に表示された回数です。クリックされたかどうかは関係ありません。「SEO 内部リンク 方法」で検索した人の検索結果に自分のページが表示されれば、一定の条件のもとでインプレッションとして記録されます。
つまりインプレッションがあるということは、そのクエリについて、自分のサイトが検索結果の候補に入っているということです。だからこそ、「専用ページが無いのにインプレッションが多いクエリ」に注目する価値があります。
手順3:Queries.csvをエクスポートする
検索パフォーマンスの画面右上からエクスポートすると、CSV・Excel・Googleスプレッドシートでデータを書き出せます。CSVの場合、クエリの一覧は「Queries.csv」のようなファイルになり、検索クエリ・クリック・インプレッション・CTR・平均掲載順位が入っています。
手順4:Pages.csvも用意する
同じエクスポートに、ページ単位のデータ(Pages.csv)も含まれます。表示されたURLごとのクリック・インプレッション・CTR・平均掲載順位です。
この2つをAIに読み込ませ、「検索クエリ一覧とページ一覧を比べて、専用ページが存在しなさそうなクエリを探してほしい」と依頼します。たとえばQueries.csvに「BtoB SEO 被リンク 増やし方」があるのに、Pages.csvを見ても被リンクを明確に扱ったURLが見当たらなければ、新しい記事の候補になります。
注意。Queries.csvとPages.csvだけでは「どのクエリでどのページが出たか」は分からない
この方法でいちばん気を付けたいのがここです。「Queries.csvとPages.csvをAIに入れれば、どのクエリがどのページで順位を取っているか全部分かる」と説明されることがありますが、厳密には違います。
Queries.csvはクエリ単位の集計、Pages.csvはURL単位の集計です。Queries.csvに「SEO 被リンク」という行があり、Pages.csvに「/seo/backlink/」というURLがあっても、その2つが本当に組み合わさって表示されていたかは、2枚のCSVを眺めるだけでは確定できません。
AIは「キーワードとURLが似ているから、たぶんこのページでしょう」と推測はできます。ただしそれは推測であって、Search Consoleが記録した実測の組み合わせとは別物です。
正確に調べるなら「クエリで絞ってページを見る」
初心者にいちばん簡単なのは、Search Consoleの画面で候補のクエリをクリックしてフィルタをかける方法です。「SEO 被リンク 増やし方」で絞り込んだ状態で「ページ」タブを見ると、そのクエリで表示されたURLが分かります。
すると、「なぜかトップページが出ている」「カテゴリー一覧ページが出ている」「近い別の記事が出ている」といった状態が見えてきます。ここまで確認して初めて、本当に専用ページが足りないのかを判断できます。
大量に分析するならSearch Console APIを使う
数十キーワードなら手作業で問題ありません。ただ、数千、数万クエリあるサイトで1件ずつ確認するのは現実的ではありません。
その場合はSearch Console APIのSearch Analyticsを使います。queryとpageをディメンションに指定すると、「検索クエリ × 表示URL」の組み合わせでデータを取得できます。社内にSEO担当者やエンジニアがいるなら、最終的にはこの形にしておくと分析の精度が一段上がります。
画面からのエクスポートは1,000行まで
もう一つ知っておきたいのが行数の上限です。Google公式ヘルプによると、通常のレポートからダウンロードできる表データは、代表的な1,000行までに切り詰められます。
月間数十万〜数百万インプレッションあるサイト、商品数の多いEC、求人サイト、不動産ポータル、データベース型のサイト、大規模メディアなどでは、画面からCSVを1回落としただけでは全クエリを取れない可能性があります。
APIでは1回のリクエストで最大25,000行を指定できますが、Googleは内部的な制限があり、すべての行が返るとは限らないとも説明しています。大規模サイトならBigQueryへの一括データエクスポートまで検討する価値があります。一方、中小企業のコーポレートサイトや一般的なオウンドメディアなら、まずは通常のCSVから始めて十分です。
AIには何をどう聞けばいいのか
Queries.csvとPages.csvをアップロードしたあと、「SEOの改善点を教えて」とだけ聞いても、一般論しか返ってきません。何を探してほしいのかを具体的に伝えます。たとえば次のような依頼文です。
