月5万円からリスティング広告を始める手順少額予算で成果を出すためのキーワードの絞り方、除外設定、予算の逆算、最初の90日の進め方

リスティング広告は、GoogleやYahoo!の検索結果に表示される広告です。クリックされたときにだけ費用が発生し、1日単位で予算の上限を決められるため、少額から始められるのが特徴です。テレビCMや交通広告のように、最低出稿額が決まっているわけではありません。

ただ「始められる」ことと「成果が出せる」ことは別です。予算が小さいアカウントには、大きなアカウントとは違う失敗のしかたがあります。データが溜まらないので判断できない、広く出しすぎて全部が中途半端になる、1か月で見切りをつけて一番効率の悪い時期の数字だけを見て終わる。このあたりが典型です。

この記事では、月5万円から10万円程度の予算でリスティング広告を始める場合に、何を決めてから出稿し、最初の90日をどう進めるかを順番に整理します。予算が小さいほど効く打ち手と、少額のうちは手を出さなくていいことを分けて書いているので、これから始める方はもちろん、始めてみたけれど数字が動かないという方にも使える内容にしています。

01「少額」とはいくらか、そのとき何が起きるか

広告運用の文脈で少額という場合、月の広告費でおおよそ3万円から30万円くらいまでを指すことが多いです。ただ、金額そのものより重要なのは「その予算で月に何クリック買えるか」です。

月予算CPC 100円CPC 300円CPC 800円CPC 2,000円
3万円300クリック100クリック37クリック15クリック
5万円500クリック166クリック62クリック25クリック
10万円1,000クリック333クリック125クリック50クリック
30万円3,000クリック1,000クリック375クリック150クリック

クリック単価は業種で大きく変わります。BtoBのITサービスや士業、不動産、医療、リフォームなどは1クリック1,000円を超えることが珍しくありません。逆に一般消費財や地域密着のサービスなら100〜300円で収まることもあります。

ここで見るべきは、コンバージョン率が仮に2%だとしたとき、月に何件の問い合わせが期待できるかです。月25クリックなら、CVは0件か1件です。この状態では「広告が悪いのか、LPが悪いのか、そもそも需要が無いのか」を数字で判断できません。

少額アカウントの最大の課題は、CPAが高いことではなくデータが溜まらないことです。判断に必要な最低ラインとして、「想定CPC × 100クリック × 2〜3か月分」を確保できるかを最初に計算してください。ここに届かない場合は、広告以外の手段を先に検討したほうが合理的なこともあります。

02出稿前に決めておく3つのこと

管理画面を開く前に、次の3つを決めておいてください。ここが曖昧なまま始めると、あとで数字を見ても判断ができません。

1. 何をコンバージョンとするか

問い合わせフォームの送信、電話、LINE友だち追加、資料ダウンロード、来店予約。どれを成果として数えるかを1つに決めます。複数ある場合は、事業として最も重要なものを「主要コンバージョン」に設定し、それ以外は参考指標として分けて見ます。ここを混ぜると、自動入札が獲りやすいものへ寄ってしまい、CPAは下がったのに商談が増えないという状態になります。

2. 1件あたりいくらまで払えるか

許容CPAは「受注1件の粗利 × 問い合わせからの成約率」で逆算します。受注粗利が30万円、成約率が20%なら、問い合わせ1件の価値は6万円。粗利の半分までを広告費に充てる方針なら、許容CPAは3万円です。この数字が無いと、CPAが1万円でも「高い」と感じてしまい、投資すべき局面で止めてしまいます。

3. どのくらいの期間で判断するか

最低3か月です。1か月目は検索語句を集めて除外を整える期間、2か月目に広告文とLPを調整する期間、3か月目で継続可否を判断する、という組み立てになります。開始前にこの期間を関係者と合意しておくと、1か月目の数字で「やっぱりダメだった」と打ち切られるのを防げます。

