リスティング広告の入札はどう決まるのか広告オークションと広告ランクの仕組み、7つの入札戦略の使い分け、目標CPAの決め方と変更の待ち方まで

リスティング広告とは、GoogleやYahoo!で検索したときに検索結果の上下に表示される広告のことです。検索広告、検索連動型広告とも呼ばれます。表示されること自体には費用がかからず、クリックされたときにだけ費用が発生する仕組みになっています。

では、そのクリック1回あたりの金額と掲載される順位は誰がどう決めているのか。「入札単価を高くした人が上に出る」と説明されることが多いのですが、実際はそうではありません。単価が競合より低くても上に出ることがありますし、単価を上げても順位が変わらないこともあります。この差が、広告費の効率を大きく左右します。

この記事では、広告オークションで何が起きているのかという仕組みの話から始めて、手動入札と自動入札の違い、7つの入札戦略の選び分け、目標コンバージョン単価の決め方、そして変更したあとどれだけ待つべきかまでを順番に整理します。広告を始めたばかりで入札戦略の選択画面で止まっている方にも、すでに運用していて数字が思うように動かない方にも、判断の material として使える形にしています。

01リスティング広告の入札は「オークション」で決まる

誰かが検索するたびに、その検索1回ごとにオークションが開かれています。事前に「この枠を月いくらで買う」と決めているわけではなく、検索が発生した瞬間に、その検索語句に関係する広告主が集められて、その場で掲載可否と順位が決まります。

つまり、同じキーワードに出稿していても、朝と夜、平日と休日、検索した人の状況によって、結果は毎回変わります。「昨日は3位だったのに今日は5位」という現象は不具合ではなく、オークションの性質そのものです。

1回の検索で起きていること

  1. ユーザーが検索する
  2. その検索語句に対応するキーワードを持つ広告主が集められる
  3. 各広告主の広告ランクが計算される
  4. 広告ランクが下限値を超えた広告だけが掲載対象になる
  5. 広告ランクの高い順に掲載順位が決まる
  6. クリックされた場合にだけ、実際のクリック単価が請求される

ここで押さえておきたいのは、入札単価は「上限」であって「支払額」ではないという点です。設定した金額がそのまま毎回引かれるわけではありません。この仕組みを理解しておくと、単価を上げる判断と下げる判断の意味が変わってきます。

02広告ランク:順位を決めているのは単価だけではない

掲載順位を決めているのは広告ランクという値です。これは入札単価だけで決まるものではなく、複数の要素を掛け合わせて計算されます。

要素内容運用側でできること
入札単価1クリックに支払ってよい上限額手動なら直接、自動なら目標値を通じて調整
広告の品質推定クリック率、広告の関連性、LPの利便性広告文、キーワード構成、LPの改善
広告ランクの下限値掲載されるために必要な最低ライン品質を上げることで下がる
オークションの競争状況同じ検索に何社が参加しているか直接は動かせない(狙う語句の選定で変わる)
検索の文脈検索地域、デバイス、時間帯、直前の検索ターゲティングで一部コントロール
アセットの効果見込みサイトリンク等が表示されたときの効果予測アセットを揃える、内容を具体的にする

この表で重要なのは、運用側が動かせる列が「入札単価」だけではないことです。競合が単価を上げてきたときに、こちらも単価を上げるのは1つの手ですが、それは最も費用がかかる対抗手段でもあります。広告文の関連性を上げる、キーワードと広告グループの対応を整理する、LPの内容を検索意図に合わせる。この3つで広告ランクが上がれば、単価を上げずに順位を取り戻せることがあります。

03実際に払うクリック単価は、入札額より安くなる

広告のクリック単価は、原則として「自分のすぐ下の順位の広告主を上回るために最低限必要な額」で決まります。上限を300円に設定していても、下の広告主を上回るのに180円で足りるなら、請求されるのは180円です。

ここから2つのことが言えます。1つは、上限単価を上げることが必ずしも支払額の増加を意味しないこと。もう1つは、自分の品質が高いほど、同じ順位をより安く取れるということです。

品質による支払額の差(考え方の例)

入札上限が同じ300円でも、広告の品質が高い広告主は、低い広告主より少ない金額で同じ順位を取れます。逆に品質が低いと、順位を維持するために単価を上げ続けることになり、結果としてCPAが悪化します。「CPCが高い」という症状の裏に、品質の問題が隠れていることは珍しくありません。

