こんにちは。零株式会社のメルマガ運用チームです。

「LINEはB2Cのもので、法人営業には関係ない」。この前提は、相手が大企業の購買部門ならおおむね正しいです。ただ、当社がお付き合いしている会社の多くは、経営者が自分で発注を決める中小企業や個人事業主で、その方々が仕事の情報を見ているのは会社のメールではなく、手元のスマートフォンです。この層にとって、LINEは会社のメールより先に目に入る連絡手段になっています。

この記事では、B2Bの事業者がLINE公式アカウントで配信をしたほうがいい理由と、向く場面と向かない場面、メールとの住み分けを整理します。前提となる「B2Bの購買は相手の都合で始まる」という話は、メルマガの記事で詳しく書いたので、ここでは要点だけ繰り返します。

▼前提:買う理由が生まれる日は、相手の会社ごとに違う

法人が何かを買うきっかけは、期初の予算、決算前の消化、担当者の退職、委託先の成果の低下、経営者が見た他社の事例といった、相手の側の出来事です。売る側がその日を作ることはできません。展示会で集めた名刺のうち、その日に買う理由がある会社は数社で、残りは「興味はあるが今は理由がない会社」として名簿に残ります。

当社のメルマガでも、発注の連絡は配信の直後ではなく、相手の会社で担当者が辞めた、予算がついた、という出来事の少しあとに「ずっと見ていました」という形で来ます。今やる理由がない会社に、半年前の名刺だからと「今なら初期費用無料」と送っても動きません。特典は買う気のある会社の背中を押せますが、買う気そのものは作れないからです。

だから配信の役割は、相手の会社で理由が生まれた日に、最初に思い出される会社で居続けることになります。問題は、その「思い出してもらう」ための連絡が、相手に届いているかどうかです。ここでLINEの話になります。

▼メールが届かなくなっている3つの理由

①受信箱で埋まる

法人のメールアドレスには、取引先の連絡、社内の通知、各種サービスの案内が1日に何十通も届きます。週1回のメルマガは、その中で開かれる前に下へ流れます。開封率が20%あれば良いほうで、残りの80%には「届いた」という認識すら残りません。

②担当者が辞めるとアドレスが死ぶ

名刺のアドレスは会社に紐づいています。担当者が辞めれば、そのアドレスは誰も見ないか、エラーで返ってきます。B2Bのリストは、何もしなくても年に2割前後が入れ替わるという感覚を当社は持っています。せっかく温めていた相手が、転職とともに消えます。

③中小企業の経営者は、会社のメールを毎日見ていない

現場に出ている経営者や個人事業主は、メールを見るのが夜か週末、という方が珍しくありません。建設、飲食、不動産、介護、訪問営業。日中はスマートフォンしか見ていない職種では、メールは「あとで見る」の箱に入ったまま忘れられます。

LINEは、この3つに対して逆の性質を持っています。通知としてトーク一覧の上に来るので埋まりにくい。個人のアカウントに紐づくので、相手が転職しても届く。スマートフォンで仕事をしている人にとっては、会社のメールより先に目に入る。「思い出してもらう」ための接触が、相手に届くかどうかという一番手前の問題を、LINEは解決します。

▼B2BでLINE配信が向く場面、向かない場面

LINEが万能だとは思っていません。向く場面と向かない場面がはっきり分かれるので、先に線を引いておきます。

向く場面向かない場面
経営者や店主が自分で発注を決める中小企業・個人事業主購買部門や情シスが窓口になる大企業
建設・飲食・不動産・介護・営業職など、日中スマートフォンで仕事をする業種社内規定で業務上のLINE利用を禁止している会社
既存顧客へのサポート窓口、納品や請求のやり取り稟議書が必要な高額商材の、最初の情報提供
展示会・セミナー・商談のその場で友だち追加してもらう接点長文の資料や、複数の比較を見せる必要がある案内

向かない場面は、メールか電話が受け持ちます。LINEとメールは置き換えではなく併用で、相手の属性ごとにどちらを主にするかを決めます。当社の目安は、相手が「会社のメールを毎日見る人か、スマートフォンで仕事をする人か」です。

▼定期的に配信し続けるべき4つの理由

①理由が生まれる日に当たる確率を上げるため

相手の会社でいつ理由が生まれるかは分かりません。配信の間隔が空くほど、その日の直近に自社の配信が届いている確率は下がります。月1回では低すぎます。週1回を目安にして、思い出してもらう回数を保ちます。

②広告やテレアポが止まった月の問い合わせを支えるため

広告は媒体の仕様変更や入札競争で月ごとに成果が動きますし、テレアポはリストが尽きて電話に出てもらえる確率も下がっています。友だち登録者への配信は、送れば必ず一定の人数に届くので、振れ幅の小さい問い合わせの土台になります。集客を広告1本、テレアポ1本にしないという意味でも、自社で完全に制御できる経路を1本持っておく価値があります。