この3つが決まっていれば、あとの作業は手順の問題です。逆に、ここを飛ばして出稿すると、3か月後に「なんとなくクリックはあった」以上のことが分からないまま終わります。

03少額アカウントが失敗する典型パターン

実際に見てきた中で、少額アカウントが成果を出せない原因はだいたい次のどれかに当てはまります。

  • 広く出しすぎている:キーワードを100個以上登録し、1つあたり月数クリックしか出ていない。どれが効いたか永久に分からない
  • 除外を作っていない:マッチタイプが広く、予算の3〜4割が無関係な検索語句に消えている
  • 計測が入っていない:CVが測れないので、クリック数と表示回数だけを見て判断している
  • LPが会社紹介ページ:広告の遷移先がトップページで、何をすればいいかが書かれていない
  • 1か月で止める:一番効率の悪い立ち上げ期の数字だけを見て終了している
  • 毎日設定を変える:数字が動くたびに触るので、何が原因か切り分けられない

逆に言えば、この6つを避けるだけで、少額でも判断可能なアカウントになります。以下、順番に対策を書いていきます。

04キーワードは絞る:広げるのは後でいい

予算が小さいときの原則は「狭く、深く」です。10〜30個程度に絞ってください。100個登録して1個あたり月3クリックの状態より、15個で1個あたり月20クリックのほうが、はるかに判断しやすくなります。

どの語句から始めるか

成約に近い順に並べると、次のようになります。少額のうちは上から2〜3層目までに絞ります。

層例成約への近さ少額時の扱い
指名自社名、サービス名最も近い必ず入れる(競合対策・取りこぼし防止)
サービス名+地域「税理士 横浜」「エアコン取付 川崎」近い中心に据える
サービス名+意図「◯◯ 依頼」「◯◯ 見積もり」「◯◯ 料金」近い中心に据える
悩み+解決手段「相続 手続き 面倒」「エアコン 効かない 修理」やや遠い予算に余裕が出てから
情報収集「◯◯とは」「◯◯ やり方」遠い少額では入れない

「◯◯とは」系の情報収集キーワードは、少額のうちは避けてください。検索ボリュームが大きいのでクリックは集まりますが、その段階の人はまだ発注しません。限られた予算をここに使うと、成約に近い層へ届く前に予算が尽きます。認知獲得は、成約に近い層で回収できるようになってから取り組む順番です。

05マッチタイプの選び方

マッチタイプは、登録したキーワードに対してどこまで幅を持たせて広告を出すかの設定です。少額運用では、この選択が予算の使われ方を大きく変えます。

マッチタイプ広がり方少額での使い方
完全一致 [キーワード]そのキーワードとほぼ同じ意味の検索にのみ中心。成約に近い語句はここから
フレーズ一致 "キーワード"その語句の意味を含む検索に完全一致でデータが足りないときに補助的に
インテントマッチ キーワード関連する意味の検索まで広く少額では原則使わない。使うなら除外を厚くして少額の別キャンペーンで

完全一致から始めて、検索語句レポートで拾えている量を確認し、足りなければフレーズ一致を足す。この順番が安全です。逆にインテントマッチから始めると、意図の遠い検索に予算を持っていかれて、成約に近い語句へ届く前に日予算を使い切ります。

ただし完全一致だけだと、検索語句のバリエーションが見えません。予算に少し余裕が出てきた段階で、フレーズ一致のキャンペーンを小さく走らせ、そこで見つかった良い語句を完全一致へ昇格させる、という育て方をすると効率よく広がります。

06除外キーワードは出稿前に作っておく

除外キーワードは、配信してから作るものだと思われがちですが、想定できるものは出稿前に入れておくべきです。少額アカウントでは、1週間放置するだけで月予算の1割が無関係な検索に消えます。

出稿前に入れておく除外の型

  • 採用系:求人、転職、募集、年収、バイト、正社員、給料
  • 無料・自作系:無料、フリー、自分で、diy、やり方、作り方(有料サービスの場合)
  • 学習・情報系:とは、意味、資格、勉強、スクール、講座(該当しない場合)
  • 他社・競合系:取り扱っていない他社ブランド名
  • 対応外エリア:提供していない地域名
  • 対応外サービス:扱っていない商品カテゴリ名

