Google動画キャンペーン(YouTube広告)の仕様とフォーマット要件 完全ガイド
「YouTube広告に出したいけど、動画は何秒で、どんなサイズで作ればいいの?」「インストリームとバンパーとインフィード、結局なにが違うの?」——Google動画キャンペーンは、広告タイプごとに動画の長さ・アスペクト比・見出しや説明文の文字数が細かく決まっています。本記事では、スキップ可能/不可のインストリーム、バンパー、インフィード動画、アウトストリーム、マストヘッドという各フォーマットの違いから、サムネイル・コンパニオンバナーのサイズ、対応動画ファイル形式、入札方式、目標別サブタイプまで、運用代理店の現場目線で数値ベースに徹底解説します。
00 はじめに
YouTube(Google動画キャンペーン)は、いまや認知拡大からコンバージョン獲得まで一気通貫で担える、運用型広告の主役の一つです。月間ユーザー数の桁が違う巨大なプラットフォームに、テキストと静止画だけでは伝わらない世界観や感情を、数秒の映像で届けられる——これがYouTube広告の最大の魅力です。しかし、いざ出稿しようとすると、多くの担当者が同じ壁にぶつかります。
「動画は何秒で作ればいいのか」「縦動画と横動画、両方いるのか」「見出しや説明文は何文字まで入るのか」「サムネイルやコンパニオンバナーって何?」——つまり、クリエイティブの仕様(フォーマット要件)がわからず、制作会社に発注する段階で手が止まってしまうのです。仕様を間違えたまま動画を作ってしまうと、入稿時にエラーで弾かれたり、せっかく作った縦動画が一部の面にしか出せなかったりと、時間とコストの無駄が発生します。
本記事は、その「仕様の壁」を一気に越えてもらうためのリファレンスです。次のことを、数値ベースで徹底的に解説します。
- 6つの広告フォーマットの違いと使い分け——スキップ可能/不可のインストリーム、バンパー、インフィード、アウトストリーム、マストヘッドは、それぞれ何が違い、どんな目的に向くのか。
- 各キャンペーンタイプのフォーマット要件——インフィード動画広告、マストヘッド、動画アクション、動画リーチについて、動画の長さ・アスペクト比・見出しや説明文の文字数を表で整理。
- アスペクト比・ファイル形式・付随アセットの仕様——16:9/9:16/1:1の使い分け、対応する動画ファイル形式、サムネイルとコンパニオンバナーのサイズ・容量。
- 入札方式と目標別サブタイプ——CPV・tCPM・tCPAなどの課金方式、認知/比較検討/コンバージョンという目標ごとの設計の考え方。
なお、本記事は動画キャンペーン単体に絞った仕様解説です。Google広告全体のフォーマット仕様を俯瞰したい場合は、ピラー記事である Google広告のフォーマット仕様まとめ完全ガイド を入口にしてください。それでは、まず動画キャンペーンの全体像から見ていきましょう。
01 動画キャンペーンとは?YouTube広告の全体像と前提
Google広告の「動画キャンペーン」は、主にYouTube(およびGoogle動画パートナーのサイト・アプリ)に動画広告を配信するためのキャンペーンタイプです。検索広告がテキスト、ディスプレイ広告が静止画バナー中心であるのに対し、動画キャンペーンは映像と音声で訴求できるのが決定的な違いです。商品の使い方、ブランドの世界観、人の表情や声——静止画では届かない情報量を、数秒〜数十秒で伝えられます。
大前提:動画は「事前にYouTubeへアップロード」しておく必要がある
仕様の話に入る前に、最も重要な前提を一つ。YouTube広告に使う動画は、原則として事前にYouTubeチャンネルへアップロードしておく必要があります。Google広告の管理画面で「動画ファイルをアップロードする」のではなく、「YouTubeにアップした動画のURL(または動画ID)を指定する」という流れです。
つまり、動画キャンペーンを始めるには、まず広告主(または広告代理店)のYouTubeチャンネルに広告用動画をアップロードし、公開設定を「公開」または「限定公開」にしておく必要があります。限定公開なら、YouTubeの検索結果やチャンネル一覧には表示されず、広告としてのみ配信できます。この前提を知らずに「動画ファイルを用意したのに広告が作れない」と詰まるケースは非常に多いので、最初に押さえておきましょう。
動画キャンペーンの中にある複数の「サブタイプ」