クリック単価が上がっている原因の切り分けは、CPC上昇の原因を整理した記事でも扱っています。競合の新規参入なのか、自社の品質低下なのか、検索需要の季節変動なのかで、打ち手はまったく変わります。

04品質を上げると、同じ予算でクリックが増える

広告の品質は、管理画面上では品質スコア(1〜10)としてキーワード単位で確認できます。これは診断用の指標で、オークションで直接使われる値そのものではありませんが、どこが弱いのかを知る手がかりになります。

診断項目「平均より下」のときに疑うこと打ち手
推定クリック率広告文がその検索語句に対して魅力的でない見出しにキーワードを含める、具体的な数字や条件を入れる
広告の関連性広告グループに意図の違うキーワードが混在している広告グループを検索意図ごとに分け、広告文を対応させる
ランディングページの利便性LPの内容が検索語句とずれている、表示が遅いキーワードに対応するLPへ変更する、表示速度とスマホ表示を改善する

品質改善は入札の話ではないように見えますが、実質的には最も費用対効果の高い「入札対策」です。単価を10%上げるのは翌日から10%のコスト増になりますが、品質を上げれば同じ予算のままクリックが増えます。

品質スコアを目的化しないでください。品質スコアはあくまで診断指標です。スコアが10でもコンバージョンしないキーワードはありますし、スコア5でも安定して獲得できているキーワードもあります。見るべき順番は、CV数 → CPA → CVR → 品質スコアです。

05手動入札と自動入札:どちらを選ぶかの分岐点

入札の決め方には、人がキーワードごとに単価を指定する手動入札と、Googleが1回のオークションごとに単価を自動計算するスマート自動入札があります。

手動入札自動入札
単価の決定単位キーワード単位(固定)1オークション単位(毎回変動)
使えるデータ管理画面で見える範囲デバイス、時間帯、地域、OS、検索履歴、リマーケティングリストなど多数
必要な前提特になしコンバージョン計測が正しく動いていること
向いている状況CVがほとんど無い、計測未整備、極端な少額月あたり一定量のCVが取れている
運用者の仕事単価の調整そのもの目標値の設定と、キーワード・広告文・LPの改善

分岐点はシンプルで、「コンバージョンが計測できていて、学習に足りる量があるか」です。ここが満たされていれば自動入札のほうが有利です。人間は検索した人のデバイスや過去の行動まで見て単価を変えることはできませんが、自動入札はそれを毎回やっています。

計測が壊れたまま自動入札を使うのが、最も危険な組み合わせです。タグが二重に発火していれば、Googleは「成果が出ている」と誤認して配信を広げます。逆にタグが外れていれば、成果ゼロと判断して配信を絞ります。自動入札に切り替える前に、コンバージョンの計測値と実際の問い合わせ件数を必ず突き合わせてください。

06入札戦略7種類を目的別に比較する

入札戦略は「何を最大化するか」で分かれています。自社が今どの段階にいるかで、選ぶべきものが変わります。

戦略最大化するもの必要な前提向いている局面
クリック数の最大化予算内のクリック数なし計測未整備、まずデータを集めたい立ち上げ直後
個別クリック単価(手動)運用者の指定通りなし予算が極小、特定キーワードだけ強く出したい
コンバージョン数の向上予算内のCV件数CV計測CPAより件数を優先したい、学習を進めたい
目標コンバージョン単価(tCPA)指定CPAでのCV件数CV計測+月30件程度CPAの上限が事業として決まっているリード獲得
コンバージョン値の改善予算内のCV価値合計CVに金額を渡していること商品単価にばらつきがあるEC
目標広告費用対効果(tROAS)指定ROASでの売上CV値計測+十分なCV量売上と広告費の比率を守りたいEC
目標インプレッションシェア指定した表示シェアなし指名キーワードを必ず1位に出したい等の防衛目的

「コンバージョン数の拡大」と「目標コンバージョン単価」の違いを整理しておくと選びやすくなります。前者は予算を使い切ることを優先し、CPAは結果として決まります。後者はCPAを守ることを優先し、その単価で獲れないと判断すれば予算を余らせます。件数が欲しいのか、単価を守りたいのか。ここを先に決めてから戦略を選んでください。

07立ち上げ期はどの戦略から始めるか

始めたばかりのアカウントには過去データがありません。ここでいきなりtCPAを設定すると、Googleは判断材料が無いまま「その単価で獲れそうなオークション」だけを選ぼうとして、配信量が極端に少なくなることがあります。