配信開始後は、検索語句レポートを週1回確認して除外を追加していきます。この作業は少額アカウントで最も費用対効果が高い運用です。設定は無料で、効果は翌日から出て、失敗しても戻せます。

除外リストをアカウント単位で管理する方法はアカウント単位の除外キーワードの記事にまとめています。キャンペーンが複数になってきたら、共通の除外はリスト化して一括適用するほうが漏れが減ります。

07地域・時間帯・デバイスで無駄を削る

予算が小さいときは、届ける相手を絞ることが直接効きます。特に地域は効果が大きい設定です。

  • 地域:実際に対応できるエリアだけに絞る。全国配信のまま始めて、対応外エリアからの問い合わせを断っているケースをよく見ます
  • 地域設定の種類:「所在地」と「関心を示した場所」の違いを確認する。旅行・宿泊系以外は、原則「所在地」に限定したほうが無駄が減ります
  • 時間帯:電話がメインの成果になる業種なら、受電できない時間は配信を止める
  • 曜日:BtoBなら土日の配信を止めるか弱める判断もありうる(ただし調べる行動自体は土日にも起きるため、データを見てから)
  • デバイス:フォームがスマホで入力しづらい状態なら、LPを直すのが先。直せないうちは一時的にPC中心にする選択もある

絞りすぎにも注意が必要です。地域も時間帯もデバイスも全部絞ると、そもそも配信されずデータが溜まりません。最初は「明らかに無駄なもの」だけを外し、あとはデータを見てから判断してください。判断材料が無い段階での絞り込みは、勘に基づく機会損失になります。

08予算はクリック単価から逆算する

日予算は「月予算 ÷ 30.4」で計算します。月5万円なら日予算は約1,640円です。Googleは日によって最大2倍まで使うことがありますが、月間では設定額を超えないように調整されます。

逆算の順序

  1. 狙うキーワードの推定クリック単価を調べる(キーワードプランナー、または実際に少額で走らせて確認)
  2. 月予算 ÷ 想定CPC = 月間クリック数
  3. 月間クリック数 × 想定CVR(未知なら1〜2%で仮置き)= 月間CV数
  4. 月予算 ÷ 月間CV数 = 想定CPA
  5. この想定CPAが、許容CPAの範囲に入っているかを確認する

ここで想定CPAが許容CPAを大きく超える場合、その予算では成立しない可能性があります。対応としては、より成約に近いキーワードに絞ってCVRを上げるか、LPを改善するか、そもそも予算を積むかの3択です。「とりあえず出してみる」前にこの計算をしておくと、期待値の設定を間違えません。

日予算を細かく上下させるのは避けてください。1日単位で見ると数字は大きく振れます。判断は週単位、できれば月単位で行い、日予算は原則として据え置くほうが安定します。予算管理の考え方は広告運用の予算管理の記事でも扱っています。

09少額のときの入札戦略

自動入札は過去のコンバージョンデータをもとに学習します。CVが月に数件しか無い段階では学習が進まないため、いきなり目標コンバージョン単価を設定すると配信が極端に絞られることがあります。

段階状況使う戦略
1出稿直後、CVゼロクリック数の最大化(上限CPCを必ず設定)または手動入札
2CVが月5〜15件コンバージョン数の最大化
3CVが月30件以上で安定目標コンバージョン単価(実績CPAと同水準から開始)

段階1で上限CPCを設定しないと、1クリックに数千円使われてしまうことがあります。想定CPCの1.5倍程度を上限として置いてください。入札の仕組みそのものについてはリスティング広告の入札はどう決まるのかで詳しく整理しています。

