Google広告・Meta広告のキャンペーンと広告グループの分け方|ペルソナ別の構成例

広告アカウントを作るとき、最初に決めるのが「キャンペーンをいくつ作り、その下をどう分けるか」です。広告の成果は、配信を始める前のアカウント構造でほぼ決まります。商品ごと、地域ごと、デバイスごとと思いつくままに切っていくと、どのキャンペーンにも別々の客層の成果が混ざり、自動入札は何を学べばよいのか分からなくなります。後から数字を見返しても「誰に何が効いたのか」が読み取れません。

零株式会社の広告運用サービス「でもやるんだよ」では、キャンペーン=ペルソナ(誰に売るか)、広告グループ=企画(どんなテーマで誘うか)、広告=訴求(どう見せるか)という型で、Google広告とMeta広告のアカウントを組んでいます。この記事では、両媒体の階層の違いを押さえたうえで、この型の組み方と理由、ペルソナの数を予算から決める方法、クリエイティブのABテストの回し方、業種別の構成例までを順に説明します。

01 キャンペーン・広告グループ・広告セットの違い

分け方の前に、各階層で何が決まるのかを確認しておきます。Google広告は「キャンペーン → 広告グループ → 広告・キーワード」、Meta広告は「キャンペーン → 広告セット → 広告」の3階層です。名前は似ていますが、どの階層で何を設定するかは媒体によって違います。

1-1. Google広告の階層

Google広告では、予算・入札戦略・地域・言語・配信スケジュールといった「お金と配信範囲」に関わる設定が、ほぼすべてキャンペーン単位です。目標CPAや目標ROASを使う自動入札も、キャンペーンに集まったコンバージョンを手がかりに入札額を決めます。広告グループで決めるのは、主にキーワード、広告文、最終ページURLです。

階層主に決めること
キャンペーンキャンペーンタイプ(検索・P-MAX・ディスプレイ・動画・デマンドジェネレーションなど)、日予算、入札戦略、目標CPA/ROAS、地域、言語、配信スケジュール、コンバージョン目標
広告グループキーワード、レスポンシブ検索広告(見出し最大15本・説明文最大4本)、最終ページURL、オーディエンス
広告見出し・説明文・画像・動画の組み合わせ

検索キャンペーンでは、地域の指定は広告グループ単位ではできません。地域ごとに配信先を変えたいときはキャンペーンを分ける必要があります。また、P-MAXキャンペーンには広告グループがなく、代わりに「アセットグループ」で画像・動画・テキストとオーディエンスシグナル、検索テーマをまとめます。

1-2. Meta広告の階層

Meta広告(Facebook・Instagram)では、Googleの広告グループに当たる階層を「広告セット」と呼びます。広告セットには、ターゲット(地域・年齢・オーディエンス)、配置、最適化するコンバージョンイベント、予算とスケジュールまで入ります。

階層主に決めること
キャンペーン目的(認知・トラフィック・エンゲージメント・リード・アプリの宣伝・売上の6種類)、Advantage+キャンペーン予算を使う場合の予算
広告セットコンバージョンの場所、最適化イベント、地域・年齢・オーディエンス、配置、予算(キャンペーン予算を使わない場合)、スケジュール
広告画像・動画・テキスト、リンク先、CTAボタン

Metaの学習期間は広告セットごとに判定されます。ヘルプでは、学習期間を抜ける目安を「最後の大幅な編集から7日間で最適化イベントがおよそ50件」と案内しています(目的や最適化イベントによって目安が変わる場合があります)。広告セットを増やすほど1つあたりの件数が減るので、Metaでは広告セットの数をGoogleの広告グループより少なめに保つのが前提です。