Queries.csvの検索クエリを分析し、ある程度インプレッションが発生しているにもかかわらず、その検索意図に明確に対応する専用ページがPages.csv内に存在しない可能性のあるクエリを抽出してください。単語がURLに含まれているかだけで判断せず、検索意図を推定してください。新規ページを作るべき候補と、既存ページのリライトで対応すべき候補を分けてください。
これだけでも出てくる候補の質はかなり変わります。さらに、次のような条件を足して絞り込んでいきます。
- 自社名などのブランドキーワードを除外する
- 平均掲載順位10〜50位のクエリを優先する
- インプレッション100以上のクエリを優先する
- 問い合わせにつながりやすい商用キーワードを優先する
AIの出力はあくまで候補のリストです。前の章のとおり、最終候補はGSCの画面でクエリを絞り込み、実際に表示されているURLを確認してから判断します。
判断の軸は「URLがあるか」ではなく「検索意図に答えるページがあるか」
この施策の本質はここにあります。たとえば「Google広告 P-MAX 設定」でインプレッションがあり、サイトには「Google広告運用代行」のページがあるとします。ページが存在するから問題ない、とは限りません。
「Google広告運用代行」はサービスページで、「P-MAXの設定方法を知りたい」という検索意図とは別物です。検索している人は代理店を探しているのではなく、設定方法を知りたいのかもしれません。それなら「P-MAXとは?設定方法・検索テーマ・オーディエンスシグナルを初心者向けに解説」という情報ページを作ったほうが、検索意図に合う可能性があります。
トップページが表示されているクエリは特に見る
個人的にいちばん注目しているのが、本来トップページ向きではないクエリなのに、トップページが表示されているケースです。
たとえばSEO会社のトップページが「SEO canonical 設定方法」で表示されているのに、canonicalの記事は無い。これは、Googleがサイト全体を見て「SEOを扱っているサイトだ」と理解したうえで、他に適切なページが無いためトップページを出している可能性があります。「canonicalタグとは?SEOでの意味・設定方法・注意点を初心者向けに解説」という記事を作れば、検索意図に対してより明確なページを用意できます。
カテゴリーページが表示されている場合も候補
同じことはカテゴリーページにも言えます。「Meta広告 コンバージョンAPI」という検索に対して、「/blog/meta/」のようなMeta広告のカテゴリー一覧が表示されていて、専用記事は無い。これは「Meta広告に関連するサイトだとは伝わっているが、コンバージョンAPIについての適切なURLが無い」状態かもしれません。「MetaコンバージョンAPIとは?ピクセルとの違い・仕組み・設定方法を解説」という記事を足す候補になります。
近い別記事が表示されている場合
「SEO 被リンク 獲得方法」で表示されているのが「SEO対策とは?」という総合記事で、平均18位。被リンクの専用記事は無い。「問い合わせフォーム営業 費用」で表示されているのがトップページで、平均25位。費用の記事は無い。
こうした、Googleが近いページを代わりに出しているように見える状態を探していきます。本当にそういう理由で表示しているのかは、外部から断定できません。あくまでGSCのデータをもとにした仮説ですが、次に作るページを決める仮説としてはとても使いやすいものです。
何でも新規記事にしない。新規ページとリライトの分け方
検索クエリが違うからといって、すべて別ページにすればいいわけではありません。たとえば次のクエリがGSCに並んでいたとします。
- SEO 費用
- SEO 料金
- SEO 相場
- SEO対策 費用
- SEO会社 料金
これを全部別記事にすると、内容がほとんど同じページが5本できてしまいます。一つの検索意図としてまとめられるなら、「SEO対策の費用相場はいくら?料金体系とSEO会社の選び方」という1ページで対応したほうが自然です。Googleも、検索エンジンのために大量のコンテンツを作るのではなく、ユーザーの役に立つ、人を第一に考えたコンテンツを作るよう勧めています。
この方法は「インプレッションのあるキーワードを片っ端から記事化する方法」ではなく、検索需要を理解し、既存コンテンツとのギャップを埋める方法です。
既存記事で吸収できるならリライト、独立して語れるなら新規
たとえば既存の「P-MAXとは?」という記事があり、GSCに「P-MAX 検索テーマ 設定」というクエリが出ているとします。既存記事の中で検索テーマについて2行しか触れていないなら、その記事に「検索テーマの設定方法」という見出しを足すだけで対応できるかもしれません。