ひとくちに動画キャンペーンと言っても、その中身は一枚岩ではありません。「何を目的にするか(認知を広げたいのか、比較検討してほしいのか、コンバージョンを取りたいのか)」によって、選ぶべきサブタイプと、使える広告フォーマット、推奨される動画の尺や仕様が変わってきます。代表的なものを挙げると次のとおりです。
- 動画リーチキャンペーン:できるだけ多くの人に、効率よく動画を届けたい認知・リーチ目的のキャンペーン。スキップ可能なインストリーム・バンパー・インフィードを組み合わせて配信できます。
- 動画視聴重視(ビュー)キャンペーン:動画をしっかり視聴してもらうこと(エンゲージメント)を重視するキャンペーン。比較検討フェーズに向きます。
- 動画アクションキャンペーン:動画からサイト誘導・コンバージョン獲得を狙う、刈り取り目的のキャンペーン。見出し・説明文・CTAボタンを伴います。
- YouTubeマストヘッド:YouTubeトップの最上部を一定期間ジャックする、大型の認知用枠(予約型)。
これらの違いを理解せずに「とりあえず動画広告を出す」と、目的とフォーマットがちぐはぐになり、成果が出ません。キャンペーン・広告グループの組み方 でも触れたとおり、機械学習はキャンペーン単位で回るので、目的(=最適化対象)が違うものは別キャンペーンに分けるのが鉄則です。動画でも同じで、認知用と刈り取り用を一つのキャンペーンに混ぜてはいけません。
この章の要点:①動画はYouTubeへ事前アップロードが必須、②動画キャンペーンには認知・比較検討・コンバージョンという目的別のサブタイプがあり、それぞれ使える広告フォーマットと推奨仕様が異なる。まずは「どの目的のキャンペーンを選ぶか」を決めることが、仕様選定の出発点になります。
02 広告タイプ別の使い分け|6つのフォーマットを理解する
動画キャンペーンで使える広告フォーマットは、大きく6種類あります。「どこに・どう表示されるか」「スキップできるか」「課金のされ方」が異なるので、目的に応じて選びます。まずは一覧で全体像をつかみましょう。
| フォーマット | 表示場所・形 | 長さ・スキップ | 主な目的 |
|---|---|---|---|
| スキップ可能な インストリーム | 動画の再生前・再生中・再生後に流れる。5秒後にスキップ可能 | 推奨15〜60秒程度。5秒でスキップ可 | 認知〜比較検討。CPVで興味ある人だけ課金 |
| スキップ不可の インストリーム | 動画の前後・途中に流れる。スキップ不可 | 15秒以内(地域により上限差あり) | 確実に最後まで見せたい認知 |
| バンパー広告 | 動画の前後・途中。スキップ不可 | 6秒以内 | 短時間で記憶に残す認知・リーチ |
| インフィード 動画広告 | YouTube検索結果・関連動画・ホームのフィード内にサムネイルで表示 | クリックで再生(推奨15秒) | 能動的に見てもらう比較検討 |
| アウトストリーム | YouTube外のGoogle動画パートナー(モバイルのサイト・アプリ)。多くは無音で自動再生 | 可変。視認範囲で課金(vCPM) | YouTube外でのリーチ拡張 |
| マストヘッド | YouTubeホーム最上部を占有(予約型) | 長さ制限なし | 大規模な一斉認知(新商品・キャンペーン告知) |
スキップ可能なインストリーム広告|動画の王道
最もよく使われるのが、このスキップ可能なインストリーム広告です。YouTube動画の前(プレロール)・途中(ミッドロール)・後(ポストロール)に流れ、再生開始から5秒経つと「スキップ」ボタンが表示されます。ユーザーが続きを見るかどうかを選べるのが特徴です。課金は基本的にCPV(視聴課金)で、30秒以上視聴された場合、または30秒未満の動画なら最後まで視聴された場合、あるいは広告がクリックされた場合に料金が発生します。興味のない人にスキップされても課金されないため、無駄打ちを抑えながらメッセージを届けられます。尺は推奨15秒程度から、長くても60秒前後に収めるのが定石です。
スキップ不可のインストリーム広告|確実に最後まで見せる
スキップ不可のインストリーム広告は、ユーザーがスキップできず、最後まで強制的に視聴されます。長さは15秒以内が基本です(国・地域によって上限の差があります)。課金はtCPM(目標インプレッション単価・1,000回表示あたり)が中心。「短い時間で、確実にメッセージ全体を届けたい」認知施策に向きますが、スキップできない分ユーザー体験への配慮が必要で、冗長な動画は逆効果になりやすい点に注意します。
バンパー広告|6秒の認知パンチ
