こんにちは。零株式会社のメルマガ運用チームです。

当社は広告代理店と営業代行の会社ですが、自社の集客でもメルマガを定期的に送っています。そこで何年も見てきたのは、発注の連絡が配信の直後ではなく、相手の会社で何かが起きた日の近くに来る、という動き方です。「ずっとメルマガは見ていました。今回ちょうど担当が辞めてしまって」という電話が、配信から2週間後に来る。B2Bのメルマガは、この動き方を前提に組まないと、すぐにやめたくなります。

この記事では、B2Bの事業者がメルマガを配信したほうがいい理由を、購買のタイミングがこちらでは決められないという点から、当社の配信の運用をもとに説明します。

▼B2Bの購買は「相手の都合」で始まり、こちらでは動かせない

法人が何かを買うきっかけは、だいたい決まっています。期初で予算がついた。決算前に予算を使い切る必要が出た。担当者が辞めて引き継ぎ先がない。今の委託先の成果が落ちた。経営者が別の会社の事例を見て「うちもやる」と言った。どれも、売る側の努力で起こせるものではありません。

展示会で名刺を300枚集めても、その日に買う理由がある会社は数社です。残りの会社は、興味はあっても今は買う理由がない。ここに翌週テレアポをしても、翌月メールをしても、答えは「今は結構です」になります。断られているのではなく、タイミングが合っていないだけです。

問題は、その「買う理由が生まれる日」が、相手の会社ごとに違い、しかも売る側には見えないことです。3か月後かもしれないし、1年後かもしれない。その日に、相手が最初に思い浮かべる会社に入っているかどうかで、問い合わせが来るか、競合を検索されるかが分かれます。

▼掘り起こしは、売る側がやる動作ではない

今は買う理由がない会社に、半年前の展示会リードだからと「今なら初期費用無料」と送っても、動きません。初期費用が無料でも、今やる理由がない会社にとっては「安いけど今は要らない」で終わります。値引きや特典は、買う気のある会社の背中を押せますが、買う気そのものは作れません。

当社のメルマガでも、発注の連絡は案内を送った直後には来ません。来るのは、相手の会社で担当者が辞めた、委託先の成果が落ちた、予算がついた、という出来事が起きた少しあとです。掘り起こしは売る側がやる動作ではなく、相手の側で理由が生まれるのを待つ動作です。

▼メルマガの役割は「理由が生まれた日に、最初に思い出される会社」で居続けること

コトラーは法人の購買を、使う人、影響を与える人、買う人、決める人、情報の門番という役割に分けて説明しています(購買センター)。現場の担当者が困った日に、まず何をするか。多くは、知っている会社に連絡するか、検索するかのどちらかです。知っている会社に入っていれば検索される前に連絡が来ますし、入っていなければ競合と横並びで比較されます。

メルマガは、この「知っている会社」の中に居続けるための手段です。1通ごとに売ろうとするのではなく、相手が困った日に「そういえばあの会社から毎週メールが来ていた」と思い出される順番の一番上に居る。当社に「ずっと見ていました」という電話が来るのは、この位置を保っていたからです。

メルマガは売る動作ではなく、順番待ちの一番前に居続ける動作です。いつ呼ばれるかは相手が決めます。

だから、配信直後の反応で成否を判断すると、ほぼ確実に「効果がない」という結論になります。見るべきなのは、問い合わせが来た会社に「どこで当社を知りましたか」と聞いたときの答えです。当社では「メルマガを見ていた」という答えが、広告や紹介と並んで返ってきます。

▼獲得済みのリードに、追加費用なしで接触できる唯一の経路

B2Bのリードは高いです。展示会の出展費用を名刺の枚数で割れば1枚数千円から1万円を超えますし、ウェビナーの集客を広告でやれば参加者1人あたり数千円から数万円かかります。テレアポも、1件のアポイントに何十件ものコールが必要です。そうして取ったリードのうち、その場で商談になるのは一部で、残りは「今は買う理由がない会社」として名簿に残ります。