③獲得済みのリードに、追加費用をかけずに触れるため

展示会の名刺1枚、ウェビナーの参加者1人には、数千円から数万円の費用がかかっています。LINE公式アカウントの配信は通数課金で、1通あたりの費用は数円以内に収まります。1枚数千円で集めた接点を、1通数円で毎週温め続けられる。放置して冷やすほうが高い損失です。

④反応のログが、営業の電話を変えるため

LINE公式アカウントでは、配信ごとの開封数とクリック数、ブロック数が見られます。リンクに計測を付けておけば、料金ページを見た相手、事例を見た相手が分かります。理由が生まれかけている相手に、営業が「先日の事例をご覧いただいたようで」と1本電話を入れる。名簿の上から順にかけるテレアポとは別物になります。

▼B2Bの配信で守ること:頻度・時間・中身

頻度は週1回以下、時間は平日の業務時間内

LINEは通知として届く分、受け取る側の負担が重い。B2Cなら週1〜2回を起点にしますが、B2Bは週1回以下を目安にします。配信は平日の9時から18時の間。夜や週末に法人向けの案内が通知で鳴ると、ブロックが跳ねます。

1配信1テーマ、売り込みより相手の仕事の話

B2Bの相手は仕事の情報として読みます。自社サービスの宣伝が続くと開かれなくなりますが、相手の業務に関係する話なら読まれます。媒体の仕様変更、料金改定、現場で起きた失敗と対処、相手の業界で起きている変化。自社ブログの記事を1本、見出しと一言を添えて送るだけで足ります。

ブロックは0にしない。跳ねた配信だけ見る

配信のたびにブロックは一定数出ます。ブロックは「この会社の案内は要らない」という意思表示で、その相手は配信を続けても買わなかった人です。ブロックされた相手には届かず、通数にも数えられません。見るべきなのは、ある配信の直後だけブロックが普段の2倍、3倍に跳ねたかどうかで、そのときはその配信の中身か時間に原因があります。

相手に理由がある時期を配信のきっかけにする

期初の4月と10月、決算期の前、契約更新の1か月前、担当者の交代を知ったとき。相手の会社に理由がありそうな時期に、その理由に合わせた内容を送ると、同じ案内でも反応が変わります。LINE公式アカウントなら、業種や登録経路でオーディエンスを分けて送れるので、全員に同じものを送らずに済みます。

▼友だち追加の接点を、営業の動線に組み込む

配信は届く人数が土台なので、友だち追加の接点を増やすことが先です。B2Bで効くのは、展示会ブースの名刺交換のあとに「資料はLINEでお送りします」とQRコードを見せる、セミナーの最後のスライドにQRコードを置く、商談の終わりに「今後のご案内はLINEとメールのどちらがいいですか」と聞く、の3つです。メールアドレスの入力より、QRコードを読む動作のほうが抵抗が小さい。

追加してもらったら、リッチメニューに料金・事例・問い合わせの3つを置いておきます。配信を見ていない日でも、相手が困った日にトークを開けば次の動作に進める状態になります。1対1のチャットは、そのまま問い合わせ窓口になります。「メールを書くほどではないが聞きたい」という小さな質問が拾えるのは、メールにはない利点です。

▼メールとLINEの住み分け

メルマガLINE配信
主な相手会社のメールを毎日見る担当者・購買部門経営者・店主・現場でスマートフォンを使う職種
向く中身長めの解説、複数の比較、資料の送付短い案内、記事1本の紹介、日程の連絡
頻度の目安週1回週1回以下
1通の費用1円未満が多い数円以内(通数課金)
相手が転職したらアドレスが死ぬ個人に紐づくので届く
弱点受信箱で埋まる通知が重く、頻度を上げるとブロックされる

両方を持っている相手には、メールで解説を送り、LINEでその記事を1行で知らせる、という使い方もできます。同じ内容を同じ日に両方へ流すのではなく、役割を分けると、どちらのブロックも配信停止も増えません。

▼まとめ

B2Bの購買は相手の都合で始まり、売る側はその日を動かせません。できるのは、理由が生まれた日に最初に思い出される会社で居続けることで、そのための連絡が相手に届いていなければ始まりません。

会社のメールを毎日見ない経営者や現場職種には、LINEのほうが届きます。個人に紐づくので転職しても切れず、1通数円で獲得済みのリードを温め続けられる。向かない相手にはメールと電話を使い、LINEは置き換えではなく併用で組みます。

これから始めるなら、まず展示会と商談の終わりにQRコードを出す動線を作り、週1回以下、平日の業務時間内に、相手の仕事に関係する話を1テーマで送る。ブロックは跳ねた配信だけ見て、開封とクリックのログは営業に渡す。この形で半年続けると、問い合わせの来方が変わります。