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ShopifyQLとは?ストア分析のクエリエディタで売上・顧客データを深掘りする方法を徹底解説

「先月いちばん売れた商品は?」「利益率が高いのはどれ?」「この90日で購入がない顧客は何人?」——Shopifyには、こうした問いに答えるためのデータがすべて眠っています。その眠れるデータを、目的の切り口で集計して取り出すための"問い合わせ言語"が、ShopifyQL(Shopify Query Language)です。ストア分析のレポートや顧客セグメントの裏側で静かに働いており、クエリエディタを通じて指標や条件を組み替えれば、既製のレポートでは見えなかった角度からストアの実態を掘り下げられます。しかも構文を全部覚える必要はなく、既存レポートを少しずつ変えるだけ、あるいはSidekickに日本語で聞くだけでも十分に使いこなせます。

本記事では、ShopifyQLの基本(何をする言語か・どこで使うか)から、SQLとの違いクエリの基本構造(FROM・SHOW/VISUALIZE・BY・WHERE・SINCE/UNTIL/DURING・ORDER BY)クエリエディタでできること実務での活用イメージ集計条件で数値が変わる注意点SidekickでノーコードにShopifyQLを使う方法、そして分析結果を広告運用へつなげる視点まで、実店舗・ネットショップを運営する小売事業者向けに、独立系の運用型広告代理店の視点で徹底的に整理します。FAQ13問付きの入門ガイドです。

01 ShopifyQLとは ストアデータを集計する公式のクエリ言語

ShopifyQL(Shopify Query Language)は、Shopifyのストアデータを集計・分析するためのクエリ言語です。「クエリ言語」とは、データの中から欲しい情報を条件付きで問い合わせて取り出すための言葉のこと。ShopifyQLの場合は、売上・注文数・平均注文金額といった数値を、商品・チャネル・地域・期間などの切り口で集計し、表やグラフとして取り出すために使います。

ストアには日々、注文・顧客・商品・在庫といった膨大なデータが蓄積されていきます。しかし、ただ溜まっているだけでは意味がありません。「どの商品が」「いつ」「どのチャネルで」「どれだけ」売れたのかを、目的に合わせて切り出して初めて、経営判断に使える"情報"になります。ShopifyQLは、その切り出しをストア運営者の手に委ねてくれる仕組みです。

【本記事の情報について】本記事は2026年7月時点の一般的な情報に基づいています。Shopifyのレポート・分析まわりの仕様、使える指標やディメンション、画面構成、プランごとの提供範囲は更新されることがあります。実際にクエリを組む際は、必ずShopify公式ヘルプ・公式ドキュメントで最新情報を確認してください。

1-1. 「言語」と聞いて身構えなくてよい理由

「クエリ言語」「Query Language」と聞くと、プログラミングのようで難しそうに感じるかもしれません。しかしShopifyQLは、英語に近い読みやすい構文で作られており、しかもゼロから書く必要はほとんどありません。実際には、Shopifyが用意した既存のレポートを開き、期間や指標を少し書き換えるだけでも十分に役立ちます。

つまりShopifyQLは、「エンジニアが扱う専門技術」というより、「ストア運営者がデータを自分の見たい形に組み替えるための道具」です。全構文を暗記する学習ではなく、必要になったときに既存クエリの一部を触ってみる——そんな距離感で付き合えば十分に使いこなせます。本記事も、その距離感を前提に解説していきます。

1-2. ShopifyQLが解決するのは「既製レポートの物足りなさ」

Shopifyには最初から多くの標準レポートが用意されています。多くの場面ではそれで足りますが、運営を続けていると「もう少し違う角度で見たい」という欲が出てきます。「この商品カテゴリだけを、チャネル別に、月ごとに並べたい」——こうした"あと一歩"の要望に応えるのがShopifyQLです。

既製レポートが「決まった献立の定食」だとすれば、ShopifyQLは「食材と調理法を自分で選べるビュッフェ」に近い存在です。指標という食材と、ディメンションという盛り付けの軸を組み合わせて、自分のストアにとって本当に見たい一皿を作れる。これが、標準レポートだけでは届かない分析の解像度を手に入れる鍵になります。

1-3. データを「見る文化」を根づかせる入口

小規模な小売事業者ほど、日々の業務に追われて「数字を見る時間」が後回しになりがちです。ですが、感覚だけで仕入れや販促を決め続けるのはリスクが大きい。ShopifyQLとクエリエディタは、誰でも・追加費用なしで・母国語に近い感覚でデータに触れられる環境を、ストアの標準機能として提供してくれます。

後述するSidekick(AIアシスタント)と組み合わせれば、構文を知らなくても日本語で聞くだけでデータが返ってきます。「分析は専門家の仕事」という時代から、「運営者が自分でデータに問いかける」時代へ。ShopifyQLは、その文化をストアに根づかせる入口だと捉えると、学ぶ価値がよく見えてきます。

02 ShopifyQLはどこで使われるか ストア分析と顧客セグメント

ShopifyQLは単体のアプリではなく、Shopify管理画面の複数の機能の"裏側"で動いています。運営者が主に触れるのは、①ストア分析のレポート(クエリエディタ)と、②顧客セグメントの条件指定の2つの場面です。それぞれ何ができるのかを見ていきましょう。