10LPは1枚でいい。ただし条件がある

少額のうちは、LPを複数作ってテストする余裕はありません。1枚に集中して構いません。ただし、その1枚が次の条件を満たしている必要があります。

  • 広告の言葉とLPの見出しが一致している:「エアコン取付 川崎」で来た人に、最初の画面で「川崎のエアコン取付」と書いてあるか
  • 何をすればいいかが明確:ページを開いて3秒で、次にとるべき行動が分かるか
  • 料金の目安がある:金額が一切書かれていないと、比較検討段階の人は離脱します
  • スマホで読める:文字サイズ、ボタンの大きさ、フォームの入力しやすさ
  • フォームが短い:項目が多いほど落ちます。少額のうちは必須項目を3〜4個に絞る
  • 電話番号がタップできる:スマホからの流入が多い業種では、電話が主要な成果になります

会社のトップページに広告を送るのは避けてください。トップページは「会社を知りたい人」向けに作られており、「今すぐ依頼したい人」向けの導線になっていないことがほとんどです。広告とLPの関係についてはリスティング広告とLPの関係をCVR改善に活かす記事で詳しく扱っています。

LPを新規に作る予算が無い場合、既存のサービスページに「料金の目安」と「問い合わせボタン」を追加するだけでも改善します。まずは今あるページのどこで離脱しているかを見て、直せる箇所から手をつけてください。改善の順序はLPOの基本と改善順序にまとめています。

11計測は出稿より先に入れる

コンバージョン計測が入っていない広告は、どれだけ運用しても改善できません。クリック数と表示回数だけを見ても、成果につながっているかは分からないからです。

最低限入れるもの

  • フォーム送信のコンバージョンタグ(サンクスページ、またはフォーム送信イベント)
  • 電話タップのコンバージョン(スマホからの発信)
  • Googleアナリティクス(流入の内訳と行動を見る)
  • 可能ならLINE友だち追加、チャット起動などのサブ成果

出稿後にタグを入れると、それまでのデータが使えません。1か月配信してから計測を入れると、その1か月分は「何が効いたか分からないデータ」になります。設置と発火確認を済ませてから配信を開始してください。テスト送信をして、管理画面にコンバージョンが記録されることを必ず確認します。

また、コンバージョンの計測値と実際の問い合わせ件数を、月に1回は突き合わせてください。タグの二重発火で件数が水増しされていたり、フォームの仕様変更で計測が外れていたりすることがあります。ここがずれていると、あとの判断が全部ずれます。

12最初の30日でやること

1か月目の目的は成果ではなく、判断材料を集めることです。この期間の数字が悪いのは想定内として進めます。

時期やること見る数字
1〜3日目配信状況の確認、広告の審査通過、計測の発火確認表示回数、クリック数、CVが記録されているか
4〜7日目検索語句レポートを確認、明らかに無関係な語句を除外検索語句、費用の内訳
2週目除外の追加、上限CPCの調整、広告文を2本目まで追加CPC、CTR、費用消化ペース
3週目クリックはあるがCVゼロのキーワードを特定キーワード別のクリック数と費用
4週目成果の出ていないキーワードを停止、LPの離脱箇所を確認CV数、CVR、LPの直帰

この期間、日予算と入札は原則として触りません。触るのは除外キーワードと広告文です。この2つは効果が早く出て、失敗しても戻せます。予算と入札を毎日動かすと、何が効いたのかが分からなくなります。

1331日目から90日目でやること

2か月目以降は、集まったデータをもとに改善します。ここからが本来の運用です。

2か月目(31〜60日)

  • 検索語句から、成果の出た語句を完全一致でキーワードに追加する
  • 広告文をパターン違いで3本用意し、比較する(訴求を変える:価格/実績/スピード/悩み)
  • LPのファーストビューを、実際に流入している検索語句に合わせて書き換える
  • フォームの項目を減らせないか確認する
  • CVが積み上がっていれば「コンバージョン数の向上」へ切り替える

3か月目(61〜90日)