バンパー広告は、6秒以内・スキップ不可の超短尺フォーマットです。最後まで見られる前提で、ブランド名やロゴ、一言のメッセージを瞬間的に刷り込むのに最適です。課金はtCPM。単体で大量リーチを取るのにも、長尺の認知動画を見たユーザーへの「追い打ち(リマインド)」としても使えます。6秒という制約は厳しいですが、その分「一番伝えたいこと一つに絞る」訓練にもなります。
インフィード動画広告(旧TrueViewディスカバリー)|能動視聴を取る
インフィード動画広告は、YouTubeの検索結果、関連動画の横、モバイルのホームフィードなどに、サムネイル+テキストの形で表示されます。ユーザーが自分でクリックして初めて再生される、いわば「能動的に見てもらう」フォーマットです。プッシュ型のインストリームと違い、興味を持った人だけが見るため、比較検討フェーズや、しっかり中身を見てほしい商材に向きます。サムネイルとテキスト(見出し・説明文)の出来が、クリックされるかどうかを大きく左右します。仕様は次章で詳述します。
アウトストリーム広告とマストヘッド
アウトストリーム広告は、YouTube内ではなく、Google動画パートナー(モバイル向けのサイトやアプリ)に配信されるモバイル専用フォーマットです。多くは無音で自動再生され、ユーザーがタップすると音声が再生されます。課金は視認範囲のインプレッション単価(vCPM)。YouTubeの在庫を超えてリーチを広げたいときの「拡張枠」と考えるとよいでしょう。
マストヘッドは、YouTubeのホーム画面最上部を一定期間占有できる、最も目立つ予約型の枠です。新商品の発売日や大型キャンペーンの初日など、「一斉に・大規模に」認知を取りたいときの切り札で、Googleの営業担当を通じた予約型での出稿が基本です。仕様は第4章で扱います。
使い分けの軸:「広く速く認知を取る」ならバンパー・スキップ不可・マストヘッド、「メッセージをしっかり伝えつつ無駄打ちを抑える」ならスキップ可能なインストリーム、「能動的に見てもらう比較検討」ならインフィード、「YouTube外まで広げる」ならアウトストリーム。目的が決まれば、選ぶフォーマットは自ずと絞られます。
03 インフィード動画広告の仕様(旧TrueViewディスカバリー)
ここからは、フォーマット・キャンペーンタイプごとの具体的な仕様(数値要件)を一つずつ見ていきます。まずはインフィード動画広告です。かつて「TrueViewディスカバリー広告」と呼ばれていたフォーマットで、サムネイルとテキストでユーザーのクリックを誘う、能動視聴型の広告です。
動画の仕様(アスペクト比・推奨尺)
インフィード動画広告で使える動画のアスペクト比と解像度、推奨尺は次のとおりです。日本語の文字数換算(半角=全角の2倍)の前に、まず動画本体の仕様を押さえます。
| 項目 | 仕様 | 備考 |
|---|---|---|
| 横向き(16:9) | 1,920×1,080px | 最も標準的。サムネイル表示で主役 |
| 縦向き(9:16) | 1,080×1,920px | モバイルフィードで強い |
| スクエア(1:1) | 1,080×1,080px | フィードに馴染む |
| 推奨の長さ | 15秒程度 | 短く要点を伝えるのが効果的 |
テキスト(見出し・説明文)の文字数
インフィード動画広告には、サムネイルの横に表示される見出しと説明文があります。これらの文字数には上限があり、日本語(全角)は半角の半分の文字数で考えます(半角=全角の2倍)。
| 要素 | 行数 | 1行あたりの上限(半角) | 1行あたりの上限(全角=日本語) |
|---|---|---|---|
| 見出し | 2行 | 半角40文字 | 全角20文字 |
| 説明文 | 2行 | 半角35文字 | 全角17文字 |
つまり日本語であれば、見出しは1行あたり全角20文字×2行、説明文は1行あたり全角17文字×2行が目安です。限られた文字数で「何の動画か」「見るとどんな得があるか」を伝えきる必要があるため、コピーの優先順位付けが重要になります。スマートフォン表示では右側に省略される場合があるので、最も伝えたい言葉は前半に置くのが鉄則です。
サムネイルで「目を止めさせ」、見出し・説明文で「クリックする理由」を与える。テキストは短いので、ベネフィット(見ると何が得か)を端的に。例:見出し「【検証】30日で本当に痩せた」+説明文「専属トレーナーが密着サポート」のように、続きが気になる入口を作る。
04 YouTubeマストヘッドの仕様