2-1. ストア分析のレポート(クエリエディタ)

ひとつめは、ストア分析(アナリティクス)のレポート機能です。ここにはクエリエディタがあり、既存レポートがどんなShopifyQLで組まれているかを確認したり、指標・ディメンション・条件を書き換えて独自の集計を作ったりできます。作った集計はカスタム探索として保存でき、繰り返し見たい数字を定点観測する土台になります。

たとえば「商品別の売上」という標準的な集計を出発点に、期間を先月から過去90日に変える、チャネルの条件を足す、並び順を売上の多い順にする——といった調整を重ねるだけで、自分のストアに合った分析ビューが手に入ります。詳しいレポート活用の全体像はShopifyストア分析・レポート活用ガイドもあわせてご覧ください。

2-2. 顧客セグメント

ふたつめは、顧客セグメント機能です。「一定期間購入がない顧客」「特定の商品を買った顧客」「累計購入金額が一定以上の顧客」といった条件で顧客を抽出する際にも、ShopifyQLの考え方が使われています。ここで作ったセグメントは、メール配信の宛先や、広告のターゲティング元として活用できます。

顧客セグメントは、データ分析を「見て終わり」にせず「施策につなげる」ための重要な接点です。たとえば休眠しかけている顧客層を抽出し、再来店を促すクーポンや広告のリターゲティングにつなげる。ShopifyQLで条件を組み立てられれば、こうした一歩踏み込んだ顧客アプローチの精度が上がります。

2-3. 「集計する場所」と「使う場所」を意識する

この2つの使われ方を整理すると、ストア分析は「データを集計して現状を把握する場所」、顧客セグメントは「集計した条件を施策の対象として使う場所」と役割が分かれます。前者で見つけた事実を、後者で行動に移す——この橋渡しを意識すると、ShopifyQLがただの分析ツールではなく、売上に効く仕組みだと実感できるはずです。

使われる場所できること主な用途
ストア分析(クエリエディタ)既存レポートの確認・指標やディメンションの変更・条件絞り込み・保存売上/在庫/顧客の現状把握・定点観測
顧客セグメント条件を指定して顧客を抽出・グループ化メール配信・広告ターゲティング・休眠掘り起こし

※提供される機能や画面はプラン・時期によって異なる場合があります。最新はShopify公式ヘルプで確認してください。

03 ShopifyQLとSQLの違い 自由な問い合わせと決められた枠

データ分析に少し詳しい人なら、「QL」と聞いてSQL(エスキューエル)を思い浮かべるかもしれません。名前は似ていますが、両者は性格が大きく異なります。ここを理解しておくと、ShopifyQLで「できること・できないこと」の境界がクリアになります。

3-1. SQLは「なんでも問い合わせられる汎用言語」

SQLは、データベースに対して自由に問い合わせるための、業界標準の汎用的な言語です。複数のテーブルを結合したり、複雑な条件を何段にも重ねたり、集計方法を細かく指定したりと、扱える範囲が非常に広いのが特徴です。そのぶん自由度が高く、データベースの構造を理解している技術者が本領を発揮する言語でもあります。

言い換えれば、SQLは「白紙の広い作業台」です。何でも作れる代わりに、テーブルの構造やデータの持ち方を知らないと、正しい問い合わせを組み立てるのは簡単ではありません。データ基盤の設計思想まで理解している人向けの、パワフルだが敷居のある道具です。

3-2. ShopifyQLは「Shopifyの枠に最適化された言語」

一方のShopifyQLは、Shopifyのレポート機能に合わせて設計された、専用の分析言語です。外部データベースへ自由にアクセスするものではなく、Shopifyがあらかじめ用意した指標・ディメンション・条件の中から選んで組み立てる形になっています。使える要素が決められているからこそ、迷いにくく、EC運営者でも扱いやすいのが利点です。

これは「不自由」ではなく「整理された自由」と捉えるべきものです。ストア運営に必要な集計は、たいてい用意された指標とディメンションの組み合わせで表現できます。データベースの内部構造を知らなくても、「売上を」「商品別に」「先月分」と部品を並べるだけで、意味のある集計にたどり着ける。そこがShopifyQLの設計思想です。

3-3. 比較で整理する

両者の違いを表にまとめます。ざっくり言えば、SQLは「広く自由だが専門知識が要る」、ShopifyQLは「範囲は限られるが扱いやすい」という関係です。ストアデータの分析という目的においては、ShopifyQLの割り切りが多くの運営者にとってちょうどよい塩梅になっています。

観点SQL(一般的なデータベース言語)ShopifyQL
対象あらゆるデータベースShopifyのストアデータ
自由度非常に高い(結合・複雑条件も可)用意された指標・ディメンション・条件の範囲
学習コスト高め(DB構造の理解が必要)低め(英語に近い読みやすい構文)
想定ユーザーエンジニア・データ担当ストア運営者・EC担当
外部データ接続すれば横断分析も可Shopify外のデータは直接扱えない