02 でもやるんだよの分け方:キャンペーン=ペルソナ、広告グループ=企画、広告=訴求

でもやるんだよでは、Google広告でもMeta広告でも、3つの階層にそれぞれ1つの意味だけを持たせます。

階層入れるもの答える問い例(パーソナルジム)
キャンペーンペルソナ誰に売るか男性A(30代・運動不足のビジネスマン)/女性A(結婚式前に痩せたい花嫁)
広告グループ(Metaは広告セット)企画どんなテーマ・企画で誘うか2ヶ月集中・体脂肪改善プログラム/1回30分の時短プラン
広告訴求・コピーどう見せるか価格訴求バナー(初回◯円・分割OK)/品質訴求バナー(医学的根拠)

2-1. 「誰に → どんな企画で → どう見せるか」が上から下へ流れる

パーソナルジムを例にすると、アカウントは次のように組み上がります。

キャンペーン(ペルソナ)広告グループ(企画)広告(訴求)
男性A(30代・運動不足のビジネスマン)2ヶ月集中・体脂肪改善プログラム価格訴求バナー「初回◯円・分割OK」
品質訴求バナー「医学的根拠・専属トレーナー」
忙しい人向け・1回30分プラン時短訴求バナー
女性A(結婚式前に痩せたい花嫁)ブライダル専用・背中美人プログラム実績訴求バナー(ビフォーアフター)

同じジムでも、運動不足が気になる30代の会社員と、半年後の結婚式に向けて背中を引き締めたい女性とでは、検索する言葉も、反応する写真も、申し込みを決める理由も違います。この2人を最上位で分けておけば、その下の企画と訴求は、それぞれのペルソナに向けたものだけで組めます。

2-2. 各階層で分けるもの・分けないもの

  • キャンペーン:ペルソナが違うときに分けます。商品が違っても、買う人が同じペルソナなら同じキャンペーンに入れ、商品は企画(広告グループ)として扱います。
  • 広告グループ:同じペルソナに対して、誘い方のテーマが違うときに分けます。「短期集中」と「時短」は同じ人に向けた別の切り口なので、広告グループを分けて、どちらの企画が当たるかを比べます。
  • 広告:同じ企画の中で、見せ方を変えた複数のクリエイティブを並べます。価格を前面に出すか、根拠を出すか、実績を出すか。どれが効くかは、媒体のテストと自動最適化に任せます。

デバイス・時間帯・マッチタイプのような配信条件では、キャンペーンも広告グループも分けません。これらは自動入札が1件ごとのオークションで考慮するため、分けても意味が重複し、データが割れるだけだからです。

03 なぜペルソナでキャンペーンを分けるのか

3-1. 機械学習はキャンペーン単位で回る

Google広告の目標CPA・目標ROAS・コンバージョン数の最大化は、キャンペーンに集まったコンバージョンのデータから「どんな人のどんな検索に、いくらで入札すれば成果が出るか」を学びます。ここに違うペルソナの成果が混ざっていると、30代会社員が申し込んだ時間帯や検索語句と、花嫁が申し込んだそれとが平均されてしまい、どちらにとっても少しずれた入札になります。

ペルソナごとにキャンペーンを分けると、各キャンペーンには「そのペルソナの純度の高いコンバージョンデータ」だけが溜まります。混ぜ物のないデータで学習させるほど、自動入札の判断ははっきりします。

3-2. 予算をペルソナごとに配分できる

予算はキャンペーンが持つので、キャンペーン=ペルソナにしておけば、予算配分がそのまま「誰にいくら使うか」の判断になります。1つのキャンペーンにまとめると、予算は成果の出やすい客層に自然と寄っていきます。いま成果が出ているペルソナだけに予算が集中し、伸ばしたい別のペルソナには配信が回らない、という状態を避けられます。予算が大きくなってもペルソナごとに枠を立てておけば、効率の低い層に予算が流れ込むのを防げます。

3-3. 振り返りの数字がそのまま読める

キャンペーン名=ペルソナ、広告グループ名=企画、広告名=訴求と、意味が階層に埋め込まれているので、管理画面のレポートを開くだけで「誰に・いくらで・どんな内容が効いたか」が分解できます。「男性Aは時短プランより短期集中のほうがCPAが3割低く、その中では品質訴求のバナーが一番クリックされた」というように、数字が次の打ち手の材料になります。