段階の進め方(目安)

  1. 0〜2週目:コンバージョン計測を確認したうえで「クリック数の引き上げ」または手動入札。上限CPCを設定して暴走を防ぐ。この期間の目的は成果ではなく、検索語句データを集めること。
  2. 2〜6週目:CVが積み上がり始めたら「コンバージョン数の向上」へ。除外キーワードの整理と広告文のテストをこの期間に集中させる。
  3. CV30件到達後:実績CPAを確認したうえで「目標コンバージョン単価」へ。目標値は実績CPAと同じか、やや高めから始める。
  4. 安定後:目標CPAを1回20%以内で少しずつ絞っていく。件数が落ちすぎたら戻す。

少額予算で始める場合の配分と改善順序は、少額リスティング広告の始め方で別途整理しています。予算が小さいほど、入札戦略よりもキーワードの絞り込みが効きます。

08目標コンバージョン単価の決め方

目標CPAは「なんとなく安くしたい金額」ではなく、事業の数字から逆算します。

逆算の手順

  1. 1件あたりの受注粗利を出す(売上ではなく粗利)
  2. 問い合わせから受注までの成約率を出す
  3. 粗利 × 成約率 = 問い合わせ1件の価値
  4. そのうち何割まで広告費に使ってよいかを決める
  5. それが許容CPAの上限になる

例:受注粗利20万円、成約率20% → 問い合わせ1件の価値は4万円。粗利の50%まで広告に使う方針なら、許容CPAは2万円。

この計算をしておくと、「CPAが1万5000円まで上がった」という報告に対して、慌てて止めるべきなのか、まだ投資してよいのかが判断できます。逆にこの数字が無いと、CPAの上下だけで一喜一憂することになります。

いきなり許容上限いっぱいで設定しないでください。目標CPAは配信量に直結します。最初は実績CPAと同水準に置き、件数が安定してから段階的に絞るほうが、学習を壊さずに済みます。逆に許容上限より大幅に低い数字を入れると、配信が絞られてCV件数が数分の1になることがあります。CPAだけでなく件数を必ず同時に見てください。

CVの中身を揃えておく

目標CPAが機能するのは、コンバージョンの中身が揃っている場合だけです。資料請求、無料相談、電話、採用応募が全部まとめて1つのコンバージョンになっていると、Googleは最も獲りやすいものへ寄せていきます。結果、CPAは下がったのに商談が増えないという状態になります。獲得したいものだけを「コンバージョン列に含める」設定にしてください。

09目標広告費用対効果の決め方

ECのように売上金額が計測できる場合は、CPAではなくROAS(広告費用対効果)で管理します。ROAS = 売上 ÷ 広告費 × 100(%) です。

目標ROASも粗利から逆算します。粗利率が30%の商品で、広告費を粗利の半分までに抑えたいなら、必要なROASは約667%です(広告費1に対して売上6.67、粗利2、そのうち1を広告費が占める計算)。この数字を出さずに「ROAS500%を目指す」と決めると、商品によっては赤字で回すことになります。

tROASを使うには、コンバージョンに金額(購入額)を渡している必要があります。ここが未設定だと、そもそも選択できません。また商品単価の幅が大きい場合、単価帯やカスタムラベルでキャンペーンを分け、それぞれ別のtROASを設定するほうが精度が上がります。

10目標値の動かし方:変更幅と待機期間

入札戦略を選んだあとの運用は、目標値をどう動かすかが中心になります。ここでの原則は2つ、「一度に大きく動かさない」と「動かしたら待つ」です。

状況変更幅の目安次の評価まで
CPAに余裕があり件数を増やしたい目標CPAを+10〜20%7〜14日
CPAを引き締めたい目標CPAを-10〜20%14日(件数の落ち方を確認)
配信量が明らかに足りない予算を先に確認。予算が上限なら予算側を調整7日
季節要因で需要が変わった季節性の調整を使うか、目標値を一時的に変更期間終了後に戻す

「昨日下げて今日も下げる」を繰り返すと、学習が落ち着く前に条件が変わり続けます。数字は動きますが、何が効いたのかは永久に分かりません。変更は必ず日付とともに記録し、次の評価日を決めてから実行してください。

変更履歴を残す習慣は、レポートの質にも直結します。「今月CPAが改善しました」ではなく「先月20日に目標CPAを18,000円から15,000円へ変更し、その後14日でCPAは14,200円、CV件数は32件から27件へ減少」と言えるかどうかで、次の判断の精度が変わります。