3-4. 「SQLが書ける人」も知っておきたい前提

もし社内にSQLに慣れた人がいても、ShopifyQLをSQLと同じ感覚で扱おうとすると戸惑うことがあります。任意のテーブル結合や、Shopifyが用意していない指標の自作はできないためです。「SQLでできることの一部を、Shopifyの枠内で安全にできるようにしたもの」と捉え直すと、期待値のズレを避けられます。

逆に、SQLをまったく知らない運営者にとっては、ShopifyQLはデータ分析への最初の一歩として理想的な入口です。ここで「指標×ディメンション×条件×期間」という分析の基本の型に慣れておけば、将来より高度な分析に踏み込むときの土台にもなります。

04 クエリの基本構造 FROMからORDER BYまでの流れ

ここでは、ShopifyQLのクエリがどんな部品でできているかを、一般知識の範囲で丁寧に見ていきます。大事なのは、全部を暗記することではありません。「どんな部品があって、どこを変えると何が変わるか」の全体像さえ掴めば、あとは既存クエリを触りながら覚えられます。まずは大きな流れから理解しましょう。

4-1. クエリは「部品の並び」でできている

ShopifyQLのクエリは、いくつかのキーワードを順番に並べて組み立てます。代表的な流れは次のとおりです。すべてを毎回使うわけではなく、目的に応じて必要な部品だけを指定します。

  • FROM:どのデータセット(分析の対象)を扱うかを指定する起点
  • SHOW / VISUALIZE:どの指標を表として表示するか(SHOW)/グラフとして可視化するか(VISUALIZE)
  • BY:どのディメンション(切り口)で分けるか
  • WHERE:どんな条件で絞り込むか
  • SINCE / UNTIL / DURING:いつからいつまで、どの期間を対象にするか
  • ORDER BY:どの順番で並べるか(多い順・少ない順など)

英語の語順に近く、「FROM(この対象から)/SHOW(これを見せて)/BY(これで分けて)/WHERE(この条件で)/SINCE(この期間の)/ORDER BY(この順で)」と読み下せば、意味が自然に取れるようになっています。

# イメージ(一般的な構文の考え方)
FROM sales
SHOW total_sales
BY product_title
WHERE sales_channel = 'online_store'
SINCE -30d UNTIL today
ORDER BY total_sales DESC

※上記はShopifyQLの考え方を伝えるためのイメージです。実際に使える指標名・ディメンション名・書式は、Shopify公式ドキュメントで最新の仕様を確認してください。

4-2. 指標(メジャー)とディメンションを区別する

クエリを組むうえで最初に押さえたいのが、指標(メジャー)とディメンションの違いです。指標は「測る対象=数値」で、売上・注文数・平均注文金額・販売数などが該当します。ディメンションは「切り分ける軸」で、商品・チャネル・地域・期間・顧客などが該当します。

この2つを組み合わせるのが分析の基本です。「商品別(ディメンション)に売上(指標)を見る」「チャネル別(ディメンション)に注文数(指標)を比べる」——このように、指標とディメンションを掛け合わせることで、知りたい角度からデータを取り出せます。逆に言えば、「何を測りたいか(指標)」と「どの切り口で見たいか(ディメンション)」を先に言葉にできれば、クエリの骨格はもう半分できています。

種類役割
指標(メジャー)測る対象=数値売上・注文数・平均注文金額・販売数
ディメンション切り分ける軸商品・チャネル・地域・期間・顧客

4-3. 期間の指定(SINCE / UNTIL / DURING)

分析でとりわけ重要なのが期間の指定です。ShopifyQLでは、SINCE(いつから)とUNTIL(いつまで)で範囲を区切ったり、DURING(この期間中)でまとまった期間を指定したりできます。「先月」「過去30日」「今年に入ってから」といった時間の切り取り方ひとつで、見えてくる姿はまったく変わります。

特に期間の比較は実務で頻出します。前月比、前年同月比、キャンペーン前後の比較——同じ指標でも、いつと比べるかで評価は変わります。期間指定を自在に扱えるようになると、「増えた・減った」を感覚ではなく数字で語れるようになり、施策判断の質が一段上がります。

4-4. 全部を覚えず「既存クエリを変える」から始める

ここまで構文を見てきましたが、繰り返しになるとおりすべてを暗記する必要はありません。もっとも現実的なのは、既存レポートのクエリをクエリエディタで開き、期間を変える、指標を差し替える、並び順を変える、という「一箇所だけの変更」から試すことです。変更前後で結果がどう変わるかを見れば、各部品の役割が体で覚えられます。

いきなり白紙から書こうとすると挫折しがちですが、動いているクエリを少しずつ改造する分にはハードルは低い。慣れてきたら部品を足し引きして、自分のストアに最適な集計へと育てていく。この「改造から入る」アプローチが、ShopifyQL習得のいちばんの近道です。

05 クエリエディタでできること

ShopifyQLに実際に触れる主な舞台が、ストア分析のクエリエディタです。ここでは、クエリエディタで具体的に何ができるのかを整理します。「構文を書く場所」というより「レポートを自分好みに組み替える作業台」だと捉えると、使いどころがイメージしやすくなります。