商品別・地域別・デバイス別で分けたアカウントでは、同じ数字を見ても誰が反応したのかが分かりません。ペルソナを軸に積み上げた運用データは、「このペルソナに、このタイミングで、いくら、どういう広告を使ったら、どうなったのか」の記録として、広告以外の事業判断にも使えます。

04 ペルソナの決め方と、分けられる数の上限

4-1. ペルソナは「年齢・性別」ではなく生活と悩みで描く

人は年齢が5つ違えば、まるで違う世界を生きています。同じ商品を買う人でも、買う理由や比べている相手はばらばらです。でもやるんだよでは、コトラーのセグメント・オブ・ワンの考え方で、1人の顧客像として描けるところまでペルソナの解像度を上げます。「30代男性」ではなく「30代・デスクワーク中心で運動不足、健康診断の数値が気になり始めた会社員」と書けるところまで具体にすると、その人が検索する言葉、刺さる企画、響く写真が決められるようになります。ペルソナの解像度が上がるほどクリエイティブの精度が上がり、媒体のAIにも適切な学習を促せます。

ペルソナを決めるときに書き出す項目は、次のとおりです。

  • 年齢・性別・家族構成・仕事など、生活の前提
  • その商品を探し始めたきっかけと、いま困っていること
  • 検索するときに入れそうな言葉、よく使うSNS
  • 比べている他社や代わりの手段、申し込みを迷う理由

4-2. ペルソナの数は予算と成果単価で上限が決まる

ペルソナを細かく描くことと、キャンペーンを無制限に増やすことは別の話です。キャンペーンを1つ増やすたびに、学習に使えるデータと予算は分かれます。でもやるんだよでは、ペルソナごとに予算を割り当てる前に、そのペルソナのキャンペーンが学習に必要な件数を取れるかを計算します。

Google広告は件数の下限を明示していない入札戦略も多いものの、実務では目標CPA・目標ROASのキャンペーンで直近30日に30件前後あると安定しやすい、というのが一般的な目安です。Metaは前述のとおり、広告セットごとに7日間で50件前後が目安です。

24万円
Google:CPA8,000円で1ペルソナのキャンペーンに必要な月予算の目安(30件×8,000円)
約130万円
Meta:CPA6,000円で広告セット1つに必要な月予算の目安(50件×6,000円×約4.3週)

月予算50万円・CPA8,000円でGoogle広告を回すなら、自動入札で学習させられるペルソナのキャンペーンは2つ程度が目安です。描いたペルソナが4人いるなら、優先度の高い2人から始め、成果と予算が増えた段階で3人目・4人目のキャンペーンを立てます。件数が足りないときは、最適化するコンバージョンを「商談」から「資料請求」、「購入」から「カート追加」のように件数の多い手前の行動に寄せる方法もあります。

05 Google広告での組み方

5-1. 検索キャンペーン:ペルソナは「検索する言葉」で分かれる

検索広告では、ペルソナの違いは検索語句に表れます。運動不足の会社員は「パーソナルジム 仕事帰り」「ジム 30分」で探し、花嫁は「ブライダルエステ 背中」「結婚式 ダイエット 3ヶ月」で探します。キャンペーンごとに、そのペルソナが打ち込む語句を集め、企画ごとに広告グループへ振り分けます。

キャンペーン広告グループ(企画)キーワードの例
G_検索_男性A_30代会社員2ヶ月集中・体脂肪改善パーソナルジム 短期集中/体脂肪 落とす ジム
1回30分の時短プランジム 30分/パーソナルジム 仕事帰り
G_検索_女性A_花嫁ブライダル専用・背中美人結婚式 ダイエット ジム/背中 引き締め ブライダル

どのペルソナにも当てはまる語句(「パーソナルジム 横浜」のような一般的な語句)は、取り合いを避けるため、主に狙うペルソナのキャンペーンに置き、他のキャンペーンでは除外キーワードに入れます。オーディエンスを「観察」で追加しておくと、キャンペーンごとに想定どおりの年齢層・関心層から成果が出ているかを確認できます。