YouTubeマストヘッドは、YouTubeホーム画面の最上部に表示される、最も目立つ大型枠です。新商品発売・大型キャンペーンの初動で、短期間に圧倒的なリーチを獲得したいときに使う予約型のフォーマットです。占有する面が特別な分、仕様も他のフォーマットとは少し異なります。
動画の仕様
| 項目 | 仕様 | 備考 |
|---|---|---|
| アスペクト比 | 横向き(16:9) | 1,920×1,080px |
| 長さ | 制限なし | ただし冒頭で要点を伝えるのが定石 |
マストヘッドの動画には明確な長さ制限がありませんが、ホーム上部で自動再生される(多くは無音から始まる)特性上、冒頭数秒で何の動画かが伝わる構成が必須です。長尺だからといって冗長にすると、せっかくの巨大な露出を活かしきれません。
テキスト(見出し・説明文・行動を促すフレーズ)の文字数
マストヘッドには、動画に添える見出し・説明文に加えて、CTAにあたる行動を促すフレーズがあります。それぞれの上限は次のとおりです。
| 要素 | 上限(半角) | 上限(全角=日本語) |
|---|---|---|
| 見出し | 半角40文字以下 | 全角20文字 |
| 説明文 | 半角60文字以下 | 全角30文字 |
| 行動を促すフレーズ | 半角15文字以下 | 全角7文字 |
行動を促すフレーズは、日本語なら全角7文字程度しか入りません。「今すぐ予約」「詳しくはこちら」「無料で試す」といった、短く行動を促す定番のCTAに収める必要があります。説明文も全角30文字と限られるため、キャッチコピーとして洗練させる工夫が求められます。
マストヘッドの位置づけ:運用型(オークション)で日々回すというより、「ここぞ」という大型施策の初動に投下する予約型の認知メディアです。費用規模も大きいため、ブランドの世界観や指名検索を一気に底上げしたいタイミングで、他のフォーマット(バンパーやスキップ可能なインストリーム)と組み合わせて使うのが効果的です。
05 動画アクションキャンペーンの仕様
動画アクションキャンペーンは、動画を見たユーザーをサイトへ誘導し、コンバージョン(購入・申込・問い合わせなど)を獲得することに最適化した、刈り取り目的のキャンペーンです。動画の下や横に見出し・説明文・CTAボタンが付き、クリックでランディングページへ遷移します。認知向けのフォーマットと比べて、テキスト要素(特にCTA)の役割が大きいのが特徴です。
動画の仕様
| 項目 | 仕様 | 備考 |
|---|---|---|
| 横向き(16:9) | 対応 | 標準。PC・テレビ画面で強い |
| 縦向き(9:16) | 対応 | モバイルのフルスクリーンで強い |
| スクエア(1:1) | 対応 | フィードで馴染む |
| 長さ | 各10秒以上 | 行動喚起には一定の尺が必要 |
動画アクションキャンペーンでは、16:9・9:16・1:1の3つのアスペクト比すべてに対応する素材を用意するのが理想です。それぞれの長さは10秒以上が要件です。コンバージョンを促すには、商品やオファーを伝え、行動を後押しするだけの情報量が必要なため、バンパーのような超短尺では不向きで、最低でも10秒以上、実務では15〜30秒程度が使われます。
テキスト(見出し・長い見出し・説明文・行動を促すフレーズ)の文字数
動画アクションキャンペーンは、CTAを含むテキストアセットが複数あります。文字数の上限は次のとおりです(日本語は全角=半角の半分)。
| 要素 | 上限(半角) | 上限(全角=日本語) | 役割 |
|---|---|---|---|
| 見出し | 半角30文字 | 全角15文字 | 短い訴求の主役 |
| 長い見出し | 半角90文字 | 全角45文字 | 面によって表示。詳しく訴求 |
| 説明文 | 半角90文字 | 全角45文字 | 補足・ベネフィット |
| 行動を促すフレーズ | 半角10文字 | 全角5文字 | CTAボタン文言 |
注目すべきは行動を促すフレーズ(CTAボタン)が半角10文字=全角5文字と非常に短いことです。「購入する」「申し込む」「予約する」「無料登録」といった、5文字に収まる行動語を選ぶ必要があります。見出しは全角15文字、長い見出しと説明文は全角45文字まで使えるので、ここでオファーやベネフィットを具体的に伝えます。文字数上限を超えると入稿できなかったり、表示時に途中で切れたりするため、上限内で収めて作成します。