一方、「P-MAX 検索テーマ」だけで相当な検索需要があり、設定方法、上限、キーワードとの違い、オーディエンスシグナルとの違い、改善方法、注意点まで独立して詳しく説明できるなら、専用ページを作る選択肢が出てきます。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 既存記事と同じ読者・同じ目的で、数段落の説明で答えられる | 既存記事に見出しを足してリライト |
| 言い回しが違うだけで、知りたいことは同じ(費用/料金/相場など) | 1ページにまとめ、タイトルや見出しで言い回しをカバー |
| 独立したテーマとして、手順・比較・注意点まで語れる量がある | 専用ページを新規作成し、既存記事から内部リンク |
| 自社の事業やサイトの目的と関係が薄い | 何もしない |
大切なのはURLの数を増やすことではなく、検索意図に対していちばん分かりやすい情報構造を作ることです。
候補が多すぎるときの優先順位の付け方
平均掲載順位11〜30位を優先して見る
検索結果の2〜3ページ目あたりにいるクエリは、まったく評価されていないわけではないのに、上位には届いていない状態です。その原因は、ページ内容の不足、検索意図とのズレ、専用ページの不足、内部リンクの不足、タイトルの不一致、競合との差などが考えられます。
専用ページが無い状態で平均20位前後にいるなら、適切なページを作ることで改善する余地があるかもしれません。
ただし、GSCの「平均掲載順位」は誰に対しても固定された順位ではありません。検索結果は、ユーザーの場所やデバイス、時間などで変わります。「平均17.2位だから、今も17位にいる」とは考えないようにしてください。
インプレッションが多いのにクリックが少ないクエリ
インプレッション5,000、クリック10、平均12位、専用ページなし。こういうクエリはかなり有力な候補です。検索需要は確かにあるのに、今表示されているURLでは、順位もタイトルも、検索した人の疑問への答え方も足りていない可能性があります。専用ページを作り、検索意図に合ったタイトルを付け、中身を充実させ、内部リンクを整えれば、改善の余地があります。
AIに検索意図でグルーピングさせる
Queries.csvをAIに読ませる大きな利点は、大量のクエリを意味のまとまりで整理できることです。GSCには「テレアポ 料金」「テレアポ代行 費用」「テレアポ 外注 相場」「営業電話 代行 費用」「コール代行 料金」のように、似た検索が大量に並んでいます。
人間が数千行を読むのは大変ですが、AIなら「これらはテレアポ代行の料金を知りたい検索意図」とまとめられます。そのうえで「テレアポ代行の料金相場」という1ページ案に落とし込む。前の章で書いた「クエリ1個につき1ページにしない」ためにも、この使い方は相性がいいです。
ページを作ったあとにやること
関連性の高い既存ページから内部リンクする
記事を公開して終わりではありません。この施策では、既存の関連ページから新しいページへ内部リンクするところまでが一つの作業です。
たとえば「リスティング広告とは?」という記事がすでに多くの流入を集めているなら、そこから新しく作った「リスティング広告のCPCが高い原因」へリンクします。アンカーテキストも「リスティング広告のCPCが高い原因」のように、リンク先の内容が分かる自然な言葉にします。
リンク元は関連性で選びます。「Google広告の品質スコアとは?」という記事を作ったなら、Google広告、リスティング広告、CPC、広告ランク、キーワード、LP改善などを扱っているページからリンクするのが自然です。「Instagram採用の方法」の記事から突然リンクする必要はありません。読者が「この情報も知りたい」と思う場所に置く、というのが基本です。
内部リンクの効果や、Search Consoleで11〜20位の記事を見つけてリンクを送る具体的なやり方は、内部リンクのSEO効果とは?Search Consoleで11〜20位の記事を見つけて検索順位を上げる方法でまとめています。
タイトルとH1に、検索している人の言葉を入れる
GoogleのSearch Essentialsでは、ユーザーがコンテンツを探すときに使う言葉を、タイトルやメインの見出しなど目立つ場所に使うことが基本的なベストプラクティスとして挙げられています。
「P-MAX シグナル」を狙うなら、「便利なGoogle広告機能について」より「P-MAXのオーディエンスシグナルとは?設定方法と改善ポイントを解説」のほうが、何のページか一目で分かります。テクニック以前に、検索した人が「自分が知りたい内容だ」と思えるタイトルにすることが先です。
公開してすぐ1位になるわけではない