5-2. 広告グループ(企画)ごとに着地ページを合わせる

企画が違えば、広告文だけでなく着地ページも変えます。「2ヶ月集中」の広告グループは体脂肪の変化とプログラム内容を見せるページへ、「1回30分」の広告グループは時間と通いやすさを見せるページへ着地させます。広告グループの数は、企画ごとに着地ページと広告文を用意できる範囲にとどめます。キーワード1つに広告グループ1つを割り当てる細かい分け方は、完全一致でも同じ意味の語句に一致する現在では、似た広告グループ同士で語句を取り合いやすく、企画の比較もできなくなるので使いません。

5-3. 広告(訴求)はレスポンシブ検索広告で並べる

1つの広告グループには、訴求を変えたレスポンシブ検索広告を2本ほど入れます(1広告グループに有効にできるのは3本まで)。1本目は価格訴求の見出しを中心に、2本目は品質や根拠を中心に組むと、どちらの訴求が効いたかを広告単位で比べられます。見出しを15本すべて違う訴求で埋めると、組み合わせが散って結果を読み取れなくなるので、1本の広告の中では訴求の軸をそろえます。

5-4. P-MAX・デマンドジェネレーション・指名検索

P-MAXでも、キャンペーン=ペルソナ、アセットグループ=企画の考え方は同じです。アセットグループに入れるオーディエンスシグナルと検索テーマを、そのペルソナに合わせて設定します。ペルソナごとに予算と目標を分けたいなら、P-MAXのキャンペーン自体をペルソナごとに作ります。

例外として、社名やサービス名で検索する人(指名検索)は、すでに自社を知っている人なので、ペルソナとは別の指名検索キャンペーンにまとめます。指名検索はCPAが低く出るため、ペルソナのキャンペーンに混ざると、そのペルソナの成果が実態より良く見えてしまいます。P-MAXを併用するときは、P-MAX側にブランド除外を設定して指名検索を検索キャンペーンに任せます(詳しくは「P-MAXで指名検索CPAが悪化する理由」)。

06 Meta広告での組み方

6-1. キャンペーン=ペルソナ、広告セット=企画、広告=訴求

Meta広告でも型は同じです。キャンペーンをペルソナごとに作り、その下の広告セットを企画で分け、広告に訴求の違うクリエイティブを並べます。

キャンペーン(ペルソナ)広告セット(企画)広告(訴求)
M_売上_男性A_30代会社員2ヶ月集中・体脂肪改善価格訴求:初回◯円・分割OK(静止画)
品質訴求:専属トレーナーの指導風景(リール動画)
M_売上_女性A_花嫁ブライダル専用・背中美人実績訴求:ビフォーアフター(カルーセル)

検索語句のないMetaでは、ペルソナを呼び寄せる力の多くをクリエイティブが担います。年齢や関心のターゲット設定はペルソナの範囲に合わせて入れますが、Advantage+ オーディエンスを使うと、指定した条件は「提案」として扱われ、成果が見込める人へ配信が広がります。だからこそ、画像・動画・コピーをそのペルソナにしか響かない内容にしておくことが、狙った人に届けるための一番の手段になります。

6-2. 広告セット(企画)は少なく保つ

Metaの学習期間は広告セットごとなので、企画の広告セットを増やすほど1つあたりの件数が減ります。1つのペルソナのキャンペーンに入れる広告セットは、予算から見て週50件前後を取れる数にとどめ、最初は1つか2つから始めます。企画を3つ以上比べたいときは、広告セットを増やす代わりに、企画ごとのクリエイティブを1つの広告セットに入れて比べる方法もあります。

予算は、キャンペーン単位で持つAdvantage+キャンペーン予算にすると、同じペルソナの企画同士で成果の良い方へ自動配分されます。企画ごとに予算を固定したいときだけ広告セット予算にします。配置はAdvantage+ 配置にしておけば、フィード・ストーリーズ・リールへの配分は自動で調整されるので、配置で広告セットを分ける必要はありません。