「行動を促すフレーズ」に「詳しくはこちらをご覧ください」のような長文を入れようとして弾かれる。CTAは全角5文字。長い説明は「説明文(全角45文字)」側に書き、ボタンは行動そのものだけにする。また、動画を10秒未満で作ってしまい入稿できないのもありがちなミス。
06 動画リーチキャンペーンの仕様(尺の使い分け)
動画リーチキャンペーンは、限られた予算でできるだけ多くの人に動画を届ける、認知・リーチ効率を重視したキャンペーンです。スキップ可能なインストリーム、バンパー、インフィードを組み合わせて配信でき、Googleが効率よくユニークリーチを最大化するように配信を最適化します。ここで重要なのが、アスペクト比によって使える動画の長さが変わるという点です。
アスペクト比別の推奨・要件となる長さ
| アスペクト比 | 長さ | 主な用途 |
|---|---|---|
| 横向き(16:9) | 15秒 | スキップ可能なインストリーム/インフィード |
| 6秒 | バンパー | |
| 縦向き(9:16) | 6〜60秒 | モバイルのフルスクリーン向け |
| スクエア(1:1) | 6〜60秒 | フィード向け |
横向き(16:9)は、スキップ可能なインストリームやインフィードとして使うなら15秒、バンパーとして使うなら6秒、というように用途で尺が分かれます。一方、縦向き(9:16)とスクエア(1:1)は、6秒〜60秒の幅で用意できます。つまり、横向きはきっちり6秒・15秒に合わせ、縦・スクエアは6〜60秒の範囲で柔軟に、という整理になります。
実務での揃え方
動画リーチキャンペーンを最大限活かすなら、複数のアスペクト比・尺をセットで用意するのが理想です。たとえば「16:9の15秒」「16:9の6秒(バンパー)」「9:16の縦動画」を揃えておけば、デバイスや配信面に応じてGoogleが最適なものを出し分け、リーチ効率が高まります。逆に16:9の1本だけだと、モバイルのフルスクリーン面で機会損失が出やすくなります。制作段階で「縦・横・スクエア」を一緒に発注しておくと、後から作り直す手間とコストを防げます。
尺の早見:横16:9=15秒(スキップ可能/インフィード)・6秒(バンパー)、縦9:16=6〜60秒、スクエア1:1=6〜60秒。リーチ効率を上げたいなら、横の6秒・15秒と、縦・スクエアの素材を一通り揃えておくのが正解。
07 アスペクト比と動画ファイル形式の要件
ここまで各フォーマットの仕様を見てきましたが、横断的に押さえておきたいのが「アスペクト比をどう揃えるか」と「どんな動画ファイル形式が使えるか」です。これは制作会社への発注前に必ず確認しておきたいポイントです。
3つのアスペクト比とその役割
| アスペクト比 | 解像度の目安 | 強い配信面 |
|---|---|---|
| 横向き 16:9 | 1,920×1,080px | PC・テレビ・インストリーム・マストヘッドの主役 |
| 縦向き 9:16 | 1,080×1,920px | スマホのフルスクリーン(ショート面など) |
| スクエア 1:1 | 1,080×1,080px | フィード内表示で馴染む |
結論として、16:9・9:16・1:1の3種を揃えるのが理想です。16:9はほぼ全フォーマットの基本になるので最優先。スマホ比率が高い商材なら9:16を、フィード配信を重視するなら1:1を加えます。3種揃えておけば、動画アクションや動画リーチで配信面を取りこぼさず、機械学習に出し分けの選択肢を多く与えられます。
対応する動画ファイル形式
YouTubeへアップロードする動画ファイルそのものの形式についても、要件を押さえておきましょう。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 推奨形式 | .MPG(MPEG-2 または MPEG-4) |
| その他の形式 | 256GB未満であれば、複数の動画形式に対応 |
推奨は.MPG(MPEG-2/MPEG-4)ですが、YouTubeは幅広い動画形式に対応しており、ファイルサイズが256GB未満であれば多くの形式をアップロードできます。実務では、制作会社から納品される一般的なMP4で問題ないケースがほとんどですが、迷ったら推奨形式に合わせておくのが無難です。なお、前述のとおりこの動画は広告化の前にYouTubeへアップロードしておく必要があります。
発注時のチェックポイント:制作会社に動画を依頼するときは、①16:9・9:16・1:1の3アスペクト比、②目的に応じた尺(6秒/15秒/10秒以上など)、③解像度(フルHD推奨)、④ファイル形式——をまとめて指定すると、後戻りがなくなります。「とりあえず16:9の1本」では、配信面と機械学習の選択肢を狭めてしまいます。