11学習期間中にやってはいけないこと

入札戦略を変更すると、キャンペーンは学習期間に入ります。この間、配信量やCPAは不安定になります。ここで慌てて手を入れると、学習がやり直しになります。

  • 目標値を再度変更する
  • 予算を大きく増減する
  • キャンペーンを一時停止して再開する
  • コンバージョン設定を変更する
  • キーワードを大量に追加・削除する
  • LPのURLを変更する

学習期間の目安は7〜14日ですが、これは「日数」ではなく「データ量」で決まります。月のコンバージョンが少ないアカウントほど長くかかります。CVが月10件のアカウントなら、判断まで1か月見ておいたほうが安全です。

学習中の数字を見て「この戦略はダメだ」と結論を出すのが、最も多い失敗です。切り替え直後の3日間でCPAが2倍になるのは珍しくありません。判断は必ず学習が終わってから、かつ十分な件数が積み上がってから行ってください。

12デバイス・地域・時間帯の入札調整は今も有効か

かつては、スマートフォンの入札を+20%、特定地域を-30%といった調整を細かく行うのが運用の中心作業でした。現在は状況が変わっています。

スマート自動入札を使っている場合、デバイス・地域・時間帯といった要素はGoogle側が1オークションごとに判断しているため、手動の調整比率は無視されるか、限定的にしか効きません。ここを熱心に触っても成果は動かないことが多いです。

それでも入札調整を使う場面

  • 完全に止めたいとき:調整率-100%は「配信しない」という指定として機能します。対応エリア外や、明らかに成果の出ないデバイスを外す用途。
  • 手動入札のキャンペーン:手動運用しているなら従来通り有効です。
  • 営業時間の制御:電話コンバージョンが主要な業種で、受電できない時間帯を止める用途。

逆に言えば、自動入札に切り替えた時点で、細かい調整比率の作業からは解放されます。空いた時間は検索語句の確認、広告文のテスト、LPの改善に回したほうが成果に直結します。どこに時間を使うべきかの全体像はGoogle広告の運用レバーを整理した記事にまとめています。

13予算と入札は必ずセットで見る

入札の調整がうまくいかないとき、原因が入札ではなく予算側にあることがあります。この2つは連動しているため、片方だけを見ても答えが出ません。

症状予算が原因の場合入札が原因の場合
配信量が少ない日予算に張り付いている(予算による損失率が高い)目標CPAが低すぎてオークションに参加していない
CPAが高い予算が少なすぎて学習が進んでいない目標値が実態より高い、または戦略が目的と不一致
日中で配信が止まる日予算切れ—
予算が消化されない—目標CPAが厳しすぎる、キーワードの需要量が不足

まず「予算による損失率(インプレッションシェア損失:予算)」を確認してください。ここが高ければ予算不足、0%に近ければ需要を拾い切っている状態なので、予算を増やしても成果は比例しません。予算配分そのものの考え方は予算アロケーションの記事で扱っています。

14入札戦略を切り替えるときの手順

戦略の切り替えは、成果が出るまで時間がかかるうえに元へ戻しにくい操作です。次の順序で進めると事故が減ります。

  1. 計測を確認する。コンバージョンの計測値と実際の問い合わせ件数を突き合わせる。ここがずれていたら切り替えない。
  2. CVに含めるものを整理する。採用応募や既存顧客の問い合わせを「コンバージョン列に含める」から外す。
  3. 直近30〜90日の実績CPAを出す。これが目標値の出発点になる。
  4. 切り替える日を決める。月末や繁忙期の直前は避ける。判断に必要な期間を確保できるタイミングを選ぶ。
  5. 変更履歴に記録する。変更日、変更前の設定、目標値、次の評価日を残す。
  6. 14日間は触らない。この間の日次の数字で判断しない。
  7. 評価する。CPAと件数の両方を見る。片方だけ良くなっても改善とは言えない。

複数キャンペーンを同時に切り替えないでください。1つずつ切り替えて、他のキャンペーンを比較対象として残しておくと、成果の変化が季節要因なのか戦略変更の効果なのかを切り分けられます。

15よくある失敗と、その戻し方

失敗1:目標CPAを絞りすぎて配信が止まる

症状:CPAは目標通りだが、CV件数が半分以下になった。表示回数も激減している。
原因:目標CPAが実勢より低く、参加できるオークションがほとんど無い。
戻し方:目標CPAを実績水準まで戻し、14日待つ。その後、絞るなら1回10〜20%以内で。