6-3. 新規とリターゲティングの扱い

サイト訪問者や既存顧客に向けたリターゲティングは、ペルソナ別の新規向けキャンペーンとは別に、まとめて1つのキャンペーンにします。新規向けのキャンペーンでは、リターゲティング対象のカスタムオーディエンスを除外し、同じ人に両方の広告が出ないようにします。似たターゲットのキャンペーン同士で自社の広告が入札し合っていないかは、広告マネージャの「オークションの重複」で確認できます。

07 クリエイティブのABテストの回し方

型の一番下にある広告(訴求)は、ABテストで勝ち筋を探す場所です。ペルソナと企画を上の階層で固定しているので、広告同士の差はほぼ「見せ方の違い」だけになり、テストの結果が読みやすくなります。

7-1. 1回のテストで変えるのは訴求の軸だけ

価格訴求と品質訴求を比べるなら、写真やレイアウトはそろえ、メインのコピーだけを変えます。写真もコピーも同時に変えると、勝った理由が写真なのかコピーなのか分かりません。同じ企画の中に、軸の違う広告を2〜4本並べるのが基本です。色違いや語尾違いのような小さな差では配信先が変わらず、比べる意味がほとんどありません。

7-2. 媒体ごとのテストの仕組み

媒体使う機能見る指標
Google検索同じ広告グループに訴求違いのレスポンシブ検索広告を並べる。厳密に比べるなら「テスト」機能のカスタムテストクリック率、コンバージョン率、CPA
Google P-MAXアセットグループ内のアセット別レポートアセットごとの成果(表示回数・コンバージョン)
Meta同じ広告セットに訴求違いの広告を並べる。配信対象を重複させずに比べるなら広告マネージャのA/Bテストクリック率、CPA、動画なら3秒再生率

同じ広告セットや広告グループに並べた場合、媒体は成果の良さそうな広告へ早めに配信を寄せます。表示回数が伸びなかった広告は「負けた」というより「比べられる前に絞られた」状態なので、どうしても確かめたい訴求は、A/Bテスト機能で予算を均等に割って比べます。

7-3. 勝った訴求を次の企画とペルソナに戻す

判断は、少なくとも各広告に十数件のコンバージョンが付いてから行います。件数が少ないうちの差は偶然で入れ替わります。勝った訴求は、同じペルソナの別の企画にも広げて試し、負けた訴求は切り口ごと入れ替えます。「男性Aには価格より根拠が効く」と分かれば、それはペルソナの理解が一段深まったということなので、ペルソナの記述にも書き足しておきます。

08 業種別の構成例(BtoB・EC・多店舗)

同じ型を業種に当てはめた例です。ペルソナの数は、4章の計算で予算に見合うかを確かめてから決めてください。

8-1. BtoBのSaaS(月予算80万円)

キャンペーン(ペルソナ)広告グループ/広告セット(企画)広告(訴求)
情シス担当(従業員300名・既存ツールの入れ替えを検討中)他社ツールからの乗り換え/セキュリティ要件の資料移行期間の短さ/認証取得の実績
経営者(従業員30名・初めての導入)月額料金のシミュレーション/導入事例集月額◯円から/同規模の会社の事例
指名検索(ペルソナとは別)社名/サービス名公式サイトへの案内

BtoBは商談の件数が少ないため、商談をそのまま最適化イベントにするとMetaの広告セットは学習期間を抜けられません。資料請求で最適化し、商談化した件数はオフラインコンバージョンとして媒体に送り返す形にしておくと、件数と質の両方を見ながら運用できます。

8-2. EC(スキンケア・月予算150万円)

キャンペーン(ペルソナ)広告グループ/アセットグループ(企画)広告(訴求)
20代後半・初めてのエイジングケアお試しセット/毛穴ケアのライン使い初回価格/使い方の動画
40代・乾燥とハリの悩み保湿美容液の定期便/敏感肌向けライン成分の根拠/継続者の声

商品カテゴリでキャンペーンを分けるECは多いのですが、同じ美容液を20代と40代が買っていれば、商品軸ではペルソナが混ざります。商品はペルソナの下の企画として扱い、ペルソナごとに見せる商品と訴求を変えます。