08 サムネイル・コンパニオンバナーの仕様
動画キャンペーンでは、動画本体以外にも「サムネイル」や「コンパニオンバナー」といった付随アセットがあります。これらは見落とされがちですが、クリック率やブランド想起に効く重要な要素です。サイズと容量を正確に押さえましょう。
サムネイル画像の仕様
サムネイルは、インフィード動画広告などで動画の「顔」として表示される静止画です。クリックされるかどうかを大きく左右します。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| アスペクト比 | 横向き 16:9 |
| 解像度 | 1,280×720px |
| ファイル形式 | .JPG/.GIF/.PNG |
| ファイルサイズ | 2MB未満 |
サムネイルは16:9・1,280×720pxが基本で、.JPG/.GIF/.PNGのいずれか、容量は2MB未満に収めます。YouTube側でアップロードした動画のカスタムサムネイルがそのまま使われることが多いので、動画制作と合わせて「目を引くサムネイル」を用意しておくと、インフィードのクリック率が変わってきます。
コンパニオンバナーの仕様
コンパニオンバナーは、PC視聴時に動画広告の横(プレイヤー右上など)に表示される静止画バナーです。動画再生後も残り、クリックでサイトへ誘導できるため、ブランド露出とクリック導線を補強します。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| アスペクト比 | 横向き 5:1 |
| 解像度 | 300×60px |
| ファイル形式 | .JPG/.GIF/.PNG |
| ファイルサイズ | 150KB未満 |
コンパニオンバナーは5:1・300×60pxという横長の小さな枠で、容量は150KB未満と厳しめです。小さな面なので、ロゴと短いコピー、明確なボタンに絞った、視認性の高いデザインが求められます。サムネイルの2MB未満に対し、コンパニオンバナーは150KB未満と桁が違う点に注意してください。
付随アセットの早見:サムネイル=16:9・1,280×720px・.JPG/.GIF/.PNG・2MB未満。コンパニオンバナー=5:1・300×60px・.JPG/.GIF/.PNG・150KB未満。容量上限(2MBと150KB)を取り違えないこと。
09 入札方式と目標別サブタイプ(認知/比較検討/CV)
仕様(フォーマット要件)を押さえたら、次は「どう課金され、どう最適化されるか」です。動画キャンペーンは、目的(マーケティングファネルのどの段階を狙うか)によって、選ぶサブタイプと入札方式が変わります。ここを理解すると、フォーマット選びと数値設計が一本の線でつながります。
主な入札方式(課金のされ方)
| 入札方式 | 課金の考え方 | 主に使う場面 |
|---|---|---|
| CPV (視聴課金) | 動画が一定時間(30秒以上、または30秒未満なら最後まで)視聴された、もしくはクリックされたときに課金 | スキップ可能なインストリーム。比較検討・視聴重視 |
| tCPM (目標インプレッション単価) | 1,000回表示あたりの目標単価で、リーチを最大化 | バンパー・スキップ不可。認知・リーチ |
| vCPM (視認範囲のインプレッション単価) | 広告が実際に視認された表示に対して課金 | アウトストリーム |
| tCPA/CV最大化 | コンバージョン1件あたりの目標単価、またはCV数最大化に最適化 | 動画アクションキャンペーン。刈り取り |
ポイントは、「認知ならtCPM、視聴・比較検討ならCPV、コンバージョンならtCPA/CV最大化」と、目的と入札方式が対応していることです。たとえばコンバージョンを取りたいのにtCPM(とにかく表示を増やす)で回すと、表示は増えても申込は伸びません。目的に合った入札を選ぶことが、フォーマット選び以上に成果を左右します。
目標別サブタイプ|ファネルで考える
動画キャンペーンを作る際は、最初に「ブランド認知度とリーチ」「商品やブランドの比較検討」「販売促進(コンバージョン)」といった目標(ファネル段階)を選びます。それぞれに向くフォーマットと入札は次のように整理できます。
| 目標(ファネル) | 狙い | 主なフォーマット | 入札 |