失敗2:CVの定義がばらばらのままtCPAを使う

症状:CPAは改善しているのに、商談も売上も増えていない。
原因:資料DL、採用応募、営業電話まで同じCVに入っており、獲りやすいものへ寄っている。
戻し方:主要コンバージョンだけを「コンバージョン列に含める」に設定し直す。学習がやり直しになるため、2〜4週間の再学習を見込む。

失敗3:毎日目標値を触る

症状:数字が安定せず、何が効いたのか分からない。
原因:学習が終わる前に条件を変え続けている。
戻し方:変更を止めて14日置く。以降は「変更日と次の評価日をセットで決める」運用にする。

失敗4:キャンペーンを細かく分けすぎて学習が進まない

症状:どのキャンペーンも月のCVが数件で、自動入札が機能していない。
原因:分ける理由が無いのに分割している。
戻し方:予算・目標値・レポート単位を分ける必要が無いキャンペーンは統合する。構造の判断はキャンペーン・広告グループの組み方を参照。

失敗5:入札だけで解こうとする

症状:入札戦略を何度変えてもCPAが改善しない。
原因:問題が入札ではなく、検索語句のずれ、広告文、LPにある。
戻し方:検索語句レポートとLPのCVRを先に確認する。広告とLPの関係についてはリスティング広告とLPの関係の記事で扱っています。

16指名キーワードとインプレッションシェア目標の使い方

入札戦略の話で見落とされやすいのが、指名キーワード(自社の社名・サービス名)の扱いです。ここは他のキーワードとは目的が違うため、同じ戦略で運用すると判断を誤ります。

指名キーワードで検索している人は、すでにこちらを知っていて、探して来ている人です。放っておいても自然検索から来る可能性が高いので、「広告費をかける意味があるのか」という議論になります。ただし、競合が自社名で広告を出している場合、上に競合の広告が並ぶことになります。この状況では、指名広告は新規獲得ではなく防衛のための費用になります。

指名キャンペーンを分ける理由

  • CPAが桁違いに良い:一般キーワードと同じキャンペーンに入れると、全体のCPAを実態より良く見せてしまい、一般側の成果評価が甘くなる
  • 目的が違う:一般は新規獲得、指名は取りこぼし防止。同じ目標CPAで管理する意味がない
  • 予算配分の判断が必要:指名にいくら使っているかを事業側と共有できる状態にしておく
  • 入札戦略も変えられる:指名は「目標インプレッションシェア」で1位を確保する、という運用ができる

目標インプレッションシェアは、CPAではなく「検索結果ページの最上部に何%表示されるか」を目標にする戦略です。指名キーワードのように、必ず取りたい枠が決まっている場合に使います。上限CPCを必ず設定して、単価が青天井にならないようにしてください。

目標インプレッションシェアを一般キーワードに使わないでください。この戦略はCPAを一切考慮しません。「表示される」ことだけを改善するため、成果と無関係にクリック単価が上がり続けます。使う場面は、指名防衛、あるいは短期のブランド露出目的に限定してください。

17季節変動とデータ除外:数字が荒れる期間の扱い方

自動入札は過去のデータをもとに学習しています。そのため、平常時と大きく条件が違う期間があると、そのデータを引きずって誤った判断をすることがあります。

季節性の調整

セール、キャンペーン、テレビ露出など、短期間だけコンバージョン率が大きく変わることが事前に分かっている場合は「季節性の調整」を使います。これは「この期間はCVRがいつもより◯%高くなる見込み」とGoogleへ事前に伝える機能です。使わない場合、Googleは実際にCVRが上がってから追随するため、初動で機会を逃します。

ただし、これは1〜7日程度の短期イベント向けです。数か月続く需要変動には使いません。長期の変化は、通常の学習に任せたほうが安定します。

データ除外

逆に、計測が壊れていた、サイトが落ちていた、フォームが動いていなかった、といった「異常なデータ」が入ってしまった場合は、その期間をデータ除外に指定します。指定しないと、Googleは「その期間は成果が悪かった」と学習してしまい、復旧後も配信を絞り続けます。

サイト改修やCMS更新の予定がある場合は、事前に運用側へ共有してもらってください。事後に「なぜかCVが止まった」と調べるより、除外期間を指定して学習への影響を最小化するほうが早く復帰できます。ここは広告運用と制作・開発の連携が必要な部分です。