インプレッションのあるクエリを見つけた、専用記事を書いた、内部リンクも入れた。だから翌日1位になる、というものではありません。Googleは新しいページをクロールし、インデックスし、評価します。Google自身も、クロールには数日から数週間かかることがあり、クロールをリクエストしても掲載や順位向上は保証されないと説明しています。
競合ページが強ければ、コンテンツの質、サイト全体の評価、被リンク、専門性、検索した人の疑問に合っているか、情報量、独自性、使いやすさなど、さまざまな要素が効いてきます。この方法は必勝法ではありません。ただ、Googleがまったく反応していないテーマを勘で選ぶより、すでに反応が確認できているテーマを掘るほうが、当たる確率の高い打ち手です。
1〜3か月後にGSCで答え合わせをする
公開したら、1〜3か月ほどGSCで次の点を確認します。
- 新しいページにインプレッションが付いたか
- 狙ったクエリで、旧ページではなく新ページが表示されるようになったか
- 平均掲載順位がどう変化したか
- クリックが増えたか
- 新しいロングテールのクエリが出てきていないか
ここでまた新しいクエリが見つかれば、記事を改善できます。GSCを見る、需要を見つける、ページを直す、新しいクエリが出る、またGSCを見る。このループを回していきます。
GSCは「自分のサイトの得意分野」を教えてくれる
すでに持っているテーマを広げるほうが合理的
SEOでは、新しいジャンルへ手を広げたくなりがちです。しかし実際には、すでに評価され始めているテーマを深掘りしたほうが合理的な場合が多くあります。
広告代理店のサイトにGoogle広告の記事が多数あり、GSCにもP-MAX、品質スコア、除外キーワード、検索語句、コンバージョン、GTM、拡張コンバージョンといった関連クエリが大量に出ているとします。このとき、突然「経営コンサルティングとは?」を書くより、Google広告まわりで取りこぼしている検索意図を埋めていくほうが、サイト全体として分かりやすい構造になります。
GoogleもPeople-firstなコンテンツのガイドで、「サイトに主な目的やフォーカスがあるか」という観点を示しています。GSCの分析はキーワード探しであると同時に、Googleから見た自分のサイトの得意分野を知る作業でもあります。
キーワードツールとGSCは役割が違う
GoogleキーワードプランナーやAhrefs、Semrushにも大きな価値があります。役割が違うので、使い分けるのが正解です。
| ツール | 見ているもの | 向いている用途 |
|---|---|---|
| キーワードプランナー/Ahrefs/Semrushなど | 市場全体の検索データ・競合サイト | まだ表示されていない市場を探す、検索ボリュームを調べる、競合を分析する、候補を広げる |
| Google Search Console | 自分のサイトが実際に表示された検索データ | 自サイトの取りこぼしを探す、既存ページと検索意図のズレを見つける、施策の答え合わせ |
理想は、GSCで自サイトの取りこぼしを探し、SEOツールで周辺の市場を調べ、実際の検索結果を見て競合を確認する、の3つを組み合わせることです。
この方法と相性が良いサイト
ある程度運営期間があるサイト、過去に記事を書きためてきたオウンドメディア、BtoB企業のサイト、広告代理店、コンサルティング会社、SaaS、求人サイト、EC、不動産サイト、データベース型サイト、比較サイトなどとは特に相性が良い方法です。Googleがすでにサイト内をクロールし、さまざまなロングテールの検索で表示している可能性が高いからです。
逆に、公開したばかりで10ページしかないサイトでは、GSCに十分なデータがまだ貯まっていません。その場合は、先にコンテンツを増やすところから始めます。
AIに任せてよいこと、任せないこと
AIのおかげでGSC分析は簡単になった
以前は、Queries.csvをExcelで開き、数千行を人間が眺め、似たキーワードをグルーピングし、既存URLと照らし合わせる必要がありました。今はAIに、CSVを読ませて検索意図を分類させる、似たクエリをまとめる、既存ページとの対応を推測させる、新規記事の候補を抽出する、タイトル案や構成案を出す、といった作業まで任せられます。GSCのデータを持っているのに使わないのは、もったいない状況です。
最終判断は人間がする
一方で、次の点は人間が確認したほうがいい部分です。
- 既存記事と検索意図が本当に違うのか
- 新しいURLを作るほどの情報量があるのか
- 実際の検索結果には、どんな競合ページが並んでいるのか
- 自社としてそのテーマを書く意味があるのか、問い合わせにつながるのか
- サイト全体のテーマと合っているのか