  • CPAと許容CPAを比較して、継続可否を判断する
  • 問い合わせの中身を確認する(数だけでなく、商談になる質かどうか)
  • 効いているキーワードに予算を寄せる
  • 成果の出ていない領域を止める、または別の切り口へ変える
  • 次の3か月の予算と目標を決める

3か月目の判断では、CV数だけでなく「問い合わせの中身」を必ず見てください。件数は増えたが冷やかしばかり、という場合は、キーワードかLPの訴求がずれています。この場合の打ち手は予算増ではなく、絞り込みです。

14成果が出ないときの見切り方

3か月やっても成果が出ない場合、原因を切り分けてから次を決めます。「広告が向いていない」と結論を出す前に、次の順番で確認してください。

症状疑う場所次の打ち手
そもそも表示されていない予算・入札・審査・検索需要上限CPC、審査状況、キーワードの検索ボリュームを確認
クリックはあるがCVゼロ検索語句とLP実際の検索語句を見る。意図が合っていればLP側を疑う
CVはあるが商談にならないキーワードの層とLPの訴求情報収集層を除外し、料金や条件を明示する
CPAが許容範囲を大きく超える単価と成約率成約率を上げるか、より成約に近いキーワードに絞る
数字が月ごとに大きく振れるデータ量の不足判断単位を四半期に広げるか、予算を集約する

それでも成立しないと判断した場合、広告のチャネルを変える(Meta広告、Indeed、Google ビジネス プロフィールなど)、あるいは広告以外の集客手段に切り替えるという選択もあります。少額の検索広告が向くのは、すでに検索需要がある商材です。まだ誰も検索していないものを検索広告で売るのは、構造的に難しいという前提は持っておいてください。

15予算を増やすタイミング

予算を増やす判断は、CPAが良いかどうかだけでは決められません。次の3つが揃ったときが増額のタイミングです。

  • CPAが許容範囲に収まっている:単発ではなく、2か月以上続いている
  • 予算による機会損失がある:「インプレッションシェア損失(予算)」が発生している。ここが0%に近い場合、予算を増やしても消化されません
  • 受け皿がある:問い合わせが倍になったときに、営業や施工が対応できる体制があるか

予算を一度に倍にしないでください。自動入札を使っている場合、大幅な予算変更は学習に影響します。20〜30%ずつ増やして、2週間ごとにCPAの変化を確認するほうが安全です。増やした結果CPAが悪化したら、その手前が今のアカウントの上限だと判断できます。

また、予算を増やす前に「今の予算で拾えていない需要があるか」を確認してください。予算不足による損失が出ていないのに増額しても、より意図の遠い検索へ配信が広がるだけでCPAが悪化します。

16自社運用か、外部依頼か

月の広告費が10万円を下回る場合、運用手数料(一般に広告費の20%前後、または最低手数料)を払うと、費用に占める運用費の比率が高くなりすぎます。この規模では、次のいずれかが現実的です。

形向いている状況注意点
完全に自社運用週1時間、数字を見る時間を確保できる最初の設計を間違えると3か月無駄になる
初期設計だけ外部、運用は自社設計に不安があるが、日々の運用は回せる設計時に「何をどう見るか」まで引き継ぐこと
スポットで診断を依頼すでに運用中で、成果が出ない理由が分からない直近90日のデータを揃えてから相談する
運用代行を依頼広告費が月20〜30万円以上手数料を含めた総額でCPAを見る

判断材料は広告費の額そのものより、「週に1時間、検索語句と数値を見る時間を確保できるか」です。ここが確保できないなら、金額が小さくても外部に任せたほうが結果的に安く済みます。放置された広告アカウントは、毎月確実に無駄な費用を出し続けるからです。