8-3. 多店舗・多拠点(同業態で5店舗)

飲食・クリニック・サロンなど複数の店舗を持つ業態では、「店舗ごとにキャンペーンを分けるべきか」がよく問題になります。でもやるんだよの型では、最上位はあくまでペルソナで、店舗は配信地域の条件として扱います。

状況構成
各店の商圏が重なっている、または1店舗あたりの成果が少ない全店の商圏をまとめて、ペルソナごとのキャンペーンを作る。Google検索では「地名+業種」の語句で各店の店舗ページへ着地させ、住所アセットで最寄り店舗を表示する。Metaでは広告で店舗名や駅名を出し分ける
商圏が離れていて、地域ごとに客層も予算も違う「地域×ペルソナ」でキャンペーンを分ける(例:横浜_男性A、大阪_男性A)。隣接店舗と商圏が重なる部分はどちらかで除外する
10店舗以上都道府県や地方のブロック単位でまとめたうえでペルソナごとのキャンペーンにし、店舗は広告グループ・広告・着地ページで出し分ける

Google検索では地域の設定がキャンペーン単位なので、店舗ごとに配信エリアを変えるにはキャンペーンを分けるしかありません。ただし店舗の数だけペルソナのキャンペーンを掛け算すると、すぐに4章の上限を超えます。来店型の店舗なら、地域オプションを「所在地:ターゲット地域に所在地がある、または定期的に訪れているユーザー」にして遠方からの検索を外し、住所アセット(「住所アセットとは?」)で最寄り店舗を見せる形が、件数を割らずに店舗を案内しやすい組み方です。

09 命名ルールと振り返りの方法

9-1. 名前に意味を入れる

この型の利点を生かすには、名前の付け方をそろえます。キャンペーンにはペルソナ名、広告グループ・広告セットには企画名、広告には訴求の内容を入れます。

階層名前の例
キャンペーンG_検索_男性A_30代会社員/M_売上_女性A_花嫁
広告グループ・広告セット企画_2ヶ月集中体脂肪改善/企画_1回30分時短
広告価格訴求_初回◯円_静止画_2610/品質訴求_医学的根拠_動画15秒_2610

先頭に媒体(G/M)と種類を入れておくと、一覧を並べ替えたときに同じ種類が隣に集まります。広告名の末尾の数字は作成年月(2610なら2026年10月)で、古いクリエイティブがいつから回っているかが分かります。UTMパラメータのcampaignにもキャンペーン名をそのまま入れておけば、GA4でもペルソナ単位で成果を追えます。

9-2. 振り返りは上の階層から順に見る

月次の振り返りは、キャンペーン(どのペルソナに予算を増やすか)→ 広告グループ(そのペルソナにはどの企画が当たったか)→ 広告(どの見せ方が効いたか)の順で見ます。上から順に判断すると、「予算の配分」「企画の入れ替え」「クリエイティブの差し替え」という3種類の打ち手がそれぞれの階層に対応し、何を直せばよいかで迷いません。年齢・地域・配置ごとの細かい数字は、Google広告の各種レポートやMeta広告の「内訳」で確認し、それだけを理由に構造を変えることはしません。

構造を変えるときの注意:Googleで新しいキャンペーンを作ると入札の学習は最初からになり、Metaで広告セットのターゲットや最適化イベントを変えると学習期間に戻ります。商品別・地域別で細かく分かれたアカウントをペルソナ軸に組み直すときは、成果の大きいキャンペーンを器として残して中身を移す、変更はまとめて1回で行う、組み直した後1〜2週間は大きく触らない、の3点で成果の落ち込みを抑えます。

10 よくある質問

Q1. キャンペーンと広告グループの違いは何ですか?

Google広告では、キャンペーンは予算・入札戦略・地域・言語を決める単位で、自動入札の学習もキャンペーンごとに行われます。広告グループはキーワードと広告文をまとめる単位です。でもやるんだよでは、キャンペーンに「誰に売るか(ペルソナ)」、広告グループに「どんな企画で誘うか」を割り当てています。

Q2. Meta広告に広告グループはありますか?