AIは大量のデータから候補を探す作業に向いています。「このページを本当に作るべきか」という、マーケティングや編集の判断まで自動化する必要はありません。
いちばん危険なのは「クエリ1個につき記事1本」
この方法を雑に回すと、「1,000クエリ見つかったから、AIで1,000記事書く」という方向に行きがちです。おすすめしません。
数えるべきはクエリの数ではなく、検索意図の数です。「Google広告 費用」「Google広告 料金」「Google広告 予算」「Google広告 月額」はかなり近い検索意図かもしれません。それなら、質の高い1ページにまとめたほうが読者にとって分かりやすくなります。Googleも、検索順位を得ることだけを目的に大量のコンテンツを自動生成する考え方には注意を促しています。
AIは記事を大量生産するためではなく、ユーザーの需要を大量に分析するために使う。このくらいの距離感がちょうどいいと考えています。
初心者はこの順番で始めれば十分
全部のクエリを分析しなければいけないわけではありません。最初はインプレッションの多い順に、ブランド名を除いた自社サービスに関係するクエリを50個選ぶだけで十分です。その50個について、今どのページが表示されているか、検索意図に対応した専用ページがあるかを見て、無いものだけを新規記事の候補にします。これだけでも、かなりの数のネタが見つかるはずです。
- Search Consoleを開き、検索パフォーマンスの期間を過去12か月にする
- クエリとページのデータをCSVでエクスポートする
- AIに「インプレッションがあるのに、その検索意図専用のページが無いクエリを探して」と依頼し、候補を10〜30個出す
- GSCの画面で候補のクエリをクリックし、「ページ」タブで表示されているURLを確認する
- そのURLが検索意図を満たしているか判断する
- 満たしていなければ新しいページを作るか、既存ページをリライトする
- 関連する既存ページから内部リンクする
- 公開後、GSCで変化を見る。これを毎月繰り返す
まとめ
この記事のポイント
- GSCには、インプレッションがあるのに専用ページが無いクエリが眠っている。Googleがすでに関連性を見つけているテーマなので、ゼロからキーワードを探すより当たりやすい。
- 期間は過去12か月、見る指標はクリックよりインプレッション。Queries.csvとPages.csvをAIに読ませて候補を出す。
- ただし2枚のCSVだけではクエリとURLの組み合わせは確定できない。最終候補はGSCでクエリを絞って「ページ」を確認し、大量に見るならAPIでquery×pageを取得する。
- 判断の軸は「URLがあるか」ではなく「検索意図に答えるページがあるか」。トップページやカテゴリーページが出ているクエリは特に有力な候補。
- クエリごとに記事を作らず、検索意図ごとにまとめる。既存記事で吸収できるならリライトで対応する。
- 新しいページは関連する既存ページから内部リンクし、1〜3か月後にGSCで答え合わせをする。
SEOは、まだ誰も知らないキーワードを見つけるゲームだけではありません。自分のサイトがすでにどんな検索語句と結び付けられているかを観察し、その需要に合うページを用意していくことも同じくらい大切です。
Googleは、ある検索クエリについてすでにあなたのページを表示している。けれど、検索意図にぴったり合うページは無い。それなら作る。Googleが関連性を見つけている既存ページから、新しいページへリンクする。タイトルや見出しを、検索している人の言葉に合わせる。そしてまたSearch Consoleを見る。とても地味で、魔法でも一発逆転でもありませんが、こうした積み重ねがSEOの成果を右肩上がりにしていきます。
新しいキーワードを探しに外へ行く前に、一度、自分のSearch Consoleの中を掘ってみてください。次に作るべきページの候補は、もうそこにあるかもしれません。
参考資料
- Search Console ヘルプ:検索パフォーマンス レポート
- Google Search Central:Search Analytics: query(Search Console API)
- Search Console ヘルプ:一括データエクスポート(BigQuery)
- Google Search Central:Google 検索の基本事項(Search Essentials)
- Google Search Central:有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成
- Google Search Central:リンクに関するおすすめの方法
- Google Search Central:Google に再クロールをリクエストする