17少額のうちは手を出さなくていいこと

やることを増やすより、やらないことを決めるほうが少額運用では重要です。次の項目は、予算とデータが増えてから取り組めば十分です。

  • ディスプレイ広告・P-MAX:配信面が広い分、少額では1面あたりのデータが薄くなります。検索で成立してから足す
  • 複数キャンペーンへの分割:分けるほど学習データが分散します。指名と一般の2つまでで十分
  • 細かい入札調整:デバイス・時間帯の調整比率は、自動入札では効きにくい
  • 複数LPのABテスト:統計的に判断できる量に届きません。1枚を磨くほうが早い
  • リマーケティング:そもそも母数が足りず、リストが溜まりません
  • 動画・バナー制作:検索で成果が出る前に制作費をかけない

広告アカウントで触れる場所は非常に多く、全部やろうとすると少額では手が回りません。何を触るべきかの全体像と優先順位はGoogle広告の運用レバーを整理した記事にまとめています。少額のうちは、上位の「予算・除外・広告文・LP」だけで十分に戦えます。

18業種別に見る、少額運用の現実的なライン

同じ月5万円でも、業種によって成立するかどうかは変わります。クリック単価と成約単価の関係で決まるからです。目安として整理すると次のようになります。

業種の例CPCの傾向月5万円での見え方少額での勝ち筋
地域密着サービス(清掃、修理、出張系)低〜中100〜300クリック。判断可能「サービス+地域」に絞る。電話CVを計測する
飲食・小売の来店集客低クリックは取れるが来店計測が難しいGoogle ビジネス プロフィールを先に整える
士業・コンサル中〜高50〜100クリック。ぎりぎり相談内容を細かく分けて、狭い語句で拾う
不動産・リフォーム高20〜50クリック。3か月まとめて判断エリアを絞り切る。資料請求などCVのハードルを下げる
BtoB SaaS・システム高20〜40クリック。検索広告単独では厳しい指名+比較検討語句に限定し、他チャネルと併用
EC(単価3,000円前後)中成立するが、リピート前提で回収設計が必要初回のCPAではなくLTVで判断する

CPCが高い業種ほど、少額では「広く出す」ことが成立しません。エリアを絞る、検索語句を絞る、コンバージョンのハードルを下げる(いきなり契約ではなく資料請求や無料相談にする)といった設計で、限られたクリックの価値を上げる方向に振ります。

クリック単価が高い業種で少額から始める場合、指名キーワードだけで数か月回すという選択肢もあります。既存の認知から取りこぼしている分を拾いつつ、検索語句のデータを溜めて、次の展開を決める。地味ですが、予算が小さいときには合理的な進め方です。

19広告文は3本で足りる:少額での作り方とテスト方法

広告文は、少額運用で最も費用対効果の高い改善ポイントの1つです。制作費がかからず、変更は即日反映され、効果はクリック率とコンバージョン率の両方に出ます。

最初に用意する3本

本数訴求の軸見出しの例
1本目検索語句との一致「川崎のエアコン取付」など、検索した言葉をそのまま含める
2本目条件・価格の明示「標準工事12,000円〜/出張費無料」
3本目実績・信頼「年間3,000件の施工実績/最短翌日対応」

レスポンシブ検索広告では、見出しと説明文を複数登録するとGoogleが組み合わせを試します。少額では登録できる枠を埋めることより、訴求の軸を分けることを優先してください。似た見出しばかり10本入れても、比較になりません。

クリック率だけで広告を選ばないでください。「無料」「簡単」だけを強調した広告はクリックが集まりますが、有料サービスだと分かった時点で離脱します。少額アカウントでは、この無駄クリックが致命的です。価格や条件を先に出して、見込みの薄い人のクリックを減らすほうが、結果としてCPAは良くなります。

アセット単位の評価をどう見るかはレスポンシブ検索広告のアセット指標の記事で扱っています。少額のうちは、まず「同じ訴求ばかりになっていないか」を確認するだけで十分です。