5-1. 既存レポートのクエリを確認する

まずできるのが、既存レポートがどんなShopifyQLで組まれているかを確認することです。標準で用意されているレポートも、裏側ではShopifyQLで定義されています。そのクエリを開いて眺めるだけで、「この集計はこう組み立てられているのか」という生きた教材になります。ゼロから学ぶより、動いているクエリを読むほうが理解は早い。まずは気になるレポートのクエリを開いてみるのが第一歩です。

5-2. 指標・ディメンションを変更する

クエリエディタでは、表示する指標や、分ける軸となるディメンションを変更できます。「売上で見ていたのを注文数に変える」「地域別で見ていたのをチャネル別に変える」といった組み替えが、部品を差し替えるだけで実現します。第4章で触れた「指標×ディメンション」の掛け合わせを、この画面で自由に試せるわけです。

ここが標準レポートとの決定的な違いです。決まった集計を眺めるだけでなく、「この角度から見たらどうだろう」という仮説を、その場で検証できる。分析が受け身の確認作業から、能動的な問いかけに変わります。

5-3. 条件で絞り込む・表やグラフを調整する

WHEREにあたる条件での絞り込みも、クエリエディタの得意技です。「特定のチャネルだけ」「一定金額以上の注文だけ」といったフィルタをかけて、ノイズを除いた集計にできます。さらに、結果を表で見るかグラフで見るか、どんな並び順にするかといった表示形式の調整も可能です。同じデータでも、棒グラフにするか折れ線にするかで気づきが変わることは少なくありません。

5-4. カスタム探索として保存する

組み立てた集計は、カスタム探索(カスタムレポート)として保存できます。これが地味ながら効いてきます。一度保存しておけば、毎回条件を組み直さずにワンクリックで同じ集計を呼び出せるため、週次・月次の定点観測がぐっとラクになります。「毎週見るべき数字」をいくつか保存しておけば、数字を確認する習慣が続きやすくなります。

分析でいちばんの敵は「見るのが面倒で続かないこと」です。よく見る集計を保存して、開けばすぐ最新の数字が出る状態を作る——この小さな仕組み化が、データドリブンな運営を日常に定着させます。

5-5. Sidekickにクエリ作成を補助させる

そして、クエリを自分で書くのが難しいときは、Sidekick(AIアシスタント)にShopifyQLクエリの作成を補助させることもできます。日本語で「こういう集計が見たい」と伝えれば、Sidekickがクエリを組み立ててくれます。生成されたクエリをクエリエディタで確認し、必要なら微調整する——この合わせ技については第8章で詳しく解説します。

クエリエディタでできることまとめ:①既存レポートのクエリ確認 ②指標・ディメンションの変更 ③条件での絞り込み ④表・グラフの表示調整 ⑤カスタム探索として保存 ⑥Sidekickによるクエリ作成補助。まずは「既存レポートを開いて一箇所だけ変える」から始めるのがおすすめです。

06 実務でのクエリ活用イメージ

機能を理解したら、次は「自分の店でどう使うか」です。ここでは実店舗・ネットショップを運営する小売事業者を想定し、ShopifyQL(およびクエリエディタ)が日々の業務でどう役立つかを、具体的なシーンで紹介します。※以下は想定される活用イメージであり、特定の数値や成果を示すものではありません。

6-1. 売れ筋・高利益商品を抽出する

もっとも基本的な使い方が、売れている商品を切り口を変えて抽出することです。「販売数の多い順」で見れば人気商品が、「利益率の高い順」で見れば稼ぎ頭が浮かび上がります。販売数が多くても利益が薄い商品と、数は出ないが利益率の高い商品——この2軸で見ると、どこに力を入れるべきかが見えてきます。

ここで大事なのは、「売上が大きい=優先すべき」とは限らないという視点です。指標を売上から利益、あるいは在庫回転へと切り替えて多面的に見る。ShopifyQLなら指標の差し替えは一瞬なので、ひとつの商品群を複数の角度から評価する習慣が身につきます。

6-2. チャネル別に比較する

オンラインストア、実店舗(POS)、SNS経由など、チャネルごとの売上や注文数を比較するのも定番です。どのチャネルが伸びていて、どこが停滞しているのかが分かれば、リソースや在庫の配分を判断できます。実店舗とECを両輪で回すオムニチャネル運営では、この横断比較が特に重要になります。

実店舗のPOSデータとオンラインを一元的に見られるのはShopifyの強みです。チャネルの垣根を越えて数字を並べれば、「店舗で見て、ネットで買う」といった顧客行動の兆しも見えてきます。POS活用の全体像はShopify POSの導入ガイドもあわせてご覧ください。

6-3. 期間を比較する

SINCE / UNTIL / DURINGを使った期間比較は、施策の効果測定に欠かせません。「セール期間とその前後」「前年同月と今月」を並べれば、打ち手が効いたのかどうかを数字で確認できます。感覚で「なんとなく良かった」と済ませず、期間を区切って比較する癖をつけると、次の判断の精度が上がります。

