人材・組織

マーケティング支援で預かる顧客データを守るために、零株式会社が始めた風土づくり

公開日 2026年11月3日最終更新 2026年11月3日情報管理コンプライアンス組織づくりCXO支援

マーケティングの仕事は、お客様の顧客データに触れる仕事です。広告の配信リスト、CRMやMAに入った会員情報、問い合わせフォームに届いた連絡先。零株式会社はこうした情報をお預かりしながら、施策を設計し、運用しています。

最近は、業務委託のマーケターやデザイナー、営業パーソンの力を借りて仕事を進める場面が増えました。情報に触れる人が社外にも広がる今、契約書へのサインだけでは情報は守りきれないと考え、会社の風土づくりから取り組むことにしました。その中身を書きます。

DATAマーケティング支援では、お客様の顧客データをお預かりしている

広告運用では、既存顧客のリストを使って配信先を絞ったり、似た属性の人に広げたりします。CRMやMAの運用では、会員の購買履歴やメールの開封履歴を見ながらシナリオを組みます。LPや問い合わせフォームを改善すれば、届いたリードの情報も扱います。

どれも、お客様が長い時間をかけて積み上げてきた資産です。私たちが見ているのは数字の羅列ではなく、お客様の事業そのものだと考えています。だからこそ、その情報を施策の目的以外で動かさないことを、会社として決めておく必要があります。

CONTRACT契約書は土台。ただ、サインだけでは守れない

前提として、仕事で知り得たお客様の顧客リストやデータは、その業務以外で使わないことを契約書に盛り込んでいます。業務委託のメンバーやパートナーとの契約には、故意に情報を漏えいさせた場合は損害賠償の対象になることも、はっきり書いています。

それでも、契約書に書いてサインをもらうだけでは効果が薄い人も多い、と私たちは感じています。条文を覚えて働く人は多くありませんし、契約書が効くのは漏えいが起きた後です。賠償を求める段階では、お客様の情報はもう外に出ています。

正直に言うと、私たち自身にも振り返るべき過去があります。受け取った契約書に情報の扱いが書かれていなかった取引先に対しては、そのリストを敬意を持って扱う気持ちが欠けていました。失礼な対応をされたときに、その取引先のお客様へ営業を仕掛けようとしたこともあります。上を向いて唾を吐けば、それは自分の顔に落ちてきます。だから今は、契約書に書いてあるかどうかに関係なく、預かった情報は預かりものとして扱うと決めました。

TRAINING雇用形態を問わず、コンプライアンス研修を定期的に行う

そこで、社内でコンプライアンス研修を定期的に行う制度をつくります。対象は正社員だけでなく、契約社員、業務委託、アルバイトを含めた、零株式会社で働くメンバー全員です。

研修でいちばん伝えたいのは、お預かりした顧客データは、自社の利益になる場面でも使わないということです。たとえば、あるお客様の広告配信リストに、別のお客様の見込み客になりそうな企業が並んでいたとします。そこで「別の案件でも使えそうだ」と考えた時点で、お客様から見れば目的外利用です。零株式会社がデータを悪用しないのはもちろん、メンバーにも同じ線を守ってもらいます。

CULTURE顧客情報を軽く扱う風土は、いずれ自社に返ってくる

「会社の利益になるなら、お客様の情報を使ってもいい」という空気が社内にできると、情報は目的のためなら動かしてよいもの、という感覚が当たり前になります。トップのふるまいは、そのまま会社の風土になり、周りの人も同じ方向に足並みをそろえ始めます。

その足並みが会社の成長に向いているうちは、問題は見えません。けれども経営には良い時も悪い時もあります。業績が落ちたとき、評価に納得がいかなかったとき、その風土は会社自身に向かいます。不満を持った人が、今度は零株式会社のリストや取引先の情報を外へ持ち出すかもしれません。

この流れは、ブリリアントジャークと呼ばれる人や、会社への文句や愚痴、悪評をいつも周りに広めようとする人が入ってきたときに、さらに速く進みます。ブリリアントジャークとは、個人の成果は高くても周りへの敬意を欠き、チームの空気を壊してしまう人のことです。箱の中に腐ったみかんが一つあると周りのみかんまで傷んでいくように、こうした人の言動は少しずつ周りに移り、「この会社のためにルールを守る必要はない」という空気を広げます。優秀さと有害さを分けて人を見る考え方は、『人を選ぶ技術』を読んで考えた人の4タイプの記事でも書きました。

組織を大きくするほど、人様に対して謙虚でいる

相手が誰であっても、人に対してはできる限り謙虚に接する。気を遣いすぎて困ることはない、と今は考えています。お客様の情報を守る風土は、そのまま零株式会社の情報を守る備えにもなります。

PARTNER性悪説を前提にしつつ、こちらからも敬意を返す

少し厳しい言い方になりますが、パートナーとの関係は性悪説を前提に設計しています。今は良い関係でも、条件の変化や行き違いで立場が変わることはあり得ます。人を疑いたいのではなく、誰かの善意だけに頼った守り方をしない、という意味です。データに触れられる人と範囲は案件ごとに絞り、仕事が終われば手元に残さない運用にしています。

一方で、守ってもらうことを求めるだけでは、関係は一方通行です。零株式会社からも、一緒に働く方に経験を積める案件、身につくスキル、見合った報酬を提供し、雇用形態に関係なく敬意を持って接します。そのうえで、良い時も悪い時もある中で、最終的には零株式会社とお客様に敬意を持って接してもらう。そうした関係を、取り決めと日々の接し方の両方でつくっていきます。

DETECT漏えいすれば分かる仕組みを、業務フローに組み込む

最後の取り組みは、情報を持ち出せば発覚する理屈を業務の流れに組み込み、それをパートナーにも先に伝えておくことです。黙って仕掛けるのではなく、最初から知らせることで、持ち出そうという考えそのものを起こさせないのが狙いです。

  • ダミーの連絡先:お渡しするリストには、零株式会社が管理するダミーの連絡先が含まれています。案件と関係のない営業やメールがそこへ届けば、リストが外に出たことが分かります。
  • お客様からの知らせ:既存のお客様とは、関連企業や稼働者から心当たりのない営業連絡が来たら教えていただく取り決めを結んでいきます。知らせてくださった場合は、零株式会社から謝礼をお支払いします。

契約書は違反したときの責任をはっきりさせ、研修は守る理由を繰り返し伝え、風土は「使ってしまえ」と考える人を生みにくくし、こうした仕組みは持ち出せば分かることを実感させます。メンバーやパートナーには、これらがすべて業務フローに組み込まれていることを理解したうえで仕事に入ってもらいます。

SUMMARYまとめ

マーケティング支援では、広告の配信リストやCRM・MAの会員データなど、お客様の大切な情報をお預かりします。業務委託の方やパートナーと仕事を広げる今、その情報は契約書へのサインだけでは守りきれません。

目的外利用の禁止と賠償を明記した契約、雇用形態を問わない研修、預かった情報を優先する風土、漏えいすれば分かる仕組み。零株式会社はこの組み合わせを少しずつ積み重ね、法令を守り、関わる人から最終的には感謝される会社をつくっていきます。

Produced by おこじょデザインシステム株式会社