この名簿に、もう一度費用をかけずに触れられる経路がメルマガです。配信ツールの月額を登録者数で割ると、1通あたりの費用は1円を切ることが多い。1枚数千円で集めた名刺を、1通1円未満で毎週温め続けられる。放置して冷やしてしまうほうが、よほど高い損失です。

広告は、媒体の仕様変更や入札競争で成果が月ごとに動きます。テレアポは、リストが尽き、電話に出てもらえる確率が年々下がっています。メルマガは、すでに登録している相手に届くので、オークションにもアルゴリズムにも左右されません。自社で完全にコントロールできる経路を1本持つことが、集客を1本足にしないという意味でも効いてきます。

▼B2Bのメルマガで何を送るか

①売り込みではなく、相手の仕事で起きている問題の話

B2Bの読者は、仕事の情報として読みます。自社サービスの宣伝が続くと開封されなくなりますが、相手の業務に関係する話なら読まれます。当社の場合は、広告媒体の仕様変更、料金改定、運用の現場で起きた失敗と対処、クライアントとの会議で出た論点です。自社のブログ記事を1本紹介するだけでも、相手の仕事に関係していれば十分です。

②1通1テーマ、短く

1回で大きく売ろうとしないことが、頻度を保つ条件です。長文の案内を月1回送るより、短い配信を週1回送るほうが、思い出してもらう回数は4倍になります。週1回を起点にして、開封率の推移を見ながら調整します。月1回では、相手の会社で理由が生まれた日の直近に届いている確率が低すぎます。

③相手に理由がある日を配信のきっかけにする

B2Bで相手の会社に理由が生まれやすいのは、期初の4月と10月、決算期の前、契約更新の1か月前、担当者の変更を知ったときです。相手の会社に理由がありそうな時期に、その理由に合わせた内容を送ると、同じ案内でも反応が変わります。

④開封が3か月なければ除外する

発注がなくても、開封している相手は離れていません。会社名を認識して開く程度の関心は残っていて、「今は買う理由がない」だけです。逆に、3か月配信して一度も開封がない相手は、関心が切れたと判断してリストから外します。この基準があると、「反応が無いから全部やめる」という判断に流されません。

⑤開封とクリックのログを営業に渡す

メルマガの本当の価値は、配信そのものより、誰が開いて何をクリックしたかが分かることにあります。料金ページを3回見た会社、事例ページをクリックした会社は、理由が生まれかけている会社です。このログをSFAに流して、営業が電話を1本入れる。「メルマガで事例を見ていただいたようで」と切り出せる電話は、名簿の上から順にかけるテレアポとは別物になります。

▼法律の前提:名刺交換した相手には送れる。ただし停止手段は必ず付ける

B2Bのメルマガで必ず出る質問が「同意を取っていない名刺の相手に送っていいのか」です。特定電子メール法では、広告や宣伝のメールは原則として同意した相手にしか送れませんが、名刺交換などで自分のメールアドレスを通知してきた相手や、取引関係のある相手は例外として送れます。展示会や商談で受け取った名刺の相手に送ること自体は問題ありません。

ただし、送信者の名称と住所、受信拒否の連絡先を本文に表示し、配信停止の申し出があれば以後は送らない、という義務は例外の相手にも適用されます。配信停止のリンクは、面倒がらずに全通に付けてください。停止したい人に停止してもらうことは、ブロックされるのと同じで、残った人に届け続けるための整理です。

▼まとめ

B2Bの購買は相手の都合で始まり、売る側はその日を動かせません。半年前のリードに値引きを送っても、今やる理由がない会社は動きません。

メルマガの役割は、相手の会社で買う理由が生まれた日に、最初に思い出される会社で居続けることです。1枚数千円で集めた名刺を1通1円未満で温め続けられて、広告の変動にも左右されない。配信直後の売上ではなく、問い合わせが来た会社の「どこで知ったか」で測ってください。

これから始めるなら、まず手元の名刺とウェビナー参加者を1つのリストにまとめ、週1回、1テーマの短い配信から。3か月開封がない相手は外し、開封とクリックのログは営業に渡す。この形で半年続けると、問い合わせの来方が変わります。