季節性の強い商材なら、前年同月比が特に有効です。全体が伸びている月なのか、自店の施策が効いた月なのかを切り分けられれば、来期の計画も立てやすくなります。

6-4. 顧客セグメントを作る

そして、条件を指定して顧客セグメントを作るのも実務で頻出です。「一定期間購入がない休眠顧客」「累計購入額が大きい優良顧客」「特定カテゴリを買った顧客」——こうしたセグメントを抽出できれば、それぞれに合ったアプローチを設計できます。優良顧客には特別なオファーを、休眠顧客には呼び戻しの一手を、という具合です。

ここで作ったセグメントは、後述する広告運用の"狙いどころ"にそのまま使えます。分析で見つけた顧客層を、メールや広告のターゲットとして行動に移す。ShopifyQLの発見が、施策の起点になる典型例です。

運営者
過去90日で購入がなく、それ以前に2回以上買ってくれていた顧客を抽出したい。
クエリエディタ / Sidekick
条件(購入間隔・購入回数)を指定して該当する顧客セグメントを作成します。このセグメントを、再来店を促すメールや広告のリターゲティング対象として活用できます。

07 ShopifyQLを使うときの注意点

便利なShopifyQLですが、使ううえで知っておくべき「クセ」や限界があります。ここを押さえておかないと、数字を読み違えたり、できないことに時間を使ったりしがちです。3つの注意点を整理します。

7-1. 複雑な結合はできない場合がある

第3章で触れたとおり、ShopifyQLは異なるデータソースをまたぐ複雑な結合が想定されていない言語です。SQLのように任意のテーブルを自由に結びつけて、込み入った集計を組む、といった使い方はできない場合があります。用意された指標・ディメンションの組み合わせでは表現しきれない分析をしたくなったら、それはShopifyQL単体の範囲を超えているサインです。

この限界は欠点ではなく、割り切りです。「Shopifyの枠内で完結する集計はShopifyQL、それを超える横断分析は別の仕組み」と役割を分けて考えれば、無理に一つの道具ですべてを賄おうとして消耗せずに済みます。

7-2. 集計条件で数値の見え方が変わる

もっとも注意したいのが、同じ指標でも集計条件の取り方で数値が変わることです。たとえば「売上」ひとつとっても、次のような条件で結果が変わります。

  • 割引の扱い:割引前の金額か、割引後の実売上か
  • 日付の基準:注文日・発送日・返品日・支払い日のどれを基準にするか
  • チャネル:どの販売チャネルを集計対象に含めるか
  • キャンセル・テスト注文:これらを数えるか、除外するか

「レポートによって売上の数字が微妙に違う」という現象の多くは、この集計条件の差から生まれます。数値がずれて見えたら、まずそれぞれの集計条件を確認しましょう。特に重要な判断に使う数字は、条件をそろえたうえで比較することが大切です。条件を意識せずに数字だけを見比べると、誤った結論に飛びついてしまいます。

【数字を鵜呑みにしない】集計条件が違えば、同じ「売上」でも結果は変わります。数値を根拠に意思決定をするときは、その数字が「いつ基準・どのチャネル・割引前後・キャンセル込みか」を確認する習慣をつけてください。条件のそろっていない比較は、判断を誤らせます。

7-3. 外部データとの統合には別の仕組みが要る

ShopifyQLは、あくまでShopifyが持つストアデータを集計する言語です。広告媒体の管理画面データ、外部の在庫システム、スプレッドシートに手入力した数字など、Shopify外のデータをそのまま掛け合わせて分析することは基本的にできません。「広告費とShopifyの売上を突き合わせてROASを出す」といった横断分析をしたい場合は、別の仕組みが必要です。

具体的には、APIでShopifyのデータを取り出してBI(ビジネスインテリジェンス)ツールに集約し、そこで外部データと結合する、といったアプローチになります。とはいえ、これは一定以上の規模・体制がある事業者向けの話。多くの小売事業者は、まずShopify内で完結する分析をShopifyQLで回し切ることが先決です。横断分析は「必要になったら」で構いません。

08 SidekickでShopifyQLをノーコードで使う

ここまで「構文は全部覚えなくてよい」と繰り返してきましたが、その最大の理由がSidekick(サイドキック)の存在です。SidekickはShopify公式のAIアシスタントで、日本語で聞くだけで内部的にShopifyQLのクエリを自動生成してくれます。構文をまったく知らなくても、データ分析を始められるのです。

8-1. 自然言語からクエリを自動生成する

Sidekickの核心は、自然言語(普段の言葉)の質問から、ShopifyQLのクエリを自動で組み立てる点にあります。「先月の商品別売上トップ10を見せて」「過去90日で購入がない顧客を抽出して」——こう話しかけるだけで、裏側でShopifyQLが生成され、結果が返ってきます。運営者は構文を1文字も書く必要がありません。

これは、データ分析のハードルを劇的に下げる変化です。従来は「クエリを書ける人」しかたどり着けなかった集計に、質問さえ思いつけば誰でも到達できるようになりました。分析リテラシーに自信がない担当者でも、日本語で問いかければデータが返ってくる。ノーコードでのデータ分析が、ストアの標準機能として手に入ったわけです。