|---|---|---|---|
| 認知 (上層) | とにかく多くの人に知ってもらう | バンパー6秒/スキップ不可/マストヘッド | tCPM |
| 比較検討 (中層) | 興味を持った人に中身を見てもらう | スキップ可能なインストリーム/インフィード | CPV |
| コンバージョン (下層) | サイト誘導・購入・申込を取る | 動画アクションキャンペーン | tCPA/CV最大化 |
このファネル設計は、闇雲に「動画広告を出す」のではなく、「今、自社に足りないのは認知か、比較検討か、刈り取りか」を見極めて、そこに合うサブタイプ・フォーマット・入札を選ぶ、という考え方です。認知が足りないのにいきなり動画アクションで刈り取ろうとしても母数が足りませんし、逆に認知だけ広げてもCV導線がなければ売上につながりません。そもそも広告がなぜ必要なのか という土台に立ち返ると、各段階を埋めていく意味が見えてきます。
ペルソナ起点で「どの段階を埋めるか」を決める
私たち「でもやるんだよ」(零株式会社)は、動画キャンペーンの設計でも、コトラーのマーケティング理論に基づきペルソナを起点に考えます。「誰に、今どの段階のメッセージを届けるべきか」を定めてから、フォーマットと入札を選ぶ。たとえば、まだブランドを知らない層にはバンパーで名前を刷り込み、興味を持った層にはスキップ可能なインストリームで世界観を伝え、検討が進んだ層には動画アクションで背中を押す——というように、ペルソナとファネルを掛け合わせて、動画フォーマットを配置します。仕様(文字数や尺)はあくまで器であり、その中に「誰に何を伝えるか」という戦略を盛り込めるかどうかが、成果の分かれ目です。
仕様の一次情報は公式で確認を:動画フォーマットや仕様は、Google側のアップデートで変更されることがあります。本記事は実務で押さえるべき要点を整理したものですが、最新の正確な値は Google広告ヘルプ(動画広告の仕様) など公式情報も併せて確認してください。
10 まとめ
Google動画キャンペーン(YouTube広告)の仕様とフォーマット要件を、長くなりましたが網羅的に解説してきました。要点を改めて整理します。
- 大前提:動画は広告化の前にYouTubeへアップロードが必須。管理画面ではそのURL(動画ID)を指定する。
- 6つのフォーマット:スキップ可能/不可のインストリーム、バンパー6秒、インフィード、アウトストリーム、マストヘッド。表示場所・スキップ可否・課金が異なる。
- インフィード動画広告:動画は16:9(1,920×1,080)/9:16(1,080×1,920)/1:1(1,080×1,080)・推奨15秒。見出し2行・1行半角40文字(全角20)、説明文2行・1行半角35文字(全角17)。
- マストヘッド:動画16:9・長さ制限なし。見出し半角40(全角20)、説明文半角60(全角30)、行動を促すフレーズ半角15(全角7)。
- 動画アクション:16:9/9:16/1:1・各10秒以上。見出し半角30(全角15)、長い見出し・説明文半角90(全角45)、行動を促すフレーズ半角10(全角5)。
- 動画リーチ:横16:9=15秒(スキップ可能/インフィード)・6秒(バンパー)、縦9:16・スクエア1:1=6〜60秒。
- 付随アセット:サムネイル16:9・1,280×720px・2MB未満、コンパニオンバナー5:1・300×60px・150KB未満。動画ファイルは.MPG推奨・256GB未満で複数形式対応。
- 入札と目標:認知=tCPM、比較検討=CPV、コンバージョン=tCPA/CV最大化。ファネルとペルソナを掛け合わせてフォーマットを配置する。
仕様は、知っていれば制作の手戻りをなくし、知らなければ無駄な時間とコストを生む「最低限の作法」です。しかし、仕様を満たすことはスタートラインに過ぎません。本当に成果を分けるのは、「誰に、どの段階で、どのフォーマットで、何を伝えるか」という戦略設計です。器(仕様)を正確に押さえたうえで、その中にペルソナとファネルに基づくメッセージを盛り込めるかどうか——そこが、動画キャンペーンで勝つか負けるかの分岐点になります。
動画キャンペーンの設計や、横並びで仕様を確認したい他フォーマットについては、ピラー記事 Google広告のフォーマット仕様まとめ完全ガイド や、姉妹記事の デマンドジェネレーションの仕様・P-MAXの仕様・レスポンシブディスプレイ広告の仕様・アプリキャンペーンの仕様 も併せてご覧ください。
11 よくある質問(FAQ)