Meta広告では、2階層目を「広告セット」と呼びます。ターゲット・配置・最適化イベント・予算が入り、学習期間も広告セットごとに判定されます。ペルソナはキャンペーン、企画は広告セットに割り当て、広告セットの数は少なめに保ちます。

Q3. 商品ごとにキャンペーンを分けるべきですか?

同じペルソナが買う商品なら、商品でキャンペーンは分けません。商品は企画として広告グループに入れます。商品ごとにまったく違う人が買う場合は、結果として商品とペルソナが一致するので、ペルソナとしてキャンペーンを分けます。

Q4. ペルソナはいくつまで作ってよいですか?

月予算を成果単価で割った件数から決めます。Google広告では1キャンペーンあたり月30件前後、Meta広告では1広告セットあたり週50件前後が学習の目安です。月予算50万円・CPA8,000円なら、Google広告で同時に回せるペルソナは2つ程度です。

Q5. デバイス別や地域別にキャンペーンを分けたほうがよいですか?

デバイスでは分けません。スマート入札がオークションごとに考慮するためです。地域は、商圏ごとに客層や予算が違う場合だけ「地域×ペルソナ」で分けます。地域ごとの成果を見たいだけなら、地域レポートやMeta広告の内訳で確認できます。

Q6. クリエイティブは1つの広告グループに何本入れればよいですか?

Google検索では訴求違いのレスポンシブ検索広告を2本ほど、Metaでは訴求の軸が違う広告を2〜4本が目安です。本数を増やしすぎると成果の出た1〜2本に配信が集中し、残りは比べられないまま終わります。

Q7. Google広告とMeta広告で同じ構成にしてもよいですか?

キャンペーン=ペルソナ、2階層目=企画、広告=訴求という考え方は両方に共通で使えます。ただし、Metaは広告セットごとに学習するので、企画の数はGoogleの広告グループより絞ります。Googleでは検索語句で、Metaではクリエイティブでペルソナを呼び寄せる、という違いもあります。

Q8. 今のアカウントがこの型になっていない場合はどうすればよいですか?

まず過去の成果を、どんな人が申し込んだかの視点で見直し、ペルソナを2〜3人に絞って描きます。そのうえで成果の大きいキャンペーンから順にペルソナ軸へ組み替えます。でもやるんだよの無料アカウント診断では、機械学習が回りやすい構成になっているかを確認し、組み直しの順番までご提案しています。

11 まとめ

  • キャンペーン=ペルソナ(誰に売るか)、広告グループ・広告セット=企画(どんなテーマで誘うか)、広告=訴求(どう見せるか)の順に分ける。
  • 自動入札はキャンペーン単位で学習するので、ペルソナごとに分けると純度の高いデータで最適化が回り、予算もペルソナごとに配分できる。
  • ペルソナの数は、月予算と成果単価から学習に必要な件数を取れる範囲に収める。Googleは月30件前後、Metaは広告セットごとに週50件前後が目安。
  • 商品・デバイス・配置で上の階層を分けない。商品は企画として扱い、配信条件は自動入札に任せる。
  • 広告では訴求の軸だけを変えてABテストを行い、勝った見せ方を次の企画やペルソナの理解に戻す。

今のアカウントを見直すなら、まずキャンペーン名を一覧にして、それぞれが「誰に売るためのキャンペーンか」を一言で言えるかを確かめてください。言えないキャンペーンには、複数のペルソナの成果が混ざっている可能性があります。

零株式会社の「でもやるんだよ」は、コトラーのマーケティング理論にもとづくペルソナとジャーニーの設計を全社員で統一し、この型でGoogle広告・Meta広告・Yahoo!広告・LINE広告のアカウントを組んでいます。今の構成で機械学習が回っているかを確かめたい場合は、無料のアカウント診断をご利用ください。

その広告、機械学習が回りきっていないかもしれません

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