あなた
先月、いちばん売れた商品トップ5を、売上の多い順で教えて。
Sidekick
先月の売上トップ5を、内部でShopifyQLクエリを生成して集計しました。商品名・販売数・売上を表で表示します。「利益率が高い順にも見たい」「昨年同月と比べたい」といった深掘りも続けてどうぞ。

8-2. 「聞く→確認→微調整」の合わせ技

Sidekickは便利ですが、慣れてきたらSidekickが生成したクエリをクエリエディタで確認し、必要に応じて微調整するという合わせ技が効いてきます。AIに骨格を作らせて、細部を自分で整える。ノーコードで入り、必要になったらクエリに一歩踏み込む——この流れが、もっとも現実的で無理のない習得ルートです。

また、Sidekickが作ったクエリを読むことは、ShopifyQLを学ぶうえで最高の教材にもなります。「自分の質問が、どんなクエリに翻訳されたか」を見れば、指標・ディメンション・条件・期間がどう組み立てられるのかが実例で分かります。使いながら覚えられるのは、AI時代ならではの学び方です。

8-3. 質問のコツは「具体的に・条件を明示・段階的に」

Sidekickから狙った答えを引き出すには、質問の仕方に少しコツがあります。①具体的に聞く(「売上どう?」ではなく「過去30日の商品別売上の上位10件」)、②期間や条件を明示する、③複雑な依頼は段階的に分ける——この3つです。一度で完璧を求めず、返ってきた結果に条件を重ねて絞り込む対話型の使い方が向いています。

Sidekick自体の機能や最新アップデート(自動分析のPulse、音声対応、モバイル強化など)について詳しく知りたい方は、Shopify Sidekick完全ガイドをあわせてご覧ください。ShopifyのAI活用の全体像がつかめます。なお、こうしたAI機能は年2回の大型アップデート「Shopify Editions」で継続的に進化しています。

09 分析結果を広告運用に活かす

ここまでShopifyQLの使い方を見てきましたが、独立系の運用型広告代理店の視点から、どうしても強調しておきたいことがあります。それは、ShopifyQLで「見えるようになったデータ」を、集客・売上という成果に変えるには、その先の一手が必要だということです。分析は目的ではなく、手段にすぎません。

9-1. 分析はゴールではなくスタートライン

ShopifyQLは、売れ筋商品・高利益商品・優良顧客層・伸びているチャネル・休眠しがちな顧客を、驚くほど簡単に可視化してくれます。しかし、それを「知る」だけでは売上は1円も増えません。見えた事実をもとに「では何をするか」を決め、実行して初めて成果につながります。クエリを組んで美しいレポートを作ること自体が目的化してしまう——これは分析にありがちな落とし穴です。

マーケティングの古典であるコトラーの理論に立ち返れば、まず誰に売るか(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング=STP)を定め、そのうえで具体的な打ち手を組み立てるのが王道です。ShopifyQLが出してくれる「売れ筋」「優良顧客の共通点」「反応の良いチャネル」は、このSTPを裏づける一次データそのもの。ペルソナ設計の解像度を上げる材料として、これ以上ない出発点になります。感覚で描いたペルソナと、データが示す実像を突き合わせることで、狙いの精度が大きく変わります。

9-2. ShopifyQLの発見を広告の狙いに翻訳する

ShopifyQLで見つけた事実は、そのまま広告運用の打ち手に翻訳できます。具体的にはこうです。

  • 売れ筋・高利益商品が分かったら → その商品に広告予算を寄せ、費用対効果の高い訴求に集中する
  • 優良顧客層の共通点が見えたら → その層に似たユーザーを広告で狙う(類似オーディエンス)
  • 伸びているチャネルが分かったら → そこへ予算を厚く配分する
  • 休眠しがちな顧客セグメントを抽出できたら → リターゲティング広告で呼び戻す

このように、ShopifyQLの分析結果は広告の「誰に・何を・どこで」を決める根拠になります。勘や思い込みで広告を出すのではなく、自店のデータが示す事実に基づいて狙いを定める。これが、限られた広告予算を無駄にしないための土台です。

9-3. 計測を整えて初めて投資判断ができる

ただし、広告に踏み出す前に欠かせないのがコンバージョン計測の整備です。どの広告経由で、どの商品が、いくら売れたのかを正確に測れて初めて、投資判断ができます。計測が曖昧なままでは、ShopifyQLでどれだけ精緻に分析しても、広告の良し悪しを判断できません。

拡張コンバージョンやGA4連携などで計測基盤を固め、LTV(顧客生涯価値)から逆算した許容CPAと、流入元別のROASで予算配分を最適化する——この流れが、データを売上に変える王道です。ShopifyQLで「何が売れているか」を掴み、計測で「どの広告が効いているか」を掴む。この両輪がそろって初めて、広告投資は科学になります。ROASやCPAの基本はROAS・CPA改善の基本ガイドで解説しています。

9-4. 「分析から広告まで」を内製できないなら伴走者を

とはいえ、少人数の小売事業者が、ShopifyQLでの分析から広告アカウントの設計・運用・改善までを全部内製するのは、現実には簡単ではありません。日々の店舗運営で手一杯、というのが本音でしょう。そんなときは、計測設計から広告運用までを一気通貫で伴走してくれる、独立系の運用型広告代理店に委託するのも有効な選択肢です。ShopifyQLが出した"事実"を、成果につながる"施策"に翻訳する部分を任せるイメージです。

横浜の零(Rei)株式会社が運営する「でもやるんだよ」は、まさにこの領域——コトラー理論×ペルソナ設計を土台に、データ分析から広告運用までを組織的に実装する運用型広告代理店です。料金体系は完全公開で、少額予算からの伴走にも対応しています。EC・ネットショップの集客に強い代理店の選び方はEC集客に強い代理店ガイドもあわせてご覧ください。

10 よくある質問(FAQ 13問)

Q1. ShopifyQLとは何ですか?