18Yahoo!広告の入札はGoogleとどう違うか

日本ではYahoo!広告(検索広告)を併用することが多いため、入札まわりの違いも押さえておくと運用が楽になります。基本的な考え方は共通ですが、機能名と挙動に差があります。

観点Google広告Yahoo!広告(検索広告)
自動入札の名称スマート自動入札(tCPA / tROAS 等)自動入札(コンバージョン単価の目標 等)
学習に必要なデータ量比較的多いGoogleより検索ボリュームが小さいため溜まりにくい
ユーザー層の傾向幅広い年齢層がやや高め、PC比率が高い傾向
運用上の注意学習を壊さないことデータ量が少ないため、キャンペーンを分けすぎない

実務上いちばん効くのは、「Yahoo!はGoogleよりデータが溜まりにくい」という点です。Googleと同じ粒度でキャンペーンを分けると、Yahoo!側だけ学習が進まないという状態になります。Yahoo!は1〜2キャンペーンに集約して運用したほうが、結果的にCPAが安定することが多いです。

また、GoogleでうまくいったキーワードをそのままYahoo!へ移しても、同じ成果にはなりません。検索ボリュームも競合状況も違うため、Yahoo!側は独立して検索語句を確認し、除外キーワードを別に育てる必要があります。

19要点整理

リスティング広告の入札は、単価の高さ比べではありません。掲載順位は広告ランクで決まり、広告ランクには入札単価のほかに広告の品質、下限値、競争状況、検索の文脈が含まれます。だからこそ、単価を上げる以外の対抗手段が常に残っています。

入札戦略の選択は、「コンバージョンが計測できているか」「学習に足りる量があるか」「件数と単価のどちらを優先するか」の3つで決まります。この3つに答えが出ていれば、7種類の中から選ぶのは難しくありません。

そして目標値を決めたあとは、動かし方のほうが重要になります。1回の変更は20%以内、変更後は最低14日待つ、複数を同時に動かさない、変更は必ず記録する。この4つを守るだけで、数字の読み方が安定します。

最後に、入札で解けない問題は入札では解けません。何度戦略を変えても改善しないときは、検索語句、広告文、LPのどこかに原因があります。入札は成果を左右する重要なレバーですが、数あるレバーの1つでしかない、という前提で見たほうが判断を誤りません。

20関連記事

入札の前後にある論点は、それぞれ個別の記事で掘り下げています。

入札戦略を変えるべきか、それとも別のレバーを触るべきかの判断がつかない場合は、直近90日の広告費、CV数、CPA、CV定義、変更履歴を共有いただければ切り分けからお手伝いできます。無料で相談する

FAQよくある質問

Q1. リスティング広告の掲載順位は入札単価だけで決まりますか?

決まりません。掲載順位は広告ランクで決まり、広告ランクは入札単価だけでなく、広告の品質(推定クリック率、広告の関連性、ランディングページの利便性)、広告ランクの下限値、オークションの競争状況、検索の文脈、アセットの効果見込みを合わせて計算されます。単価が競合より低くても、品質が高ければ上に出ることはあります。

Q2. 手動入札と自動入札はどちらを選ぶべきですか?

コンバージョン計測が正しく入っていて、月に一定量のコンバージョンが取れているなら自動入札が有利です。逆に計測が未整備、CVがほとんど無い、極端に少額といった状況では、自動入札が学習できないため手動入札やクリック数の拡大から始めたほうが安定します。

Q3. 目標コンバージョン単価はどうやって決めればいいですか?

許容CPAは「粗利 × 成約率」から逆算します。たとえば1件の受注粗利が20万円、問い合わせからの成約率が20%なら、問い合わせ1件の価値は4万円です。ここから回収期間と利益率の方針を決めて上限を置きます。実績CPAより大幅に低い数字をいきなり設定すると配信が止まります。

Q4. 入札戦略を変えたあと、どのくらい待つべきですか?

学習期間の目安は7〜14日です。この間は数値が不安定になるため、途中で目標値を触らないでください。月のコンバージョンが30件に満たないアカウントでは、判断に14〜28日かかることもあります。

Q5. デバイスや時間帯の入札調整は今も使いますか?

スマート自動入札を使っている場合、デバイス・地域・時間帯の入札調整は原則としてGoogle側が自動で行うため、手動の調整比率は無視されるか限定的にしか効きません。使うのは配信そのものを止めたいとき(調整率-100%)や、手動入札を使っているキャンペーンに限られます。

Produced by おこじょデザインシステム株式会社