20検索広告の次に足すチャネルの順番

検索広告が回り始めたあと、どこへ広げるかにも順番があります。予算が限られているうちは、成約に近いものから足していきます。

順番チャネル足すタイミング理由
1Google ビジネス プロフィール(無料)今すぐ店舗・地域サービスなら費用ゼロで来店に直結する
2Yahoo!広告(検索)Googleが安定してから同じ設計を流用できる。ユーザー層が一部異なる
3リマーケティング月の訪問者が一定量を超えてから母数が無いとリストが溜まらない
4Meta広告検索需要を取り切ってからまだ検索していない層に届く。ただしクリエイティブ制作が必要
5P-MAX・ディスプレイCV量が増えてから配信面が広く、少額ではデータが分散する

よくあるのが、検索広告の成果が出ないまま「他の媒体も試してみよう」と横に広げてしまうケースです。予算が同じままチャネルを増やすと、どれも中途半端になります。まず1つのチャネルで成立させて、そこから広げる順番のほうが少額では確実です。

21要点整理

少額でリスティング広告を始めるときの課題は、CPAが高いことではなく、判断に足りるデータが溜まらないことです。だからこそ、限られたクリックをどこに集中させるかが成果を決めます。

出稿前に「何をCVとするか」「1件いくらまで払えるか」「どのくらいの期間で判断するか」の3つを決める。キーワードは10〜30個に絞り、完全一致から始める。除外は出稿前に用意し、週1回追加する。計測は配信より先に入れる。この4つを守れば、3か月後に判断できる材料が手元に残ります。

逆に、少額のうちは手を出さなくていいことも多くあります。ディスプレイ、P-MAX、細かい入札調整、複数LPのテスト。これらは予算とデータが増えてから取り組む順番です。やることを絞るほど、少額の効率は上がります。

最初の1か月の数字が悪いのは、ほぼ全てのアカウントで起きることです。そこで止めるのではなく、除外と広告文とLPを整えた3か月目の数字で判断してください。判断のタイミングを事前に決めておくことが、少額運用でいちばん重要な準備かもしれません。

22関連記事

始めたあとに必要になる論点は、それぞれ個別の記事で扱っています。

今の予算で成立するのか、それとも絞り方を変えるべきなのか。直近90日の広告費、CV数、CPA、CV定義、LPのURLを共有いただければ、切り分けからお手伝いできます。無料で相談する

FAQよくある質問

Q1. リスティング広告は月いくらから始められますか?

仕組み上は月1万円でも配信できます。ただし成果を判断できるかは別問題で、目安としては「想定クリック単価 × 100クリック × 2〜3か月分」を確保できるかで考えてください。クリック単価300円の業種なら月3万円で100クリック、2〜3か月で200〜300クリック。ここでようやくコンバージョン率の傾向が見えてきます。

Q2. 少額のときはキーワードを何個くらい登録すべきですか?

10〜30個程度に絞ってください。予算が小さいほど、広く出すと1つあたりのデータが薄くなり、どれが効いたのか判断できません。成約に最も近い語句(サービス名+地域、商品名+購入、悩み+解決手段)から始めて、検索語句レポートを見ながら増やしていきます。

Q3. 少額でも自動入札を使ってよいですか?

コンバージョンが月10件も無い段階では、自動入札は学習できません。最初は上限CPCを設定した「クリック数の改善」または手動入札で、データを集めることを優先してください。CVが積み上がってから「コンバージョン数の拡大」へ移行します。

Q4. どのくらいの期間で成果を判断すべきですか?

最低3か月です。1か月目はデータ収集と除外設定、2か月目に広告文とLPの調整、3か月目で判断という流れが現実的です。1か月で止めると、除外キーワードが整う前の一番効率が悪い時期の数字で判断することになります。

Q5. 少額なら自社運用と代理店依頼のどちらがよいですか?

月の広告費が10万円を下回る場合、手数料を払うと運用費の比率が高くなりすぎるため、自社で回すか、初期設計だけ外部に依頼して運用は社内という形が現実的です。判断材料は広告費の額よりも、週に1時間、検索語句と数値を見る時間を確保できるかどうかです。

Produced by おこじょデザインシステム株式会社