ShopifyQL(Shopify Query Language)は、Shopifyのストアデータを集計・分析するためのクエリ言語です。売上・注文数・平均注文金額といった指標を、商品・チャネル・地域・期間などの切り口で集計し、表やグラフとして取り出せます。ストア分析のレポートや顧客セグメントの裏側で使われており、クエリエディタを通じて条件を変えながらデータを深掘りできます。プログラミング言語というより、Shopifyのレポートを自在に組み替えるための問い合わせ言語だとイメージすると分かりやすいでしょう。

Q2. ShopifyQLはどこで使えますか?

主にストア分析のレポート(クエリエディタ)と、顧客セグメントの条件指定で使われます。ストア分析では既存レポートのクエリを確認・編集して独自の集計を作れ、カスタム探索として保存できます。顧客セグメントでは「一定期間購入がない」「特定商品を買った」といった条件で顧客を抽出し、メールや広告の対象として活用できます。いずれもShopify管理画面の中で完結し、外部ツールを別途用意する必要はありません。提供範囲はプランや時期によって異なる場合があるため、最新はShopify公式ヘルプで確認してください。

Q3. ShopifyQLとSQLは何が違いますか?

SQLは、データベースに自由に問い合わせるための汎用的な言語で、テーブル同士を結合したり複雑な条件を組んだりと、扱える範囲が非常に広いのが特徴です。一方ShopifyQLは、Shopifyのレポート機能に合わせて設計されており、使える指標・ディメンション・条件があらかじめ決められています。外部データベースへ自由にアクセスするものではなく、Shopifyが用意した枠の中でストアデータを集計・分析する用途に最適化されています。そのぶん学習コストは低く、EC運営者でも扱いやすくなっています。

Q4. ShopifyQLを使うのにプログラミングの知識は必要ですか?

本格的なプログラミング知識は不要です。ShopifyQLは英語に近い読みやすい構文で、既存レポートのクエリを開いて期間や指標を少し書き換えるだけでも十分に活用できます。ゼロからクエリを書く必要はなく、用意されたレポートを土台に少しずつ変更していくのが現実的な使い方です。さらにSidekick(AIアシスタント)を使えば、日本語で聞くだけで内部的にShopifyQLのクエリが自動生成されるため、構文を覚えなくてもデータ分析を始められます。

Q5. ShopifyQLのクエリはどんな構造になっていますか?

基本的な流れは、FROM(どのデータセットを対象にするか)→ SHOW または VISUALIZE(どの指標を表示・可視化するか)→ BY(どのディメンションで分けるか)→ WHERE(どんな条件で絞り込むか)→ SINCE / UNTIL / DURING(どの期間か)→ ORDER BY(並び順)という組み立てです。すべての要素を毎回使うわけではなく、目的に応じて必要な部分だけを指定します。全部を暗記する必要はなく、既存クエリを見ながら「どこを変えると何が変わるか」を掴んでいくのが近道です。

Q6. 指標(メジャー)とディメンションの違いは何ですか?

指標(メジャー)は「測る対象=数値」で、売上・注文数・平均注文金額・販売数などが該当します。ディメンションは「切り分ける軸」で、商品・チャネル・地域・期間・顧客などが該当します。たとえば『商品別(ディメンション)に売上(指標)を見る』『チャネル別(ディメンション)に注文数(指標)を比べる』というように、指標とディメンションを組み合わせることで、知りたい角度からデータを集計できます。この2つの区別が分かると、ShopifyQLもレポート画面も一気に理解しやすくなります。

Q7. クエリエディタでは具体的に何ができますか?

クエリエディタでは、既存レポートのクエリを確認する、指標やディメンションを変更する、条件で絞り込む、表やグラフの表示形式を調整する、そして作ったものをカスタム探索として保存する、といった操作ができます。さらにSidekickにクエリの作成や修正を補助させることも可能です。ゼロから書き起こすより、用意されたレポートを開いて少しずつ調整していく使い方が実務的で、繰り返し見たい集計を保存しておけば定点観測もラクになります。

Q8. 作ったクエリやレポートは保存できますか?

はい。クエリエディタで作った独自の集計は、カスタム探索(カスタムレポート)として保存できます。一度保存しておけば、毎回条件を組み直さずにワンクリックで同じ集計を呼び出せるため、週次・月次の売上チェックや施策の振り返りといった定点観測に便利です。よく見る集計をいくつか保存しておくと、データを見るハードルが下がり、数字を確認する習慣が続きやすくなります。保存機能や名称はプランや時期で異なる場合があるため、最新はShopify公式ヘルプで確認してください。

Q9. ShopifyQLで外部データベースやスプレッドシートのデータも分析できますか?