Q. YouTube広告の動画は、広告を出す前にYouTubeへアップロードが必要ですか?
はい、必要です。Google広告の動画キャンペーンで配信する動画は、原則として事前にYouTubeチャンネルへアップロードしておく必要があります。Google広告の管理画面では、その動画のYouTube URL(または動画ID)を指定して広告を作成します。公開設定は「公開」または「限定公開」にしておけば広告に利用でき、限定公開ならYouTube検索結果には表示されません。アップロードしていない動画ファイルをそのまま広告として配信することはできません。
Q. 用意すべきアスペクト比は何ですか?1本だけだとダメ?
基本は横向き16:9(1,920×1,080px)ですが、理想は16:9・縦9:16(1,080×1,920px)・スクエア1:1(1,080×1,080px)の3種を揃えることです。16:9はインストリームやマストヘッドの主役、9:16はスマホのフルスクリーンで強く、1:1はフィードに馴染みます。1本だけだと配信面の取りこぼしが出やすく、特にモバイル面で機会損失になります。動画アクションや動画リーチでは複数比率を用意すると、Googleが面ごとに最適なものを出し分けてくれます。
Q. バンパーとスキップ可能なインストリームはどう使い分ける?
バンパーは6秒以内・スキップ不可で最後まで強制的に見られる、短時間で記憶に残す認知・リーチ向けです。スキップ可能なインストリームは5秒後にスキップでき、CPV課金で「興味のある人だけに見てもらう(無駄打ちを抑える)」比較検討向けです。実務では、バンパーで広く名前を刷り込み、スキップ可能なインストリームで世界観やメッセージを深く伝える、という組み合わせがよく使われます。
Q. 動画の長さは結局何秒で作ればいい?
目的とフォーマットで変わります。バンパーは6秒以内、スキップ不可のインストリームは15秒以内、スキップ可能なインストリームやインフィードは推奨15秒(長くても60秒程度)、動画アクションは10秒以上(実務では15〜30秒)、動画リーチの縦9:16・スクエア1:1は6〜60秒です。まず「どの目的のキャンペーンか」を決めれば、必要な尺が自ずと決まります。
Q. サムネイルとコンパニオンバナーの容量を間違えやすいのですが。
サムネイルは16:9・1,280×720px・.JPG/.GIF/.PNG・2MB未満、コンパニオンバナーは5:1・300×60px・.JPG/.GIF/.PNG・150KB未満です。容量上限が2MBと150KBで大きく違うので、ここを取り違えると入稿エラーになります。コンパニオンバナーは小さな横長枠なので、ロゴと短いコピー、明確なボタンに絞ったデザインにしましょう。
Q. 自社で仕様を満たしても成果が出るか不安です。
仕様(尺・比率・文字数)を満たすのは最低限のスタートラインで、成果を分けるのは「誰に・どの段階で・何を伝えるか」という戦略設計です。でもやるんだよでは、コトラー理論に基づくペルソナ設計から、認知・比較検討・コンバージョンのファネルに沿ったフォーマット・入札の選定、動画クリエイティブの企画まで、一気通貫でご相談を承っています。動画キャンペーンの立ち上げで迷ったら、一度無料相談をご利用ください。
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