ShopifyQLは、あくまでShopifyが保持するストアデータを集計するための言語です。外部データベースやスプレッドシート、広告媒体の管理画面のデータなどを、そのままShopifyQLで直接結合して分析することは基本的にできません。Shopifyのデータと外部データを掛け合わせて分析したい場合は、APIでデータを取り出してBIツールに集約するなど、別の仕組みが必要になります。まずはShopify内で完結する分析はShopifyQL、横断分析は外部の仕組み、と役割を分けて考えると整理しやすいでしょう。

Q10. 同じ「売上」でも画面によって数値が違うのはなぜですか?

売上のような指標は、集計条件の取り方で数値の見え方が変わるためです。割引を適用する前か後か、日付の基準を注文日・発送日・返品日・支払い日のどれにするか、どのチャネルを含めるか、キャンセルやテスト注文を数えるか——こうした条件が違えば、同じ「売上」でも結果は変わります。数値がずれて見えるときは、それぞれのレポートがどんな条件で集計しているかを確認しましょう。重要な判断に使う数字ほど、集計条件をそろえて比較することが大切です。

Q11. SidekickでShopifyQLを使うとどう便利になりますか?

Sidekickは、日本語の質問から内部的にShopifyQLのクエリを自動生成してくれるShopify公式のAIアシスタントです。「先月の商品別売上トップ10を見せて」と話しかけるだけで、構文を書かずに集計結果が得られます。つまりShopifyQLの構文を覚えていなくても、聞くだけでデータ分析ができるということです。慣れてきたら、Sidekickが作ったクエリをクエリエディタで確認して微調整する、という合わせ技も有効です。ノーコードで入り、必要に応じてクエリに踏み込む流れが現実的です。

Q12. ShopifyQLの分析結果を広告運用にどう活かせますか?

ShopifyQLで見えた事実——売れ筋商品、利益率の高い商品、優良顧客層、伸びているチャネル、休眠しがちな顧客セグメント——は、そのまま広告の狙いどころに翻訳できます。売れ筋や高利益商品に広告予算を寄せる、優良顧客に似たユーザーを狙う、休眠顧客をリターゲティングで呼び戻す、といった具合です。その際はコンバージョン計測を整え、LTVから逆算した許容CPAと流入元別のROASで投資判断するのが基本形です。分析を施策へ、施策を成果へつなげる設計が重要になります。

Q13. ShopifyQLの仕様は今後変わる可能性がありますか?

あります。Shopifyは年2回の大型アップデートを中心に機能改善を続けており、レポートや分析まわりの仕様・使える指標・画面構成は変わることがあります。本記事の内容は2026年7月時点の一般的な情報に基づいています。実際にクエリを組む際やプランごとの提供範囲を確認する際は、必ずShopify公式ヘルプ・公式ドキュメントで最新情報を確認してください。特定の指標や構文が使えるかどうかは、ストアのプランや時期によって異なる場合があります。

11 まとめ データを「見る」から「動かす」へ

本記事では、Shopifyのデータ集計・分析用クエリ言語「ShopifyQL」について、基本の位置づけからどこで使うか、SQLとの違い、クエリの基本構造、クエリエディタでできること、実務での活用イメージ、集計条件の注意点、Sidekickによるノーコード活用、そして広告運用への接続まで、一気通貫で整理しました。最後に要点を振り返ります。

  • ShopifyQLはShopifyのストアデータを集計・分析する公式のクエリ言語。ストア分析のレポートと顧客セグメントで使われる
  • SQLと違い使える指標・ディメンション・条件が決められた「整理された自由」。そのぶん学習コストが低くEC運営者でも扱いやすい
  • クエリはFROM・SHOW/VISUALIZE・BY・WHERE・SINCE/UNTIL/DURING・ORDER BYの部品でできている。全部覚えず「既存クエリを一箇所だけ変える」から始めるのが近道
  • クエリエディタでは確認・変更・絞り込み・表示調整・保存・Sidekickによる作成補助ができる
  • 注意点は複雑な結合ができない場合がある/集計条件で数値が変わる/外部データ統合は別の仕組みが要るの3つ
  • Sidekickに日本語で聞けば構文なしでShopifyQLを使える。ノーコードで入り、必要に応じてクエリに踏み込むのが現実的
  • ShopifyQLで見つけた売れ筋・高利益商品・優良顧客・勝ちチャネルは広告運用に還元してこそ、新規売上という成果に変わる

ShopifyQLが与えてくれるのは、「なんとなくの感覚」を「データの事実」に置き換える力です。しかし、データを見ること自体はゴールではありません。見えた事実をもとに、どの商品に注力するか、どの顧客層に投資するか、広告費をいくらかけるか——という意思決定に踏み込み、実行して初めて、分析は売上という成果に変わります。データを「見る」段階から「動かす」段階へ進めるかどうかが、これからの小売事業者の分かれ道になるでしょう。

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